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コビド19の下での労働者の闘争 [フィリピン労働運動]

コビド19の下での労働者の闘争
 
エミリー・ファヤルド AMBA-BALA事務局長 


 アンバ・バーラ(AMBA-BALA:バタアン労働組合連合)のエミリーから、バタアン州におけるコロナ・パンデミック下の労働運動や街の生活について報告が来ました。

1)フィリピン・バタアン州での事例

 フィリピン全土が「コミュニティ検疫の強化」(以下ECQ:Enhance Community Quarantine)に置かれてから6ヶ月が経ちました。仮に60日後であったとしても、多くの企業はフィリピン保健省の定める「健康のための議定書および基準」のため、従業員の100%を受け入れることができません。したがって多くの労働者は仕事に就くことができないのです。保健省も各自治体も三桁、または数百のコロナ感染事案を抱えており、対応できていません。

 バタアン州では現在882人の患者(20年9月現在)が発生しており、そのうち595人が「自由貿易地区」のあるマリベレスの患者です。全体の67%をマリベレスで占めています。しかも595人のうち339人が、マリベレスのアンバ・バーラ事務所所在地であるポブラシオン(Poblacion)バランガイからでした。私たちの調査によっても、労働者のなかにはウイルスに感染している者がいます。マリベレス地区の会社は警戒しており、「健康基準」を適用していたにもかかわらず、例えばFCF社では26人の中国人スーパーバイザー(管理職)が会社の知らないところで感染し、フィリピン人労働者に容易にウイルスをうつしてしまったこともありました。

(※アンバ・バーラ(AMBA-BALA)とは、バタアン州労働組合連合、「バタアン自由貿易地区」を中心に組織している。)

9月18 日現在 Covit19 Update
          フィリピン全体  バタアン州
累計感染者数   : 283,460人   2,002人
累計死者数    :  4,930人     30人
9月17日感染者数 :  3,962人      84人
9月17日死者数  :   100人      0人

  本当のところは、ほとんどの企業と「バタアン自由貿易地区」(AFAB)当局に権限があるにもかかわらず、労働者に対する「強制検査」(covid 19のための無料のチェック)を実施していませんでした。一緒に働くのが安全ではない会社だと認定された場合、「バタアン自由貿易地区」当局は、会社を14日間閉鎖し、すべての労働者に強制休暇(無給、諸手当なし)を取らせ、その後、検査を実施します。コロナ陽性者は公開し感染経路を追跡します。陽性者は「バタアン自由貿易地区」当局の監督の下で検疫施設に入れらます。

2)無職と飢餓

 COVID19のリスクはさておき、労働者は無職、無給のため収入が絶たれます。生活の破綻、飢餓の危険性が迫っています。

 ディスクトップ社(Desktop)とDLX社は、9月1日から2021年2月までの間、労働者を強制休暇(無給、諸手当なし)にさせています。同社の製品(バッグなど)は現時点では必要不可欠なものではないため、買い手からの注文がないというのです。また、バーレーン・ファイバーグラス社も3月から一部の従業員を強制休暇を取らせています。他の企業もフル稼働しているわけではありません。

 ミツミ電機ドンイン(Dong In)グループのような企業は、このパンデミックの中でも、多くの受注を得ています。ちなみに、ミツミ電機は厳格な健康管理を行っている企業の一つです。感染者が出たこともあり、14日間の日当付き検疫を実施しています。

 マリベレスには9区画(バランガイ)ありますが、地域検疫の強化と「バタアン自由貿易地区」当局の下で、企業は厳しいスキーム検疫に従っています。しかし、ミツミ電機は生産のニーズが高いために(生産増大に邪魔になる)検疫に従っていないことが判明しましたが、結局のところ当局は操業を許可しました。「コミュニティ検疫の強化」ECQ は9月12日に始まり、9月26日に終了します。多くの企業がCOVID19 の現地・企業への感染を避けるために、検疫スキームに従い一時的に操業を停止しています。

