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米比防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう! [フィリピンの政治経済状況]

KPD声明
防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう!
フィリピンにおける米軍、武装力展開の増大を正当化するものだ!

 フィリピンと中国の領土問題の対立を理由に、フィリピン政府が米国と防衛力強化協力協定(AEDC)を締結し、いったん追い出した米軍をフィリピンの基地とフィリピン国内に再び招き入れる政策に転換した。この事態に対し、フィリピンの人々は米軍が再びフィリピン基地や全土に常駐することを明確に拒否している。過去の経験から、フィリピンの人々は米国と米軍の支配がどのような被害をもたらすか、よく知っている。米軍の常駐を承認することは、軍事ばかりでなく、政治経済社会的に、米国支配を受け入れることにつながりかねない、その危険の方がはるかに大きいことをフィリピンの人々はよく知っており、危惧し、批判している。(編集部)

140514 米比防衛力強化協力協定を締結し握手するアキノ大統領とオバマ大統領(NHK).jpg
<米比防衛力協力強化協定を締結し、握手するアキノ大統領とオバマ大統領>

 1)防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう!

 KPDは、批判的にとらえるすべてのフィリピン人に、国防次官ピオロレンツォ・バチーノが「80パーセント完了した」と最近、明確に述べた米国・フィリピン間の最新の安全保障条約(AEDC)を綿密に精査することを呼びかけます。バチーノ次官は偶然にも、2013年8月以来、フィリピン側でこの条約交渉を率いる地位についています。
 以前は軍事力交替配備増大協定(AIRP)として知られていた防衛強化協力協定(AEDC)は、相互防衛条約(MDT)と軍事力訪問協定(VFA)の一般規定を率直に実施するものであり、私たちはAEDCを単に受け入れてしまう前に、この新協定によって何が実際に行われようとしているか、きちんと調べる必要があります。

 2)新しい基地の配備計画

 ミンダナオ中心部でこの12年間にわたり米軍と協力的な安全保障の地域展開(CSL)を行い、新たな軍事基地の配置してきたフィリピン特殊共同作戦特殊部隊(JPOTFP)、高度に訓練され完全武装した600以上の問題を醸す部隊に訪問軍協定(VFA)は扉を開いたとするなら、AEDCは、私たちの領土に他の米軍軍事力と戦争マシーンを事前に配備する条項にしたがって、フィリピン軍の基地や他の地域に、米軍の軍事力を交替で配置する新しい形態を導入することになるでしょう。これは前方展開基地態勢、もしくはFOSとして知られているものです。

 協定のもう一つの不穏な面は、脅威への対応能力を紹介する米軍の薄っぺらな装いとして、市民への作戦や災害救助活動が使用されていることです。災害救助活動を理由に外国軍隊配備を正当化することは、本当に悪質であり、外国軍兵士は完全武装した殺人的な兵士である事実をフィリピン人に忘れさせ、鈍感にさせます。米軍兵士たちは、オロンガポ市のパウリーノ市長が信じたいような、遊びまわる民間人観光客では決してありません。

 3)相互の利益など存在しない

 数多くの同盟国を利用しながら、中国などの想定される敵に対し軍事力を突出させる領域・太平洋おいて唯一の支配権を確立したいと考える米国と、同様の課題・目的を私たちのような小さな国フィリピンが、持つことはありえません。
 一般的な用語でいうなら、フィリピン領土を米軍は侵略の「スプリングボード」として使ってきました。過去には、韓国とベトナムの敵と戦うために、さらにはイラクとアフガニスタンへの敵と戦うために、スービック基地やクラーク基地は、米軍の侵略とパワープレイのために使われてきました。
 イラク戦争は米国のためイラクの石油資源を確保する侵略戦争でしたが、米国が後ろだての反イラク「有志連合」に我が国が加わりその戦争に参戦したことで、中東におけるフィリピンとフィリピン国民の安全保障がどんなに脆弱になったか、もう忘れてしまったでしょうか? 米国側に立つことによって、わがフィリピン政府は、国家の安全保障、国民の安全を守るのではなく、むしろ危険にさらしています。

 米国のような身勝手な支配者に自分自身を合わせた場合、フィリピンとフィリピン国民は隣人と平和に共存することを期待できるでしょうか?
 この協定(AEDC)は、米国に一方的に有利で、フィリピンに不利なものです。
 国家としての私たちの独立と主権の代価として、我々の領土と海に外国軍隊が常駐するに任せる危険と費用は、いずれ役に立たなくなれば捨てられるのですからフィリピンが負うのであり、我々が負けると終わりでその時も捨てられるのです。資源がなくなれば終わりと同様に米国は我々の戦略的な配置を利用しているのであり、仮に利用できなくなってもそれを折り込んだ法的な他の対応策を米国は持っているのです。いずれにしても、米国には常にはっきりした勝利はだけがあるのです。

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マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者の名誉回復と補償 [フィリピンの政治経済状況]

 もう一つの素晴らしく、感動的な経験
 エミリー・ファヤルド:アンバ・バーラ
 
7月4日報告


 アキノ政権は、1972年から1985年のフェルデナンド・マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者の名誉回復と補償をはじめたらしい。ベニグノ・アキノの父ニノイ・アキノ上院議員はマルコス時代末期に暗殺されたから、アキノ家の政敵であったマルコスとマルコス時代の犯罪を告発することになったようです。フィリピン社会が公に人権侵害を告発するようになったことは前進です。ただし、人権侵害は決してマルコス時代に限られたものではありません。コーリー・アキノ時代にも、そののちの時代にも存在した。人々の運動は、いずれマルコス時代後から現在に至る人権侵害の告発にもつながっていくでしょう。(編集部)


 KPDが行っているキャンペーンの一つは、ベニグノ・アキノ政権による「2013年賠償と補償法」への対応です。この法律の目的は、1972年から1985年のフェルデナンド・マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者を認め、名誉回復と補償することにあります。マルコス時代はフィリピン人に対する人権侵害の長い時期であり、ここバタアンでも多くの犠牲者の名誉回復が認められつつあります。

 すべての被害者は正当な請求者であり、補償を獲得する権利があること、そして警察や軍といた加害者が犯した違反のレベルに応じて補償されます。レベル1から10までに分類され、最高の違反が行方不明と殺人被害、そのほかは拷問、不法拘禁、強姦などです。そして法律の最も良いところは、悲劇的な人権侵害がフィリピンの歴史に書き込まれ、この国の学校で教えられることになっているところです。そのほかには、政府がフィリピン全土の戒厳令時の犠牲者のすべての名前を刻んだ博物館と彫像を建築することになった点です。

 この法は2013年2月に調印され、2年間だけ実施されます。つまらないことに、ベニグノ・アキノ政権は、請求者の正当性を検証する検証委員会メンバーを選ぶためにすでに1年を浪費してしまいました。

 今日、私たちの最大の課題は、「宣誓供述書」作りです。要件の一つは、必要な法的文書作成であり、語られた物語を正確に記録しなければなりません。被害者=原告/請求者にとって困難なことの一つは、多くの人たちが「宣誓供述書」の書き方を知らないことです。原告が死亡した場合には、被害者の家族の一人が原告/請求者になります。

 この前の6月21-22日、私たちはバタアン州モロンのすべての犠牲者と請求者に連絡をとり、宣誓供述書の「書き方相談」を行いました。バタアン地域は、バタアン原子力発電所が建設されていた時期から戒厳令下のあいだ、最も軍事化され弾圧された地域の一つでした。

 被害者の宣誓供述書について議論したり編集したりする時に、私たちは冷静になり詳細で正確なデータを取得する必要があります。被害事実に触れるとつい恐怖と激情のため冷静さを失うことになりがちです。被害者から人権侵害についてそれぞれ独自の物語を聞くたびに思うのは、私たちがフィリピンと地方の歴史を読み学んだことからはほど遠い、はあるかに深刻な物語があると、あらためて気づかされることです。私たち宣誓供述書作成ボランティアにとって、被害者の怖れの声を聴き、経験した拷問を正確に再現し記述することは、きわめて難しいことでもあります。私は被害者の話に関係していたし触れていたにもかかわらず、彼らを助けることができませんでした。

 私が編集に参加した宣誓供述書の一例は、マルコス時代にマルコスによって武装化した保安隊によって目の前で母と父を殺されるのを目にした一人の女性(当時は少女)の話でした。30年後、彼女は話をしながら泣きだしてしまいました。一瞬にして両親を殺された心の痛みが癒えないまま、事件後、家族はバラバラになり兄弟姉妹すべてが別れて暮らさなくてはならなくなりました。彼女はそのとき10歳だったそうです。彼女は家族の悲劇の記憶を持ち続けてきました。今に至るまで、そのトラウマ的経験に苦しみ続けているのです。私はフィリピンの現代史をあらためて知った思いがしています。

 被害者から聞き取りしていた私の同僚の一人が急に泣き出したことがありました。集団レイプされた被害者の話を聞いたのです。戒厳令下で多くの人権侵害があり拷問がありました。私たちは被害者のため同情/共感する場面に多々遭遇するのです。

 聞き取りのための二日間の活動の後、私たちはとても感情的になり、戒厳令下の被害者の痛みを伴う経験を自分の痛みと感じました。その時代に私はいませんでした、赤ん坊でさえありませんでした(私は1978年生まれです)。しかし私は痛みを感じましたし、検証委員会が要求する「重い語られた歴史」をはっきりとした映像の物語として、私の心のなかに再現することができました。被害者の心障体験に接した時、私は助けることはできませんでしたし、時には涙をたたえるだけで泣くこともできませんでした。

 被害者が自らの体験を語ることは、被害者にとって大変な苦痛なのです。被害者のうち幾人かは、今でも恐れ怯えています、すでに亡くなった人もいます。それでも被害者の物語が彼らの心の中から消えていかない限り語りつがれ、そして名誉は回復され補償されるでしょう。

 私たちは、語られた物語/歴史を、多くの人々や関係者に通知する責任があります。そして、私は自分自身に約束します、私の息子が成長したら、マルコス独裁時代の人権侵害がどのように悲劇的であったか語り伝えます。しかしもっと重要なことは、人権侵害は決してマルコス時代にだけのことではありません。すべての政権、例えばグロリア・マカパガル・アロヨ政権時代に、コーリー・アキノ政権の時代でさえも、同様の人権侵害がありました。そのことも同時に語って伝えます。民衆が自身の歴史を知り語り伝える、そうして歴史をつくる、それが私たちのやり方なのです。

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電力危機の解決は、原子力と石炭を除外すべきだ!NFBM [フィリピンの政治経済状況]

 反核バタアン運動(Nuclear Free Bataan Movement)から、声明が届きましたので掲載します。

――――――――――


 電力危機の解決は、原子力と石炭を除外すべきだ!

 反核バタアン運動(NFBM) プレス声明
 2014年7月30日

 連絡先:
 牧師モンシニョール、アントニオ・ドウマウアル反核バタアン運動(以下:NFBM)委員長,
    連絡先:Tel: 09178679242
 フランシスコ・ホンラ-NFBM事務局長、
    連絡先:Tel: 09178679242 09188974643

 
 この数年、フィリピンは、地熱発電で米国に次ぎ世界二位でした。しかし、再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、バイオマス、地熱)は、約20万MWにすぎず、石炭のような炭素集約エネルギー発電にますます偏ってきており、さらにはバタアン原子力発電所(BNPP)の復活さえ気になるような情況です。

 前エネルギー省長官マーク•コファンコが再度登場してきています。
 差し迫った電力危機を言い訳として利用し、彼らは再び原子力推進の影響力を広めようとしています。2014年7月25日、バタアン州バガックで、モロンとバガックの住民を対象にした公開フォーラムが開催されました。(モロン、バガックともにバタアン半島西側の集落。モロンには1980年代、原発を建設したが、反対運動により稼働せず廃炉となった)

 先週月曜日、アキノ大統領の最近の演説で、アキノ政権が重大な決意をもって電力危機に臨むことを表明しました。
 反核バタアン運動(NFBM)として私たちはアキノ大統領に言いたいのです。特に実際の気候変動への影響を考慮し、解決策は石炭火力発電に大きく依存したアキノ政権のフィリピンエネルギー計画(PEP)を変更する以外にない、と。
 世界銀行、国際エネルギー機関(IEA)は、2012年3月、世界が壊滅的な温度上昇を回避する場合には、化石燃料の既知の埋蔵量の少なくとも80%は未開発のままにする必要があると警告しました。
 しかし、ここフィリピンで24基の新しい石炭火力発電所を建設中であり、二酸化炭素排出量は年52.8万トン増大します。さらにこの先2~5年の間に20基の石炭火力発電所建設が提案されています。福島における惨事はいまだ継続しているのであって、原子力災害がいかに壊滅的であるか、あたかも明らかにされていないかのように、アキノ大統領はその演説で、バタアン原子力発電所(BNPP)再生案には触れていません。

 これらの発電所は、未だ電気が通じていない270万人のフィリピン人のためではありません。ビジネスのためであり、鉱山開発のためであり、ここバタアンのように「経済の飛び地」(=外国企業が進出している経済特区)のためなのです。
 実際、フィリピンは、「ビジネスのためのよりオープン」です。他方、電力供給は民間企業が担っており、電気代は日本と同じくらいに高価なため、いまだ多くのフィリピン人は電気の無い暗闇に取り残されているのです。
 原子力技術は基本的にきわめて危険であり安全性が確保されないことが立証されており、今は危険な原子力技術にギャンブルする時期ではありません。それどころか、永久に原子力計画を放棄する時なのです。従って私たちは、「核のない世界こそ安全な世界である」という訴えを改めてここに表明します。

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フィリピンは最近、どのようにかわりつつあるのか? [フィリピンの政治経済状況]

 フィリピンは最近、どのように変わりつつあるのか?

 1)フィピンのジョリビー : フィリピン経済の好調が続く

 フィリピンを訪れた人なら、誰でも知っているだろう。ファーストフード「ジョリビー」。ハンバーガーショップだけれど、マクドナルドと違い、味付けはあくまで甘く、そして量も多くてフィリピン的だ。フライドチキンとライスのセット(野菜がまったくついていない)でとりあえず満腹になるから、ファーストフードではなく立派なランチ。ジョリビーは、フィリピンのローカルなニーズをしっかりとつかんだ。(ただし、食べ続けると我々のような年配者は野菜不足で胸焼けする。)

 今ではチェーン店網を確立し、国内実績をテコに海外展開を加速している。中華ファーストフーズ「永和大王」を買収し傘下に収め、中国出店を増やし、香港、ベトナム、シンガポール、米国、中東にも進出した。今では世界で2,800店舗を擁する。
 「ジョリビー」のにぎやかさは、フィリピン経済の好調さを象徴しているように見える。

 2)急増する人口、若いフィリピン
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<1人当たりのGDP 日経 7月5日>

 フィリピンは人口が1億人(2014年)で、全国民の平均年齢が23歳、東南アジアの中でも目立って若く、労働人口の増加が成長を押し上げる「人口ボーナス」時期が当面続く。私たちが付き合い始めた1986年頃は、6,000万の人口だった。

 国内総生産(GDP)の伸び率は2013年に7.2%。アジアでは飛びぬけており、IMFによると、2015年には「一人当たりGDP」が中間層の消費が急拡大するとされる3,000ドルを超える。2019年には4,700ドルを超えてインドネシアを追い抜くと予想されている。

 経済成長率は不安定ながらも高い成長を維持している。フィリピンはすでに農業国ではない。主要輸出品は電子部品、衣料・靴製品、木材加工品、化学製品、雑貨であり、最近ではITサービス産業、コールセンターも増えている。どれもフィリピンの労働力を利用した労働集約的な産業。他方、新自由主義的な政策により海外からの投資も相次いでいる。通信電話事業水道事業、高速道路・都市交通事業などに海外資本が進出している。

 比経済の原動力の1つが、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、業務の外部委託である。英語力と安い人件費に着目して、インターネット、通信事業を利用し、欧米企業が相次いで進出している。すでに世界一の規模となったコールセンターだけでなく、ウェブデザインや法律文書の作成など高付加価値化が進む。情報技術ITとBPOを合わせた業界の売上高は2013年に155億ドル(約1兆5700億円)と、5年前の2.5倍に膨らんだ。サービス輸出に絡む産業が拡大している。

