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反原発国会包囲、11・11行動へピースサイクルとして参加! [反原発]

 反原発国会包囲、11・11行動へピースサイクルとして参加!


 毎週金曜日の夕方、反原発首相官邸包囲行動に、サイクリストグループや個人が参加するようになっていて、今ではネットでチャリデモとして呼びかけられている。11日の行動でも、15時から皇居前、17時から国会・首相官邸前のチャリデモが呼びかけられており、ピースサイクルとしてこの行動に合流し、反原発を訴えた。
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<日本原電の入っているビル前にて>

 この日、ピースサイクルは約20名が参加。自慢の自転車を持参した人もいれば、貸し自転車の人もいる、貸し自転車は半日1,050円、悪くはない。「原発やめろ!再稼働反対!」の黄色いのぼり旗を括りつけて、デモ参加者にアピールする。
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<郵政本社前>

 チャリデモに合流する前に、ピースサイクルは12時に霞が関・郵政本社前に集合し、東電や関電、中部電力、日本原電をまわって、抗議行動を行った。ただ、日曜なので事務所に人がいない。ビルに向かって、「原発やめろ!」「再稼働すんな!」と叫ぶ。霞が関のほんの近いところに、これら東京本社があることをあらためて知った。自転車でまわるにちょうどいい。

 このころから、人がぞくぞくと増えてくる。日比谷公園の使用を都が許さなかったので、霞が関の各省庁や国会周辺、首相官邸前に人々が集まってくる。経産省前のテントひろば前あたりは人がいっぱいで身動きができないくらいになった。文科省前など各省庁前に人々が集まり勝手に集会をしている。
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<経産省前テントひろば>

 ピースサイクルは郵政本社前で、小集会。やらせメールであれほど批判された当時の九州電力松尾元会長が、堂々と郵政の社外取締役におさまっている。郵政本社はいわくつきの人物を迎え入れたわけだ。その責任を追及しなくてはならない。原発推進する者たちは、利益共同体であって人的にも強固につながっている。

 そのあと、デモ参加者に訴えながら、15時から皇居周りをサイクリング。日曜日なので、皇居の半周だけ車を止めてある。広い3車線には自転車しか走っていない。サイクリングにはちょうどいい、多くのサイクリストが集まってくるし、チャリデモの人たちがいつも集まるらしい。
 ただ、残念なことに16時ころから雨が降ってきた。

 国会周辺に移動する。多くの人が集まっている。何人くらいだろうか。国会周辺と首相官邸前を、反原発ののぼり旗をつけて走ると、デモ参加者が声を上げ応援してくれる。他のサイクリストも合流してきていっしょに走った。ただ、夕方になるにつれだんだん雨は強くなり、寒くなってきた。
 17時からは、国会正門前で大集会。各党の国会議員・文化人などが次々にアピールした。雨の中にもかかわらず、多くの人が集まった。原発廃止の人びとの気持ちは少しも衰えてない。
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<首相官邸前>

「福島原発の責任を問う!」 福島原発訴訟団 [反原発]

 9月14日、衆院第一議員会館で開かれた「福島原発告訴団」の集まりに参加しましたので、その様子を報告します。
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 福島原発訴訟団
 
2012年9月14日13:00~15:00、衆院第一議員会館


 私たちは棄てられた、棄民とされた!
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<当日あいさつする武藤類子 福島原発告訴団団長>

 私たち福島県の原発事故被害者たちは、東京電力から棄てられた。政府から棄てられた。
 にもかかわらず、原発を推し進めたその責任者たる東京電力幹部、経産省役人、学者たちは、何の責任も取らず、そのまま居座っている。マスメディアはこれを追及しない。それどころか、当初事故を過小に評価する宣伝を流し続けた自身の責任を問うていない。

 福島原発事故とその後に対処において、歴史上最大の企業犯罪が行われている。その責任をだれも取ろうとしていない。
 福島原発訴訟団1324人は、福島地方検察庁に「福島原発の責任を問う」ため、告訴した。

 福島原発事故とその被害に対しては、東京電力と「政、官、財、学、報」に責任がある。腐敗と無責任の構造に問題がある。

 原発の危険を訴える市民の声を黙殺し、安全対策をまったくしないまま、未曽有の事故が起こしてなお「想定外の津波」のせいにして責任を逃れようとする東京電力、形だけのおざなりな「安全」審査で電力会社の無責任体制に加担してきた政府、そして住民の苦悩にまともに向き合わずに健康被害を過小評価し、被害者の自己責任に転嫁しようと動いている学者たち、この犯罪者の誰一人も処罰されるどころか捜査すら始まる気配がない。日本が本当に法治国家かどうか、多くの人が疑いを抱いている。
 (告訴宣言から)

 福島原発訴訟団:河合弁護士
 6月11日、福島地裁に告訴した。
 「福島原発告訴団」を結成し告訴した意味は、告訴人が多数の福島県民であること、被曝しており被害者である、大量に被害者がいることである。被害者自身が立ち上がり告訴した。

 福島地検に告訴した。その意味は、福島地検も被害地にある、今でも線量は高い。検察官、職員、その家族も被害者であるし、ありうる。検察官は被害者とともにあると彼ら自身に考えさせなければならない。

 東京電力の会長・社長、取締役の誰も責任を認めていない。やめさせられてもおらず、留任している。こんなバカなことはない。原子力安電委員会の斑目春樹もそのまま留任している。恥を知らない連中ばかりだ。彼らの刑事責任を問いたい。個人の責任を追及しなければ本当の解決はない。被災者に被害をおしつけ自己責任に転嫁し、事態を潜り抜けようとしている。そのようなこと決して許さない、そのため刑事告訴した。

 責任者を告発しない限り、解決はない。また、同じ事故と被害を繰り返すであろう。

 原発がもう一回事故を起こしたら、日本に未来はない。それゆえ私たち福島原発訴訟団は、この訴訟に、誇りと自信をもって臨んでいる。告訴人はまだまだ増やしたい。運動として広めていきたい。

 鈴木きみえ:告訴団事務局、西郷村
 福島の現状を報告したい。
 何が変わったか、「終息宣言」はなされたが何が変わったか!何も変わっていない。
 プールの空間線量はあまり変わっていない。この夏福島市は、2.0μSV/h以下で問題ないとして、子供たちを泳がせた。いわき市・郡山市は0.23μSV/h以下の基準を適用していて基準が異なる。とにかく子供を泳がせて、復興をアピールしたい。子供をダシにして復興をアピールするのはやめてもらいたい。

 武藤類子 福島原発訴訟団団長:
 福島原発事故に対して、誰も責任をとっていない。驚くべきことだ。
 2011年8月、二本松市ゴルフ場が裁判を起こした。芝生が放射線で汚染され、東京電力に除染せよと要求した。東京電力は、どう答えたか。「敷地の外の放射能は、その土地の持ち主がやるべきだ」と放言した。

 賠償申請書は東京電力が配布し、賠償の範囲を決めるのも東京電力である。他方、東京電力に捜査は入っていない。

 それどころか、政府は大飯原発再稼働を決めた。責任を取るべき人物が再稼働を決めた。人事においても、推進してきた当事者が規制委員会委員に任命された。

 私たちは、事故によって生活を奪われた、家族を破壊された。他方、当事者は誰一人、何の責任をとっていない。

 そのため、3月16日の告訴団を結成した。必死で、告訴人を集めた。ひとりの告訴人が二人の告訴人を集めようと呼びかけ、1324人の訴訟団となり、6月11日告訴した。8月1日、福島検察庁で受理された。
 検察がこれを起訴するか、不起訴とするかを決めなければならない。東京地検で広瀬隆さんらの告訴も受理したし、他に何件かも受理された。これから、検察庁がきちんとした捜査ができるか、起訴にまで持っていけるか、予断を許さない状況である。その過程を、私たちは黙って眺めているわけではない。

 告訴団を拡大する。被害者は、福島県民だけではない、福島県民以外にも告訴人に加わることを呼びかけ、第二次告訴団を結成する。各地に10か所に事務局を作った。説明会がすでに始まっている。皆、関心が高い。

 日本の国のあり方を問い直したいと皆さんが考えているからだと思う、ぜひみなさんも告訴人に加わってほしい。私たちの世代が解決に向けた一歩を踏みださなくてはならない。それが責任であると考えている、道を正すことをしなくてはならない。

原子力規制委員会委員の総理任命の閣議決定に抗議する! [反原発]

原子力規制委員会委員の総理任命の閣議決定に抗議する!

野田首相の任命に抗議する!