 現在、ここバタアン州では何千人もの労働者が失業しています。いくつかの会社では「強制休暇」(無給:Force Leave)が実施され、ほかの会社では、就業契約の終了や他の理由で労働契約を終了されました。解雇です。多くの人が新たな職探しをし、幸運にもみつけた人もいますが、ほとんどの者には幸運は訪れません。新たな職は、職を失った全ての労働者が新たに就職できるほどあるわけではありません。

 デスクトップバッグ・フィリピン社(Desktop Bags Phils. Ltd.)、DLXバッグ・フィリピン社(DLX Bags Phils.)は、ファッションバッグや靴を製造しています。この2社とボースト社(Boast Ltd.)を含めた3社は、従業員への「通知」に、「2021年前半までの期間は、業務が正常に戻ることはない」と記しています。これは労働者にとっても労働組合にとっても悲惨な「知らせ」です。

3)労働者の権利は、パンデミックのもとで奪われてはならない!

 危機が発生しても、労働者の権利を守り、主張しなければなりません。政府機関と裁判所は、職務を遂行しながらパンデミック下で採用できる独自の健康対策とプロトコルを持っています。労働雇用省(DOLE)は、厳格にウェブ会議と調停を実施しました。私たちは、労働雇用省とのウェブ会議、電子メール、携帯電話(ほとんどが非接触的)を通じて、DOLEと会議を持ち、会社の状況に関する労働者と組合の懸念を提起し、会社との仲介を求めることを学びました。

Pictures above Desktop Employees Association-DEA,  DLX Workers Union-DWU and Freeport Workers League (FWL)  ZOOM meeting with DOLE (2).png
<労働雇用省とのWeb会議の様子>

 現時点ではまだ実際に大量の人が集まったミーティング(マリベレスでは10人以上)は禁止されており、リーダーだけがミーティングを行うことができますが、この危機の下で労働者の問題に対処する手段はそれほど残されていないのです。
失業補助金のための私たちのキャンペーン

 アンバ・バーラは、強制休暇や経済封鎖の影響を受けた人々のための失業補助金の取得キャンペーンを主導してきました。現時点では、すでに州知事と第2区のジョート・ガルシア州議員のオフィスに要請書を提出しています。特に今回、「バヤニハン・ヒール・アズ・ワン・アクトII」が可決されており州当局の前向きな反応を待っています。国から新たに数十億ペソ(約100億円)の予算が投入されることになっており、そのすみやかな実施を要請しています。

 失業補助金だけでなく、COVID19パンデミックの下での労働者の安全のための予算もあります。
 私たちはまだ、様々な企業の労働者やリーダーを集めて、多くの労働者がキャンペーンに参加できるようにしています。


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バタアン原発再開案を、ドゥテルテが提案  [フィリピンの政治経済状況]

バタアン原発再開案を、ドゥテルテが提案 

ドゥテルテ大統領がエネルギー相らとの会合でバタアン原発再開案を検討するよう提案

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<フィリピン、バタアン州モロンにあるバタアン原発>

1)バタアン原発とは?

 バタアン州モロン町ナポット・ポイントにある原発は、フィリピンで唯一の原発であり、故フェルディナンド・マルコス大統領の時代に建てられた(1984年完成、未稼働)が、反対運動の盛り上がりと安全上の問題のため稼働することはなく、プラントに燃料が供給されることもなかった。1984年に完成してからすでに36年が経過しており、再稼働させるには大きな問題がある。(バタアン州は、マニラ湾を挟んで首都圏マニラの対岸西側にある半島に位置しており、もし福島規模の原発事故が起きればマニラは壊滅する)

2)ドゥテルテが突然、原発再計画を提案

 ロケ大統領報道官は10月1日、エネルギー省(DoE)に対する「バタアン原発の再開を調査せよ」というドゥテルテ大統領の執行命令を公表した。

 建設を一時停止したまま放置された原発を復活させる計画について、「最近の会議で、大統領、エネルギー省長官アルフォンソ・クシと、核エネルギー推進者グループを率いる元パンガシナン代表マーク・コファンコによって議論された」と述べた。