 他方、相変わらずメイドや船員などとして海外で働く人が多く、国外在住のフィリピン人は1,000万人を突破し、海外からの送金は2013年には229億ドル(約2.3兆円)に達した。フィリピンの労働人口は4,100万人であり、四分の一が海外で働いていることになる。229億ドルは銀行を通じた正規の送金額であり、ローカルの金融業者を通じた送金や帰国時の持参などを含めればこの額の2倍、すなわち450億ドル程度(4.5兆円以上)に達すると言われており、その額は国家予算に相当する。

 このような経済の拡大による都市中間層の増大と海外からの送金によって、個人消費が着実に拡大してきた。個人消費はGDPの7割を占める。
 SMモールやジョリビーはこれを象徴している。
 
 3)格差が拡大するフィリピン社会

 ただし、この経済発展は格差の拡大でもある。
 経済成長が持続しているにもかかわらず、失業率は7%前後で高止まりしている。タイの0.7%、ベトナム2.0%、中国4.1%と比べて高い水準だ。加えて、フィリピンは全人口に占める0歳から14歳までの若年者人口の割合が35%と、中国19.1%、タイ20.2%などと比べても圧倒的に高く、今後も労働人口の増加に国内雇用の増加が追いつかない=失業率が高い状態が続く。

 都市部と地方の格差も拡大している。ルソン島中南部はマニラ経済圏としてますます拡大しつつあり、世界経済と直接結びついた近代的な経済活動が活発に行われている。他方、ミンダナオ、ルソン島北部、ビサヤの島嶼部などは伝統的経済関係が残存し、他方マニラ経済圏に労働力や原材料を供給する経済的後背地になりつつある。

 経済拡大に合わせフィリピン支配層は、その地位をよりは安定的なものにしているし、層も厚みを増した。もはやクーデターなどの政治的混乱を望まない関係が成立している。支配層が飼ってきた軍ではあるが、その役割も大きく変化しつつある。「軍人になることが出世の道」という時代は終わった。

 フィリピン国家はあくまでフィリピン支配階級の持ち物であり、福祉や教育、医療への支出はほとんどないと言っていい状態。経済成長に見合った「市民社会」はいまだ形成されておらず、フィリピン市民、労働者は無権利のままに置かれている。

 政府や軍の弾圧によって労働者や人民の利益を代表する全国的な組織や運動がなかなか成立しない状態が、20年以上続いてきた。新自由主義の導入によって、人々の無権利状態は進出してきた欧米日資本に都合よく利用され、再生産されている。その克服はなかなか容易ではない。もちろんそこに闘う人々もいる。(文責: 林 信治)

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レイテの台風被害への支援を! [フィリピンの政治経済状況]

 遅くなりましたが、11月のレイテ台風被害の支援要請をアップします。

―――――――――――
レイテの台風被害への支援を!

KPD声明    2013年11月8日

 親愛なる友人および団体のみなさん

 東部と中部ヴィサヤにおける台風ハイヤン(ローカル名:ヨランダ)の大暴れによる被害に対し、私たちは被害者救援作戦計画バヤンオペレーション(作戦計画人民レスキュー)を立ち上げています。

 この計画は、救援団体コンサーンと緊密に連携し活動しています。コンサーン(CONCERN: Center for Emergency Aid and Rehabilitation:緊急援助リハビリテーションセンター)とは、25年以上も災害時の緊急援助とリハビリ分野で一貫して活動してきた団体であり、1988年以来100万人以上の人々を支援してきました。

 セブ、ボホール、レイテ近くの地域の住民は、24日前の10月15日にマグニチュード7.2の地震に襲われており、台風によりダブルパンチに見舞われたことになります。

 ヴィサヤの地震によって放出されたエネルギーは、TNTの951.5キロトン、 796,214の雷が点滅し、ガソリンの3,016万ガロン、またはインターネットニュースサイトRapplerによるとダイナマイトの1.90億スティックに相当します。

 大地震の後、ほぼ2900の余震があり、そのうち77は人々が感じる地震でした。感じられた。歴史的遺産である教会群を含む、住宅、建築物の構造的完全性は、地震によってすでに深刻な危険にさらされており、結果として多くの陥没穴が現れています。そのあとを台風と洪水が襲ったのです。

 11月8日に、スーパー台風ハイヤンは毎時235キロ(毎時147マイル)でハウリング風をもたらす東部沿岸地域から吹いてきて、波が15メートルに達すると報告され、いくつかの場所では、400ミリメートルの雨に襲われました。この初期被害による死者は1万人を超えると予想されており、荒廃のなか生き残っている人たちには、少し食品も、電気やきれいな水もありません。清潔な服や生存のために必要な他の食べものが不足しています。

 作戦計画サギップ・バヤンを直ちに立ち上げるために、台風被災者、特に北部セブとレイテ島の3つの町にいる約5000の家族を対象とし、食品と非食品の支援の両方を集中することを期待し、私たちはあなた方のようなすべての友人や同盟団体に支援の訴えを送っています。

 危機に対応する私たちの力量は、被害者のための必要な下記の支援を、いかに早く集中できるかにかかっています。生存者が生き残るための25ドルパッケージは、準備されたパッケージの配布が始まっています。このパッケージへの支援が必要なのです。

●3日間、 6人家族のための標準食品救済パッケージ:以下の項目からなる約1000フィリピン・ペソ(USD 25)標準食品救済パッケージ
米6キロ
1/2キロの洗浄砂糖
1/2キロの干し魚
1/2キロの Mongo豆
1/2キロのヨウ素添加塩
イワシの缶詰3缶

●非食品:蚊帳、寝マット、毛布、懐中電灯やパラフィン・ランプ、ゴム長靴、飲料水、古着、など

●薬:パラセタモール錠剤とシロップ、抗生物質、抗アレルギー、咳や風邪、浄水タブレット、などのアルコール、滅菌ガーゼ、絆創膏、ベタジン消毒液などの応急処置用の医薬品

●緊急オペレーションセンターの使用のための機器:無線トランシーバ、倉庫、車両、ファックス機、コピー機、携帯電話、発電機など

 また、このアドレスに現物の寄付を送ることができます。
 マニラ: # 22ドミンゴ?ゲバラセントバランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市1550  女性団体Kaisa ka(カイサカ)宛て

 皆さんは、女性団体カイサカの口座を通じて、寄付を送ることができます。
口座名: Pagkakaisa ng Kababaihan para sa Kalayaan Inc.(カイサカ)
口座番号: 106930026351
SWIFTコード: BDO - BNORPHMM
ルーティング番号: 021-000089
銀行名:BDO -マンダルヨンリベルタ支店
銀行支店の住所:G / Fシエラハイツ場所ドミンゴ?ゲバラコーナーシエラマドレ通り、マンダルヨン市、フィリピン、 1550

 台風被害者を助けるため、私たちを支援ください。詳細については、当社のオフィス電話番号717‐3262までお電話ください。
 または、 # 22 - Aリベルタ通り、バランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市を訪ねていただき、フィデル・ファバビヤーやマリー・グスマンに接触してください。

 私たちは、すべてのスポンサー/ドナーを認識し、同じに関する簡潔なレポートを提供しなければなりません。あなた方のご支援に予めお礼申し上げます。

 謹んで、

フィデル・ファバビヤー(Fidel Fababier)
ナショナルコーディネーター、作戦計画サギップ・バヤン
モバイルフォン:+639461115073
e-mail:kpdpilipinas@gmail.com

支援団体:KPD
# 22 -Aドミンゴ?ゲバラストリート、 バランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市1550、フィリピン
テレファックス: (632)717 3262
Eメール: kpdpilipinas@gmail.com
ウェブサイト: www.kpdpilipinas.com

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反核運動のリーダーたちが、KPDバタアンのリーダーとして [フィリピンの政治経済状況]

バタアン労働組合連合のエミリーから、反核バタアン運動がバタアン原発を停止させたあと、さらに発展して環境問題に取り組んでいる、さらには様々な社会的課題にも取り組むようになったという報告が寄せられています。

 フィリピンの人びとの運動は、フィリピン政府や軍による政治的暗殺や、厳しい弾圧で長い間圧殺されてきました。軍による労働組合リーダー、人権活動家、ジャーナリスト、弁護士など多数の人々が暗殺されてきました。他方、1990年代はじめにフィリピン共産党が分裂し対立し、その結果で左翼運動全体が分裂・分断してしまい、一方で左翼運動に対する人々の信頼は失われ、他方で人々の自主的な運動、政治的活動がなかなか発展することができませんでした。この影響はいまだに残存しています。

 そのようななか、眼の前の課題に対し、徐々に団結し活動することができるようになりつつあるバタアン地方の一例が、報告されています。
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 反核運動のリーダーたちが、KPDバタアンのリーダーとして戻ってきました

 2009年、反核バタアン運動のリーダーたちが戻ってきました。もともとは、統一したバタアン原発反対運動を基礎として活動しはじめ、今では、地方全体のすべての環境問題にかかわる運動連携のリーダーとして登場してきています。反原発運動から、石炭火力発電所反対運動として発展してきています。さらにはこの先起こるであろう様々な問題に対しても同じように運動は組織されるでしょう。

 環境問題での運動を基礎にしながら、リーダーたち(その多くは中流階級です、例えば聖職者、弁護士、先生、基本的なセクター ― 労働者、農民、女性その他)が、わが国の政治的経済的状況に対して政治的に目覚め、行動しはじめています。バタアンにおける政治的組織の復活が必要であることも理解されはじめており、KPDバタアンがその担い手、受け皿になっています。
 振り返るなら、2000年前半に、KPDバタアンは設立されました。バタアン労働組合連合であるアンバ・バーラもこれに属していましたし、農民漁民や女性、都市貧民の組織も構成団体でした。しかし、アロヨ政権の時代には、政治団体に対する厳しい弾圧やリーダーへの政治的殺害などが行われました。ここバタアンでも女性運動のリーダーであるキャシー・アルカンタラさんが暗殺されました。その結果、バタアンKPDは徐々にその活動する場を奪われ、組織も弱くなっていきました。

 今日では、ダンテ・イラヤ弁護士が、バタアンKPDの議長として名乗り、私たちの政治団体のために彼の自由時間を費やしてくれています。幸いにも2人の聖職者が、 反核バタアン運動に参加し代表的なメンバーとして名を連ね、反原発運動だけでなくこの地方の環境問題のために、最高の貢献をしてくれています。
 しかし、議会に提出されている中絶法案(Reproductive Health法案)について、聖職者・教会と私たちの考えは、まったく同じではありません。この問題のもたらす混乱を恐れ、会議でまだ取り上げられていません。女性団体カイサカ・バタアンは、この議案に賛成していますが、KPDバタアンではまだ論議していません。

 KPDバタアンは10名の代表を、11月25,26,27日の第3回カイサカ総会と、11月28,29,30日のKPD総会に、送ります。
 来年始めまでには、KPDバタアンのバタアン地方変革プログラム(Provincial Chapter of KPD)ができあがるだろうと期待しています。少しずつ運動はひろがっています。デリク・カベさんを覚えていますでしょうか、環境のための連帯行動のメンバーとして働いています。以前は教員組合全国オルガナイザーをしていました。彼女は今KPDバタアンのメンバーとして一緒に働いています。私もうれしいことにその一員として活動しています。

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バタアン石炭火力発電所の運転を、止めろ! [フィリピンの政治経済状況]

 プレス・リリース
 2012年7月29日
 バタアン石炭火力発電所の運転を、止めろ!

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 フィリピン、ルソン島、バタアン州最南端の町マリヴェレスの居住者や「気候の正義のための運動家」たちは、7月29日、GN Power社の600MWマリヴェレス石炭火力発電所の試運転開始に抗議し、河川抗議キャラバン行動を行いました。(発電所建設によって土砂を流され、生活の場である川を破壊された川沿いにある集落をたどるキャラバン行動です。)

 反核バタアン運動コーディネーターのエミリー・ファヤルドによると、バタアン州の人びとは、かつてバタアン原発を拒絶したように、石炭火力発電所を拒絶すべきです。原子力エネルギーは人類に最も致命的なエネルギー源ですが、他方、石炭エネルギーは、汚染物質をまき散らし、マリヴェレス町どころかバタアン州全体の住民の健康に有害な影響をもたらします。(※フィリピンの公害物質排出基準が先進国より緩いことを利用し、投資・建設する先進国資本は、コストを削減するため脱硫措置などを備えていない石炭火力発電所を建設し運転してきました。石炭火力発電所が汚染物質をまき散らすことは、フィリピン人にとっては体験を経て形成された「常識」なのです。)

 同様に、石炭発電所は他の化石燃料よりも多くの二酸化炭素を排出すると、「気候の正義のためのフィリピン運動」は、説明しました。大気中に放出される二酸化炭素排出量が多すぎると、地球温暖化の主な原因となります。
 「マリヴェレス石炭火力発電所反対運動連合」としては、エネルギー資源としての石炭は、危険で、汚くて、長い目で見れば環境的に破壊的であるととらえています。
 かつて石炭灰は、水銀、ヒ素、鉛などの有毒ガスや化学物質を放出し、石炭火力発電所の近くに住んでいる人々のためのがんのリスクの増加に関連しました。

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 「石炭火力発電所の近くの漁村は必ず影響を受けるでしょう、というのは、石炭火力発電所は冷却用に1分間225,000ガロンの水を必要としますし、飲料水と地下水は発電所が発する有毒化学物質によって汚染されるでしょう。発電所は住民の給水への影響について説明していません。」と、反マリヴェレス石炭火力発電所の呼びかけ人の一人であるダンテ・ラフォルテーサは指摘しました。
 マリヴェレス石炭火力発電所は、マリヴェレス町にとって必要な水を供給するダムの真後ろに建設されています。
 「住民の生活と福祉にとって危険な『おもちゃ』を持ち込まないように! 私たちにとって、石炭発電所の運転よりは、再生可能な手段を追求するほうがずっとマシです。」と、ラフォルテーサはつけ加えました。

 抗議キャラバンはシシマン・バランガイ(Barangay Sisiman)から出発し、午後1時に石炭火力発電所の煙突を見渡す場所に至りました。抗議キャラバンは町庁舎ホールに向かい、庁舎前でショートプログラムを持ちました。午後6時、2012年12月までに本格運転となる石炭発電所を止めるために戦う住民の意志の象徴として、竹の松明に火を灯し行進しました。

 担当者:
 エミリー・ファヤルド:反核バタアン運動コーディネーター、 09321532511
 ダンテ・ラフォルテーサ:マリベレス石炭火力発電所反対呼びかけ人 – 09489843020
 ケヴィン・ユ:運動家、気候正義のためのフィリピンの運動-09175213356

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バタアン石炭火力発電所に反対! [フィリピンの政治経済状況]

石炭火力発電所に反対!

