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岸田政権は、「安保3文書」を撤回せよ! [現代日本の世相]


岸田政権は、「安保3文書」を撤回せよ!
中国脅威論は、日米の軍事化の口実だ

 22年12月16日、岸田首相は「安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)」を閣議決定した。内容は、「専守防衛」は放棄されている、中国との戦争準備への転換・軍事力強化であり、きわめて危険だ。しかし、多くの日本国民はその危険性・重要さに気づいていない、これほど重大な転換を決めたのに危機感が欠けている。岸田政権自身は米国にしたがって軍事力を強化すればいいと考えており、立憲民主党も軍事力強化に正面から反対していない。メディアもその危険性を報道していない。

1)「安保3文書」は極めて危険

 危険の第1は、「安保3文書」が中国を「仮想敵」と規定しているところにある。(「国家防衛戦略」には「2027年までに、我が国への侵攻が生起する場合には、わが国が主たる責任をもって対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止・排除できる防衛力を強化する」「10年後までには・・・より早期かつ遠方で侵略を阻止・排除できるようにする」と書かれている。)

 危険の第2は、対中先制攻撃兵器の保有(=「敵基地攻撃能力」の解禁)であり、中国を狙った大量の長距離先制攻撃ミサイルの配備だ。琉球弧(沖縄、宮古、石垣、与那国)へのミサイル配備は、その位置からして中国を狙っているのは誰が見ても明らかだ。

 ミサイル配備すれば、相手から標的になるのも軍事的には常識だ。その場合、標的あるいは戦場は、台湾や琉球弧にとどまらない。ミサイルの射程距離からして日本列島すべてが射程圏内に入っており、標的もしくは戦場となることを知っておかなくてはならない。

 危険の第3は、中国への先制攻撃兵器の保有が「専守防衛」の完全な放棄を意味していることにある。「交戦権否定、武力不行使、武力による威嚇禁止」を定めた日本国憲法第9条のあからさまな違反である。あるいは1994年7月、村山首相が「・・・(日本政府は)専守防衛に徹し、自衛のための必要最小限の実力組織自衛隊は憲法の認めるものだ」として、自衛隊合憲へと一歩踏み込んだが、その時に確認した「専守防衛」さえ放棄し敵基地攻撃能力保有へ転換するというものである。国民はこの大転換の意味をはたして本当に理解し、望んでいるのだろうか? いまだ理解しておらず、かつ望んでいないはずだ。 

 危険の第4は、「安保3文書」が、戦争準備のために「財政、経済、科学技術、武器輸出、宇宙、電波から対外援助まで、あらゆる日本の政策を「安保」最優先で推し進める」と打ち出していることである。中国との戦争と準備に全資源を投入すると規定し、軍事最優先が国家政策とされている事実もきちんと知らなくてはいけない。こういうところを報道しないメディアにすでに変質していることにも愕然とする。ぜひ自身で文書を入手し、確認してほしい。

 自民党内、野党、メディアでは、軍事費倍増するための増税が問題だとおもに指摘しているが、決して増税だけが問題なのではない。

 私たちは、中国を「仮想敵」とすることにも、対中先制攻撃戦争を準備することにも、「専守防衛」放棄にも、国の政策全体を軍事最優先にし戦争国家化を進めることにも、財政を軍事化することにも、軍事費増税にも反対する。中距離ミサイル(射程5,500km以内)配備と戦争準備で、平和を確保できはしない。岸田政権に「安保3文書」撤回を求める。

2) 「中国脅威論」はつくられたもの
―― 惑わされてはいけない


 中国を仮想的とすることは、今回の軍事外交戦略の大転換の前提となっている。「中国海軍が領海を通過した、台湾有事に備え戦争準備が必要だ」などという宣伝は、米政府が情報戦でつくりだしたモノで、そもそも正しくない。「台湾有事」を煽っているのも、もっぱら米政府周辺であり、米国の軍事的圧力強化が目的だ。日本政府もメディアも、何の裏もとらず米国からの情報をそのまま流しているだけだ。そのためか、すでに自民党ばかりかメディアも野党も反中・嫌中でほぼ一致していて、中国との戦争準備にしっかりと反対できない状況がつくりだされている。市民運動の内部にも反中国宣伝の影響が相当入り込んでいる。そのことが、ミサイル配備、軍事補倍増に対する日本社会からの批判を弱くしている。

 日本国民にとっては、アジア諸国との善隣外交によって周辺諸国と二度と戦争をしない関係をつくりあげていくことが重要であり、それが日本の平和と安全保障にほかならない。決して「中国政府を支持しよう」と主張しているのではない。支持するか、しないかの問題ではなく、善隣外交せよと主張している。米国が世界の覇権を維持するために軍事力と経済制裁で中国に圧力を加えているが、それに乗っかることは現実的な戦争への道であり日本の安全保障を危うくする。

 そのためには私たちは安易に中国敵視論、脅威論を受け入れてはならない。日本のメディアはすでに信用できない、信頼できる情報を集め検討し自身で判断しなくてはならない。市民運動とってもそのような習慣を身につけなければならない状況にある。

3)「安保3文書」はどうして出てきたのか? 
米国の対中戦争計画の一部


 「安保3文書」は米国の対中国戦争計画の一部だ。バイデン政権が22年10月に出した「国家安全保障戦略」(NSS2022)と相応している。中国を「戦略敵」に据え、総力をかけて屈服させる敵として規定している。その証拠に、「安保3文書」は中国を「我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であり「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と戦後初めて規定したが、この部分は米国の「国家安全保障戦略」(NSS2022)の丸写しだ。そのことをご存知だろうか? 日本政府が自発的・主体的に、米国の対中戦争計画に自らを組み込む、米国戦略に従う宣言であることをもっとキチンと知らなくてはならない。「安保3文書」によって、日本政府が米国の戦争に、特に対中国戦争に「自動参戦する危険」が浮かびあがっているのである。

 バイデンの中国敵視政策は、日本やヨーロッパを含む米国の同盟国(=G7とNATO)を引き連れて、軍事力と経済制裁と情報戦によって、敵対する中国(およびロシア)を締め上げることにある。G7は「先進国」と自称しているが、米国に従い戦争と経済制裁による世界支配を狙う野蛮な勢力に変質している。

 米国は、歴史上数限りない侵略戦争を行ってきた。コソボでも、イラクでも、リビアやシリア、アフガンでも国際法違反を繰り返し、口実をつけては戦争を引き起こし破壊と悲惨な世界をつくってきた。中国との覇権争いを前にして、現時点で米国が優位な「軍事力」と「経済制裁」(国際通貨がドルであることを利用した制裁)を最大限利用し、軍事的な圧力強化と制裁による米中分断経済に転換しつつある。ところが、これに従っているのはG7だけで、BRICSやASEAN、アフリカ・中東諸国など世界の3分の2の国々は従っていない。米政府の戦争戦略に自ら進んで、自国の軍事外交政策を組み込む岸田政権は、きわめて危うい道へと踏み出しているのである。その指摘と批判は強調しすぎることはない。

 「安保3文書」の閣議決定はそのような重大な意味を持っていることをまず知り周知し、徹底して批判し暴露し訴えて、私たちはその撤回を求めなくてはならない。






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