 大統領は「土地の調査から始めるべきだ。また原発を再開する決定は政府だけで行ってはならない、バタアンの住民に相談してほしい」と述べたという。

 2020年7月にはすでに、ドゥテルテ大統領は国のエネルギー・ミックス計画の一部として原発を利用する可能性を研究するエネルギー省が率いる「原子力エネルギー・プログラム機関委員会」の創設を求める執行命令116に署名していた。(下記参照)

3)原発再計画の背景

 経済成長著しい最近のフィリピンは、慢性的に電力不足に悩まされており、政府が原発計画を再提案した事情は容易に推測できる。

 バタアン原発は建設にまつわる汚職により政権近くの有力者が利益を得てきたし、1980年代に原発を建設した米ウエスティング・ハウス社(当時)なども儲かった。核燃料は搬入されていないから汚染はされていないので、観光客が原発の内部まで見学できる「観光施設」になってきた。建設に関する費用、膨大な借金を返すのに2007年4月までの23年ものあいだフィリピン政府は税金から、すなわちフィリピン国民が原発債務を支払ってきた。フィリピン国民以外は、みんなにハッピーな結果をもたらしたバタアン原発だったのだ。

 今回の再計画も、フィリピンの有力者が「柳の下の二匹目のどじょう」を狙うもので、同じパターンで利益を得ようとしているのは間違いない。ドゥテルテ政権にすり寄って建設=利益にあずかろうとしている。

4)バタアン原発反対運動

 1980年代からバタアン州を中心に原発建設反対運動は続いてきた。「核廃絶バタアン運動」(Nuclear-Free Bataan Movement)が中心になって、さまざまな市民グループが協力して反対の声を上げてきた。以下にNFBMの声明を紹介する。

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<バタアン原発の内部(未稼働であり、核燃料が供給されていないので、安全であるとして内部が観光客に公開されている世界で唯一の原発)>

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大統領執行命令番号 116、p 2020
2020年7月24日に署名
マラカニアンパレス(大統領府)、 マニラ
フィリピンの大統領による 執行命令番号 116
核エネルギー計画に関する国の見解の採択、核エネルギー計画機関間委員会の設置、およびその他の目的のための調査を指示する。」  アップロード日:2020年7月29日


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「核技術は過去のもの、
再生可能エネルギーは未来のもの」


2020年10月2日  声明を発表
核廃絶バタアン運動( Nuclear-Free Bataan Movement)
フランシスコ・ホンラ事務局長
、NFBM


 2011年の福島第一原子力発電所のメルトダウン以来、ほとんどの国が核技術に背を向け、再生可能エネルギーの解決策を採用しています。

 日本の福島県にある福島第一原発から太平洋に漏れ出た放射性物質に対して、科学者たちはまだ適切な解決策を提供していないことを忘れてはなりません。福島第一原発から太平洋に流出した放射性物質や汚染水は、300万トン以上と推定されています。

 脱原発バタアン運動は、フィリピン政府のクシ・エネルギー長官に、20万メガワットの再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、バイオマス、地熱を組み合わせたもの)の可能性をフィリピンで実現させるよう強く求めています。私たちは、日本(福島)、ロシア(チェルノブイリ)、アメリカ(スリーマイル島)のような他国の経験から学ぶ必要があります。また、バタアン原発の休止を勝ち取った私たちの歴史的立場から学ぶ必要があります。

 フィリピンで電力需要が増大しており、特に原発の必要性を訴える声が再び膨らんでいることを、私たちは知っています。開発を推進しているのはビジネスの利益であり、公共の利益ではありません。バタアン州石炭火力発電所拡張と同じです。バタアン石炭火力発電所の拡張は、健康や経済的に悪影響を及ぼすにもかかわらず推進され、地域社会の健康や経済的な維持に影響を与えています。
 フィリピン政府の現在のエネルギー戦略は近視眼的です。気候変動に関する重要な目標を達成するまでの期間は、12年を切っていることを考慮に入れていません。