 5月27日、反石炭火力キャンペーン

 エミリ―から、レポートが送られてきました。
 フィリピンでは、バタアン原発はすでに停止しており、反核バタアン運動(NFBM)は、マリベレス石炭火力発電所建設に反対する運動を取り組んでいます。
 発電所は、マニラ湾を隔ててマニラの反対側(西側)のバタアン半島先端です。ちょうど、第二次世界大戦中の要塞であったコレヒドール島がくっきり見えるところに建設中です。
 ―――――――――――――

 こんにちは!
 今回は、マリベレス石炭火力発電所建設・稼働反対運動について報告します。

 1)現在の闘い

 バタアン原発反対闘争の後、反核バタアン運動(Nuclear Free Bataan Movement:以下NFBM)は、バタアンでは反原発運動ではなく、石炭火力発電所建設反対のキャンペーンを行ってきました。しかし、なかなか困難な情況にあります。この地域における最初の石炭火力発電所であるにもかかわらず、そして人々に情報を広めていくのが最重要の課題であるにもかかわらず、バタアンの人びとはこのプロジェクトを知りません。

 GNパワーマリベレス石炭火力発電所を推し進めているのは、米国と中国です。このプロジェクトは、市民と選挙で承認される必要があル問題です。米国GN電力マリベレス石炭火力発電所が投資し、中国国家電力設備会社、およびNEPCが契約を請け負い建設しています。
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<バタアン石炭火力発電所>

 発電所の位置は、フィリピン・ルソン島マニラ湾向かいのバタアン半島の先端、バタアン州マリベレス町アシンのシチオ・ヂギニン・バランガイです(バランガイとは、フィリピンにおける集落の意味)。マリベレスの街に降りて行くジグザグ道路の手前です。
 粉々にされた「きれいな」石炭を使用する発電所と宣伝しています。二基ありますが、ともに出力は600メガワット、計1200メガワット。
 上の写真はシシマン・バランガイから、1㎞以下の距離。
 
 2)発電所建設で環境破壊! 住民生活も破壊
 私たちはシチオ・ヂンギニン(Sitio Dinginin:発電所そばの住民コミュニティ)を訪れました。約100家族が住んでおり、主に零細な漁業で暮らしてきました。発電所の建設のせいで、すなわち、土地の発破や掘削による騒音、土や石の流出、発電所の建設廃棄物によって、魚は地域からいなくなってしまいました。サンゴは破壊されています。漁民はもはや魚を孵化させることができなくなりました。漁師が網をあげると魚の代わりに鉄の棒がかかります。というのは鉄の棒を海に捨てるからなのです。今では漁師の妻たちは、市場で魚を買い求めなければならなくなりました。

 発電所建設のさらなるダメージは、工事でできた泥が、地区の川に捨てられていることです。大きな嵐や豪雨がくれば、泥は川へと流れるでしょう。住民たちが知っていることは、川は埋まってしまい、もう川ではなくなりつつあります。悲しいことに、彼らの小さなボートは通れなくなりました。
120711 泥に埋まったヂンギニン集落の川 (320x240).jpg
<泥に埋まったヂンギニン集落の川>

 GN電源管理会社のとった行動は、漁師たちに、「泥」を移動するための費用に当たる「給与」を与えたことと、土嚢に泥を詰めて置いたことでした。彼らは、一部の泥を除去しはしましたが、もはや川は以前の川ではありません。

 クリスチャンが川に立っている写真を見てください、彼の立っている下には数千の土嚢が積まれています。
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 発電所建設プロジェクトは80%完了しました。悲しいことに、この地域に暮らす人々は、発電所の稼働によってどのような悪影響があるかまったく知らされていません。バタアン州の80%の人びとは、石炭火力発電所とは何か? コミュニティへの影響は何か? 即ち、環境に対し、健康に対し、そしてこの地域の総人口の34%を占める漁民の仕事に対し、どのような影響があるか? 知りません。

 当プロジェクトは、「パブリックアクセプタンスのための公聴会」を開いていませんので、バタアンの人々は、公的には知る機会がないのです。推進側は、国民に周知していません。

 下記の写真に、二つの小さな男の子の背景に発電所の煙突が見えます。場所はシチオ・ヂンギニンです。私が写真を撮ろうとすると、二人の少年は喜んだ表情を見せてくれました。彼らは健康な子供です。しかし、発電所のすぐそばに住んでいるので、煙突からの有毒で危険飛灰と煙の曝露のため、近い将来、健康を害するのではないかと心配しています。
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<ヂンギニンの子供たち、後ろに発電所の煙突が見える>

 3)私たちはどのように闘うのか?
 発電所はほぼ2012年には稼働する予定です。私たちの反石炭火力発電所運動は、すでに、緊急の事態に直面しています。

 政府から地方政府、バランガイ職員に至るまで、当局は石炭火力発電プロジェクトにとても協力的です。現大統領であるノイノイ・アキノの事務所、エネルギー省アルメンドラス長官は、特に協力的です。というのは、エネルギー省のエネルギープログラムは、フィリピン各地域に多くの石炭火力発電所を建設することから成っているからです。
 私たちは、ここマリベレスで大きな反対側を構築する必要があります。私たちが、異なるいくつもの組織からなるフォーラムとして反対運動を維持するために心がけていることは、いろんな組織や連合体、その他の団体の特に役員たちに、彼らの構成メンバーに問題を共有してもらうことです。それが実現するなら、情報は広がり、運動の広がりにとって大きな助けとなるでしょう。

120711 マリベレス石炭火力発電所を海から臨む (320x240).jpg
<海から見た石炭火力発電所> 

 最新の動きとして、それぞれ異なる教会に働きかけ、信者の人たちに、7月27日を石炭火力発電所のために被害を受けている人々のために祈る日として、「統一の祈り」をささげよう!と提案しています。 

 二次的闘争として、石炭火力発電所の会社に対する訴訟を提起しようとしています。もちろん、私たちにとって一次的には大衆運動の構築です、法廷闘争は二次的闘争です。「環境保護のための法律」があるのでので、これを利用することは戦線を広げ闘争を長引かせるうえで私たちにとって大きな助けになるでしょう。

 7月29日には、発電所はテスト運転を開始しますが、同時にこの日に、私たちは反マリベレス石炭火力発電所を訴える大衆行動を予定しています。教会での祈り、大規模なキャンペーンとなることを願っています。

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ギブン・グレイス・セバニコに正義を! [フィリピンの政治経済状況]

 ギブン・グレイス・セバニコに正義を!
 暴力行為によるすべての女性犠牲者に正義を!

 緊急リリース
 2011年10月14日
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 カイサカは、フィリピン・ロスバノス大学学生、ギブン・グレイス・セバニコ(Given Grace Cebanico)さんに対するレイプと殺害を非難します。ギブン・グレイス・セバニコさんは、2011年10月11日火曜日の朝にフィリピン・ロスバノス大学キャンパスの高水位運河に捨てられましたが、その前に縛られ、テープで固定され、レイプされそして撃ち殺されていました。ギブンさんは、3週間弱前に19回目の誕生日を迎えたばかりでした。

 ギブンさんの残忍な殺害の動機はまだ公式に認定されていませんでしたが、the Scene of Crime Operatives (SOCO)当局は予備証拠から即時の実行を示していると報告しています。

 様式化され計算された性的暴行の性質は、フィリピン女性が当面しているジェンダー問題におけるさまざまな要因の絡まった脆弱さを浮かびあがらせます。フィリピンでは、女性に対する暴力は、どこでもいつでもどんな女性にも起こり得るのです。特に経済的に疎外されている人たちには余計そのような傾向があります。
 
 カイサカは、女性に対する暴力行為を犯す人々が免責され続けている現状を非難します、そしてギブンさんと彼女の家族のために正義を要求します。実際のところ、カイサカは、国の労働力輸出政策によってフィリピン人の人間性が奪われ商品に変換されており、そのことがフィリピン女性に対する暴力を広範囲に広める風潮を準備していると指摘します。

 ギブンさんは、名門大学のコンピューター・サイエンスを学ぶ、明るい優秀な学生でありましたが、その命は痛々しいほど短く切り取られました。 彼女の死は悲劇です、激しい憤りを禁じえません。私たちは、女性がさらされるすべての形式の暴力に対する妥協しない立場をとります、そのために、裁判制度および国家は、すべてのフィリピン女性が十分な支持を要望できる手段としてみなさなければなりません。

 今こそ、ギブンさんに正義を!
 女性に対する暴力行為を無視する風潮を終わりにしよう!
 今こそ、女性の権利を全面的に保護しよう!
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米比相互防衛条約を廃止しよう! [フィリピンの政治経済状況]

 1992年、フィリピンから米軍基地を撤去させました。9月16日はその20周年でした。
 クラーク空軍基地、スービック海軍基地を撤去させ、現在ではクラーク、スービックとも特別経済区となり、多くの外国資本企業が進出し操業しています。
 しかし、米比軍相互訪問協定(VFA)および米比相互防衛条約(MDT)を根拠に、現在でも米軍が自由にフィリピン国内に駐留し、軍事行動を行っています。
 フィリピンでは、米比軍相互訪問協定(VFA)、米比相互防衛条約(MDT)の廃棄を求め、平和団体が活動しています。
 「Scrap VFA運動」の声明を以下に紹介します。


 米比相互防衛条約を廃止しよう!
 米比軍相互訪問協定を破棄しよう!
 
November 24, 2011

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 スービック海軍基地撤去19周年のこの日、VFA(米比軍相互訪問協定:Visiting Forces Agreement)廃棄のため共闘する40以上の組織の連合は、VFA廃棄だけでなく1951年の米比相互防衛条約(以下:MDT)も終わらせるという要求を強調し、「ジョギングによる抗議運動」をはじめました。

 「私たちは1992年に米軍基地を最終的に閉鎖することに成功し、外国基地と軍隊を領域から締め出す条項を憲法に入れました。しかし、米軍はこの10年間ここフィリピンに居座りました。米国政府とフィリピン政府は、米比相互防衛条約がその根拠であると主張しています。 したがって、私たちは米比相互防衛条約を廃止しなければなりません。」
 これは、KPD事務局長であり、スクラップVFA運動のスポークスマン1人、チェスター・アンパロの声明です。
 この連合のメンバーたちは、基地を撤去させた「素晴らしき12人の上院議員」を顕彰することで、基地条約の拒否から20周年であったこの前の9月16日を祝いました。
 「基地条約を拒絶し、1992年に最終的に米軍基地を閉じたことは、我が国の歴史の重大なエピソードでした。 私たちは、フィリピンの主権を主張し実現できることを証明しました。この時だけは、私たちの領土で米軍が訓練を行うことにノーと言いました。ベトナムで村ごと虐殺し、1990‐1991年のイラクではほとんどすべてを破壊した殺害機械の開発、戦争資材の備蓄にも、私たちはノーと言いました。」と、アンパロはさらに説明しました。

 アンパロによると、「米軍隊の活動すべき次の舞台はアジア太平洋である」とヒラリー・クリントン米国務長官がすでに発表しており、したがってこの問題は政府からの緊急の積極的な返答を必要としています。 KPDと「スクラップVFA!運動」はフィリピンが、米国の戦いの駒にもなっているだけでなく、本格的な戦争の土俵になることを、警告します。

 「ジョギング抗議運動」は、ラジャ・スライマン公園から米国大使館の前まで行います。グループは垂れ幕を広げ、「米軍は出ていけ! 米比相互防衛条約を廃棄しよう! VFAを終わらせよう!」と訴えます。

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2011フィリピンピースサイクルの声明 [フィリピンの政治経済状況]

2011フィリピンピースサイクルに際して、3月4日記者会見を開催し、方針を明らかにしました。
Central声明を下記に紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーー
 人々の安全と平和なアジアのために、肩を組もう!
 
2011年3月4日、声明


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<3月4日、マニラ、2011フィリピンピースサイクルの記者会見で>

 世界経済は、荒れ狂う経済恐慌への対応に苦慮しているにもかかわらず、他方IMFは、社会的保護、社会サービス、労働者の保護と利益から手を抜いて、代わりに緊縮財政と増税という解決を課しています。

 この経済恐慌で、米国は最も被害を受けた国の一つです。 しかし、おもな対応、支出は、ウォールストリートを救うためのものでしたが、そのことは市場をより一層締めつけ狭くし、回復の低迷、大量解雇をもたらしました。

 自身の経済的利益を確実にするために、米国は軍事的支配を統合することを望んでいます。施設や準備協定、アクセス協定に基づく「既存の、使い古された」ネットワークを介して、アジア、中東、ヨーロッパ、およびアフリカにおける戦略的なルートや資源をめぐるその軍事的支配を統合したがっているのです。 そのことは、アジアの国々で以下のようなウェブで指摘されるような結果をもたらしました。

 ・ この地域で、ASEAN(東南アジア諸国連合)を利用し、安全と経済政策を課すこと

 ・ 領土紛争に一歩足を踏み入れることになった、いわゆるスプラトリー、パラセル、さらには中国に向けられた挑発の開始としての尖閣/Diaoyu。

そして
 ・ 軍隊がこの地域に展開する呼び水となったアフガニスタンにおける対立、タイとマレーシアのケース

 戦争挑発の米国に、信頼をよせて「国際的な平和調停者」または「グローバルな警察官」の役割を期待することはできません! 米国にこんなことを期待するのは、この領域でさらなる緊張と不安定を激化させるだけでしょう。

 これまでの米国とフィリピンとの関係、あるいは日本とフィリピンとの関係のような、長い間この領域で考えられてきた「ジュニア・パートナー」の関係は、不公正で不平等なパートナーシップであり、むしろ人民と人民の連帯という本当の関係にとって代わるべきだと私たちはピースサイクルは、確信しております。

 わたしたちは、真の平和と人々の安全のための権利擁護を強化するために一緒に働く必要があります。
 今年のイベントは、この趣旨を反映したものとなるでしょう。日本とフィリピンの支持者・参加者らは、ともに活動し、サイクリングし、経験を交換するでしょう。
 一緒に、肩を組もう。

 主催者:
 KPD(Kilusan para sa Pambansang Demokrasya)
 三多摩ピースサイクルネットワーク日本
          #22-A リベルタード通りバランガイ、ハイウエイ聖丘、マンダルーヨング市、フィリピン
 Tel/Fax: (+632)7173262
 E-mail: peacecycle.pilipinas@gmail.com



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アキノ大統領100日間 [フィリピンの政治経済状況]

 アキノ政権が発足して100日以上がたちました。
 当選後もアキノの人気は衰えず、支持率は70%に達しています。

 女性団体カイサカによる「アキノ政権100日」の評価が発表されています。
 アキノ政権への人気が高いことを踏まえての声明になっているように見えます。

 アキノ大統領の立場や政策はよりリベラルであって、アロヨ前政権とははっきり異なるとしながら、その多くは「言葉」にとどまっており、すなわちレトリックに終わっていると表現しています。

―――――――――――――――――
 カイサカのみるアキノ大統領100日間

記者声明 2010年10月8日、  カイサカ代表:ヴァージニア・スアレス・ピンラック弁護士

 アキノ大統領の確固たる姿勢は、女性のために輝かしい日々をもたらすと同時に、他の問題ではその立場と具体的な行動を明確にしなければなりません

 わたしたちカイサカは、在職したアキノ大統領の100日を経て、女性、特に母親にとって家族計画における大統領の立場は、愛情のこもったものであると評価しています。 アキノ大統領はまだ施政方針を明らかにしなければならなりませんが、しかしながら、女性と他の人びとに関する本当に行動を始めるべき問題において、彼の政府は、アロヨ政府とは本質的に異なっています。

 もし大統領が撤回しなければ政府に対する不安定化キャンペーンを引き立たせるというカソリック司教の警告にもかかわらず、異なった家族計画法へのアクセスと人口情報の提供を国家の義務において実施するという就任100日を経た確固たるアキノ大統領の立場は、わたしたちを勇気づけます。フィリピンで最も大きい教会のリーダーからの「強固な反対」に直面すると、多くの政治的指導者たちは後ろへ引いてしまうのです。

 しかしアキノ大統領は、いくつかの切迫した課題に関して、女性団体や他の取り残されたセクターからの多くの要求の一覧を、実行しなければなりません。

 例えば、外国軍隊の存在が、国家主権を損ない、女性とそのコミュニティを軍隊による性的暴力にさらし傷つけやすい状態の置いていることを、カイサカや他の団体・組織が何年にもわたって反対し続けていますが、大統領はこの外国軍隊駐留問題には、沈黙しています。米国軍隊が引き続き駐留する根拠となっている米比軍訪問協定(VFA)について、あるいは女性や市民に対する人権侵害についてのいくつかの報告がなされているにもかかわらず、大統領は沈黙し続けています。

 米国当局のリストによれば、第二段階にあるというフィリピンにおける人身売買の重大さにもかかわらず、大統領はインタビューを通じて声明を配布しただけで、それ以上何もしておりません。

 アキノ大統領は、ネオリベラル経済に対する規制・賦課についてどのような宣告も発していませんし、そればかりか前任者の官民パートナーシップ方式から離脱していないように思わせられます。

 アキノ大統領は、契約・派遣労働を抑えるどんな方法も採っていません。労働の契約化は、仕事から多くの女性を引き離し、より搾取的な仕事を受け入れさせて、さらには女性を傷つける人身売買に追い込みます。

 大統領は、所有するルイシタ農園(Hacienda Luisita)に対して、いまだ明確な立場を取っていません。土地と農地改革の課題を明確にすべき問題です。

 大統領は、北部トライアングルにおける不法占拠者に対する狂ったような取り壊しをやめさせましたが、取り壊しの3年間モラトリアム状態にある都市貧民の要求に対しいまだ行動していませんし、都市土地開発計画を放棄していません。貧民のための包括的な住宅政策についても何らの行動を開始していません。