 9月11日の閣議で、野田内閣は原子力規制委員会を19日付で発足させ、国会の同意なしで、現在の人事案のまま、委員長および委員を野田総理が任命することを決定した。これは、違法性の指摘がある大問題の人事案を、法に基づく国会の同意なしに強行する野田内閣の暴走だ。

 これまで毎週金曜日、多くの人が国会を包囲し、人事案撤回を要求してきた。市民、市民団体、弁護士、さらには国会議員も人事案撤回の声を上げてきた。しかし、野田政権はこの国民の声を無視した。国民が見たのは、野田政権が、いまだなお原子力ムラの利害に引きずられ、経産省官僚の言うがままである姿である。野田政権に対する国民の信頼は失墜した。
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<9月14日、反原発首都圏連合 首相官邸前>

 19日に任命するが、国民の多くが、原子力規制委員会に対する問題意識を共有したばかりでなく、野田政権に対する認識もより深く共有することになった。
 
 たとえ、規制委員会が発足したとしても、田中委員長をはじめ規制委員会人事に問題はあるのであって、引き続きやめさせる戦いを続けなければならない。
 
 さらに、国会同意は必要であり、引き続き国会議員へ働きかけ、人事に反対する国家議員の数を増やさなくてはならない。国会議員に対する私たちの態度は、明確である。「原発に賛成する議員は必要ない、落とす」。

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<9月14日20:00~21:00、合同庁舎前、規制委員会人事任命 糾弾>
 
まず大飯を止めよ!

 いずれにせよ発足するであろう規制委員会が最初にやらなくてはならないのは、大飯原発の停止である。大飯は何の根拠もなく稼働している。
 まず止める、そのうえでこれまでの保安院がやってきたような「稼働のための名前だけの規制」でない厳密な安全審査を行わなくてはならない。それをやろうとしないのであれば、従来の保安いと何ら変わらない推進のための形だけの組織であることを自ら表明するものである。

人事案撤回の闘いは終わっていない。これからだ。

3月18~24日「2012反核アジア・フォーラム」に参加して [反原発]

 原発を廃止しよう!
 
反核バタアン運動(NFBM):ミッチー・チャン


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 「2012反核アジア・フォーラム:以下NNAF」が、3月18~24日から韓国で開催され参加しました。韓国で開催された「核産業サミット」に合わせて、人々活動であるNNAFを開催すること自体、すでに抗議の声明なのです。フィリピンから、私(ミッチー)が招待されました。とともに「反核バタアン運動:以下NFBM」は地元の代表としてエミリーを送りました。

 福島事故の余波において、各国は核政策を再評価してきました。そして、アジアの人びと、世界中の人々は、既存の原発の廃止、新規建設計画の破棄を要求しました。原発廃止を決めた国があります。しかし、韓国政府は反対方向に向かっています。価値ある教訓として受けとるよりもむしろ、韓国政府は福島事故を原発海外輸出のいい機会としてみなし、核エネルギー利用計画を確定させ、推進しています。「核安全サミット2012」は、特に、原発輸出を拡大する機会として利用しました。

 日本政府も同じではないでしょうか。福島原発であれほどの大事故を起こしながら、いまだに原発推進をやめようとしていません。再稼働を画策しています。
 このような動きを阻止するために、アジア各地の反原発活動家たちは、地元の人たちと固く結びつき反対するイベントを、韓国で準備しました。これは韓国政府の核政策に強く反対するイベントであるとともに、アジアの人びとだけでなく世界中からの反核、原発廃止の声なのです。

 3月18~24日「2012反核アジア・フォーラム」に参加して
 
反核バタアン運動(NFBM)エミリー・ファヤルド


 私(エミリー)とミッチーは、3月18~24日の6日間、韓国で開催された「2012反核アジア・フォーラムNNAF“No Nukes Asia Forum 2012”」に参加し、活動しました。私にとって、この訪問は、「核のない世界を実現する」という目標にむけ、自身の確信をより強い確固たるものにしました。アジアの異なった国々の人たちの経験や展望を交換し交流し、私たちは多くのものを学び、また獲得しました。

 1)2012反核アジア・フォーラムの活動
 第一日目(3月19日)に、ミッチーが記者会見で話しましたし、セジョン・センター前の反核宣言週間集会では演説しました。
 また、同じ日、サムチェオク(Samcheok)市のサンナエドン・カトリック教会での地元の人々との交流で、私はフィリピンにおけるバタアン原発反対の闘い、その経験を説明しました。
 韓国政府は、サムチェオク市に原発建設を予定していました。サムチェオク市の反核公園には、原発建設を中止させた勝利のモニュメントがあります。2000年にサムチェオク市民は、韓国政府と闘い原発建設を阻止したのです。反原発バタアン運動のように、サムチェオク市民は大きな集会、抗議運動を組織しました。もちろん市民は、地元で反核団体を組織しました。私たちはその事務所で、朝食をいただきました。

 原発建設を阻止した市民の皆さんに敬意を表します。私たちは、デアハクロ公園で集会を開催しました。そこで反原発キャンペーンをリードしているカトリック教会の多くの聖職者に会いました。ここでは反原発活動のためであれば、教会設備を自由に使うことができます。反原発運動は市民生活に根付いているのです。
 また、ヨンドク行政区でも私たちは集会を催しまし、また教会ホール内で地元の人々と会談しました。 聖職者は、私たちを歓迎してくれました。  

 三日目(3月21日)、釜山市で私たちは記者会見し、釜山国際展示場(BEXCO)前で、「環太平洋地域原子力会議」に対する抗議集会を行いました。その日「環太平洋地域原子力会議」は、この会場(BEXCO)をおさえていました。

 四日目(3月22日)、ソウルに戻り、ソガン(Sogang)大学で、「核安全保障サミット」に対抗した「国際会議」を開催しました。そこで私たちは、一人の旧友、ジョセフ・ガーソンに会いました。彼は、米国の核兵器使用の即刻停止、「核のない世界」のための核政策と挑戦を話し合う米国委員会のメンバーです。
 この国際会議で、ミッチーが「福島原発災害後のバタアン原発反対運動とフィリピン情勢について」報告しました。
 また、福島から参加した日本人グループは、「福島原発事故と原発のないアジア」について発言しました。

 五日目(3月23日)、私たちは、原発と原子力産業推進する「原子力産業サミット」に抗議するため、サミット会場であるインターコンチネンタルホテル前でデモと集会、記者会見を行う予定でした。しかし、集会もホテル前での記者会見も、できませんでした。というのは韓国警察が地下鉄駅で私たちを阻止し、会議に行くのを許さなかったからです。少し交渉しましたが、警察は私たちの通行を許しません。周りには、活動を取材するため多くのメディアがいましたので、急遽その場で「記者会見」することにしました。警察がこの「記者会見」を止めようとしたので、警察との間で「小さな闘争」を経験しました。多くの韓国市民がその場を通り過ぎて行きましたが、私たちが何のために闘っているか、見つめ、理解してくれました。市民の多くは、しぐさで私たちを支持するサインを送ってくれました。もっともなかには、私たちにむかって怒鳴りピケラインを破ろうとする者もいました。しかし、そのような否定的な人より、ポジティブ支持がずっと多かったのです。
 地下鉄内の集会と記者会見では、私にも発言の機会があり、原発建設・原発輸出の停止を訴え、そのうえで非核アジア、「核のない世界」をつくろうと呼びかけました。
 韓国の警察は、奇妙なこともしました。集会の後警察は、私たちに昼食を振る舞ったのです。集会がすんだあと遅れてきたジョセフ・ガーソンもそのおこぼれにあずかりました。

 午後に、私たちは「2012反核アジア・フォーラム声明」を承認して、採択しました。声明では、福島事故の被害の実情について触れました、同時に、この時点でさえ日本政府が、世界の平和と安全、人類の生存に反し、いまだに核技術や核兵器の輸出をしようとしていることを批判しました。また、タイ、インドネシア、フィリピンの3カ国は、核計画・核政策の廃止にいては、3カ国とも同じ状況下にあります。どの国もフィリピンと同じように、各国の核開発を進めてきたのです。また、日本グループは、福島犠牲者の支援と、既存の原発と核開発計画の廃止を呼びかけました。
 全体として上記の声明は、世界中の人々に、「核のない世界」のために団結すること、世界中のそれぞれの国においてすべての原発計画、原発推進政策に対し慎重になること、停止することを呼びかけています。また、原発と核武器を使い続けることを批判し、福島事故の後でさえ、韓国政府のようにいまだ多くの政府が、福島やチェルノブイリの教訓を学ぶことなく、核技術を利用し輸出し、利益を上げることを望んでいる現実を指摘しました。

 「公正なエネルギーのための行動(The Energy Justice Actions)」の後、議論し最終的な声明とする予定であり、私たちに送られてくることになっています。入手次第その写しを送ります。

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 2)韓国政府の神経質なまでの対応

 私たちの韓国入国には、困難が伴いました。というのは、私たちの滞在中や出国した一日後に、韓国政府や進側による三つの原子力会議、サミットが行われたからです。
 韓国政府は、原発推進の国際会議を失敗させないため、神経質と言えるほどの対応をしました。私たちを推進派の会議やサミットの会場に近づけさせませんでしたし、NNAF事務局長の佐藤さんを入国させませんでした。

