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日比経済連携協定の批准を阻止しよう! [フィリピンの政治経済状況]

日比経済連携協定の批准を阻止しよう!

1) 日比経済連携協定、 批准が強行されるか?
 日比経済連携協定(JPEPA)は、昨年の9月にヘルシンキでの小泉―アロヨ会談で締結され、フィリピン国会で批准されれば発効するばかりになっています。
日比両政府は、その内容を隠したままこの交渉を進めてきましたが、フィリピン上院の批准に際し行われた公聴会で、協定の内容が明らかになるにつれ、フィリピン社会から広範な、かつ激しい批判が起きています。日本のいくつかの市民団体も不平等協定を批判しています。
現在は、日比両政府はこれら批判を押さえつけ、フィリピン上院で無理矢理に批准を強行しようという危険な情勢にあります。フィリピンの上院の公聴会では、有害廃棄物の問題、工業製品とくに自動車の関税引き下げに対する問題の指摘があり、その内容に対する懸念が広がり、次々と問題点が明らになりました。また、フィリピン側の強い要望とされてきた日本への看護師・介護士の受け入れについては、フィリピンの看護師の団体が、受け入れの条件が厳しく限られていることから、日比経済連携協定反対の立場を表明にしています。

2)日比経済連携協定の問題点
 日比経済連携協定(JPEPA)は、日本に最恵国待遇と内国民待遇を日本の投資家に与えています。そのような条項は、他の国との二国間貿易協定の危険な先例となります。間違いなく、他の国は日本と同じ処遇を求めます。それによって、他の外国の力によって奪われているフィリピン経済はさらに危険にさらされます。
この新自由主義、関税撤廃が、日比経済連携協定の本質的部分をなしているのであり、このことが最も危険な点なのです。この批判をしなければ、日比経済連携協定への本質的な批判にはなりません。「新自由主義」には何も期待することはできません。

もちろん、個々の条項をみてもまったくひどい内容をいくつも見つけることができます。以下に示します。  
①日本から産業廃棄物や医療廃棄物のフィリピンへの輸出ができるようになる条項があります。とんでもないことです。  
②関税が下げられることで、フィリピンの伝統的産業、フィリピン資本はさらにつぶされて行くでしょう。フィリピンで生産せずとも、日本や他の諸国からの輸入に置き換えられます。特に製造業と自動車産業、自動車部品産業で起こるでしょう。そのことで雇用破壊が進むことも指摘されています。  
③外国資本によってフィリピンの農地が、輸出用農作物、バイオエタノール用穀物生産に転換され、国内の食糧生産にも影響を及ぼします。農民と農業労働者は、種子の供給から農産物の納入まで多国籍アグリビジネス会社との契約に支配され、伝統的な農村社会の破壊はさらに一層進むでしょう。農産物で利益を上げるため農業は外国資本の投資の対象となり、農民は暮らしていけません。バイオエタノール用穀物生産は決して、人にも環境にもやさしくありません。  
④フィリピン国内の漁民は小規模漁業であり、フィリピン海域で漁を認めることによる日本漁船の参入からの保護策を持っておらず、漁民の生活は破壊されます。漁業資源は主に日本に持ち去られます。  
⑤フィリピン人看護師や介護士が日本へより多く参入することによりフィリピンにとっては利益になるという主張は、正しくありません。日本政府は、とても達成が困難な職業的基準を課し、いつでも追い出せる臨時労働者、第二級の労働者として扱い、定住を認めるつもりもありません。フィリピン看護師と介護士の労働者としての権利は考慮されていません。日本の介護ビジネスは近い将来、安価で無権利なフィリピン労働者をむしろ必要とするでしょう。
他方、フィリピン医療労働者の「輸出」は、フィリピン国内の医療サービスを破壊します。フィリピンでは現在もなお、医師も看護師も不足しています。  
⑥様々な分野への外国資本の投資が可能となります。電気・水道・ガス・高速道路などの公共サービスも民営化され、これら分野へも日本資本が自由に投資できるようになります。

 

(髑髏装束は産業廃棄物輸出条項への批判の象徴)

3)不平等な協定
日比経済連携協定は、日本資本にとって一方的に有利であって、経済協定としてははなはだしく不均衡、不平等です。まるで19世紀の不平等条約であるかのようです。
現在でさえ、日本とフィリピンのあいだには経済的格差が存在しますし、すでに多くの日本資本が一方的にフィリピン社会に進出しています。経済連携協定(JPEPA)の条項は、さらに規制を緩和し関税を下げ、一方的に日本資本にとってより有利にしてしまう内容であり、両国の間の歴史的に不平等な経済関係をいっそう拡大します。
たとえば、フィリピンは2つの製品(塩と米)以外はすべての関税を削減する一方で、日本は239製品の関税を保護し続けています。フィリピンの自然資源、人的資源を、日本資本が開発し利用し利益を得る条件を無制限に与えます。
「外国資本の投資を容易にすることでフィリピン経済を発展させ、フィリピン社会を豊かにする」と、日本政府やフィリピン政府は主張し宣伝していますが、まったくのウソです。近年、自由化・規制緩和によって日本社会で格差が広がり、貧困層が増えました。儲けたのは一部の富裕層だけでした。この過程を称して「経済は発展した」と主張しています。
これと同じことを、国境を超えたフィリピンにも行おうとしているのです。アロヨ政権は、日本政府・日本資本と一緒になることで利益を得ようとしており、日比経済連携協定批准に賛成なのです。フィリピン人民の利益を裏切っています。
日比経済連携協定はフィリピン社会の一層の資本主義化をもたらすでしょう。しかし、もっぱら投資するのは日本や外国の資本であり、フィリピン社会は外国政府と外国資本にいっそう支配され従属した社会になるしかありません。現在でも存在するアメリカや日本政府の影響力や支配が、フィリピン人民を圧迫し不条理な支配と貧困を及ぼしていますが、更にこの支配と貧困が経済生活、社会生活のより隅々の分野にまで及ぶことになります。現在すでに少ししか残されてないフィリピンの主権や財産も更にいっそう侵食される事態を招くと予想されます。

 (有毒な産業廃棄物貿易を止めろ!)

 
4)フィリピンの人たちと連携し、日比経済連携協定批准を阻止しよう  
フィリピンでは、JPEPA反対署名が呼びかけられ、いくつ者団体が共同して批准反対の行動を取り組んでいます。
日比経済連携協定(JPEPA)批准に関する公募意見書(10月23日締め切り)の提出をいくつかの日本の市民団体が取り組み、日本の市民団体23団体の共同によりフィリピン上院へと提出されました。
また、マニラの日本大使館前では日本からのODAやJPEPAに反対する現地の運動団体が集会を開いたり、他方で、フィリピン財界がビジネス会議を開いてJPEPA批准推進を決議するなど、フィリピン政府への圧力を強めています。予断を許さない緊迫した情勢が続いています。フィリピンの人たちと連携し、日比経済連携協定批准を阻止のため行動しよう。


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