 健康と教育問題を明確に重視するアキノ大統領の予算再編成は勇気づけられるものではありますが、これらの問題に関する彼の総合計画は、最も実際的で実現可能なものへと変更されなければなりません。

 アキノ大統領が、国家財政の状況を改善しペソの地位を著しく安定させたと主張している一方で、世の母親たちは、家族の生活必需品に見合うためにペソを使うのがいかに難しいかという問題に直面しています。

 レトリックは長い期間にわたっては効かないことを、私たちカイサカはあなたと政府に思い至らせたいのです。

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バタアン原発計画がいまでも生きているのは、問題だ! [フィリピンの政治経済状況]

 マニラの西、バタアン半島モロンに、マルコス政権時代に計画され中止されたバタアン原発の再開が、アロヨ政権末期から浮上してきました。
 バタアン州を中心に、反核バタアン運動ネット(NFBM Network )が組織されています。
 アキノ新大統領に、原発計画再開を、中止するよう申入れしているようです。
 7月22日の記者会見での声明が送られてきましたので紹介します。
――――――――――
 記者声明
 2010年7月22日
 NFBM議長:モンシニョール・トニー・ドウマウアル  NFBM共同議長:ダンテ・イラヤ弁護士

 反バタアン原発連合は、NAPOCORの原発推進姿勢を質す!
 バタアン原発計画がいまでも生きているのは、問題だ!
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 「フィリピン・エネルギー省とナポコールは、問題の多い核武装という可能性よりむしろ、再生可能な、持続可能な資源として、電力問題の解決を検討しているはずです」

 反バタアン原発連合、反核バタアン運動ネット(NFBM-Net)によると、「ナショナル・パワー社が原子力の活用可能性のため少数グループのフィリピン人を訓練している」というニュースを伝えています。
 当グループはまた、悪化している電力危機を治すために、現政権がバタアン原発(BNPP)を再開しようとしているとして、エネルギー省レネ・アルメンドラス長官の声明を批判しました。

 フィリピン政府は、バタアン原発の再開を検討すべきでさえありません。
 反核バタアン運動ネットは、そのように考えます。
 バタアン原発は、国際原子力機関(IAEA) プロトコルに違反する断層線の近くに建設されておりあり、ナチブ(Natib)休火山が近くに存在しているのです。非常に危険です。
 IAEAは、世界中の原子力発電所の運転状態をモニターし、認可する国際機関であり、国連に付属しています。

 私たち反核バタアン運動ネットは、核エネルギーを検討することは、化石燃料依存を輸入ウランに変更すること二他ならず、したがって、核エネルギーの需要を増大させ、ウラン価格が急騰させると予想され、代替エネルギーの危機として、考慮しなければなりません。そのような点もエネルギー省に忠告しました。
 例えば、2005年5月から2008年までに、ウラン価格は26ドル/lbから138ドル/lbまで400%以上、高騰しました。

 モンシニョール・トニー・ドウマウアルNFBMネット議長によると、原子力エネルギーには、多くの問題点があります。
 例えば最低30トンの放射性廃棄物が出ますが、この処理は大きな問題です。また、莫大な建設、維持運転費用、さらには寿命の来た時の廃炉費用に比べて、発電所の寿命は限られていることです。
 「発電所がいったん稼働すると、市民は癌や脳障害、発育障害、および死をも引き起こすのが明らかな放射能よって不断の危険に晒されることになります」と、ドウマウアル議長は付け加えました。

 NFBM 共同議長であるダンテ・イラヤ弁護士によると、エネルギー省のデータサイトには、7400MWの風力発電・水力発電、1200MW の地熱発電、太陽光発電のような多くの未開発の代替エネルギーが紹介されています。

「企業が注目する、より大きな利益を稼ぐ手段として、しかしそのため私たちの同胞は結局多大な犠牲を払うであろう、そのようなバタアン原発の再開、または国家核計画の復活の圧力に負けないように、私たちは、アキノ新大統領に対して、促していかなければならない。」と主張し、ドウマウアル議長は話を終えました。

連絡先
 Nuclear Free Bataan Movement-Network (NFBM-Net)
 National Secretariat at 22-A Libertad St., Brgy Highway Hills, Mandaluyong City, Philippines
 NFBM議長:モンシニョール・トニー・ドウマウアル(0917 867 9242)
 NFBM共同議長:ダンテ・イラヤ弁護士(0917 523 2683)

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フィリピン大統領選の結果について(KPD) [フィリピンの政治経済状況]

 カサナグの会が交流しているフィリピンの団体の一つであるKPD(民族民主運動)から、5月の大統領選挙の結果について声明が送られてきました。アキノ新大統領に対してどのように評価しているか、その一端がうかがえるかと思います。
 今回の選挙でアキノ新大統領やエストラ―ダ元大統領へ投票が多く集まったのは事実であり、イメージ選挙でつくられた「幻想」に、国民の多くが囚われ期待を抱いている現状は、たしかに広範に存在しているようです。フィリピン国民は、「幻想」から自由ではありません。こんな状況のなかで、アキノ新政権にどのように対処していくか、批判していくか、が当面の課題の一つのようです。

----------------
KPD (民族民主運動)
プレスステートメント                       2010年5月16日
アキノの選挙についてのKPDの見解

主権者の意思を示せ!


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   <ピート・ピンラックKPD議長>

 国民が新しい大統領を歓迎しているこの時、KPD(民族民主運動)は、真に国民の主権を代表する変革を新政権に推進させ続けるよう、人々に呼びかけます。

 KPDは、有権者の高い投票率とノイノイ・アキノ新大統領と元大統領エストラーダ候補に投じられた投票の大きな部分は、おもにアロヨ政権に対する拒絶反応の表現であり、アロヨ政権からの虐待と処罰を取り除く叫びであると、認識しています。

 人々は今、アキノ新大統領の掲げた「良い公約」に期待しています。新政権が暮らしを改善することを期待しています。政策によってより多くの安定した就業機会がもたらされ、健康・医療サービスと教育がより改善され、貧しい人々に手頃な価格の住宅が供給され、余分な裁判の執行が根絶され、すなわち生活全般が改善されることを望んでいるのです。

 しかしアキノ新大統領は、いずれ古い名前に支配された政府へと導くでありましょう。アキノ新政権といえども、マルコスやアロヨと同じように、これまで蓄積してきた権力と封建的利益誘導型政治が継続する政治的王朝にほかなりません。彼らは、権力や影響力を使い、違法な取引を通じて富をたくわえた政治家たちなのです。国益を害しても、自身のビジネス上の利益を優先する外国からの「過大な要求」を支持する一族でもあるのです。

 「アキノ新大統領がもし、アロヨ大統領の任命した最高裁長官を尊重しないならアキノは弾劾され、これら強力な政治的一族と政治ブロックの利益を損なうアキノの動きを阻止するであろう」と、二人の閣僚を通じたアロヨ大統領の警告がなされています。
 もしアキノ新大統領の公約が、仲介者詐欺としてアロヨ大統領と関与した彼女の共犯者の追及となるなら、確かに厳しい反対に直面することになるでしょう。

 したがって、緊急になすべきことは、人々が、より今までよりも用心深く、行動的になることなのです。
 私たちはアキノ新政権に対し、海外の大資本に奉仕し、国民を貧困の底に沈めたアロヨ政権の社会経済政策の針路変更を、執拗に指摘しなければなりません。
 私たちは、フィリピンの人々の利益に反した、強力な政治的一族の策略に対して警戒しなければなりません。
 真の変革は、最終的には人々の結集した意思と行動によってもたらされる結果としてのみもたらされるのです。

 ピート・ピンラック(KPD議長)、チェスター・アンパロ(KPD 書記長)

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アキノ新大統領によってフィリピンは変わるか? [フィリピンの政治経済状況]

アキノ新大統領によってフィリピンは変わるか?

1)フィリピンにアキノ新大統領
 5月10日のフィリピン大統領選では、「清廉さ」をアピールしたアキノ氏が幅広い層の支持を獲得、40%以上の得票率で圧勝した。アキノ氏にとって幸運だったのは、大統領選が始まろうとする昨年8月、母親が死去し注目を集め、大統領候補になる絶好の宣伝機会を得たことだろう。
 投票日近くなって優勢が伝えられ、地滑り的な勝利を収めたようだ。終盤には勝ち馬に乗ろうとする経済界や、約100万人の有権者を持つ有力キリスト教団体などもアキノ氏支持に回った。就任式は6月30日。任期は6年。

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  <アキノ新大統領 Asahi com.から>

 アキノ新大統領は「まずは汚職と不正利得に向き合う」と強調し、一貫して訴えてきた腐敗撲滅を最優先に取り組むことを改めて約束した。アロヨ政権の汚職疑惑追及を公約に掲げており、疑惑調査委員会の設置計画を表明した。選挙戦の演説でアキノ氏は「汚職がなくなれば貧困もなくなる」と、政府内にはびこる不正の一掃とともに貧困問題の解決を約束した。

2)ひたすら、イメージ選挙 
 今回の選挙でも変革は、争点とならなかった。
 母親のシンボルカラーだった黄色で、「汚職反対、貧困をなくそう」というイメージを大量に流した。もっとも、この点では、ほかの候補者たち、エストラ―ダ候補もビラール候補も何ら変わりはなかった。細かく比較すれば「清廉」なイメージのアキノ候補が、「一番まし」なのかもしれない。
 実際のところ、どの候補も汚職をどのようになくしていくのか、腐敗撲滅、貧困や教育問題、経済回復などを約束したが、どうやって実現するか何のプランも持ち合わせていないところをみると、比較しようがないというのが実情だろうか。
 イメージだけをふりまき、人々はイメージに振り回された選挙であった。形骸化した選挙、手続きだけの選挙の行きついた一つの姿かもしれない。

3)アキノの語るように「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」か? 
 アキノ新大統領は選挙キャンペーン中に「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」と語った。
 これは果たして本当だろうか?
 「汚職」はどうして発生するのか?どうすればなくなるのか?
 フィリピンでは、「汚職」は有力な「ビジネス」であり、現存のフィリピン支配層、フィリピン資本家の間に長年にわたって定着している。フィリピンサイドのみならず外資、外国政府も恩恵を受けている事実を忘れてはならない。きわめて構造的である。
 「汚職・腐敗」にもいろいろあって、最も大きいのは、外国資本と一緒になった資源開発、通信事業、環境ビジネスなどのジョイントビジネスであろう。このビジネスに加わるには、国家権力を握っていなければならない。フィリピン資本家が外資に対抗できる「力」は、許認可権、税金など国家権力から由来するからだ
 国家予算は、全国民から収奪した税金であり、これを手にする権利は政権を奪取することである。選挙のたびに政治的殺人が多発するのは、この利害をめぐってである。それ以外にも大小様々な汚職、腐敗がはびこっている。

 だから、「汚職をなくす」ためには、国家予算にぶら下がっている既存のフィリピン支配層そのものを放逐しなければならず、これと結びついた外資、外国政府との関係もいったん断ち切り、関係を再編しなければならない。現存の国家機構を粉砕し、まったく別の汚職を無くすための国家機構に置き換えなければ、実行はほとんど不可能である。しかし軍や警察も国家予算にぶら下がり権益を受けている現存国家機構のひとつである。これら現存の社会関係を破壊したり一掃することは、アキノ新大統領には到底できない。アキノ家自身が所有する大農園ルイシタ・アシェンダの土地でさえ小作人に分け与えてはこなかったし、アキノ家と直接に近いコファンコ財閥の追放などできないからである。

 「汚職追放」のイメージを流すだけで、なくしていく方策を一切語らないアキノの選挙戦が、「偽りのイメージ選挙」であることを証明している。こういうイメージだけの汚職追放は、決して目新しくはなく、これまでの選挙で何回も行われた。今回もその繰り返しである。

100511 アキノ大統領③.jpg
  <アキノ新大統領 Asahi com.から>

4)フィリピンの民主主義は遅れた段階にあるのか? 
 イメージ選挙、有名人の人気投票のような選挙では何も変わりはしない。まったくその通りであろう。
 では、「フィリピンの現状は参加民主主義ではなく、ポピュリズムや衆愚政治(デマゴーク)に陥っているとも解釈できてしまうような段階」であるのだろうか?
 フィリピンの現状は、「民主主義がいまだ定着していない」、「欧米型民主主義にはまだ至っていない遅れた段階」にあるのだろうか?

 むしろそうではなくて、昨年11月のミンダナオ大量虐殺事件によって鮮やかに透けて見えたように、ポピュリズムやイメージ選挙、「政治的殺害」がはびこる人権無視のフィリピン社会は、決して「前近代的な」「遅れている社会」であるからではない。先進国による開発を現地で実行する現代的な支配システムの末端として機能しており、日々、再生産されていると見るべきであろう。「古いもの」、「前近代」ではなく、逆に「最も新しい」、「新自由主義の生み出す新しいシステム」であって、この「新しい現状」にどのように対抗していくべきかと問題は立てられなければならないのだろう。

 別の言い方をすれば、フィリピンの民主主義(=イメージ選挙、買収選挙)は、一握りの少数者による多数のフィリピン国民に対する支配の道具に変質させられている。したがって、フィリピン社会に必要なのは「人々のための民主主義」を取り戻すことである。「人々のための民主主義」とは、多数者による少数者の支配を意味する。少数者による腐敗・汚職をさせない、実力で押さえつける民主主義を取り戻すこと、これこそフィリピン社会に必要なことであろう。

 多数のフィリピン国民の利益のために、その利益と相反して汚職・腐敗を行う少数の買弁的なフィリピン支配層をどれだけ押さえつけられるかにかかっている。汚職だけではない。貧困問題の解決、人権擁護など多くの問題の解決もまたしかりである。
 アキノ新大統領が「汚職をなくし、貧困をなくす」か、を見極める「基準」は、この一点にある。

5)運動は新しくはじまる!
 アキノ大統領は言葉だけにしても、汚職の根絶、貧困の解決、人権擁護を約束した。この「公約」を守れ!と要求していくなかで、アキノの示した公約が嘘っぱちであることを証明していくことが、フィリピンの民主主義をより人々の側に取り戻していく過程であり、その運動でありこれからはじまるであろう。私たちも民主主義を取り戻していく人々やその運動とともにありたいと願っている。(5月13日記、文責:小林治郎吉)

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フィリピン大統領選挙戦、はじまる [フィリピンの政治経済状況]

フィリピン大統領選挙戦、はじまる

1)フィリピン大統領選挙戦、はじまる
 5月10日に行われる、フィリピン大統領選挙まで3カ月を切った。
 現在、大統領選挙に立候補したのは、コラソン・アキノ元大統領の息子、ベニグノ「ノイノイ」・アキノ上院議員(自由党)、マニ・ビラ(マヌエル・ビリヤール)上院議員(国民党)、ジョセフ・エストラダ元大統領、ギルベルト・テオドロ元国防相(与党ラカス)、リチャード・ゴドン元観光部長官など8候補である。一番有力とされる候補は、アキノ上院議員とマニ・ビラ上院議員であり、両者の支持率は2~3%前後を記録しながら接戦を繰り広げている。

2)フィリピンの選挙
 今回の選挙では大統領と副大統領の外に、上院議員 12人、下院議員226人、17,500余名の地方議員を選出する。フィリピンの大統領は、6年単任制、上院議員は6年制連任、下院議員は3年制で三度まで連任可能。

 フィリピンの選挙は、昨年11月のミンダナオ・マギンダナオ州知事選にからむ大量虐殺事件のように、利権と直接結びついている。大統領や上院下院議員、州知事になることは、国家事業や認可制度、軍・警察を使い、国家予算や利権を手に入れる地位を得ることであり、賄賂を得るだけでなく外国政府・資本との「ジョイントビジネス」の機会が生まれ、自身の資本家としての事業を有利に進めることが可能となり、要するに、フィリピン支配層になることができるのである。逆に、落選すれば、在任時の汚職を追及され罪を問われ、支配層から追い払われることもある。
 そのため、選挙には支配層としての生き残りがかかっており、必死なのだ。大統領選挙では生き残るため候補者暗殺などのテロが相次いでいて、毎回100人前後の死者が出ている。