 ●3月18日にはじまった「環太平洋地域核会議(釜山)」:
 二年ごとに環太平洋諸国で順に開催される「核エンジニア原子力産業相互会議」。
 原子力産業の会議、および各国学術団体を含むアメリカの原子力学会(ANS)によって組織されています。アカデミックなセミナーや、原子力産業展示を行います。
 ●3月23日:「原子力産業サミット(ソウル)」 これは「ソウル核安全保障サミット2012」公式の特別イベントであり、主催者は、韓国水力原子力社です。世界における原子力産業代表者会議です。

 ●3月26日:「ソウル核安全保障サミット2012」
 サミットは、核テロの脅威に対する連携施策、核物質の不法輸送防止と関連施設や核物質の保護に携わってきました。
 しかしながら、福島原発事故や提案されている原子力平和的利用のための地域協力という新しい課題において、範囲は核安全保障から核安全まで拡大されることになっています。
 主催国である韓国政府、韓国の原子力産業は、サミットを原発輸出促進のよい機会としてとらえている点に、特に留意しなければなりません。
 彼らは、サミットと平行し、原子力産業サミットを開くために、世界中から招待された原子力産業CEOたちなのです。そのうえ、環太平洋核会議も主に原子力産業に支えられた開催されることになっており、その結果、韓国ソウルのサミット周辺に、世界の主要な原子力産業の代表者がほとんど集まっていたことになります。

 入国トラブル
 入国の際に私たちは、ソウルにおける「公正エネルギーアクション」という団体の招待で国際会議に参加するために招待されたビザを示しました。仁川国際空港の入国審査では、私たちはスタディツアーに参加するために来たと申告したところ、入国許可されました。他の国から参加人たちも同じように、または観光目的だと申告しました。しかし、日本から参加した佐藤さんは入国できませんでした。おそらく彼は「2012反核アジア・フォーラム』事務局長であることは事前に知られていたからでしょう。不当なことです。佐藤さんは、空港で入国拒否され、一晩中空港に留め置かれ、翌朝、日本に送り返されました。佐藤夫人だけは入国でき、活動に参加しました。彼女はたまたま別の飛行機で来たため入国できたようなのです。

 韓国の緊迫した政治情勢
 韓国では、4月11日には、国会議員総選挙があり、12月19日には大統領選挙があります。今年は、議会と大統領選挙で結着がつきます。今回、原子力エネルギー問題は、主要な論争点となるでしょう。

 皆さんに感謝
 私が「2012反核アジア・フォーラム」に参加するに当たり、みなさんから支援いただきました。感謝します。私にとってはすばらしい経験でした。核問題に対する私の理解を一層深めることができました。日本と同じようにソウルも交通費や食費が高いことにあらためて気づきました。
 どうもありがとう。私のレポートに疑問の点があれば、遠慮なくお尋ねください。(3月28日記)

健康調査データを隠す国と福島県 [反原発]

 山田真医師(小児科医)講演
 
2012年4月7日、杉並区商工会館


 山田真医師(小児科医)の講演を聞きました。その要旨を紹介します。
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 私は、ひと月に一度くらいのペースで福島に行っております。なるべく最新の状況を報告します。

 福島の「ふんいき」
 今、福島に行くと、空気が重いのです。街自体は見かけ上「平穏」な感じなのですが、「誰も信用できない」というか、「あきらめている」という感じがあります。これはなんだろうかと思います。
 国も県も何もしません。自分たちで守るしかないが、やることの規模がすごく大きいので、人手もいれば、お金もいる、いろんなことが必要なわけで、困惑している状態です。
 例えば、福島市だけに限って住民にやるべきことを実施するとしても、ものすごい費用がかかります。

 福島市渡利地区
 2月の相談会で、渡利地区に住むおじいさんが来られて、「毎日測定している家のなかの線量が一番大きい値で30μシーベルト/hくらいある」と言われました。家の外ではありません、一日のうち何時間も過ごす場所です。東京と比較すれば、50倍以上の値です。「小さな孫と暮らしているが、自分に甲斐性が無くて引っ越すこともできない」と嘆かれました。被害者なのに自分を責められるのです。

 渡利地区は飯館村の西北に接しており、雨が降るたびに放射能が上流から流れてきて、除染しても除染前にすぐ戻ってしまいます。除染が無効なのです。しかし渡利地区は汚染地域・避難地域に指定されていません。人口が多いにもかかわらず、福島市内だからではないでしょうか。福島市は県庁所在地であるので、渡利地区が汚染地区、避難地域に指定されるのを、国、県や市の幹部が決して認めません。「福島市の一部が汚染地域となれば、莫大な費用がかかる、そんなことは絶対にしない」。これが、国の方針であり、東電の方針です。ですから、いま必死に渡利を抑え込んでいる状況だと思います。

 渡利地区が、汚染地区・避難地域と認められず、「人の住めるところだ」とされている間は、もちろん、茨城も宮城も東京も千葉も、絶対に汚染が問題とされることはありません。
 そのような意味では、福島市、福島県を何とかしない限りは私たち全体が何ともならない、福島でものが言えない状況があるとすれば他の地域でももっとものが言えない状況となる、そう考えなくてはなりません。

 国や県はデータを公表しない!
 3月11日事故後の対応においては、政府や東電、原発推進の人たちにとって、「福島では大変成功している」、「隠しきれている」と評価していると思います。
 チェルノブイリ事故が起きた時、私たちはソ連が共産主義国であるので、国が事実を隠し情報統制している、そのため事実がつかめないと思っていましたし、住民が抑えつけられたのではないか、と思うこともありました。
 しかし、チェルノブイリ当時のソ連よりも、福島事故の日本政府のほうがずっとひどい状態です。
 旧ソ連からの学者が来てくれて、シンポジウムを開催しますが、日本側から何の報告もできません。国や県が、いろんな検診し調査しましたが、データが一切公表されないからです。東電もデータを公表しませんが、ひどいのは東電だけではありません。
 国や県が福島の子供たちの甲状腺検査を実施しましたが、「いくつか異常値が出たけれども、全部心配のない異常であった」と勝手に報告しました。検査を受けた本人にはエコーのデータなどはかえってきません。データがあれば、私たちのあいだの専門家にもう一度見てもらって、所見を述べることもできます。医療の世界でいうセカンドオピニオンです。

 当集会資料に一例として添付されている「内部被曝評価報告書」を見ますと、セシウムの検出に詳しい方ならお分かりでしょうが、「検出限界」が400ベクレルの条件で測定しています。南相馬で、東大グループが内部被曝を測定した時に、約20~40ベクレルで「要注意」の結果が出ました。しかし、400ベクレルの検出限界だと20ベクレルとか40ベクレルの測定値はほとんど信頼に足る数値が出てきません。測れない装置を使っているわけではないでしょうが、極めて不適切なやり方をしています。意図的としか思えません。こんな検査をして、「一生に受ける推定線量」を、この例では「0.520シーベルト以下」だと、はっきり結果を出しています。どういう解析・計算経過で0.520シーベルト以下なのか、データも根拠も示されていません。

 食品の放射線測定においても、暫定基準値以下の場合、測定結果は「ゼロ」、もしくは「検出せず」として表示し、数値を残しません。「使えないデータ」を測定しているとしか言いようがありません。「問題ない」という結論を述べるために手の込んだことをしています。やっていることは問題点だらけです、…こんな話をしているときりがありません。

 「結論ありき」の健康調査
 福島市内の子供たちに「ガラスバッヂ」をつけさせて、線量を3か月間測って、その3か月間を年に換算して、「線量はたいしたことはない」結論を明確に出しました。
 子供たちの首にぶら下げている「ガラスバッヂ」は、夜は外して寝ていたとか、いろいろ問題がありますが、最大の問題は2011年9月から3か月間測り、その結果から3月11日直後もその値と同じだと仮定して、計算していることです。保護者たちは、3月11日以降の1週間、あるいは2週間で、かなり被曝したのではないかと心配しています。
 そんな心配は無視して、「問題ない数字」を勝手に出し「心配ない」という結論だけが強調されるのです。こんなことが何度も何度も繰り返しやられてきました。

 「県民調査」でも同じことが・・・
 事故直後に、浪江、双葉、大熊などの近隣地域が主に「県民調査」なる60ページにもわたる調査表が配られました。この時もどうやって計算したか不明ですが、勝手に線量を計算し、「大丈夫だ」という「返事」が帰ってきました。

 誰が隠しているのか?
 チェルノブイリでは、「調査に入るのが遅かったために被害が漏れてしまい、情報統制に一部失敗した」と言われています。日本の重松逸造という悪名高い公衆衛生学者が団長になり国際調査団を形成し調査に入り、「チェルノブイリの被害はたいしたことはない」と報告しました。しかし、調査がかなり遅かったので、被害状況がかなり漏れてしまいました。そのため例えば甲状腺癌については、事故の影響があったと認めざるを得ませんでした。だから、「事故が再び起きたら、早くから隠さなければならない」と原発を推進する政府、企業、学者たちは思っていたのではないでしょうか。それからすると福島事故処理では完全に成功しつつあります」。

