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現代フィリピン事情 みこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 みこま

世界金融危機の影響

1)世界金融危機はフィリピンへも及んでいる
 世界金融危機はフィリピンへも及んでいます。実際には、既に金融危機から世界的な経済恐慌と呼ぶのが適切でしょうか。
 円高とドルに対するペソ安のため、円ペソの交換比率は、旅行する日本人にとっては有利になっています。08年3月訪比したとき、確か1万円を両替すると3,800ペソくらい返ってきましたが、現在だと5,200ペソくらいになるのではないでしょうか?35%くらい「増えた」勘定になります。
 フィリピン経済は、この10年、すなわち恐慌前の経済成長がそれほど大きくなかったこともあって、そしてそのことは先進国資本、「ファンド」の必ずしも最も積極的な投資先ではなかったことから、経済的な落ち込みは、幸いにしていまのところそれほど大きくないように見えます。
 フィリピンの統計はあてにならないところもあるのですが、2007年のGDP伸び率は7.2%でした。かなり高い成長率です。これにくらべ、11月27日フィリピン国家統計調整局(NSCB)が発表した2008年の国内総生産(GDP)伸び率見通しは4.1─4.8%、09年のGDP伸び率は3.7%でした。ほぼ半減するという予想です。
 この先「下方修正」もありうるのですが、日米欧に比べれば比較的高い成長率を保持しているように見えますが、成長率が半分になるわけで、その影響は大きかろうと思われます。
 しかも、その内容を見て行くと次のようなことがわかります。
 GNP拡大の最も大きな要因は、政府の支出拡大と海外からの送金増加だそうで、フィリピン経済の脆弱性は何ら解決しておりません。海外送金は、たまたま世界的な金融危機の影響を受けるというより緩和する方向に働いたと指摘され、まさしくこれこそケガの巧妙。(海外在住フィリピン人は、人口の約10%に相当する800万人を超えるそうで、あらためて驚くその異常な多さです。)

2)じわりと及ぶか、フィリピンへ
 それからもう一つ、今回知ったことなのですが、フィリピンの輸出品は何が一番多いのかということ。
 皆さんはご存知でしたでしょうか?バナナかパイナップルかと思われていませんでしたか?
 なんと、電気・電子部品だそうです。フィリピンの輸出額の6割を占めるそうです。パソコンやテレビなどの電気製品ではありません、誤解のないように。その中に使われる部品です。
 電気製品は華やかな姿をしていますが、そのなかに使われる電気・電子部品は、手作業というか、労働者の手をたくさん必要とします。そこで給料の安いフィリピンで大量の電子部品が生産され輸出されるのです。しかも、フィリピン資本は極めて少なく、日本、韓国、台湾などの外国資本が大半を占めています。会社名でいうと小さなところが多いのですけれども、名の通ったところといえば、TDKだとか、ミツミ電機、SMKなどです。
 この電気・電子部品輸出は2008年に最大で10%の減少に転じる見通しが発表されました。
 それから、次いで輸出額の大きい衣類も2割の減少が見込まれるそうです。衣類もやはり縫製においてたくさんの労働力を必要とします。わたしはトリンプのマニラ郊外工場を訪問したことがありますが、多くの若い女子労働者がいました。
 したがって輸出額は2008年から2009年にかけて大きく減るようです。
 さて、この電子部品も衣料メーカーも、進出日系メーカーは受注が大きく落ち込んでおり、操業日数の短縮や人員削減などの対策すでに講じています。フィリピンでは契約労働者(日本の派遣労働者とよく似ている)の契約を更新しないという、実質的な解雇がまたひろがるようです。今号のエミリー報告にもあるように、バタアンのミツミ・フィリピンでは、労働協約改定に際し、労働条件切り下げが行われたとあります。
 この先、フィリピン社会全体に、そしてフィリピンの人たちの生活に、じわりと影響が及ぶのではないでしょうか。

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