 それから、今回の選挙では、電子開票機が初めて導入されるそうだ。フィリピンでは投票から開票まで1カ月以上もかかっており、そのあいだ「不正工作」が公然と行われてきた。ただ今回導入される電子開票機は、機械納入者と斡旋者へ利益をもたらすだろうが、「不正」を解決する対策にはならず、逆に開票機を利用した新しい不正、トラブルを引き起こすのが“オチ“だろう。

3)アキノ候補とビラ候補

 有力とされるのは、アキノ氏とビラ氏の二候補である。
 故コラソン・アキノ元大統領の長男、ベニグノ・アキノ上院議員(50)が世論調査で支持率トップを走る。昨夏亡くなったアキノ大統領にならい「清潔な政治」、「汚職撲滅」を掲げている。故コラソン・アキノのイメージの利用、二番煎じを狙っている。

 人気を集めているアキノ候補ではあるが、一族が所有する大農園が攻撃の的となり、土地改革も選挙戦の争点に浮上してきた。タルラック州にある一族所有の農園「アシェンダ・ルイシタ」は、総面積約6400ヘクタールに及び、敷地内には、学校や教会もある。住民約3万4000人の大半は、同農場の労働者とその家族。
 そこで再び注目を集めているのが、2004年の「ルイシタ農園虐殺事件」。ルイシタ農園で農業労働者が賃金と待遇改善を求めて行ったストに対し、11月16日、2歳と5歳の子どもを含む14名が、フィリピン国家警察と歩兵第69大隊と歩兵第703大隊に属する兵士らの発砲によって殺害された。虐殺は、ルイシタ農園経営者と政府の指示によるゆえ、アキノ一族の責任はまぬがれない。
 フィリピンの大土地所有制は貧困の元凶だが、歴代政権はこの問題に手を着けずにきた。アキノ元大統領は88年、包括農地改革法を成立させたが、様々な抜け道をつくった。農園と農地を株式会社化した会社所有にし、土地に代わり株式の分配を認める条項を利用し、結局農民に土地を分配しなかった。

 一方、貧困地区出身ながら不動産開発で莫大な富を蓄積したマニ・ビラ候補(60)が、「貧困解消」を掲げ、テレビなどで大量のイメージ広告を流して、支持率をあげている。ビラ候補は「実家の裏庭さえ改革できない人間に、国を任せられない。土地配分こそ経済、社会発展の基礎」とアキノ候補を痛烈に批判する。
 しかしビラ候補は、「貧困解消」する社会変革のイメージは垂れ流すものの、プランは持ちあわせてはいないし、その意思もない。ビラ候補は、日比EPAに反対してきたし、左派政党「バヤンムナ」「ガブリエラ」やマルコスの息子とも連携している。政策は一貫しない。一貫しているのは「票集め」の思惑であろう。

 フィリピンでは資本家層が買弁的であり、かつ階級として「薄く」しか存在しておらず、しかも互いに対立している。そのことは資本家全体の利益を体現する確固たる政党と政党政治が、存在しない現状をつくりあげた。フィリピン政治では「政党」が役割を果たしていない。

 そのため候補者たちは、選挙ごとに即物的な「票集め」に走る。貧民地区に行き金をばらまいて投票を公然と買収する、宗教団体を丸ごと買収する、メディアでイメージ広告を流す(この点では十分にアメリカ並み・日本並みになっている)。一番手っ取り早いのは、投票された票を操作すること。

 今回のビラ候補と「バヤンムナ」「ガブリエラ」との選挙協力の目的は、ビラ候補側からすれば単に票集めであろう。左翼連合は政党リスト選挙で比較的大きな得票を得る。これまでなら中道左派・自由党のアキノ候補にすんなりと流れたであろう都市知識人層の票の獲得を、期待している。

 左翼政党「バヤンムナ」オカンポ下院議員と女性政党「ガブリエラ」のマザ下院議員はともに、ビラ候補のナショナリスタ党から上院議員候補として立候補するが、その事情は、日頃からの弾圧や選挙弾圧が厳しいため国民党の傘の下に避難する意味が強いのであろう。必ずしも「統一戦線」などを意味しないだろうし、思惑通りにはならないだろう。逆に、ビラ候補の民族主義的政策に期待したとすればそれは幻想を煽ることになる。

4)政策の違いはあるか

 アキノ上院議員、ビラ上院議員、ゴドン元観光部長官、エストラダ元大統領、テオドロ元国防相の5人は、外国人投資規制緩和措置が憲法改悪を要する事案であるにもかかわらず、みな前向きの姿勢を見せている。5人の大統領選挙候補が、グローバル競争時代を迎え、外国投資者にメディア、土地、学校などの所有を許し得るなどの一層の「外国人投資規制緩和」の意向を明らかにした。

 これまで水道や高速道路など「外資に民営化」し、儲かるものは何でも売り渡してきたが、さらに売り渡そうとしている。巨大プロジェクトなので投資できるのはほぼ外資であり、したがってより一層、フィリピンから富が吸い上げられ外へ出ていくことになる。
 すなわち、どの候補も新自由主義の「世界秩序」を受け入れることを表明しており、たいした違いはないと言えよう。誰が大統領になってもフィリピン社会は大きく変わらないこと、別の言い方をすれば、米日政府ともに誰が当選しても許容するであろうことを意味している。
 ただし、新自由主義導入のフィリピンに未来はない。

>※「リメンバー・2001年12月・ブエノスアイレス!」   新自由主義の行く末は、2001年アルゼンチンの破綻が暗示している。当時のメネム政権は、ちぎれるほど尻尾を振って米国に擦り寄り、外資導入を徹底した。その代償は大きかった。電気・ガス・水道から電話・航空・鉄道にいたるまで、売れるものは何でも売りつくしてしまった。そして売るものが何もなくなった時、政府そのものが瓦解した。  IMFは、メネム政権の経済政策を支えたカバージョ経済相をネオリベラリズムの申し子として誉めそやしたが、いよいよ国家財政が破綻するという2001年10月22日、IMF本部を訪れたカバージョは、門前払いを食わされた。その直後アルゼンチン政府は朽木が倒れるごとく崩壊した。  貧困階級は軍政時代前の6%から63%へ、国民の24%は日に1ドルの極貧生活。インフレ率は41%,必需食料品は1年間で70%の値上り、ブエノスアイレス郊外では,住民が牛肉の代わりにカエル,猫や馬車馬の肉を食べて飢えを忍んでいると報道された。  政権は崩壊しても債務は残った。債務返却のため、アルゼンチン国民は貧困と荒廃の時代を過ごしている。(鈴木頌「ラテンアメリカの政治」よりhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/otherla/lasituation.htm) 5)「よりましな」選択は可能か  最低限でも政治的殺害問題、人権問題などを解決する「よりましな候補」を支持することはできるか、その基準で大統領候補者たちを眺めても、なかなかはっきりした答えは見つからない。政治的殺害への批判は選挙戦を通じて各候補に訴えなければならないし、「バヤンムナ」オカンポ下院議員、「ガブリエラ」マザ下院議員はそのような選挙戦を闘うようでありその努力は支持するものの、フィリピン大統領選挙と新大統領が「よりましな」フィリピン社会をもたらすかの選択さえ、難しいように見える。(文責:小林 治郎吉)
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ミンダナオ大量殺害から何がみえるか? [フィリピンの政治経済状況]

ミンダナオ大量殺害から何がみえるか?

1)ミンダナオで、57人もの大量殺害事件発生
 2009年11月23日、フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で、知事候補の親族、ジャーナリストら57人が殺害される事件が発生した。2010年5月の州知事選の立候補届け出に向かっていたマングダダトゥ候補の車列が、アンパトゥアン一族と見られる100人以上の武装グループに襲われた。候補者本人は乗ってはいなかったが、候補者の妻ら親族のほかジャーナリストも同乗していた。犠牲者57人のうち、少なくとも20人以上は地元記者とみられている。女性やジャーナリストを乗せておれば、襲われないだろうと考えての対応だったようである。
 アンパトゥアン一族は、ミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)知事、マギンダナオ州知事など州の要職を長年親族で独占してきた地元有力者一族であり、別の地元有力者マングダダトゥ一族による今回の知事選への立候補を、一族支配への挑戦と受けとったようだ。
 国軍と国家警察は、殺人や反乱の疑いで一族の家長、アンダル・アンパトゥアン州知事のほか、息子のARMM知事ら62人の身柄を拘束。一族の敷地などから自動小銃や迫撃砲など883丁の武器と、約43万発の銃弾を押収した。国軍や国家警察から横流しされた武器も確認された。
 地方政府の機能が失われる事態に発展したため、フィリピン政府は12月4日、戒厳令を布告し、一族の支配下にあり停止状態になっていた行政機関もすべて国軍の統制下に置かれた。国軍と国家警察は4日、アンパトゥアン一族の自宅などを捜索し、迫撃砲や機関銃など大量の武器を押収した。

2) ミンダナオとは?アンパトゥアン一族とは?
 ミンダナオ島では、歴代のフィリピン政権はキリスト教徒の政治家や協力的なイスラム教徒の一族を支援して、先住のイスラムの人たちを追いつめ、入植・開発してきた。迫害された住民は、MNLFのもと分離独立をかかげ、永年にわたる戦闘は多くの人々を苦しめた。
 他方、イスラム反政府勢力の分離・独立を抑え込むため、アキノ政権以降、永年にわたる交渉の末、ミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)で自治を認め、96年にはイスラム最大派、MNLFと歴史的な和平協定を締結し、議長のヌル・ミスアリがARMM知事に就任した。
 問題は解決に向かうかに見えた。ところがアロヨ政権は、発足後まもなくの2001年に、ミスアリへの汚職・腐敗追及キャンペーンを繰り広げ、ミスアリ議長退任へと追い込んだ。これ以降、アンパトゥアン一族がARMMの利権をほぼ掌握した。アンパトゥアン一族もイスラムではある。05年には子息がARMM知事に就任し、アロヨ-アンパトゥアンによるミンダナオ中西部支配体制が完成した。イスラム自治権承認を、アロヨがアンパトゥアン一族を使って剥奪し、自分のものにしたと見ていいだろう。その目的は、開発利権の「奪取」である。

 2004年大統領選で劣勢だったアロヨ大統領は、マギンダナオ州イスラム自治区内で不自然なほど、対立候補の3倍以上の票を獲得した。他方、開発やインフラ整備のため膨大な政府予算を投下するなど、アロヨ政権とアンパトゥアン一族との緊密な関係は続いた。一族は、4,000人もの私兵を組織し武装し、フィリピン政府と国軍、警察の支援を受けて、地域の支配者になっていった。(参照、岩波『世界』、加治康男「フィリピンで25年ぶりに戒厳令」)

3)開発利権が集中するミンダナオ
 ミンダナオはニッケル、銅、金、石油・天然ガスなどの鉱物資源の宝庫であり、96年のMNLFとの和平合意以降、欧米日・中東からの開発投資、政府のインフラ整備事業など、多額の資金が流入した。フィリピン政府-ARMMに利権が集中し、「汚職の巣」となった。今回の知事選挙、大量殺害の背景には巨大な利権がある。地方の支配者であることは利益をもたらすのであり、大量殺人をしてまでもまもるべき利害と地位なのである。

 アンパトゥアン一族は、例外というより地方のフィリピン社会のどこにでも存在するボス政治家一族であり、このような構図はフィリピン社会各地に存在する。そしてアロヨ政権は、そのようなボス政治家たちの支持のもとに成立しているし、彼らと利益を分け合う「連合」政権でもある。アロヨはアンパトゥアン一族と同類の政治家・「同じ穴のムジナ」であり、彼らの親分筋に当たる。

4)事件を通じてフィリピンの現支配体制が透けて見えた
 アロヨ政権下では政府に批判的な活動家やジャーナリストが殺される「政治的殺害」と呼ばれる事件が頻発。国軍や警察の関与がささやかれるが、事件が解明されることはほとんどない。「有力者は罪を犯しても罰を受けない」という風潮がフィリピン社会に広がっている。アンパトゥアン一族が白昼堂々と多数を殺害する事件を起こしたのは、こうした現存の権力の暴走でもある。
 アロヨ政権が「政治的殺害」を積極的に推進し利用してきたその結果でもある。ここまで無法が広がった根本的な原因は、アロヨ政権が自らの権力維持や住民支配に、私兵集団を持つ地元ボスを利用してきたその支配システムにある。アロヨ政権のこの国内テロ支配体制こそ問題の根源であり、国内テロ支配体制をこそやめさせなければならない。

5)開発こそがその原因
 しかし同時に、アロヨ政権と州知事ファミリーらの関係とまるで相似形をなして、アメリカ政府・日本政府とアロヨ政権の関係が存立していることもまた、わたしたちは忘れてはならない。
 この無法な支配システムが生きて育つ「エネルギー」をあたえているのは、ミンダナオの天然資源にむらがる欧米日・中東からの開発投資、政府のインフラ整備事業、ODA である。資源投資の先進国資本、先進国政府も、「開発」の果実を受け取るため、この「無法な支配」を育て利用しており、その片棒を担いでいるのである。

 他方、米軍は「訪問米軍に関する地位協定(VFA)」を締結(1999)し、テロ対策と称してミンダナオに常駐している。アブサヤフ、モロ・イスラム解放戦線(MILF)、新人民軍をテロリストと勝手に「認定」している。米軍がミンダナオに常駐するためには、「テロリスト」が存在しなければならない。米軍は、テロリストとの戦闘と称して村々を焼き払い、住民を追い出して、そして開発が始まるのである。

 今回の事件によって、フィリピン社会の支配体制・その仕組みが、鮮やかに透けて見えた。「政治的殺害」がはびこる人権無視の社会は、決して「前近代的な」「遅れている社会」であるからではない。先進国による開発を現地で実行する現代的な支配システムとして機能しており、「開発」によって日々、再生産されている。「古いもの」、「前近代」ではなく、逆に「最も新しい」、「新自由主義の生み出す新しいシステム」である。(文責:玉)

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アキノが死んだ [フィリピンの政治経済状況]

アキノが死んだ

 8月にアキノ元大統領が死にました。わたしたちカサナグの会は、マルコス大統領支配に対し人々の闘いがおおっぴらに姿をあらわしつつあった1985年に活動を開始しました。そのすぐ後フィリピン人民の闘いは高揚し、マルコスを政権から追い出しました。1986年2月成立したアキノ政権はピープルズパワーが生みだした政権でした。にもかかわらず、人民の政権ではありませんでした。アキノ政権への期待が大きかっただけに、裏切られた気持ちでいっぱいになりました。ほとんどのフィリピンの人たちが、アキノ政権に幻想を抱いたのです。当時のフィリピン共産党とその影響下にある民主団体は、アキノ政権に対して「批判的支持」(クリティカル・サポート)という態度をとりました。「批判的」であったとしても、あるいは「批判的」であるという言い訳を準備しながらも、それは明らかに「支持」でした。アキノ政権に対しては、フィリピン共産党は「幻想」を抱いたばかりでなく、むしろすすんで幻想をあおるという誤りを犯しました。
 この誤りから脱却するのには、ずいぶんと時間がかかりました。まだ引きずっている面もあります。

 アキノ政権は、マルコスとは違う人物や企業を通じてフィリピンを、米国をはじめとする外国資本・政府により大っぴらに合理的に開放的に売り渡すことで資本主義世界により密接に深く加わる道を選んだのでした。それは決して変革ではありませんでした。マルコスのようなほんの一部の支配者、マルコス政権のクローニーにだけ利益が落ちるのではなく、それに代わって登場したフィリピンの資本家に広く合法的に誰しも買弁資本家となる道を開こうとしたのです。
 その後登場した、ラモス、エストラダ、アロヨの各大統領は、この性格・やり方を見事なまでに踏襲しています。アキノも含めこれまでの政権所有者は、買弁的なフィリピン支配層と外国資本・政府であって、決してフィリピン人民ではありませんでした。

