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米中対立の緩和こそ日本政府のとるべき道だ [世界の動き]

米中対立の緩和こそ日本政府のとるべき道だ
景気後退は米中分断から


 世界経済を景気後退とインフレの同時進行であるスタグフレーションの影が覆う。主因は、米中覇権争いによる世界経済の分断にある。そこに、コロナ禍とウクライナ戦争が重なった。供給網が分断されコストが膨らんだ。分断によるコストプッシュインフレである。したがって、米中分断阻止こそ経済危機回避のカギだ。

 米FRBは利上げしインフレ退治に躍起だ。インフレの芽はトランプ政権以来の米中対立で生まれ、コロナ禍が追い打ちをかけた。そもそも米中対立と米中分断を仕掛けたのは、中国ファーウェイに経済制裁を始めた米国側だ。
 22年初め、インフレに慌てたFRBは大幅利上げを重ねたが、今ではオーバーキルの景気後退を心配しなければならなくなっている。そこへウクライナ戦争によるエネルギー価格、穀物価格が急騰し、対ロシア制裁が世界経済をさらに分断し、インフレと景気後退に追い打ちをかけている。

 欧州はロシア産ガスの供給を自ら止め(米軍の了承のもとに英海軍が爆破したと言われている)、スポット市場で6倍の価格の米シェールガスへを買わざるを得なくなり、米国よりひどいインフレと景気後退に陥っている。

 日銀もようやく超緩和政策を修正した。修正に追い込まれたのが実情だろう。国債金利が上がらないように日銀はいま必死に買い支えている。すでに選択肢はあまりない。アベノミクスからの転換だが、出口は難路が続くだろう。

 スタグフレーションは構造的危機である。米中対立による米中分断は、グローバル経済に冷や水を浴びせ、世界貿易を鈍化させた。中国を封じ込め世界覇権を維持したい米国の戦略による規制が、市場経済をゆがめ自由貿易を後退させた。供給網の分断による供給制約で家計は物価上昇に苦しみ、企業はコスト増に悩む。米国のIT大手(GAFAM)の人員削減はコスト増対策であり、景気を下押しする。

 米政府による米中分断政策は、半導体分断に象徴される。バイデン政権の対中国半導体規制や巨額の補助金による台湾積体電路製造(TSMC)の囲い込みで半導体市場分断が世界を巻き込む。米政府周辺が「台湾有事」を煽るのは、TSMCを中国から引きはがし囲い込むのが目的の一つだ。

 米中対立をどう止めるか!
1)「台湾有事」に備えるより、どう防ぐかに専念すること。有事に至らないようにすることが大事だ。
 日本とG7は「一つの中国」という中国の主張を尊重し、これまで通り「台湾独立」に反対する立場を再確認すべきである。そうすれば中国は台湾の民主主義と現在の経済発展を尊重し、武力行使を避けるのはより確実となるだろう。米国の軍産複合体やネオコンを除く、世界の利益となる。

2)分断と対立を解消するには、アジア太平洋地域の経済融合をめざす「スーパー自由貿易圏」を創設すべきだ。中国・台湾の要望でもあるしASEANの要望でもある。日本や韓国にとっても願ったりだ。米国も参加すればいい。対立と戦争に導かない平和的互恵的関係の基礎になる。

 したがって、米中のはざまにある日本の役割は重い。
 岸田政権は財政破綻の危険を冒して軍拡競争に走るべきではない。米中融和のため「複線的な外交戦略」こそ求められる。米国の言いなりの外交と戦争政策は危険極まりない、破滅への道だ。そこには日本の出番はない。このような政策は即刻放棄しなければならない。

 スタグフレーションが広がれば社会不安は一層深刻化する。そのためには、危機の根源である米中分断を防ぐしかない。軍備倍増の軍拡競争ではなく、米中対立の緩和こそ日本政府のとるべき道だ。






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