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JPEPA批准に抗議する [フィリピンの政治経済状況]

 日比経済連携協定(JPEPA)が、10月8日夜、フィリピン上院で、賛成16、反対4で採決されました。協定批准には上院議員2/3以上の賛成が必要です。フィリピン上院は24名ですので16名以上が批准の条件となっていました。
 
 JPEPAは新自由主義で貫かれており、フィリピンの伝統的産業を一定保護してきた関税などの廃止、日本資本の投資の自由化などを主な内容としており、経済発展の水準・サイズの違う日本との協定は、日本の資本が一方的に進出し、日本の製品がフィリピン市場を席巻してしまうことをもたらす不平等な協定です。
 そればかりではなく、日本からの有害な産業廃棄物・放射能廃棄物、医療廃棄物の輸出項目が含まれていることが指摘されています。
 他方、フィリピンサイドにメリットがあると宣伝されてきた、日本でフィリピン人看護師・介護士が働けるようになる条項は、日本での労働条件が守られる保証がなく、フィリピン看護協会でさえ、この不備を批判し、協定に反対してきました。

 日本政府は、フィリピン政府、議員に対して批准するよう工作してきました。
最近では、上院採決は11月以降になる見込みというサンチャゴ委員長による発言がなされ、これから上院と上院議員に対するJPEPA批准反対のキャンペーンを行おうとしていたところでした。

 それが突然、10月8日深夜、こっそりと採決してしまったのです。上院議員に対する事前の根回しがあり、賛成が16名を超えたことを見計らって、採決に持ち込んだと推定されます。

 Coalition of Anti JPEPAを構成するKPD(国民民主連合)の声明が出ていますので下記に紹介します。

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プレスリリース
2008年10月9日


夜のうちのこっそりと批准されたJPEPAを非難する
マニラ;

チェスター・アンパロKPD書記長


 これは、昨日(10月8日)の上院審理の最後の時間に投票された結果、賛成16、反対4で採決され、批准された日比経済連携協定Japan Philippine Economic Partnership Agreement (JPEPA)を非難するチェスター・アンパロKPD書記長の声明です。

 有害廃棄物輸出の条項を含み、また日本の製品が洪水のように流入をもたらすJPEPA批准への反対の声が、これまでフィリピンの社会各層の人たちからあがってきていました。

 しかし、フィリピン上院はこの声を聞くことなく、10月8日深夜こっそり採決し、この不平等協定・JPEPA批准を決定してしまいました。

 KPDによると、JPEPAに対するフィリピン政府側交渉者は大失敗を犯している、その結果フィリピン人民は今後重荷を背負うことになるといいます。多くの団体、個人が、JPEPAを外観は『平等』を装っているものの『不公平な協定』であると指摘し、批判しています。

 「JPEPAをOKしたことによって、われわれの議員はフィリピンの伝統的生産、産業の終焉を早めたことになりますし、フィリピンの医療専門職の人たち・看護師らが、日本の嘆かわしい労働条件で働かざるを得なくするのです。」と、アンパロ氏は非難しました。

 協定の提案者・支持者らは、協定の欠陥が大げさに宣伝されたことによって修正できるのであって、相互協定はフィリピン商品が日本市場により進出できると指摘しています。
 そんなことはありません。まったくの偽りです。

 「強まりつつある世界的な経済危機を前にして、日本政府は日本経済をささえる杖として、しかし他方でフィリピン経済を麻痺させる鞭として、JPEPAを大いに利用するでしょう。」
 「協定の付帯決議が日本によってさえ守られていないこと、日本企業のために更なる円を稼いでいるにもかかわらず、フィリピン人により損害を与える不均衡な合意であるという基本的な事実についてさえ注意を向けていない」とアンパロ氏は言います。

 「フィリピン人民は、これらのJPEPAを支持した裏切り者を忘れません、ひどく不当な扱いを受けるフィリピン人民はすぐさま憤激を感じることになるでしょう。」とアンパロ氏は声明を結びました。