 あれからすでに23年が経ちました。一時代が過ぎたと感じます。この間、社会主義体制が崩壊し、新自由主義・グローバリゼイションという名の現代的資本主義が世界を覆っています。昨年来の世界的な経済的危機は、現代的資本主義が決して万能・磐石ではないこと、決して未来を約束しないことを証明してしまいました。
 フィリピンといえば、やたら外国資本が進出し、マニラ近辺は商業化工業化が一段とすすみ商品はあふれ、その変化には眼を見張るものがあります。マニラの北と南、パンパンガとラグナに高速道路が延び、現代的に資本主義化したメトロ・マニラは、さらにさらに拡大しつつあります。これに比し、ミンダナオやビサヤ、ルソン島山岳地帯は、資本主義化のテンポはより小さく、前近代の色を濃く残しており、まるで違った時代が、同じ地上に併存しているかのようです。
 農民は農村では暮らしが立たなくなり、現在もなお都市へ流入しています。この動きが止まりません。流入する農民は、都市住民の下層である不安定雇用労働者、半失業者に階級を変えています。今なお、失業者が増大し続け、フィリピン労働者の賃金を引き下げ続けています。
 
 人々にとって、いったい何が変わったのでしょうか。以前の大土地所有制と結びついた前近代的な貧困が、スマートな新植民地主義による世界経済と直結した現代的な貧困に替わっただけであったようです。ロマン的な民族主義が成立する余地はますます狭くなりました。
 多くの人々がマニラに流入し、人口的にも経済的にも政治的にもその比重を増しています。その都市住民にしても、あるいは農民にしても、自身を代表する政治的力を持つに至っていません。そんな時期がながく続いています。
 他方、アキノ大統領の息子ベニグノ・ノイノイ・アキノ上院議員、マルコス大統領の息子ボンボンはともに、次期大統領選挙への立候補を表明しています。
 マルコスやアキノが死にましたが、大統領に昇りつめ政府の権力を握り国家予算と特権を自身のビジネスに使ったり、日米の資本・政府と結びついてジョイントビジネスに参加したりして、自身が支配的な地位につこうとするこの国のシステムは、死んでいないのです。それに群がって儲けようとする人々は、いつの時代も健在なのです。外国資本・政府の支配が大きいため、支配層である資本家層が「厚く」形成しておらず、各資本家の地位はきわめて不安定なのです。国家権力に結びつくことで、その地位もビジネスも安定するのです。
 人々にとっては、いい迷惑ですが。

 「歴史は繰り返す、一度は「悲劇」として、二度目は「喜劇」として」と言われます。期待し「幻想」を抱いたアキノ大統領に裏切られたのは「悲劇」でしたが、そのあとに続く政権交代・大統領の登場やフィリピン支配層の政治抗争は、「喜劇」であり、「茶番」です。何度、「茶番」を繰り返したことでしょう。したがって、ノイノイやボンボンに至っては、大統領になる前から何をするかはわかってしまいます。

 アキノは死んで確かに一つの時代がおわりましたが、人々にとっての新しい時代はいまなおはじまることはなく、というよりはいくつもの新しい困難を前にしているように見えます。(文責:玉)

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現代フィリピン事情 みこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 みこま

世界金融危機の影響

1)世界金融危機はフィリピンへも及んでいる
 世界金融危機はフィリピンへも及んでいます。実際には、既に金融危機から世界的な経済恐慌と呼ぶのが適切でしょうか。
 円高とドルに対するペソ安のため、円ペソの交換比率は、旅行する日本人にとっては有利になっています。08年3月訪比したとき、確か1万円を両替すると3,800ペソくらい返ってきましたが、現在だと5,200ペソくらいになるのではないでしょうか?35%くらい「増えた」勘定になります。
 フィリピン経済は、この10年、すなわち恐慌前の経済成長がそれほど大きくなかったこともあって、そしてそのことは先進国資本、「ファンド」の必ずしも最も積極的な投資先ではなかったことから、経済的な落ち込みは、幸いにしていまのところそれほど大きくないように見えます。
 フィリピンの統計はあてにならないところもあるのですが、2007年のGDP伸び率は7.2%でした。かなり高い成長率です。これにくらべ、11月27日フィリピン国家統計調整局(NSCB)が発表した2008年の国内総生産(GDP)伸び率見通しは4.1─4.8%、09年のGDP伸び率は3.7%でした。ほぼ半減するという予想です。
 この先「下方修正」もありうるのですが、日米欧に比べれば比較的高い成長率を保持しているように見えますが、成長率が半分になるわけで、その影響は大きかろうと思われます。
 しかも、その内容を見て行くと次のようなことがわかります。
 GNP拡大の最も大きな要因は、政府の支出拡大と海外からの送金増加だそうで、フィリピン経済の脆弱性は何ら解決しておりません。海外送金は、たまたま世界的な金融危機の影響を受けるというより緩和する方向に働いたと指摘され、まさしくこれこそケガの巧妙。(海外在住フィリピン人は、人口の約10%に相当する800万人を超えるそうで、あらためて驚くその異常な多さです。)

2)じわりと及ぶか、フィリピンへ
 それからもう一つ、今回知ったことなのですが、フィリピンの輸出品は何が一番多いのかということ。
 皆さんはご存知でしたでしょうか?バナナかパイナップルかと思われていませんでしたか?
 なんと、電気・電子部品だそうです。フィリピンの輸出額の6割を占めるそうです。パソコンやテレビなどの電気製品ではありません、誤解のないように。その中に使われる部品です。
 電気製品は華やかな姿をしていますが、そのなかに使われる電気・電子部品は、手作業というか、労働者の手をたくさん必要とします。そこで給料の安いフィリピンで大量の電子部品が生産され輸出されるのです。しかも、フィリピン資本は極めて少なく、日本、韓国、台湾などの外国資本が大半を占めています。会社名でいうと小さなところが多いのですけれども、名の通ったところといえば、TDKだとか、ミツミ電機、SMKなどです。
 この電気・電子部品輸出は2008年に最大で10%の減少に転じる見通しが発表されました。
 それから、次いで輸出額の大きい衣類も2割の減少が見込まれるそうです。衣類もやはり縫製においてたくさんの労働力を必要とします。わたしはトリンプのマニラ郊外工場を訪問したことがありますが、多くの若い女子労働者がいました。
 したがって輸出額は2008年から2009年にかけて大きく減るようです。
 さて、この電子部品も衣料メーカーも、進出日系メーカーは受注が大きく落ち込んでおり、操業日数の短縮や人員削減などの対策すでに講じています。フィリピンでは契約労働者(日本の派遣労働者とよく似ている)の契約を更新しないという、実質的な解雇がまたひろがるようです。今号のエミリー報告にもあるように、バタアンのミツミ・フィリピンでは、労働協約改定に際し、労働条件切り下げが行われたとあります。
 この先、フィリピン社会全体に、そしてフィリピンの人たちの生活に、じわりと影響が及ぶのではないでしょうか。

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現代フィリピン事情 ふたこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 ふたこま

ミンダナオの和平はさらに遠のくか?

1)マレーシア政府はミンダナオ島の停戦監視団から全部隊撤退
 11月28日 毎日新聞によれば、マレーシア政府は27日までに、フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」と比政府の停戦を進める国際停戦監視団(IMT)から、今月末で全部隊を撤退させる方針を固めたという。IMTの中核を占めるマレーシア部隊の完全撤退は、ミンダナオ情勢に大きな影響を与えると見られる。
 MILFと比政府は03年7月、マレーシア政府の仲介で停戦に合意し、04年からIMTが活動を開始。メンバーは現在、日本からの2人、マレーシア11人、ブルネイ10人、リビア4人の計27人。
 マレーシアはIMTに最も多くの部隊を派遣しており、和平交渉の仲介役を務めてきた。全面撤退で今後、比政府や国軍の行動はより制御されず、ミンダナオの和平はさらに遠のくのではないか。 
 戦闘が激化した8月以降も、マレーシア政府は非武装で停戦監視や復興支援を行ってきた。活動継続の条件として、国軍と戦闘状態にあるMILF指揮官の追跡中止などを比政府に求めていたが、比政府側は応じなかったことがその原因といわれている。

2)和平合意を取り戻そう
 ミンダナオにおける戦争とその被害を引き起こした責任は、第一に、和平合意を破棄した比政府と国軍にある。
 ミンダナオをフィリピン国内の経済的後背地と見立てて、住民を追い出し、資源や土地を奪ってきたこれまでの歴史にそもそもの原因が伏在している。その行為は「ミンダナオの開発、近代化」の美名で行われてきたし、ややこしいことにそこに外国資本、外国政府の利益、領土的関心が結びついていることだ。更にややこしいのは、入植したり居住しているフィリピン人キリスト教徒とイスラム教徒との対立や争いとして、とらえられ描かれ、仕立てられていることだ。
 8月にフィリピン政府が一方的に破棄した和平合意をもう一度認め合う以外に、和平を取り戻す道はない。 

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現代フィリピン事情 ひとこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 ひとこま

1)携帯電話とフィリピン
 フィリピンでは、携帯電話を多くの人が持っていて、すでに生活必需品になっている。2007年の携帯電話加入者数は約4,300万人、普及率51%という。東南アジアではトップクラスの普及率だ。中国やインド、ベトナムより普及率は高い。
 日常生活でも、ジプニーのなかでも、会議中でも、いつでも携帯メールをチェックしている風景が、当たり前になった。
 ただ、携帯電話各社は、ほとんど独占状態で、2007 年年次報告をみると、PLDT社(フィリピン長距離電話会社)系スマート社とピルテル社がそれぞれ、2,340 万人、970 万人、アヤラ系グローブ社の加入者2,031万人で、合計するとこの3 社だけでフィリピンの携帯電話加入者数は5,000 万人を超えている。わずか2社による、すさまじい独占状態。
 しかも、PLDT社はNTTが20%資本を保持しており、技術的基礎はほぼNTTの影響下にあり、NTTグループとして米株式市場では紹介されている。

2)ブロードバンドビジネス イン ザ・フィリピン
 PLDT社、グローブ社は携帯電話だけでなく、ブロードバンド接続サービスなども手がけており、現在まだはじまったばかりという段階ではあるものの、今後、現代的な通信網とフィリピンの低賃金を組み合わせたビジネスが更に急拡大するのではないと思われるし、実際にそのような新ビジネスが既にはじまっているようだ。
 これまでにも似た傾向のビジネスがあった。フィリピンでは英語の話せる人の多いから、現在でも米電話会社の大規模なコールセンターがある。今回の金融危機で一部解雇もあったようで、2007年のPLDT社の解雇のように、景気の調整弁のように簡単に切り捨てられる。必ずした安定した雇用を保証しない。そうだとしても、このような業態はやはり今後も拡大して行くだろう。
 また、先日TV で日本における新しい英会話ビジネスを紹介していて、見て驚いたのだけれど、PCによるTV電話を利用した英会話マンツーマンレッスン。講師はフィリピン人、支払う費用は時間あたり129円と破格の安さ。イメージとしてはこんな感じのビジネス。
 そんなレベルばかりではなく、最近巨大データセンターのサーバー能力を低コストで活用する「クラウド(雲)コンピューティング」が注目を集めているが、JETROによれば「クラウドコンピューティング」と結びついたビジネスがフィリピンにおいても、更に発展するのではないかと「期待」されている。巨大化したGoogle やAmazon、Microsoft 等の大規模インターネットサービス提供事業者のデータセンターは、一般企業が運営する小規模なデータセンターとは比較にならない程効率が上がっているらしく、したがってすでに、個別の会社や個人レベルで高価で高性能なPCやサーバーを備える必要がなくなってきている。
 いずれにせよ、通信網さえきちんと備わっておれば、フィリピンの低賃金を利用する新しい可能性が広がりつつあることのようだ。

3)時代に遅れないために、あるいは遅れを取りもどすために
 そんな話はわれわれ老人には、いまだ半分わかったような、わからないようなところがあるのだけれど、せめてわれわれにとって考えるならば、交流しているフィリピンの団体などを訪問して情勢を認識するだけでなく、PCを使った日常的なTV会議による、もっと緊密な情報の共有や認識の交換くらいは、いずれ実現したいものだなあと思う。

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JPEPA批准に抗議する [フィリピンの政治経済状況]

 日比経済連携協定(JPEPA)が、10月8日夜、フィリピン上院で、賛成16、反対4で採決されました。協定批准には上院議員2/3以上の賛成が必要です。フィリピン上院は24名ですので16名以上が批准の条件となっていました。
 
 JPEPAは新自由主義で貫かれており、フィリピンの伝統的産業を一定保護してきた関税などの廃止、日本資本の投資の自由化などを主な内容としており、経済発展の水準・サイズの違う日本との協定は、日本の資本が一方的に進出し、日本の製品がフィリピン市場を席巻してしまうことをもたらす不平等な協定です。
 そればかりではなく、日本からの有害な産業廃棄物・放射能廃棄物、医療廃棄物の輸出項目が含まれていることが指摘されています。
 他方、フィリピンサイドにメリットがあると宣伝されてきた、日本でフィリピン人看護師・介護士が働けるようになる条項は、日本での労働条件が守られる保証がなく、フィリピン看護協会でさえ、この不備を批判し、協定に反対してきました。

 日本政府は、フィリピン政府、議員に対して批准するよう工作してきました。
最近では、上院採決は11月以降になる見込みというサンチャゴ委員長による発言がなされ、これから上院と上院議員に対するJPEPA批准反対のキャンペーンを行おうとしていたところでした。

 それが突然、10月8日深夜、こっそりと採決してしまったのです。上院議員に対する事前の根回しがあり、賛成が16名を超えたことを見計らって、採決に持ち込んだと推定されます。

 Coalition of Anti JPEPAを構成するKPD(国民民主連合)の声明が出ていますので下記に紹介します。

***************************

プレスリリース
2008年10月9日


夜のうちのこっそりと批准されたJPEPAを非難する
マニラ;

チェスター・アンパロKPD書記長


 これは、昨日(10月8日)の上院審理の最後の時間に投票された結果、賛成16、反対4で採決され、批准された日比経済連携協定Japan Philippine Economic Partnership Agreement (JPEPA)を非難するチェスター・アンパロKPD書記長の声明です。

 有害廃棄物輸出の条項を含み、また日本の製品が洪水のように流入をもたらすJPEPA批准への反対の声が、これまでフィリピンの社会各層の人たちからあがってきていました。

 しかし、フィリピン上院はこの声を聞くことなく、10月8日深夜こっそり採決し、この不平等協定・JPEPA批准を決定してしまいました。

 KPDによると、JPEPAに対するフィリピン政府側交渉者は大失敗を犯している、その結果フィリピン人民は今後重荷を背負うことになるといいます。多くの団体、個人が、JPEPAを外観は『平等』を装っているものの『不公平な協定』であると指摘し、批判しています。

 「JPEPAをOKしたことによって、われわれの議員はフィリピンの伝統的生産、産業の終焉を早めたことになりますし、フィリピンの医療専門職の人たち・看護師らが、日本の嘆かわしい労働条件で働かざるを得なくするのです。」と、アンパロ氏は非難しました。

 協定の提案者・支持者らは、協定の欠陥が大げさに宣伝されたことによって修正できるのであって、相互協定はフィリピン商品が日本市場により進出できると指摘しています。
 そんなことはありません。まったくの偽りです。

 「強まりつつある世界的な経済危機を前にして、日本政府は日本経済をささえる杖として、しかし他方でフィリピン経済を麻痺させる鞭として、JPEPAを大いに利用するでしょう。」
 「協定の付帯決議が日本によってさえ守られていないこと、日本企業のために更なる円を稼いでいるにもかかわらず、フィリピン人により損害を与える不均衡な合意であるという基本的な事実についてさえ注意を向けていない」とアンパロ氏は言います。

 「フィリピン人民は、これらのJPEPAを支持した裏切り者を忘れません、ひどく不当な扱いを受けるフィリピン人民はすぐさま憤激を感じることになるでしょう。」とアンパロ氏は声明を結びました。

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ミンダナオの戦争は誰が起こしたのか? [フィリピンの政治経済状況]

ミンダナオの戦争は誰が起こしたのか

1)フィリピン政府、和平合意を破棄 
 フィリピン最高裁は8月4日、和平合意文書の調印を一時差し止める決定を下した。そしてフィリピン政府は8月21日、7月大筋で合意していたイスラム教反政府勢力モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front、MILF)との和平合意を破棄した。その結果、ミンダナオでは激しい戦闘が起きている。フィリピン政府のこの動きがそもそもの原因である。