 反対する声を黙らせるために、現政府が批判者への強硬で懲罰的な叱責・弾圧によって人々の目をくらませ、原発推進を早急に進めることに躍起になっている一つ一つの事実を、私たちは確認しています。

 原発は安全ではないばかりか、経済性がありません。「世界のどこでも建設するにはあまりにも高価である」という菅直人元日本首相の言葉を支持します。

 国際原子力・放射線事象評価基準(The International Nuclear and Radiological Event Scale)は、福島第一原発事故とチェルノブイリ(1986年)を主要な原子力事故として分類しています。これらの事故は、放射性物質の大規模な放出を伴う事故であり、健康と環境への影響が広範囲に及ぶため、計画的かつ長期的な対策を必要とします。日本はその被害のために未だ苦しんでいます。

 フィリピンで同様の事態が発生した場合の被害の大きさは想像に難くありません。このような最悪の事態には、いくら技術的な専門知識を持っていても対応できません。

 原発を受け入れるな!
 後戻りしないようにしよう!

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ドゥテルテが、米兵ペンバートンを恩赦 [米兵によるレイプ事件、犯罪]

ドゥテルテが、米兵ペンバートンを恩赦、
 
コロナ・ワクチンと取引か!


 2014年10月、米海兵隊伍長スコット・ペンバートンが、フィリピン人トランスジェンダー、ジェニファー・ロードさんを殺害した。2015年、ペンバートンはフィリピンの裁判所で10年の有罪判決を受け、現在までの約5年半刑に服していた。ただし、通常のフィリピン刑務所ではなく、アギナルド基地内で米軍の影響下で服役していたに過ぎない。

 ペンバートン伍長は2014年当時、米フィリピン合同軍事演習に参加するためにスービック基地に滞在していた。スービック基地はかつて米海軍基地であった。近くのオロンガポ市のモーテルでペンバートンは、「ロードさんとセックスをした後、男性器を発見し怒って殺害した」と供述している。ロードさんの遺体は、便器に頭を突っ込まれ身体はベッドシーツに包まれた状態で発見された。

 2014年当時、米兵によるトランスジェンダー女性の殺害、その扱いの非人間性に対して、民主団体、女性団体、LGBT団体から大衆的な批判がなされ、フィリピン社会を覆った。それとともに、米軍が自由にフィリピンに入出国できることがそもそもの原因であり、根拠となっている「米比軍訪問協定(VFA)」廃棄の声もひろがった。

 この服役中の「厄介者」に対して、ドゥテルテ大統領が9月7日突然、「恩赦」を与えた。「恩赦」により「国外追放」が可能となり、米政府・米軍の要望に沿ってペンバートンは解放されることになった。9月13日、彼は米軍機でフィリピンを離れた。

 なぜ、ドゥテルテは今になって突然、恩赦を与えたのか? 
 米政府との間で、ペンバートンの恩赦と、コロナワクチンの供給の取引をしたことを、ドゥテルテは隠さない。

 大統領府広報官のハリー・ロケは、「大統領がペンバートンに恩赦を与えたのは、アメリカからワクチンを入手したいという大統領の願望の一環だ。パンデミックが流行している今、フィリピン人のためにワクチンを入手することに重点を置いている」と率直に述べている。

 ドゥテルテの措置、すなわち犯罪人を勝手に恩赦にし釈放したことに対して、女性団体、LGBT団体から批判が相次いでいる。

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<9月8日、首都圏でペンバートン受刑者への恩赦に対する抗議デモをする人々(AFP=時事)>