 過去にも同じようなことが・・・
 「これから福島をどうするか?」と考えた時に、やはり歴史をたどるしかありません。もともと原発は、原爆開発にはじまり、政治家が国策として強引に推進し、電力会社はもうかるシステムをつくりあげ荷担し、学者も荷担しました。
 チェルノブイリ事故調査団長・重松逸造は、原爆の被害者調査にかかわりました。米国とも協力しました。「原爆被爆者の範囲」を狭い範囲に限定しましたし、内部被曝や低線量被曝は、まったく問題にさえしませんでした。そうして被害を「最小限に抑え込み」ました。そんなことを重松のような学者は繰り返しやってきました。
 「どのように抑え込もうとしているのか」を考えた時に、広島長崎で行ってきたこと、ビキニ被爆後の対応、東海村事故でやってきたことを見ればわかります。現在、福島で行われているのは、その延長線上にあります。

 被害者はずっと抑え込まれてきました。今福島のたくさんの人たちが同じ事態に当面し、抑え込まれようとしています。被害者を押さえつけ泣かせてきた歴史を繰り返してはなりません。

 誰が何のために、抑えつけようとしているのか?
 「とにかく大丈夫だった」、「被害はなかった」と言わなければならないのは、国であり東電です。「被害者への補償」を「大きな痛手」と考えています。補償を最小限にするために「被害はない、問題ない」と宣伝し続ける、さまざまな「健康調査」、「健康診断」を実施するが、最初から「被害がない」結論を出すのを予定されています。
 「そんなことができるのか?」という疑問をお持ちかもしれません。はっきり言いましょう、「できますし、やられています」。その証拠は、データを決して公表しないことに現れています。

 歴史は繰り返す?
 広島では、2㎞の線を引き、2㎞以内は被爆者で、その外は非被爆者としました。「被爆者」と「健康な人」を比較しいろんなデータの取得、解析をしますが、広島では2㎞以内にいた人と2㎞外にいた人とを比較しました。だから、データがすごくゆがんでいるのです。通常であれば、もっと遠くの、原爆の影響を受けない地域の人と比較しなければなりません。
 広島では、被曝直後に放射線線量を測っていませんでした。1945年9月の半ばに「枕崎台風」が襲い、かなり放射能が洗い散らされてしまったわけですが、その後に測定し、「残留した放射能は微量である」と発表しました。
 福島で起きていることとよく似ていると思いませんか? 「歴史は繰り返す」のです。

 東海村事故でも同じことが…
 東海村事故について触れますと、当時290人の近隣の人たちが一応「被曝者」ということで、この時空間線量は測らずに、体内ナトリウム量から被曝線量を推定し、一番多い人で40数ミリシーベルトとしました。他方「50ミリシーベルトまでは健康被害はない」との基準を持ち出し、「被害者なし」と事故調査委員会が決定しました。
 実際には、そのあと裁判で争った人もいますが、敗訴しました。ほとんど世間に知られることもなく、抑えつけられました。東海村事故では、高線量被曝した人が3人いて2人が亡くなったことはよく知られていますが、近隣に住んでいた人たちがどうなったかは、事故調査委員会によって完全に隠された状態になっています。この時も、勝手に「50ミリシーベルト以下は健康被害なし」と決められ、「健康診断もする必要がない」と事故調査委委員会は言いました。しかし、毎年その人たちの健康診断は行っています。これについては、「本当はやる必要はないが、住民に不安に思う人がいるので、解消するために実施している」と説明しています。どこかで聞いたような話ですね。
 福島でもまったく同じです。「健康被害はない」とずっと言ってきましたが、「健康調査をやる」ことになり、ある新聞記者が山下俊一のところに行き「なぜやるのか?」と聞いたところ、「本当はやらなくてもいいが、不安に思っている人がいるので解消するためにやる」と言いました。「国や東電には責任はないが、住民が要望するので」と何かしら住民の責任であるかのように言っています。
 実施する前から「健康被害はない」という結論を出すことも決まっているわけです。

 悪い奴ほど…
 福島の健康診断全体は、元締めは山下俊一という長崎から福島に来て、福島医大の副学長になっている悪名高き人物です。でも本当のところ、彼はピエロの役割を果たしているのであって、もっと悪い奴は背後にいます。3月11日以降にTVに出てきた学者たち、いろんなデタラメを言いましたが、ああいう役をやらされたのです。東電にしたって、社長が出てきて説明すべきなのに出てきません。後で「デタラメを言った」などと文句を言われる担当者は、そういう役目を負わされているのです。山下俊一などもそうで、後ろには、長崎で言えば長瀧重信とか、もう亡くなってしまいましたが重松逸造とか、もっと悪い奴がいます。そういう人たちが糸を引いているのです。
 山下俊一はずっと「健康被害はない」とか、「福島はこれで何もしないで有名になった」とか、「笑っている人は放射能の影響を受けにくい」とか、散々いろんなことを言ってきました。例えピエロでもそんな人間を許すわけにはいきません。同時に背後にいる悪い奴らの責任を追及しなければなりません。

 嘘に慣れてしまった?
 私たちも、国や県の嘘の説明に慣れてしまったところもあります。福島の人たちは特にそうなのではないでしょうか、国や県が実際に何かやると、かえってやらないほうがよかったことが多い、そうなると要求もしなくなる人も出てきます。責任を迫るとか、実施しろ!とか要求することにも疲れてきます。
 国や県がやる健康診断などは、予測した通りでたいしたことはやらないのがわかってきます。そうすると、自分たちの健康は自主的に自分たちで守らなきゃならないところへ追い込まれます。しかし、自分たちの力だけやはりでは守れません。
 福島で相変わらず学校給食なども福島の食材が多く使われていますし、保育所なども安全な食材を他から取り寄せて使うことができません。官僚や自治体職員は、自分の責任を追及されないように、国や県の上司の顔色ばかり見ていて、住民のことを考えていません。「責任者の顔の見えない無責任体制」です。逆に「安全とか、安心を!」と言ったらパシングされます。

 だんだん変なことになっていて、「避難」という言葉がタブーのようになり、行政が「避難」と言わせない雰囲気もあります。住民にも避難できない人がたくさんいます。2月に行った時には「避難」という言葉が「保養」に変わっていました。

 子供たちの避難を!
 福島にいてできることは、子供たちを一時避難させることです。とにかく「放射能を新たに入れない」のが大事、また「人間の排泄能力がかなりある」ことがわかりました。1か月くらい福島を離れておればその間にかなりの量が排泄されます。
 ただ週末2日間とか、夏休み冬休みなどに1週間程度の転地保養では、体内セシウムは十分に排泄されません。
 2011年5月と7月に福島で10人の児童の尿中のセシウム量を測定しました。たった2ヶ月ですが、すでに福島を離れていた9名は30%から60%も体内セシウム量が減少し、福島に残っていた一人の子供だけは、セシウム量が増えていました。
 残酷な結果が出ました。「福島を離れれば減るが、残っていれば増える」結果が、たった10人の調査でもはっきりわかったのです。
 どうしても福島を離れられない、引っ越すことができない家族や子供たちはたくさんいます。どうするか。子供だけでも1か月の単位で、福島を離れることが有効です。そうすると学校の問題などが出てきます。北海道などの学校で「来てもいいよ」ところもあり、町と町で契約すれば、そういう対策もとることができます。一部でそういう計画がされています。国、県や自治体はこのような対策をすぐ行うべきです。

 何もしない県と国
 しかし、こういう対策についても、県も国も何も動きません。「避難」や「保養」は、「福島にいることが危険である」と認めることになるからです。「福島は安全で、今までも健康被害はない、これからもない」と主張するために、「何もしない」ことを徹底する。とても恐ろしいことです。
 そんなことは、チェルノブイリでもしてこなかった。チェルノブイリ事故後の対応よりも悪いのです。

 どうしたら被害の全貌がわかるのか?
 どうしたら被害の全貌がわかるのでしょうか? 医者からすれば、必要なのは疫学調査です。
 福島原発から何キロと特定し、高線量、中線量、低線量の地域で何万人という規模で調査して、データ間の差を比較することでしか、被害全貌はなかなかわかりません。一人一人を診察しても、放射能の影響があったかどうかを明確に示すことはできません。
 今、私のところは毎日のように、「自分で血液を採って甲状腺検査をしました」とか、「爪でセシウムを測った」とか相談されます。一人一人のデータを見ても、何も言えません。甲状腺検査で甲状腺ホルモンが低いデータが出たと持ってこられます。検査機関はたくさんあり、金儲けのためにやっているとしか思えないところもあります。「甲状腺ホルモンの出が少し悪い」という人は、世界中で何十億人もいます、特に、中年女性だと非常に多くなります。甲状腺ホルモンが低くてもほとんど何の症状もなく不自由はありません。症状が出てから治療するのが通常です。
 しかし、なかには放射線の影響による人が混じっている可能性はあります。しかし、特定の一人について、放射能の影響かどうかは、明確に指摘できません。
 癌でもそうです。私たちの悲観的な予想が当たってしまうなら、子供たちのなかで甲状腺癌が出てくるでしょう。そもそも甲状腺癌は非常に少なく、だいたい100万人に1人ぐらいしか発生しません。統計的に調査し多数発生してくれば、「原発事故の影響である」ことはすぐにわかります。しかし1人の子供が甲状腺癌になったとして、放射能の影響で癌になったかどうか、因果関係を証明するのは非常に難しいのです。
 補償する側、東電・政府は、どの個人も明確に因果関係が認められないから、全員放射線の影響がない、補償する責任はないと主張するでしょう。過去、広島や長崎、東海村事故で、そのように主張してきました。