2)16万人以上の避難民
 フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島の北コタバト(North Cotabato)で起きた政府軍と反政府勢力モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front、MILF)との戦闘激化に伴い、国連(UN)は8月12日、避難民への食料援助を開始した。前週から続く戦闘で、フィリピン政府軍は12日、迫撃砲や軍用ヘリコプターなどで、MILFの拠点に激しい攻撃を加えており、これまでに住民16万人が避難を余儀なくされている。
こうした事態をうけ、国連人権委員会も、政府軍とMILFの双方に戦闘を停止し人道危機を回避するよう求めた。

3)2007年の和平合意
 2007年11月15日、フィリピン政府と反政府勢力モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front、MILF)は15日、クアラルンプール(Kuala Lumpur)で2日間にわたり行った協議で、MILFがミンダナオ(Mindanao)島で「祖先代々の土地」として主張する領域について合意に至っていた。
フィリピン政府とMILFは2001年に停戦し、和平交渉を開始したが、MILFへ移譲される領域の範囲に関して合意に至らず、大きな障害となってきた。合意によれば、MILF自治区より拡大される見通しだった。問題となっているミンダナオ島の土地は、16世紀後半にフィリピンがスペインの植民地となった際、フィリピン政府によって「国有化され共同使用されていた農地」である。
当時のフィリピン政府・交渉責任者Rodolfo Garciaは、「ミンダナオ島では30年以上も問題が続いていることから、政府側が譲歩した形となった。相手側が譲歩する見込みはないため、政府側が妥当と思える範囲で譲歩した」とこのとき発言した。
 
 最終和平合意には、治安、復興、および「祖先の土地」の3分野について盛り込まれる予定。両者はこれまでの協議で、すでに治安と復興については合意していた。
 和平合意では、MILFが拠点とするミンダナオ(Mindanao)島にあるイスラム系住民の「ホームランド(先祖伝来の土地)」について、独自の治安維持、金融、行政事務、教育、法律などのシステムを認めるほか、天然資源の管理に完全な自治権を与えることなどが盛り込まれ、40年にわたる流血の歴史を終わらせる「包括的な協定」への道筋を整える「歴史的な合意」とされていた。

 2007年11月15日の合意には、2008年8月までの合意が期待される最終和平合意に向け努力が続けられてきたが、フィリピン政府側が一方的に破棄したことになる。

4)和平合意を破壊する者
 フィリピン支配層の意向を汲む政治家らは和平合意を「憲法違反」だと反発してきた。その背後には、ミンダナオの資源や土地を支配したいという意向が見え隠れしている。それだけではない。背後に米政府、米軍がいる。戦闘で住民を追い出し、軍事力で土地や資源を奪い取ろうとするとともに、東アジアにおける軍事基地、軍事力の配置という戦略的構想が絡んでいる。
 フィリピン政府、和平合意破棄の態度を改め、即刻戦闘を中止しなければならない。米政府・米軍は、即刻先頭を止めさせなければならない。

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フィリピン上院でのJPEPA批准審議の緊迫した現状 [フィリピンの政治経済状況]

フィリピン上院でのJPEPA批准審議の緊迫した現状

1)JPEPA批准採決が11月に延期
 比日経済連携協定(EPA、2006年9月締結)批准問題を審議する上院外交委員会のサンチャゴ委員長は9月22日、上院議事堂でマニラ新聞などの取材に対し、万聖節休会(10月11日~11月9日)入り前の本会議採決は極めて困難との見通しを示しました。協定批准に関する本会議採決は早くとも11月中旬以降になりそうです。同委員長は8月6日、委員会報告を本会議に提出した直後、批准の是非を問う本会議採決を9月末までに行いたい考えでした。

2)8月6日現在の、上院議員賛成反対状況
 8月6日上院外交・貿易通商両委員会は出席議員20人中13人の承認したが、無条件承認が2人、11人が「留保付き承認」でした。反対は6人。本会議での批准には、全議員23人中の3分の2以上の16人の賛成が必要。それゆえ、11人の「留保付き承認」のうち3人が反対にまわれば、JPEPA批准は成立しません。
しかし、一部議員は日本からの「廃棄物持ち込み懸念」や「交換公文の締結」が批准後になることを理由に、反対に回るもようです。また、委員会報告を留保付きで承認した議員らが、本会議で賛否を翻す可能性も残されています。

3)争点と日本政府からの工作
 日本側からは、この「留保付き承認」派議員からの反対派への獲得を支援するための「材料の提供」が求められているらしい。日本大使館からさまざまな接触、提案がされています。
日比経済連携協定(JPEPA)付帯文書についてサンチャゴ上院議員は8月26日、将来のフィリピンの法律に適応させるため批准後の協定改正を認めていると話しました。これまで「将来の法律については実質的にフィリピン議会を束縛することになる」と主張していたサンチャゴ氏は、いつでも改正できるという規定を付帯文書に盛り込むという日本側が提示した妥協案に同意したとしています。日本政府から工作があったことをうかがわせます。
また、「協定の一部規定がフィリピン憲法に触れる問題で、フィリピン側、上院議員に懸念がありますが、日本政府と覚書を取り返すことで回避しようとしています。
いずれにせよ、日本政府は早期批准に一所懸命であり、JPEPA批准がいかに日本政府、日本の独占資本にとっていかに利益をもたらすかを表現しているでしょう。

4)反JPEPAキャンペーン
 反JPEPAキャンペーンがフィリピンのあらゆる階層の間から起きています。「廃棄物持ち込み懸念」に反対しています、自由貿易がさらに促進され伝統的産業が破壊されることに反対しています。フィリピンの看護師協会も反対しています。
フィリピンの市民団体が日比経済連携協定(JPEPA)に反対するフィルムを作りました。KPDの人たちも発言しています。ぜひ見てください。「SAYONARA JPEPA」
http://www.youtube.com/user/magkaisajunkjpepa


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フィリピンピースサイクルの報告 [フィリピンの政治経済状況]

フィリピンピースサイクルの報告
コピー ~ DSC_0308 ピースサイクル 記者会見.JPG

 3月1日から9日の日程でフィリピンピースサイクルの行動があり参加しました。
 ピースサイクルの掲げるピース、すなわち平和は、現在世界でますます大きな意義を持ちつつあります。

1)過去の戦争の謝罪は平和の保障

 過去の戦争の被害をきちんと記録し伝えることは重要です。元「慰安婦」、被害者の視点から戦争をとらえることは、ヒューマニズムの視点からとらえることを意味します。被害をしっかりと見つめ自己批判し、日本政府に謝罪させ補償することは、二度とこのような被害者を生み出さないとことを日本政府として決意させることであり、決して過去の問題ばかりではなく、現在と未来への平和の保障なのです。
 ピースサイクルはそのような視点から、元戦時性暴力被害者、「慰安婦」被害者団体と交流してきました。日本政府に謝罪し補償させることは、被害者のロラたちにとってぜひ必要なことです。そればかりか、わたしたちにとっても必要なことなのです。
 アラヤットのロラズカンパニェーラ、マパニケのマラヤロラズ、マニラにロラズハウスを持つリラピリピーナの三団体を訪問。三団体とも被害者の高齢化が進み、病気のロラが増え、また多くのロラの衰えが目立ちます。早く解決しなければならりません。
 ロラズカンパニェーラのメネン・カスティーリョさんと再会しました。昨年オランダ議会、ユーロ議会で証言し、日本政府への非難決議採択に大きな力を与えた人です。

 米国をはじめ、カナダ、オランダ、欧州議会で、慰安婦問題への日本政府の謝罪を要求する決議が次々とあがっています。日本政府は、決議があがらないようロビー活動を行い、あがったあとは無視する態度をとっています。これは国際的な不信を招きます。このような態度は何としても改めさせなければなりません。

 
2)戦争ビジネスに反対しよう
 平和を訴えることは、決して過去の戦争に反対するだけではありません。現代の新しい戦争への動きを防止すること、これが重要です。戦争はビジネスになるし、儲けを保証します。資本主義の価値増殖運動そのものが、戦争を新たに呼び起こすその原因となりうるのです。ミンダナオでの戦争は、住民を追い払って、自然資源と土地を奪おうとする米国の狙い、経済的動因が引き起こしています。このような動きに即刻反対しなければなりません。反対し続けなければ平和は確保できません。
 人々は反対する権利と団結を確保しなければなりません。国民が戦争に巻き込まれて利用されたことはありますが、人々の側から戦争をしかけたことはありません。したがって、人々の権利と団結が失われれば、戦争へと巻き込まれてしまいます。人権を勝ちとった社会、人々の自主的な団結こそが、新しい戦争への動きを防ぎとめる平和の保障となりうるのです。
 JPEPAはフィリピン上院で批准されるばかりになっていますが、最近になってその内容がやっと暴露されてきました。日本からの産業廃棄物輸出が自由にできる項目や貿易、投資での関税や規制が撤廃されることの影響が指摘されました。JPEPAのような不平等条約は、現代世界の経済的不平等をより拡大し、途上国の貧困を増大させます。人々の平和な暮らしを破壊します。
 フィリピンで、そして世界で、急速に広がる契約労働者化は、労働組合への組織化を不可能にしますし、低賃金不安定雇用の労働者を急速に増大させています。歴史的にも長い時間をかけて、人々の闘いと犠牲によって、せっかく勝ち取った権利が無化されつつあります。「新自由主義」と称して、資本の活動の制限を取っ払うことで、新しい形、すなわち契約労働者化、派遣労働者化を通じて、労働者の権利は削り取られつつあります。人々は団結する権利を削り取られてしまうのです。私たちが権利と民主主義を確保し続けること、それが戦争を許さない平和を確保する力となるのです。


コピー ~ DSC_0476○ピースサイクル PLDT前での抗議行動.JPG

3)ピースサイクルに新しい内容が付与された

 今回、フィリピン教員協議会がピースサイクルに初めて参加してくれました。フィリピンでは教育予算が削られていて、教員の給料が確保できないとされ、給料遅配、さらには契約社員の教員、給料無のボランティア教員が増えています。40人学級から60人学級にされたり、一人で複数学年を同時に教えさせられるに至っていますし、教育環境も悪くなっています。教員の人権と生活を確保し労働条件をよくすることは、何よりも重要です。ヒューマニズムに満ちた教育は、人権を確保した教員によってなされ、平和を確実なものにします。こういう要求を持ってピースサイクルに参加し、新しい内容を付与してくれました。
 解雇に反対するPLDT労働者も参加してくれました。PLDT社株の20%をNTTグループが持っており、ピースサイクルに来る前、NTTへ抗議の申入れを行いました。国際主義がピースサイクルの新しい名の一つになりました。

 ピースサイクルの規模は大きくはありませんが、本当に重大な意義を持っています。誰でも参加していいし、誰でも参加できます。幅広いキャンペーンとして、もっともっと大きな役割を果たさなければなりません。
 今回のフィリピンピースサイクルは、平和に向けていろんな広がりの可能性を見せました。それは新たな発見でもありました。
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クーデター騒ぎとは何だったのか? [フィリピンの政治経済状況]

歴史は繰り返す最初は悲劇として、二度目は喜劇として

 

 
(11月29日、記者会見するトリリャネス上院議員ら)

クーデター騒ぎは何だったのか?

 11月29日午前11時ごろ、国軍将兵反乱事件(2003年7月)に関するマカティ地裁公判に出廷していたトリリャネス上院議員(クーデター罪で未決拘置中)と証人として出廷したダニロ・リム准将(06年2月の現政権転覆計画に関与、軍法違反で未決拘置中)が突然退廷し、アロヨ大統領の辞任を要求して首都圏マカティ市のペニンシュラホテルに立てこもった。トリリャネス上院議員らとともにホテルに立てこもったギンゴナ前副大統領やトビアス司教らは29日午後1時すぎ、記者会見し、公金の選挙運動流用などを理由にアロヨ大統領の即時辞任を訴えた。支持者ら約500人が行動を共にした。アロヨ政府は虚を突かれたもののすぐに鎮圧した。29日夕方、軍がホテルに強行突入、同議員らは投降した。

  またしても「クーデター騒ぎ」である。しかもなんともお粗末なこと。軍隊内部の支持はないし、米政府・米軍の支持も取りつけていない。それどころか、フィリピン国軍への工作も米政府・米軍への働きかけも行った形跡さえない。何の準備もなく、クーデターとさえ呼べない。 トリリャネスは「クーデター騒ぎ」を起こしても、自身は殺されないことを知っている。ひょっとすればアロヨへの不満が自身への「人気」に転化するかもしれないという、子どもじみた夢想に従って政治的賭けを演じたのだ。うまくいくはずはない。「クーデター騒ぎ」は支配層内部の馴れ合いの争いに他ならない。
 トリリャネス上院議員は、03年7月に軍の急進派グループ「マグダロ」を率いて反乱事件を起こし逮捕、起訴されながらも獄中から上院選に出馬、当選した。アロヨ政権に対する人々の「不満」の「気まぐれな」受け皿として機能した。この偶然をトリリャネスは都合よく「カン違い」した。
 人権擁護活動や労働組合活動をすればアロヨ政権から弾圧されるが、トリリャネスを支持して騒いでもなんら罰せられることはないし、マスメディアもたくさん報じる。

  フィリピン国軍は、空軍も海軍も持たない、きわめて内向きの軍隊である。誰を「敵」として想定しているか。フィリピン人民にほかならない。したがって、フィリピン国軍はフィリピン支配層の持ち物であり、本性からして腐敗する存在。「飼い犬」として軍は、フィリピン政府内部での枢要な地位を占めてきたし、アロヨ政権を支えるための「政治的暗殺」など汚い仕事もやってきた。ただ、あまりに肥大化し腐敗しており、フィリピン支配層にとっても少々重荷となった。最近は軍事予算も減らされている。「軍と軍人の政府内での地位を向上させろ!」 これがクーデターの要求であり、背景である。
 アロヨ政権は、米政府・米軍の忠実なパートナーとして、また「反テロ」国際秩序形成のため、たいがいのことは言うことを聞く政権として実績を積んできた。また、日米政府の意向に従って新自由主義を導入したフィリピン経済は、人々は貧しくなっているものの、外資にとっては都合がいい。アロヨは日米政府に支持されている。現時点において、米政府にとって、またフィリピン支配層にとって、クーデターを起こしてこの関係を壊し、経済を停滞させたりする必要はまったくない。

 フィリピンでは最近は年中行事のように、クーデター騒ぎは繰り返される。しかし、すでに喜劇であるし、笑い話に転じてからも久しい。
 一週間たった今、もう人々からは忘れ去られようとしている。


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日比経済連携協定の批准を阻止しよう! [フィリピンの政治経済状況]

日比経済連携協定の批准を阻止しよう!