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女性団体カイサカ(Kaisa ka)の声明
ヴァージニア・ラクサ・スアレス議長(VIRGINIA LACSA SUAREZ KILUSAN SecGen KAISA KA)


 ドゥテルテ大統領は、殺人罪で有罪判決を受けた米海兵隊員ジョセフ・ペンバートンを、10年の刑期より4年早く恩赦した。この決定は、米海兵隊員の早期釈放に異議を唱えようとしている現在進行中の法廷手続きを事実上飛び越えたものである。そう、ペンバートンが他の受刑者と一緒にフィリピンの刑務所で服役したことなどなく、アギナルド基地の中にある米兵とフィリピン兵が守る特別な収容所で服役していたことを考えれば、これはフィリピン人にとって不愉快な出来事である。

 この動きはフィリピンの司法制度を侮辱するものであり、主権の侵害である。ペンバートンの有罪判決を、わがフィリピンの裁判所で勝ち取ったという勝利を、妥協の産物に変えてしまった。正義とは何かという問いを、悲劇的なパロディに変えてしまった。

 これはドゥテルテが志向する政権の振る舞いであり、フィリピンの人々に背を向けることができ、外国による支配に直面しても主権を守ることができない、あるいはやる気がない政権であることを示して見せた。

 フィリピンの人々はこのようなことを受け容れるわけにはいかないし、単に屈服して前に進むべきではない。

 ペンバートンは自由を得たかもしれないが、ロード事件は、私たちフィリピン人が求め続けなければならないこと、すなわち、外国の独裁や介入から自由な真の独立した主権国家であらねばならないということだ。

 我が国は、VFA駐留軍協定、米比相互防衛条約、米比防衛強化協力協定(EDC)のような不平等な安全保障関係に縛られたままである。米国や中国のような外国の利益を重んじる政府関係者に悩まされ、主権国家としての権利を主張する政治的意志を行使することに何度も失敗している。

 私たちは、アメリカとその容赦ない戦争マシンによって、これまでフィリピン人民に押しつけられてきた永く続いている歴史的な不正を跳ね返し、フィリピン人のための正義の追求を続けなければならない。

 私たちは、毅然としていなければならず、政府を追及し、人民にとって正しいことを実現し、主権と国の財産のための戦い一緒に立たなければならない。
 私たちは、勝ち取らなければならない!

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s-2015年12月1日に収監されるために国軍本部に到着したペンバートン受刑者(EPA=時事).jpg
<2015年12月1日に収監されるために国軍本部に到着したペンバートン受刑者(EPA=時事)>

殺人者は別の殺人者を赦す

トゥルーカラー連合によるリリース。運動の旗の下に結集したLGBT組織
ペンバートン伍長の大統領恩赦に反対するLGBTQI団体の統一声明

 私たちは、2014年にオロンガポ市でフィリピン人トランス女性ジェニファー・ロードさんを殺害した罪で有罪判決を受けた米海兵隊ジョセフ・スコット・ペンバートン伍長にロドリゴ・ドゥテルテ大統領が与えた恩赦を強く非難します。

 ペンバートン伍長が10年の実刑判決のうち、「5年10ヶ月のあいだアギナルド基地の特別留置場で服役したことで不公平を被った」というドゥテルテ大統領の主張は、受け入れがたいものであり、まさに滑稽です。ペンバートンは、フィリピン服役囚が通常収容される国立ビリビド刑務所で服役すべきであり、大統領はアメリカ人ではなくフィリピン人に大統領恩赦を与えることができたはずです。

 大統領が行ったこのような行為は、現政府がいかにCOVID-19パンデミックを、フィリピンの人々に深遠な苦しみ、侮辱、不正を引き起こした外国、すなわち米国の利益を促進し、屈服する機会として利用してきたかを証明しています。