 そのような意味では日本政府や福島県は事故直後から、データを採ることができたわけです。1年経ってしまいましたが、まだまだデータ取得は意味があります。
 ある物質が人間の体に影響しても1,2年では癌として発症しません。非常に早くて3年ですが、通常なら10年20年かかります。現在はまだ影響が出ていない時期であり、遅くはなったとはいえ、今からでも調べておけば後になって有効なデータになります。しかし、まったくそういう動きはありません。

 被爆者援護法に相当する法が必要
 被爆者援護法に相当する法的な整備が必要です。しかし、仮にその法ができ、かつ適用しようとした時に、誰が被害者かの特定が問題になるでしょう。広島・長崎の被爆者認定で問題になりました。多くの被爆者が認定制度に苦しみました。その時データがなければ、確かなことは言えません。今のところ、被害者が有効に使えるデータが全くありません。補償に関してはおそらく裁判だとか、直接交渉だとかになっても、データがなければどうしようもありません。したがって、将来の補償のことを考えると、被害者にとっては絶望的な状況にあります。
 事故直後に県民に対して行われた「実態調査」は、調査としては中身のないものですが、ただ、「あれに答えておれば一応将来被曝者としての証明になるかもしれない」。そういう意味では、書きたくない項目の並ぶ調査表でしたが、やっぱり書いておくべきではないか、と思いました。

 実際には、被害がどのくらいの範囲で出てくるのか不明です。福島だけではなく東京でも被害は出るかもしれません。もっと西でも出るかもしれません。食物による内部被ばくは全国的に流通していますから、可能性はあります。
 これから先、おそらく子供時代を送っている人たちが一番問題になってきますが、被害が出てきた時に、今私たちが何を準備しなければならないかを、みんなで考えて行動していかなければいけません。

 何ができるか?
 私は2011年6月から毎月のように福島に行っていますが、今年に入ってから福島に行くのがつらくなってきました。ほんとに何もできていないのです。「福島の子供たちを救おう」とスローガンを掲げ「健康相談会」をはじめましたが、私たちができているのは、福島の人たちが言いたい様々な怒りや悲しみのはけ口になっているのに過ぎないのではないかと思えて、気が重いのです。
 私はかつて、森永の砒素ミルクだとか水俣だとかにかかわってきました。普通ならこれだけのことが起きたら、東電前に座り込んで絶対に許さない状態になっていて不思議はありません。1年過ぎてなお東電の幹部は居座っていますし、責任を認め被害者に謝ってさえいません。東大やら全国の大学の学者たちが、自己発生直後からかなりのデタラメを言い続け、東電を擁護してきましたが、誰も失脚せず、むしろ逆にあの時頑張った人たちはけっこう出世してさえいます。
 福島があのままでも、他の地域が復興できるような幻想が振り撒かれています。福島を切り捨てて復興しようという姿は、かつて私たちが広島や長崎に被害を押しつける格好で日本が復興したとか、沖縄に基地を押しつけて切り捨てて私たちが何か安全なところで生活をしてきたのと同じことの繰り返しを、やろうとしているのです。
 みんなで福島のことを考えたいと思いますし、みなさん自身も、いろいろ個人的な不安をお持ちでしょうが、まず福島を何とかすることを最初において、さまざまな動きをしていただきたいと思います。

今年も三多摩をピースサイクルが走った [反原発]

今年も三多摩をピースサイクルが走った

 7月8日(金)、13日(水)~15(金)の4日間、今年もピースサイクル三多摩の各自治体を訪問し、各平和行政の実績について意見交換するとともに、恒久平和実現のためのいっそうの努力を訴えました。

原発事故への対応

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<福生市役所での意見交換>

 原発事故への対応

 とくに今年は、福島原発事故問題が中心となりました。三多摩の各自治体に対しても、原発事故による放射線被害に対する住民の不安が多く寄せられており、各自治体とも保育所・小中学校校庭などの放射線測定をすでに行っています。さらには農作物などの放射線量測定の相談や要望が寄せられています。

 放射能汚染の責任は東京電力、もしくは国にあるのであって、決して三多摩各自治体にあるのではないのだけれど、住民生活をまもり住民の要望にこたえる自治体の責務から、各自治体とも一定の対策や対応をせざるを得ない状況にあります。

 各自治体ともそもそも放射線測定器を持っておらず、現在は都から貸し出されている各市町村当たり1,2台の放射線測定器で、保育所・学校など限定された地点を測定しているのが一般的なようです。測定点が三多摩全域を網羅はしていないものの最も高い測定値結果で0.12μシーベルト/h程度であり、この値自体決して低くはありませんが、その限りではホットスポットはないとのことでした。

 放射能汚染とその不安への対策の内容・程度において、各市町村によって「差がある」ことは各自治体からの回答結果からも判明しました。瑞穂町では放射線測定器を独自に購入し要望があれば市民に貸し出す態勢をとっています。また武蔵村山市のように補正予算を組み学校給食食材の放射線検査実施態勢をとっているところもありました。

 今後問題なのは、地域の放射能を「濃縮」して集める役割を果たしている下水処理場自体が高放射能レベルであることです。働いている人たち、周囲の人たちへの影響が心配されます。さらには処理場から出る高濃度汚染の汚泥の処置です。汚泥のエコセメントなどへの転用は業者からの拒否もあってサイクルは中断しており、現在のところ汚泥は処理場にたまる一方です。この問題に対する都・国からの指針はいまだ出ておらず、実際に対策はされていません。大きな問題です。

 これら放射線対策は今後も続く長期間にわたる問題であり、自治体にとっても対策するためには財政的な裏付けも必要になってきます。安全な住民生活の実現という観点から徹底した対応、対策を徹底して実施してもらいたいと思いました。


原発事故は長期化する [反原発]

原発事故は長期化・深刻化する

 1)原発事故はすぐに終息できない

 福島第一原発1~3号機の原子炉もしくは格納容器が破損し、高レベル放射線量の放射性物質が水とともに漏れ出ており、1~3号炉タービン建屋床にたまっている。特に2号炉タービン建屋の水は、1000ミリシーベルト/h以上という高レベル放射線量。それに加えてタービン建屋外のトレンチと呼ばれる「地下通路」にも水がたまっており、かつ1000ミリシーベルト/h以上の放射線量を観測した。さらに、福島原発敷地内で0.12マイクロシーベルト/hのプルトニウムを検出した(3月27日報道)。

 事故はなかなか終息しないばかりでなく、より深刻な新たな次の段階へ入った。
 1~3号機の原子炉もしくは格納容器が確実に破損しており、燃料棒から放射性物資が放出されている。これまでも指摘されてきたけれど、「格納容器」が放射線物質を「格納」する役目を果たしていないことが、明らかになった。
 しかも、いまだ破損部分を特定できていない。したがって、今後漏れ続けることも予想される。
 タービン建屋を含めた原子炉周辺が、高レベルの汚染地域なので、冷却作業や修復作業をすることが著しく困難になっている。通電できていないので通常の冷却システムはいまだ稼働していない、当分通電させることも難しい。そのあいだ消防ポンプなど外から原子炉への注水作業を継続し続けなければならない。
 この事態への対応、対策は、非常に困難で、すぐには終わらない。相当な時間がかかることが明らかになった。

 これまで、「原子炉圧力容器、格納容器は無事だ」と報告してきたのは、「単なる希望的観測」にすぎないことが判明した。一言でいえば「嘘」であった。

 原発事故になったあとの決定的な対応策は、現在の技術水準でも不可能なこと、きわめて困難なこと、放射能汚染レベルの高い地域では「お手上げ状態」であることがあらためて、判明した。こんなにも貧弱な技術基盤しかないのか、と唖然とさせられるばかりである。
 
政府・東電は、「事故は起きない、何重もの安全策が施してある」と宣伝してきた。そのことは、今回のような事故が起きた時の対応策を、まったく準備も検討もしていなかったことまでも明らかにしてしまった。逆に、事故後の対策は省略する口実として使われてきた。

 いずれにせよ、事故は長期化する!