1) 日比経済連携協定、 批准が強行されるか?
 日比経済連携協定(JPEPA)は、昨年の9月にヘルシンキでの小泉―アロヨ会談で締結され、フィリピン国会で批准されれば発効するばかりになっています。
日比両政府は、その内容を隠したままこの交渉を進めてきましたが、フィリピン上院の批准に際し行われた公聴会で、協定の内容が明らかになるにつれ、フィリピン社会から広範な、かつ激しい批判が起きています。日本のいくつかの市民団体も不平等協定を批判しています。
現在は、日比両政府はこれら批判を押さえつけ、フィリピン上院で無理矢理に批准を強行しようという危険な情勢にあります。フィリピンの上院の公聴会では、有害廃棄物の問題、工業製品とくに自動車の関税引き下げに対する問題の指摘があり、その内容に対する懸念が広がり、次々と問題点が明らになりました。また、フィリピン側の強い要望とされてきた日本への看護師・介護士の受け入れについては、フィリピンの看護師の団体が、受け入れの条件が厳しく限られていることから、日比経済連携協定反対の立場を表明にしています。

2)日比経済連携協定の問題点
 日比経済連携協定(JPEPA)は、日本に最恵国待遇と内国民待遇を日本の投資家に与えています。そのような条項は、他の国との二国間貿易協定の危険な先例となります。間違いなく、他の国は日本と同じ処遇を求めます。それによって、他の外国の力によって奪われているフィリピン経済はさらに危険にさらされます。
この新自由主義、関税撤廃が、日比経済連携協定の本質的部分をなしているのであり、このことが最も危険な点なのです。この批判をしなければ、日比経済連携協定への本質的な批判にはなりません。「新自由主義」には何も期待することはできません。

もちろん、個々の条項をみてもまったくひどい内容をいくつも見つけることができます。以下に示します。  
①日本から産業廃棄物や医療廃棄物のフィリピンへの輸出ができるようになる条項があります。とんでもないことです。  
②関税が下げられることで、フィリピンの伝統的産業、フィリピン資本はさらにつぶされて行くでしょう。フィリピンで生産せずとも、日本や他の諸国からの輸入に置き換えられます。特に製造業と自動車産業、自動車部品産業で起こるでしょう。そのことで雇用破壊が進むことも指摘されています。  
③外国資本によってフィリピンの農地が、輸出用農作物、バイオエタノール用穀物生産に転換され、国内の食糧生産にも影響を及ぼします。農民と農業労働者は、種子の供給から農産物の納入まで多国籍アグリビジネス会社との契約に支配され、伝統的な農村社会の破壊はさらに一層進むでしょう。農産物で利益を上げるため農業は外国資本の投資の対象となり、農民は暮らしていけません。バイオエタノール用穀物生産は決して、人にも環境にもやさしくありません。  
④フィリピン国内の漁民は小規模漁業であり、フィリピン海域で漁を認めることによる日本漁船の参入からの保護策を持っておらず、漁民の生活は破壊されます。漁業資源は主に日本に持ち去られます。  
⑤フィリピン人看護師や介護士が日本へより多く参入することによりフィリピンにとっては利益になるという主張は、正しくありません。日本政府は、とても達成が困難な職業的基準を課し、いつでも追い出せる臨時労働者、第二級の労働者として扱い、定住を認めるつもりもありません。フィリピン看護師と介護士の労働者としての権利は考慮されていません。日本の介護ビジネスは近い将来、安価で無権利なフィリピン労働者をむしろ必要とするでしょう。
他方、フィリピン医療労働者の「輸出」は、フィリピン国内の医療サービスを破壊します。フィリピンでは現在もなお、医師も看護師も不足しています。  
⑥様々な分野への外国資本の投資が可能となります。電気・水道・ガス・高速道路などの公共サービスも民営化され、これら分野へも日本資本が自由に投資できるようになります。

 

(髑髏装束は産業廃棄物輸出条項への批判の象徴)

3)不平等な協定
日比経済連携協定は、日本資本にとって一方的に有利であって、経済協定としてははなはだしく不均衡、不平等です。まるで19世紀の不平等条約であるかのようです。
現在でさえ、日本とフィリピンのあいだには経済的格差が存在しますし、すでに多くの日本資本が一方的にフィリピン社会に進出しています。経済連携協定(JPEPA)の条項は、さらに規制を緩和し関税を下げ、一方的に日本資本にとってより有利にしてしまう内容であり、両国の間の歴史的に不平等な経済関係をいっそう拡大します。
たとえば、フィリピンは2つの製品(塩と米)以外はすべての関税を削減する一方で、日本は239製品の関税を保護し続けています。フィリピンの自然資源、人的資源を、日本資本が開発し利用し利益を得る条件を無制限に与えます。
「外国資本の投資を容易にすることでフィリピン経済を発展させ、フィリピン社会を豊かにする」と、日本政府やフィリピン政府は主張し宣伝していますが、まったくのウソです。近年、自由化・規制緩和によって日本社会で格差が広がり、貧困層が増えました。儲けたのは一部の富裕層だけでした。この過程を称して「経済は発展した」と主張しています。
これと同じことを、国境を超えたフィリピンにも行おうとしているのです。アロヨ政権は、日本政府・日本資本と一緒になることで利益を得ようとしており、日比経済連携協定批准に賛成なのです。フィリピン人民の利益を裏切っています。
日比経済連携協定はフィリピン社会の一層の資本主義化をもたらすでしょう。しかし、もっぱら投資するのは日本や外国の資本であり、フィリピン社会は外国政府と外国資本にいっそう支配され従属した社会になるしかありません。現在でも存在するアメリカや日本政府の影響力や支配が、フィリピン人民を圧迫し不条理な支配と貧困を及ぼしていますが、更にこの支配と貧困が経済生活、社会生活のより隅々の分野にまで及ぶことになります。現在すでに少ししか残されてないフィリピンの主権や財産も更にいっそう侵食される事態を招くと予想されます。

 (有毒な産業廃棄物貿易を止めろ!)

 
4)フィリピンの人たちと連携し、日比経済連携協定批准を阻止しよう  
フィリピンでは、JPEPA反対署名が呼びかけられ、いくつ者団体が共同して批准反対の行動を取り組んでいます。
日比経済連携協定(JPEPA)批准に関する公募意見書(10月23日締め切り)の提出をいくつかの日本の市民団体が取り組み、日本の市民団体23団体の共同によりフィリピン上院へと提出されました。
また、マニラの日本大使館前では日本からのODAやJPEPAに反対する現地の運動団体が集会を開いたり、他方で、フィリピン財界がビジネス会議を開いてJPEPA批准推進を決議するなど、フィリピン政府への圧力を強めています。予断を許さない緊迫した情勢が続いています。フィリピンの人たちと連携し、日比経済連携協定批准を阻止のため行動しよう。


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選挙後のフィリピン情勢 [フィリピンの政治経済状況]

選挙後のフィリピン情勢

 選挙後のフィリピン情勢について民族民主連合(KPD)から長文のレターが届きました。あまりにも長いので表現なども変えて短くまとめなおしました。その結果、まったく別の文章になりました。したがって文責は当方にあります。最近のフィリピン情勢を知る上で参考にしてください。


(マニラ、3月8日国際婦人デーのデモで)

1) アロヨは選挙に勝ったか?
 アロヨ政権は、今回の選挙で安定多数を獲得し、自らの支配基盤を確実にしようとした。しかし、選挙結果はアロヨの思うとおりにならなかった。上院では与党は12議席中3議席獲得できただけで、多数を獲得できなかった。アロヨ政権は圧倒的多数のフィリピン人民の支持を得られなかったし、都市住民層、中間層、支配層内部での安定した支持も得られなかった。選挙を通じて人々は反アロヨ意識を高めたし、アロヨは更に孤立した状態に陥った。ただ、人々は自分たちの本当の代表を送り出すことはできていない。

2) 何で2ヶ月もかかるのか?
 選挙は5月14日に行われたが、最終的に結果が確定するまで2ヶ月かかった。どうして2ヶ月もかかるのか。決してフィリピンではすべてがのんびりしているからではない。そもそも選挙を管理している者たちが選挙をごまかしていて、投票後のごまかし争いが長引いたからだ。投票率は80%を超えたとされているが、本当のところは疑わしい。ある部分は大量の票水増しがあるし、一部には票が勝手に廃棄されている。票の買収もおおっぴらに行われ、買収価格は高騰した。この結果2ヶ月もかかった。また、フィリピンでは選挙のたびに多数の死者が出る。国家警察発表によれば立候補受付がはじまった1月14日から6月14日までのあいだの選挙関連の死傷者は299人で、そのうち死者が121人に達したという。

3) 選挙とは何だったのか?
 こんなことからすると選挙は、フィリピン支配層のあいだで繰り広げられた一つのショウであった、と言わざるをえない。厚顔な政治的詐欺、票の買収、政治的殺人が演じられた。演じた者はフィリピンの支配層のいろんな政治一族である。アロヨ政権だけでなく、地方の有力者一族もまた同類なのであって、アロヨ予備軍がうようよしている。フィリピンでは、政治家になって特権を得てビジネスを行うのが、支配層に成り上がる一つの道筋である。世襲による権力継承した一族が支配する大部分の地域では、依然として一族は地方の権益を握ったままである。彼らは地方政界と経済を牛耳り、かつまたアロヨに倣って中央政界に進出したがっている。

4) 選挙がもたらしたもの
 このような選挙であるにもかかわらず、一部では人々は健全な態度を示した。パンパンガ州では買収行為が当たり前だった現職の知事と名の知られた賭博女王を拒否し、別の候補を選んだ。また、都市中間層や富裕層のあいだでもアロヨ政府のやり方を批判が高まり、与党候補を落とし野党候補を当選させた。野党はアロヨ政府によって抑えつけられてきたが、選挙を通じて反アロヨの陣営がより明確に形成されつつある。

5) 政治的殺害
 また、今回の選挙期間を通じて多数の死者が出た。アロヨ政権になって以降、政治的殺害は900人にも達しようとしている。政治的殺害は、アロヨ政権の一つの政治的手法であり、軍を使った左翼勢力や民主主義団体に対する弾圧に他ならない。政治的殺害は、左翼勢力の根絶を狙っているし(その政府計画が最近暴露された)、国内の民主主義勢力と大衆を切り離すことを目的にしている。政治的殺害に対する批判はフィリピン社会に広範に広がっている。被害者家族や人権団体が、殺害のひとつひとつの告発を粘り強く行っている。民主主義勢力、人権団体からだけではなく支配層の一部からも批判が続出している。
 他方、政治的殺人事件の多発により国際社会ではフィリピンに対する信用が失墜しており、国際的な批判はますます高まってきた。EU調査団がすでに調査に入っている。アロヨ政府はこれを受け入れざるを得なかった。国際的に人権問題の批判が続いていて、公式的にはアロヨはそれを拒否できない。
 アロヨ政府の強力なパトロンである米政府は、表向きは政治的殺人を非難しながらも、実際にはアロヨ政権とその政策を後ろから支えている。アロヨ政権に対する今年の米政府の援助額が大幅増額したことでも明らかである。

6) 政治的殺害が政治的焦点に
 選挙を終えて、政治的殺害問題が一つの政治的対立の焦点になりつつある。アロヨ政権は政治的殺害を「合法化」するために、7月15日には「テロ対策を名目に令状なし逮捕や盗聴捜査などを可能にする」人身安全保障法(テロ対策法)新たに制定・発効させた。しかし、テロ対策法はアロヨ政権による暴力的支配を強化するものだという批判が、いろんな階層から起きている。ギンゴナ元副大統領は「テロ対策法は、戒厳令よりも悪い」と表明したし、野党のマドリガル議員は「テロ対策法の廃止を求める法案」をすでに提出した。さらに7月10日には、2006年2月のクーデター騒ぎの際に反乱罪に問われていたベルトラン議員ら左派系政党六議員に対し、最高裁は「六議員を反乱罪に問うに足る有力証拠に欠ける」と断じ、司法省の再考申し立てを却下した。 また、ジャーナリスト殺人・脅迫事件などを担当する司法省検察局特別捜査班は、左派系活動家のジョナス・ブルゴス氏失踪事件において、国軍情報部(ISAFP)員5人の関与した疑いがあるとして国家捜査局に捜査を命じた。左派系政党・団体など反政府勢力への押さえ込み政策を進めてきたアロヨ現政権に対して、政府機構内部からの公然とした批判が相次いで出てきた。
 このことは選挙後、アロヨ政府の「軍を使ったテロ支配」政策、政治的殺害問題への批判が、アロヨ政権の存続にかかわる政治的批判にすでになりつつあるし、今後のフィリピン政治はこの問題をめぐって展開するであろうことを示している。(文責:児玉)


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7月20日、アンバ・バーラ訪問 [フィリピンの政治経済状況]

藤田さんと長橋さんが、7月19日、20日、バタアン州マリベレスのアンバ・バーラ(バタアン州労働組合連合)事務所を訪問し現況を聞いてきた。以下は藤田さんの報告です。
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話したのは、エミリー、アナベル、長橋、藤田。7月20日午前10時から。

---7月20日、アンバ・バーラ事務所での打ち合わせ---

まず、最初にカサナグの会の事務所閉鎖の経緯や現在の活動状況について、こちらから説明。次にアンバ・バーラの現状などについて質問し、報告を受けた。

アンバ・バーラの現在の構成組合は5単組。合計組合員数は752人。ただしイワホリフィリピン労組は含んでいない。
バタアン経済区(BEZ)内には54の企業が存在している。日本企業はミツミ、ミクニなど4社である。

組合加盟とは別に、「アソシエーション」組織がある。これは、元組合員などで構成されており、様々な形でアンバ・バーラをサポートしている。

また、現在トライシクル(オートバイにサイドカーをつけた簡易タクシー)やジープニーのドラバーを組織しつつある。クリスチアンはトライシクルで働いている。

バタアン経済区の現在の問題は、契約労働者(Contract worker)が全体の6割を占めていること、いくつかの企業は2~3年で撤退をしてしまうこと。このような状況下で労働者を組織かして行くことの困難が、現時点での最大の問題。もっとも契約労働者はバタアン経済区だけでなくフィリピン全土での問題。こうした状況下での組織化は非常に困難だが、エドンなど先輩指導者が時々立ち寄って、アドバイスをしてくれている。

活動家殺害について。バランガで最近殺害された女性活動家は9発の銃弾を打ち込まれた。アロヨ政権が政権維持のため、組合やNGOの活動家に対する見せしめ的殺害であると自分たちは評価し、かつ批判キャンペーンを行っている。自分たちはこうした脅しには屈しないで活動し続ける。
一人が倒れても五人が立ち上がる。自分たちがマリベレスで活動することに問題はない。周囲の人たちが自分たちに情報をくれたり、軍などに情報が流れないようにしてくれている。しかし、安全のため、事務所も外から中が見えない様にした。人々のなかで信頼されて活動することが最も重要なのだ。
アロヨ政権は大衆弾圧のため1000万ペソの予算を組んだ。また、死刑制度も廃止したので、暗殺者にとってはいくら人を殺しても死刑にはならないようになった、とされている。

3時間近く交流したが、中途半端な論議しか出来なかった。しかし、アンバ・バーラのスタッフが死と直面しながらも、凛とした姿勢で自分たちの闘いを継続していく、という意志は充分伝わってきた。


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スービックの漁民たち [フィリピンの政治経済状況]

スービックの漁民たち

2006年3月、ピースサイクルでスービック、オロンガポを訪問したとき、スービック地域の労働者や漁民と交流した。その時に、スービック地域での労働者や漁民たちが抱えている問題と組織状況について、報告を依頼した。下記は現地の団体からの報告。
――――――――――――――――――――――――――――――――
スービックの漁民
 
 みなさん、どのように過ごされていますか。
 スービックの漁民組織について下記の通り、報告します。
カラパダヤン漁民組織。カラパダヤンとは地名です。これはバランガイ・カラパダヤンにおける最初の漁民組織の一つです。50‐100のメンバーがいます。もっともスービック町、オロンガポ市には5000名の漁民がいます。
 ここの漁民にとっての問題は、非合法なシンジケート組織による非合法なダイナマイト漁法です。また、スービック湾内海辺に私企業が巨大な養殖用の養殖籠を設置し、海を占領しています。多くは台湾系資本です。いけすに撒く養殖魚の餌には化学物質が含まれていますし、大量の餌が腐敗して海底に溜まり海水が汚染され、広い地域にわたって海が汚染され魚は少なくなっているのです。
 このせいで、スービック湾内には魚がいなくなってしまったため、多くの漁民は湾外の外洋に出かけていって漁をせざるを得なくなっています。スリガオやパラワン、ミンドロにまで出かけており、2週間から1ヶ月の漁になります。
 別の問題は漁船です。これまでスービック湾内では小さなバンカ(漁船)で漁をしてきましたが、外洋に出るとなると大きな船が必要になります。バンカにしても大きな漁船にしても費用がかかります。
 外洋では又別の問題があります。台風です。台湾などの他の国々へ流されてしまいます。カラパンダヤンの6人の漁民が2ヶ月間行方不明になり、先月台湾で発見される事件がありました。
 彼ら漁民の収入は安定しません。天候に左右されますし、魚がいるかどうかにも左右されます。たとえ月が輝いても、台風や雨季の季節は無収入になりますし、外洋に出かけて漁をするのも危険になります。天候がよければ彼らの収入は増えますが、しかし収入がいいのはひと月かふた月に二回程度で、その収入は結局、付け買いの支払い、船の燃料代、魚冷蔵用の氷代、海上での食料代へと消えてしまうのです。
 漁民のなかには、スービック地域の労働者であった者が何人かいます。彼らは失業したあと、漁船を借りたり買ったりして、その分割払いをしています。

 カサナグの会の皆さんによろしく。健康に気をつけて下さい。
 連帯して。
 2006年5月3日


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