 大統領府ロケ報道官は、以前の声明では、オロンガポ裁判所のペンバートン釈放命令を「司法の行き過ぎ」と非難していたにもかかわらず、撤回しました。恩赦は、LGBTQIコミュニティへの大統領の支持表明が単なる見せかけだと証明しました。ドゥテルテと彼の実績の「真実」は、指導者として不誠実であり、女性蔑視でありLGBTQIに偏見を持っていることを暴露しています。

 ドゥテルテ大統領によるペンバートン伍長の恩赦は、フィリピンのトランスジェンダーや女性の命は重要ではない、トランスジェンダーに対する差別や暴力が襲う季節が到来している、米兵はフィリピンの地で殺人を犯しても逃げおおせる、という明確なメッセージを発信しています。

 LGBTQIコミュニティ全体と私たちの同盟が、ドゥテルテの反トランスジェンダー、反LGBTQI、反女性、反国民政策に反対するために団結することを、私たちは強く求めます。ドゥテルテはLGBTQIコミュニティのために最も多くのことをしてきた大統領だというプロパガンダに反して、彼がしてきたことは、自分の人気を高めるためにLGBTQIコミュニティを利用しただけでした。彼の政府は、私たちの利益に奉仕したことも権利と生活を守ったこともありません。現在に至っては、「殺人者だけが別の殺人者を赦す!」という真実を証明して見せています。

 ・被害者ジェニファー・ロードに正義を!
 ・米兵ペンバートンを刑務所に入れろ!
 ・トランスライフのための正義を!
 ・VFA(米比軍相互訪問協定)を廃棄しろ!
 ・ドゥテルテを追い出せ!

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「金融危機は今すぐ起きそうではないが、いずれ今後起きる」 [世界の動き]

「金融危機は今すぐ起きそうではないが、いずれ今後起きる」

1)3月危機

 コロナ危機が世界中に広がるという「想定」から、20年3月、株価が急に暴落したばかりか、金・米国債市場からも資金が流出し、機能不全に陥った。暴落を恐れ、あらゆる投資が「現金」へと向かい、流動性が一瞬にして消失した。各国中央銀行は、大量の資金で国債を買い支え、金融緩和を行い、爆発を回避することができた。あれは金融恐慌に至る一歩前でぎりぎりの対応だった

2) 金利低下、金利変動なし
 
 コロナ危機で、各国中央銀行は大量の金融緩和を行い国債を買い支えた。さらに各国政府は中央銀行と組んで、巨額の財政支出に追い込まれた。

 米10年物国債利回りは、20年4月以降、0.7%のままだ。
 イールド・カーブ・コントロール(YCC)を導入した日本は、金利変動がほぼ消えた。
 日本の国債の価格・金利が、「動かなくなって」すでに久しい。金融緩和によるカネ余り主導で株高が続く。クレジット市場もその後を追うだろう。これらのことはすでにバブルの域に入っていることを示している。

 クレジット市場は、「炭鉱のカナリア」で金融危機に際し、まずその価格が動くだろうが、現在はその動きは見えない。金融崩壊をもたらす爆発のマグマが地下で増大しているような不気味な「危うさ」が広がっている。

3)政府の企業への資金繰り支援策

 コロナ危機で各国政府とも、企業に給付金利子補給の実質無利子・無担保融資などの制度で支援している。当面は企業の資金繰り悪化や倒産などを防いでいるが、この先景気が回復しなければ、これら融資は不良債権に転化する。銀行は貸し倒れに備えた与信費用が一段と膨らむ。
 信用コストが膨らめば銀行の財務にも響く。

4)日銀「金融システムレポート」  

 10月22日、日銀は「金融システムレポート」を公表(半年に1度公表)した。レポートは、「新型コロナ感染拡大による回復が滞ると、貸し倒れに備えた与信費用の増加などで大手銀行の自己資本比率が2022年度に最大4.6㌽下がる」と試算している。

リスクシナリオの場合の試算」:銀行は22年度には自己資本規制8.5%を下回る。
   ・大手銀行では自己資本比率:7.6% 19年度比▲4.6㌽
   ・地方銀行では      :7.1% 19年度比▲2.8㌽

 自己資本比率が8%を切ると銀行は貸出を減らす行動をとる。そうなれば、資金繰りが悪化しての倒産・廃業が増加する。

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<日銀>

5)すでにバブルの域か?