 2)事故は長期化する。放射線汚染も長期化する。

 今後、事故は長期化する。
 したがって、対応すべき非常事態も、長期化する。明らかに、事故への対応は別の段階に入った

 当然のこと、避難体制も、避難者に対する支援体制も、長期化を前提としたものに変更しなければならない。
 事故の長期化は、被ばくする放射線線量が、時間とともに累積していくこと、被ばく線量が確実に多くなることを意味している。したがって、現在の避難地域も、より広範囲に変更しなければならないし、乳幼児・子供・妊婦は、別途拡大した避難範囲を設定しなければならない。

 現状の避難体制の「なし崩し的延長」ではいけない。事態が変わったことをはっきりと告げ、別段階の避難体制をとることを宣言しなければならない。
 避難範囲・対象の問題ばかりではない。避難者の生活も長期化するのであり、長期化を前提にした支援体制も、新たに必要になってくる。住居や食糧だけでないさまざまな生活支援が必要になってくる。

 しかし、政府・東電は、長期化すること、その影響を、明確に通知していないし、対策の方針・概要を、きちんと立てていない。「なし崩し的」に事態の推移に追随しているだけである。

 当初の政府、原子力安全・保安院、東電による発表は、事故に対する即時の対応だけを報道してきた。短期的事故であり、短期間に回復することを前提にした報道がなされてきた。

 しかし、事故はすでに長期化した。放射線汚染も長期化する。臨時の段階はすでに過ぎた。別の段階に入った。しかるに政府は、それに見合った態勢をとっていない。
 1ヶ月、半年、1年のレベルでの、対応と態勢が必要になってくる。その準備に即刻に入らなければならない。

 3)事故を想定していない!原子炉設計

 事故が起きてあらためて唖然としたことがある。
 地震対策と津波対策は、関連性をなしに行われていた。素人ながら唖然とする。地震が起きたら津波は来る。このことが対策されていない。そして、臨時電源も含め全面的な電源喪失の事態を引き起こすことも想定されていない。

 しかも、事故後の対応が大幅に遅れた。電源復旧にえらいこと時間がかかっている。実際のところ、事故が起き電源喪失してから、電源復旧を開始した。配電盤前までは電力は3月20日頃までは復旧したものの、3月28日現在、いまだ通電するに至っていない。事故前は、何の準備態勢も整備していなかったことを意味する。

 日本で稼働しているすべての原発に対して、何メートルの津波に耐えられる設計になっているか即刻公開させなくてはならない。対応策が今回の津波以下なら、即刻停止し、廃炉にすべきである。
 特に、東海大地震が予想される中部電力「浜岡原発」に対して強く要求したい

 そればかりではない。下記の通り、素人から見ても、原発の設計・設置において、明らかに事故を想定していない、といえることがある。明らかに建築設置ミス・設計ミスであろう。  一つは、福島第一原発は6基もの原発がほぼ隣接して設置されていることだ。1基だけでも危険なのに、なぜ隣接して建設されているのか? 危険要因を隣接して建設・設置すれば、1基の事故が隣接原子炉の次の事故を引き起こすことは明白である。一基仮に事故になっても、その事故は他の原発の事故を誘発させないことを考慮するのは、当たり前のことである。まったく「事故を想定していない!」原子炉配置である。

 今回の事故でも、例えば1基だけでも炉心溶融から原子炉圧力容器・格納容器破壊の事故が起これば、他の5基に対する冷却作業などは中断せざるをえず、6基まとめて炉心溶融、メルトダウン、原子炉破壊の大事故の可能性が実際にあった。
 3月28日現在、例えば2号炉周辺の放射線量が大きくて、他の原子炉の修理、給水作業が中断、もしくは困難にしている。

 素人でも気がつく「隣接の危険性」は、原発建設設置において何ら考慮されていない。「事故を想定していない!」原発建設・設計である。
 この事情は、他の原発でも変わらない。単基で稼働している以外の日本における他の原発では、同様に近接した配置であろう。

 いま一つは、「使用済核燃料プール」が、原子炉建屋内に、しかも原子炉の上に設置されていることである。
 危険要因を、なぜ隣接して配置する設計なのか? しかも原子炉の上に配置する!?  ほとんど理解不能である。
 それだけではない。、「使用済核燃料プール」冷却システムを、原子炉冷却システムと共用にしている。少なくとも、別の独立した冷却システムとしなくてはならない。設置者・設計者は何を考えているのだろうか。

 今回事故で原子炉の冷却システムが停止した。それとともに「使用済核燃料棒プール」の共用の冷却システムも停止した。その結果、「使用済核燃料」の冷却不能、熱破壊、水蒸気爆発、放射能漏れを引き起こした。事故発生から18日以上たってもいまだに、修復できないでいる。何という、危険な設計をしていることか!  非常識であるとしか思えない。

 この点もおそらく、日本で稼働する他の原発も同じ構造・システムであろう。

 このようなことは、中学生でもわかることだ。少しでも想像力があれば誰でも想定できることだ。どうしてこんな設計になっているのか! 理解できない。
 「原発安全神話」を提唱してきた者は、こんな初歩的なことにも「気がつかない」ということなのだろうか? あるいは、気がついても強引に「無視してきた」ということなのだろうか? あるいは、コストダウンのため女設計にしたのだろうか? 

 4)安易な報道をするな!

 3月19日頃、原発の外部電源が、福島第一原発1号基~6号機の配電盤ちかくまで復旧した。この時の報道を覚えているだろうか? 何と報道したか?
 「外部電源が復旧し、通常の制御システムが作動すれば、消防ポンプによる放水などではなく、通常の冷却システムが作動するので、事故終息は近い」と、専門家が登場し、皆そのように述べたし、NHKも含めたTV、大手マスメディアも、このように報道した。
 しかし、いい加減な「希望的観測」だった。結果からみれば、大ウソだった。この期に及んでも、事故を「小さく見せよう、問題は小さい」と装おうとしたのである。
 
 これは一例だけれど、多くの国民の判断を誤らせたことになる。

 しかし、この一例にとどまらない。事故が起きて以降の報道全体の特徴になっている。「直ちに問題ない、・・・格納容器は壊れていないから放射能は漏れない・・・・・・」などと報道した後で、一つ一つ覆ってきた。事故を「軽微に評価」していたこと、あるいは「意図的に軽微に評価しようしていた」ことが明らかになった。そのことに対して、誰も責任を取ろうとしていない。

 「デマに惑わされないようにしよう」と呼びかけながら、当の政府や東電、それから大手マスメディアがデマを流していることになっている。そのことこそ問題である。

 こういう無責任な、安易な報道をしてはならない!(文責:林 信治)

「直ちに影響はありません」と言うな! [反原発]

マスコミは安易に『風評被害』と決めつけるな!

直ちに影響はありません」と繰り返すな!

1)水道水で放射能を検出

 放射能がついに水道水で検出され、今朝のニュースで報道している。葛飾の浄水場で放射能「210ベクレル」が検出され、23区と多摩方面で乳児には飲ませないよう、注意が出ている。放射性物質は空気中に大量にばら撒かれたので、広大な貯水池の飲料水で検出されるのは当然のこと。
 食品や水に含まれる放射性物質の規制値は、原子力安全委員会が定める「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定的に使っている。それによると飲料水に含まれる放射性ヨウ素の規制値は、1キロあたり300ベクレルとなっている。また、食品衛生法に基づく暫定的な規制値では、1キロあたり100ベクレルを超えた水道水は、乳児に対して粉ミルクを溶かして与えるのを控えることとなっている。検出された「210ベクレル」は、乳児の規制値を大きく超えている。

19日には、福島産ホウレンソウ、かき菜などで規制値以上の放射能値が検出された。15品目を出荷停止にしたばかりだ。
 なお化学物質と異なり、放射線量には、厳密には無害となる「しきい値」は存在しない。放出放射線量にしたがって、確実に影響を及ぼす。 
 
2)「直ちに影響はありません」と言うな!

 「規制値」を超えた時、必ずといって良いほど「直ちに影響はありません」というコメントがつく。政府発表の「直ちに人体に影響はありません」の連発に腹が立ってならない。
 しかしそれなら、そもそも何のための「規制値」か!どういう影響、または影響の可能性があって「規制値」が設定されたのか。
 「直ちに影響はありません」というコメントほど、無責任な言葉はない。
 直ちに影響でないなら、長期的にはどのように影響が出るのか、きちんと説明しなければならない。その説明とあわせてコメントしなければならない。そんな説明はない。

 政府・東電は、きちんと説明しなければならない。
 学者なら、ジャーナリストなら、ちゃんと調べて、根拠を示して、報道しなければならない
 「直ちに影響は出ません」とは、「ものごと」の半分しか語っていない。長期的には、5年、10年後には、どのように影響だ出るのか、はっきり言わなければならない。
 そんな説明をしている者は一人もいない。
 
 「直ちに影響はありません」という説明を繰り返すことが、既に胡散臭いのだ。そんな言葉を繰り返している者は、すでに信用できない。

3)やたらに「風評被害」と決めつけるな! 

 やたら、「風評被害だ」と報じられている。
 なぜ「風評被害」であるのか、ちゃんと調べて報道しているのか!根拠は何だ。
 何の根拠もなしに、裏も取らずに、「風評被害」ときめつけるな!
 根拠と責任の所在を示してから、発言せよ!