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コリコリ

私はダバオで在住15年になる者です。この場をお借りして、フィリピンにおけるJPEPA に対しての抗議運動に関しての私見を述べさせていただきます。先ず日本の皆様に知っておいて頂きたいのは、多くのフィリピン人が漠然たる嫌日感情を持っているということです。これは戦争で占領され自力では排斥出来なかったこと、その後再び圧倒的な経済格差をつけられてしまったことも原因なのでしょうが、まず小学生の時、教科書でスペインとアメリカはフィリピンにvisitしたが日本はinvadeしたと教わります。その後テレビではしょっちゅう日本の軍隊の悪行を題材にした映画を見て育ちます。
高校を出るころには近所の女の子がジャパユキさんになって日本に行ってしまった。帰ってきたら中年の日本人の愛人になっていた。などという事がそこらじゅうで起こっていました。又、そのような日本人のなかには、いかにも教養レベルが低く常識を欠いた行動をする人が少なくない為、周りのフィリピン人はいよいよ日本人全体にネガテイブな感情をもってしまいます。この様な大衆感情がある為、日本に対して反対し抵抗することが賛賞を呼びやすく、政治家、TVなどはそれに迎合しています。又、この国の多くの政治家、高級官僚は愛国心などかけらも持ち合わせていないような行いを平気で行っていて、そのような人達が、大衆のムードを利用して自分達に都合の悪い事への反対運動を盛り上げます。JPEPAがなぜ都合が悪いのかはあとで述べますが、ここで日本の人達、特にフィリピン人の為に何かをしなくてはならないと本当に思っている若い人達に申しあげておかねばならないのは、その誠意が決して表には出てこないいろいろな分野での裏のシンジケートにあざわれながら利用されている、という事があることです。この国の政治家、官僚、地方の行政に携わる人達の多くが一般のフィリピン人の生活を改善しようとは思っていません。それは改善されて収入が上がり、教養レベルが上がってしまうとこれまでそのような人達を支配し、コントロールしてきた、やり方が通用しなくなるのをよく知っているからです。その為、一般もしくは下層階級の人達の為にというボランテイアなどの人達の誠意は空回りし、使ったお金のかなりの割合が搾取されるという事が起こります。この事は単にその人の誠意と時間とお金が無駄になったということではないのです。それは日本人、もしくは日本が甘く見られる例を又作ってしまったということで、ここで暮らす日本人にとっては迷惑なことなのです。では次になぜJPEPAが都合が悪いひとがたくさんいるのか私なりの見方を述べてみます。まず知っておいていただきたいのはこの国では禁止されている物、もしくは事は儲かるということです。又、日本では想像もつかないことですが、省庁もしくはその下部組織は毎年収入の見込みを出し、それを上回った場合はその余剰金を自分達の個人所得として分配するという確か、大統領令があるのです。その為税関はまず反対です。又、これまで大統領令で禁止されていながら、政府高官と地方行政官などが組んで大量に輸入して潤っていた物に中古車と古着があります。どちらもJPEPAが発行すると輸入できるようになります。これは当事者にとってみれば公の給料の何倍もの所得がなくなることになるわけです。古着は関税の分類で問題になっている廃棄物とおなじ項目に記載されています。日本の人は古着なんか、と思うでしょうがフィリピン中で売られるその金額たるやものすごいものです。それとて公式には国内の服飾産業保護のため大統領令で輸入禁止なのです。この様な筋が一般大衆のなんとなくの嫌日感情を利用して反対しているというのはうがちすぎなみかたでしょうか。廃棄物の輸入などはフィリピン政府自体がどこかの島を全部つぶすつもりで受け入れない限り日本の処分場に余裕が出るほどの量にはならないでしょうし、内国民待遇などは日本人の投資家だけがフィリピンで土地を買える様になるはずはないのであって、非常に限定された場所と条件での話しになるはずです。そもそも、この件こそ、日本にとって不平等であって、たとえば、ガイサノが日本に進出したければ、自分達で土地も買えるし、自分達だけの名義で会社設立できるのですから、すでに日本では内国民待遇なわけです。看護師、介護師の問題は、特に看護師は頼んでもこないでしょうから、なぜフィリピンの看護師組合が反対するのか、うがった見方しか出来ません。以上はあくまで私の私見です。ただ日本の若い方たちには、この様なこともあるということを知っていただいて、自分の行動が自分の目標とする事の障害になっている人達を利することがないようにお願いします。
by コリコリ (2008-10-13 02:13) 

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