 この間、TV報道を通じて、TV局アナウンサーたちは原発や放射線の危険性に対して無知であることが、完全に暴露されてしまった。
 またでてくる学者たちは、「事故を小さく見せよう、問題ない、安全だ」を繰り返してきた。一体何が起きているのか、事故の内容、レベルはどのようであるのか、したがって現在何をしなければならないのか、政府・東電は何をしようとしているのか、対処の過程でどのような被害が予想されるか、最悪の場合どのようなレベルに被害は及ぶか、など事故の概要に対して、的確に報じた者は一人もいない。事故の内容、その深刻さに触れないように、報道してきた。

 その報道関係者や、「専門家」が、「風評被害」と繰り返しても、何の説得力もない。
 
 私たちは、そんなことを聞きたいのではない。
 都合の悪い情報、事実を隠している政府・東電の対応が信用ならないのだ。
 そして、政府・東電の下した結論だけ、「直ちに影響は出ません」「風評被害」と決めつけて、これを繰り返すから、信用ならないのだ! (文責:林 信治 3月23日23:00)

原発、事故対応はいまだ十分ではない [反原発]

原発、事故対応はいまだ十分ではない

やはり、避難すべきだ

 1)英エコノミスト社説(3月17日)は、
 「……福島第一原発事故による排出放射能は日本政府の発表よりも強いものに見える。日本の原子力産業には隠ぺいと無能力の長い歴史があり残念ながら東京電力の対応はその過去の行動をなぞっている。この事故が早急に制御可能になり、放射能漏れも人々の健康に影響するほど大きくなかったとしても今回の事故は日本内外の原子力産業に大きな影響を与えるだろう。原子力政策はジレンマを抱えている。説明責任と透明性を可能にする社会が必要だが、原子力産業を持つどの国もこれができていない。・・・・・・」と報じ、東電の体質、日本政府の原子力推進のこれまでの対応を厳しく批判している。

 英エコノミストの指摘はもっともである。
 日本のマスメディアは、このような真っ当な、正面方の批判を決してしてこなかったし、今回の事故が起きてなお電力会社や政府に対する批判は、徹底して弱い、遠慮している。多くの大手メディアは自身の見識、批判的視点など持っておらず、政府・東電からの情報で記事を書いている。

 2)東電の隠ぺい体質は変わっていないし、変わらない
 東電など電力会社、原子力産業、経済産業省は一体をなって原発を推進してきた。それは都合の悪い情報、事故は隠ぺいすることで強引に推し進めてきた。
 日本の原子力産業は、これまで情報を自分たちで握り可能な限り隠ぺいしてきた。それで済ませてきたし、それで済んだ。

 そのことによって、東電にみられるように、事故に際しての「無能な対応」、「官僚的な対応」を営々としてつくり上げてきたことになった。事故が起きたら、「想定外であった」とさえ言っておけば、責任は回避できると考えている。
 
 3)情報開示を
 文部科学省が、21日から各地域の測定ポイントでの放射線量を、ホームページで発表しはじめた。それは事故が起きて10日以上たってあまりにも遅い対応であった。それでも進展である。この情報をもとに、多くの国民が、自分で判断でき、行動できる

 しかし、東電福島原発周りの放射線量は、東電・政府が選んだポイントだけ、しかもそのデータは「選択して」「考慮して」しか発表されていない。
 1号機から4号機の破損状況の写真にしても、たまに撮影された写真が何時間後か2,3日経って発表されるだけである。固定カメラを設置しておいて定点観測し、LIVEで伝えることは可能のはずである。事故が起きて10日以上たってもこのような情報開示のレベルである。
 情報は、「東電が管理する、必要以上出さない」、「原子力安全・保安院、政府が管理する」、この体質は事故が起きてなお、住民に被害が及ぶ可能性があってもなお、IAEAなど国際的な機関や国々から東電・日本政府は十分な情報を出さないと非難された後であってもなお、変えないし、変わっていないのである。

 3月21日などは、2号機から白煙が、3号機から灰色の煙が出たことを、TV報道で何時間かたって報道される始末だ。
 このことは何を意味するか? 事故が起きて放射能を放出しその被害を住民が受けてから、事故があったことが報道される。住民は、被害を受けてから、その被害を知る以外にない

 4)やはり避難すべき
 事故が終息しておらず、続いており、いまだ「最悪の事態」となる可能性が存在しているにもかかわらず、したがって事態は刻々と変化しており、変化した事態にすぐに対応しなければならないにもかかわらず、このような状態である。

 原子力安全・保安院は、3月21日これまで取ってきた避難体制、すなわち「20km以内からは避難、20km以上30km以内は屋内退避を」変更しないと発表した。
 炉心溶融などによる格納容器の破損、そのことによるより深刻なレベルでの放射性物質放出の可能性がいまだあるにもかかわらず、これまで取ってきた避難体制を変えようとしていない。

 確かに「避難地域を拡大」は容易でない、時間もかかる、さらには避難先の確保や避難先での生活とその準備など、別の大きな問題や困難が生じるのは明らかである。であるにしても、格納容器の破損や使用済燃料の露出によって、これまで以上の深刻なレベルでの放射性物質放出の可能性があるのだから、避難地域を拡大すること、そして拡大は一斉でなくとも、妊婦や子供を優先して段階的であっったとしても、実施すべきであろう。

 5)日本人の冷静さか?
 今回の地震被害が起きた後、危機的状況の生活を強いられても、日本人は暴動も起こさず冷静に規律だって行動していると、海外の国々から称賛されている。そのことは確かにいいことには違いない。
 しかし、他方で日本政府や東電は、必要な情報を瞬時に適切に開示していない。住民は何も知らせられないで、だまって被害を受けるだけの存在として扱われている。そのことに対して怒らないことは、冷静で規律だって行動しているとは、決して言わないし、言えない。まったく別のことだ。(文責:林 信治)

福島第一原発で、最悪の事態か? [反原発]

 福島第一原発で、最悪の事態か?

 1)福島2号炉、格納容器損傷か?

 福島第一原発2号炉で炉心溶融が部分的に起き、原子炉圧力容器内の燃料棒が1,200℃以上の高温になって、燃料棒金属(ジルコニウム)と水蒸気が反応し、水素ガスが発生した。圧力容器の損壊を防ぐため意図的にベントしており、そのため水素ガスは外側の格納容器へ、さらには格納容器からもベントし建屋内に放出された。格納容器外と建屋内に蓄積した水素ガスが爆発し、圧力容器底部のドーナツ形状のサプレッションプール部の一部に損傷が生じたと、政府は発表した。

 1号炉、3号炉の場合も同様に水素爆発したが、幸運なことに、格納容器の重大な損傷は見られなかった。しかし、2号機の水素爆発は、事態がことなる。格納容器を損傷した。

 放射性物質を外界から格納すべき格納容器の一部に損傷が生じたのは、重大なことである。放射性物質がより大量に格納容器から漏れ出ることを意味している。しかもこれをコントロールできなくなったことを意味する。

 これまで、伝えられるところによれば、原子炉や格納容器内の圧力が高くなって損傷の恐れがあり、また冷却のための海水注入ができないとの理由で、限定的にベントして来た。その場合も炉内、格納容器内の放射性物質は放出された。このような対処は、すでに事故時の非常対応であるものの、最悪の事態を避けるための管理下での「究極の選択」であった。
 しかし、格納容器が損傷したことは、事故は次の段階に進んだことを意味する。

 2)4号炉の使用済燃料棒が爆発、火災

 さらに加えて、4号炉建屋で16日午前5時爆発があり、火災となった。炎は見えなくなったものの建屋の横に8m四方の穴が2つあいており、爆発で破壊されできたものであるという。

 運転中止中の4号炉建屋内部に保管されていた使用済燃料棒の冷却ができなくなり、水が蒸発し燃料棒が露出し、さらに高温になって水素ガスを発生させ、水素爆発を起こしたものと推定されている。

 運転中止中の4号炉建屋内部に使用済燃料棒に保管されていたこと、プールの冷却水の循環、水の供給が止まっていたことが、事故が起きて初めて、あきらかになった。

 この使用済燃料棒は、プールの水はすでに大部分が蒸発していると推定されており、したがって、炉内の燃料棒と違い、何の囲いもなく保護もなく、大気と接して露出していると推定される。きわめて重大な事故状態に陥っていると言える。
 報道によれば、16日午後12時現在、冷却されておらず、そのまま放射性物質が大気に放出されつつある。
 3月16日午前11時の枝野官房長官記者会見では「爆発の詳細は、現在調査中」と報告されただけである。

 このような使用済燃料棒の危険性は、運転中止中の5、6号炉にもあるし、さらに1、2、3号炉にもその危険性がある。詳細は、何ら発表されていないので不明である。
 
 いずれにしても、事態は重大である。放射性物質がより高レベルで放出され続ける事態になったということだ。

 3)正確な情報の開示を!

 一体何が進行しているのか、その全体像がまったくわからない状況だ。政府・東電は何を対処しようとしているのか、これもいまだによくわからない。これまで何度も政府、原子力安全・保安院、東電が記者会見で述べてきたことは、事故の進展によってことごとく覆っている。

 間違いなく事態は、巨大な原発被害、惨禍に向かって進んでいる水素爆発、炉心溶融、格納容器の一部破損、使用済核燃棒からの水素爆発・・・・・これまでありえなかった「恐ろしい事故」が次々と起きている。

 いたずらに危険を煽るつもりはないし、また現在は個々の責任を追及している時でもない。何よりも多くの人々の安全を確保するには何が必要かを考慮し、対処しなくてはならない。

 そのためには、正確な情報を開示し、政府レベル、各自治体レベル、住民レベル、個人としても、適切な判断と対処ができるようにしなくてはならない。
 現在は、東電からの情報が、まず政府に入り、検討のうえで発表されている。この時間差だけでも問題がある。
 「最悪の事態」を考慮した準備、先行した避難もすでに必要になっている。そのような対応が必要になっている。(文責:林 信治 、3月16日13:00)

追記

 福島原発事故関連のニュースを、背筋が寒くなるおもいで見ています。

 政府、原子力安全・保安院、東電は、まともに情報を発表しません。
 なんとか隠そう、小さく見せよう、問題がなかったようにしようと、対処しているのが見え見えです。
 枝野官房長官は「正確な情報をもとに、冷静に落ち着いた行動をとってください」と言いながら、正確な情報を出しておりません。

 また、TVに登場する元原子力安全専門委員、大学教授らは、原子力推進に荷担してきた人たちのようで、「事故を小さく見せよう、安全だ、心配ない」とばかり繰り返し、事故の内容、正確の全体像や、正確な判断を、国民に対して、示そうとはしていません。
 信用なりませんし、あてになりません。

 線量をモニターしながら、位置と時間経過の明確なデータを発表しようとしません。放射線量についても、「直ちに健康に影響する線量ではない」と繰り返しています。
 すなわち、逆にいえば、長期には影響を確実に及ぼすことを意味します。統計的には、発がん人口を確実に増やすことになるでしょう。
 被ばくを最小にするには、とにかく距離をとること、早めに避難することだと思われますが、パニックを恐れてでしょうか、そのような報道はありません。

 信頼できる情報の一つは、原子力資料情報室の発信です。記者会見を毎日行っており、映像でも見ることはできます。1万人くらいが、ライブで観ていました。

 以上

福島原発で危機的事態が続く [反原発]

 福島原発で炉心溶融、「緊急事態宣言」
「究極の選択」か!

 1)福島原発で冷却がうまくいかず「緊急事態宣言」
   福島第一原発1、3号炉で炉心溶融、建屋爆発

 福島第一原発の原子炉停止後に炉心溶融や建屋爆発などの緊急事態が相次いでいる。運転中であった原発は運転停止されたが、福島原発1、2、3号炉、福島第二原発1、2、4号炉の計6基は冷却がうまくいっておらず、「緊急事態宣言」が発令されている。

 事態は非常に危険な状態が続いている。報道によれば特に福島第一原発1号炉、3号炉で危機的な状態が続いている。(他の炉については一切報道されていないのでわからない。3号炉の危機的状態についても、3月12日には一切報道されなかった。2号炉の冷却がうまくいっていないことも、3月14日午後になって冷却がうまくいかなくて事故状態になって、やっと発表された。)

 現在は、原子炉の冷却をおこないかつ圧力を下げて、原子炉圧力容器、原子炉格納容器の爆発をいかに抑えるか、にかっかっている。

「究極の選択」か迫られている!

 冷却がうまくいかず、炉心溶融が一部起きており、原子炉、格納容器内の温度と圧力の上昇が抑えられない。その結果、格納容器の爆発を避けるために、弁を通じて高い放射能レベルである格納容器内部の水蒸気等の放出を行わざるを得ない状況である。

 当然のこと、放射性水蒸気等の放出を行えば、周辺住民への重大な被害が生じる可能性が高いものの、格納容器が爆発してしまえば、大量の放射性物質が放出され、レベルの異なるより甚大な被害が予想されるため、これを防止するため原子炉と格納容器を爆発させないようにつとめているようである。

 福島第一原発1号炉、3号炉ともに、宣伝されてきた「幾重もの安全システム」は作動しなかった。
 ・「非常時のディーゼル電源が供給されない」、
 ・「ECCSが作動しない」、
 ・「電源不要冷却システムは作動したものの効果を得られない」
 という非常事態に陥っており、「幾重もの安全システム」は机上の空論であったことが、明らかになった。
 冷却システムに外から継いで海水注入をという通常ではやらない「荒っぽい」手段までも採って、原子炉冷却作業が行われている。

 背筋が寒くなるような不安にとらえながら、この事態を見守っている。

 2)政府は、『正確な情報のもとに、落ち着いて迅速に避難行動を取ってほしい』(枝野官房長官発言)と言いながら、  決して正確な情報を発していない。

 放射性物質の測定を行っているはずであるが、正確な数値の継続的な発表が行われていない
 3月12日の発表では通常の放射能レベルの8倍とか1000倍とかいう表現だけであって、数値自体を発表しなかった。明らかに加工して発表した。
 そののち、3月12日14時29分福島原発第一発電所正門付近で1015マイクロシーベルトと発表されたものの、位置としてはその1か所だけであり、しかも官房長官、原子力安全・保安院の記者会見で発表されるのみであった。発表データの測定箇所・時間がきわめて少なく、かつ迅速性に欠ける対応である。国民の誰にも事態の全体を把握させない結果をもたらしている。

 また、福島原発の緊急な事態についても、きわめて不十分な、断片的な情報しか提示してきていない。福島原発の当面している危機的な事態が、炉心溶融であり、原子炉・格納容器の破壊、爆発をいかに抑えるかという非常事態にあるにもかかわらず、そのことをきちんと説明・発表していない。

 3月12日午後3時36分頃、福島第一原発1号炉で爆発があった。TV 映像で爆発シーン流されていたものの、政府がこの事実を認めたのは、午後6時の会見で「爆発的事象があった。詳しいことは調査中」と枝野官房長官が述べただけであった。事態の報告は爆発から6時間経過した午後9時前後であった。幸いにして「格納容器に損傷はなかった」。この間、国民は何の「正確な情報」もなしに、ただ不安にとらわれていただけであった。

 1号炉、3号炉ともに、水素爆発で建屋が損傷してしまった。3重の構造で安全と言われたもっとも外側の建屋は、水素爆発で簡単に壊れてしまう代物であった。
 「格納容器は問題なかった」と伝えられていつものの、外部のタービン等と接続されているパイプ・配管などの損傷具合等、機能が保持されているかなどについては特に何も報道されていない。

 また、3号炉はプルトニウムを含むMOX燃料を使用しており、炉内、格納容器内の放射性物質が1号炉に比べ異なる。現在、1号炉と同様に、炉と格納容器爆発防止のため、内部の水蒸気などを放出しているが、放射性物質とそのレベルについても、十分な情報が出されてはいない。

 政府、原子力安全・保安院、東京電力は、情報をつかんでいるにもかかわらず、発表した時の国民への影響を考慮し、明らかに情報を加工し、小出しに、つくりかえて、発表している。全体として言えばほとんど情報を出すことなく、隠しているに等しい状態である。情報統制している状態にある。国民は何の情報御なしに困惑するだけである。このようなことは決してしてはならない。

  政府は、『正確な情報のもとに、落ち着いて迅速に避難行動を取ってほしい』(枝野官房長官発言)と言いながら、決して正確な情報を発していない。(3月14日13時現在)


 追記
  3月14日18:28
 原発の近くのみならず、各地で放射線量をモニタリングしているはずである。なぜその値を逐一発表しないのか。東電、原子力安全・保安院、政府でこれを管理して発表しない。
 情報統制国家ではないか。
 中東諸国を独裁国家と非難してきたものの、何が違うというのだろうか?
 現在の事態は、完全に情報統制の体制ではないか。本当に民主主義社会、民主主義国家と言えるのだろうか?

 ついでに言えば、TVに登場する専門家、コメンテイターとやらは、情報も少ないのだろうけれども、元原子力安全専門委員とやらで原発推進に荷担した人たちが多く登場し、「安全です」、「問題ありません」を繰り返すだけであって、「なるべく事故を小さく見せよう、最悪の事態は知らせないでおこう」という意図が見え見えである。解説を聞いても、現在信仰している事態をはあんくすることができない。意図的に「わからないよう」に説明しているとしか思えない内容である。何のあてにもならない。
 すでに通常運転のレベルを超えており、事故状態なのであって、格納容器をなんとか破壊させないように対処する「最終の選択」の段階にあることを、視聴者に明確に語らないし、知らせない。

 まったくあてにならない。
 視聴者をバカにしてはいけない。
 
 さらに3月14日午後6時、福島第一原発2号炉も炉心温度が上がり、冷却がうまくいっていないとメディアが報じているいう。通常の状態ではなくなって、事故状態になってから、どうしようもなくなってから初めて発表するというのは、どういうことか。
 このような情報管理、情報統制が、人々の事故に対する認識を送らせ、危険の度合いの判断を不可能にし、避難を送らせ、被害を拡大することになるのではないか。(文責:林 信治)


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