 世界の金融の大きな問題は、コロナ発生前でさえ、多くの企業などの借入比率が極端に高かったことだ。
 コロナ危機で、さらに借入比率は拡大しているはずだ。現在はローン返済の猶予を認める各国の大々的な政策で、損失の全容がまだ見えない。

 大手米銀行は、危機に対処するため準備金を積み増しているが、例えば、インド、イタリア、そのほかの新興国・途上国の銀行は備えができていないし、備えることができない。

 世界的に見ると「まだら状」ではあるが、中国など一部を除き、欧米日など多くの国々で経済のV字回復の可能性はますます遠のいている。企業の資金繰り悪化と倒産が、これから顕在化するだろうし、不良債権が積み上がるだろう。
 金融緩和で国債の利回りが世界的に急低下しており、超低金利は銀行から稼ぐ力を奪っている。リターンを求めて高リスク投資を増やせば、金融システムが崩落・爆発する危険を大きくすることになる。

 国際決済銀行(BIS)ヒュン・ソン・シン
 「コロナショック当初(20年3月)は、流動性危機が最重要課題だったが、現在はそれが支払い能力の危機へと変わってきている。銀行はいずれ(脆弱な企業を襲う経営破綻と不良債権の波の)矢面に立つことになる
 「銀行は危機の発生源ではないにしても、無傷ではいられない」 
 「調査結果は、すでに融資基準が相当厳しくなっていることを示している」(10月15日、日経)

 世界銀行・首席エコノミストカーメン・ラインハート
 「金融業界の脆弱性に目を向けると長期的には、かなり悲観的にならざるをえない」 
 「信用収縮が起きる公算は本当に大きいと思える」(10月15日、日経)

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<世界銀行>

 金融システムの慢性的に負荷が増大している。ただ、金融危機は必ずしも、リーマン・ブラザーズが破綻した時のような道筋で爆発するわけではない。
 どのような道筋を経て金融の混乱、金融危機が起きるか? あらかじめ想定することは難しい。
 が、おそらく、次のような過程をたどるのではないか?

 今後、企業への資金繰りが悪化し倒産に至れば、貸し手である金融機関にデフォルト(債務不履行)がじわじわと増えるだろう。そうなれば、金融システムにかかる負荷が増大し(自己資本比率が下がり)、与信条件が厳しくなるだろう。その過程が、仮に急速に進めば、信用収縮、さらには金融恐慌へと至るだろう。

 20年3月以降、各国の中央銀行は、市場機能を維持するためには「必要なことは何でもする」意思を明確にしているし、欧米の銀行の自己資本率は08年に比べまだ高いことなどから、今すぐ金融危機には至らないかもしれないが、いずれ起こるだろう。
 いまは金融爆発に向けて可燃物を蓄積している状態だ。(10月27日記)
(文責:小林治郎吉)










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米大統領選挙で何が変わるか? [世界の動き]

米大統領選挙で何が変わるか?

1)トランプの外交政策とは? 何をしてきたか?

米中対立をあおり、世界を分断した
 中国に対し貿易戦争を開始し、ハイテク戦争にまで発展させた。米ドルが国際通貨であることを利用し、「安全保障」のためという根拠のない身勝手な理由で、中国企業・個人に「経済制裁」を加え、中国ばかりか友好国へも中国製品(ファーウェイ製の5G 基地局など)を採用しないように脅しをかけてきた。傍若無人の振る舞いだ。この米中対立は世界経済を分断しつつあるし、政治的な対立をも生じさせている。一方的に米国に原因と責任がある。中国とのハイテク戦争を、民主党は支持している。

 中国は経済封鎖、制裁に対抗するために、半導体の自国開発・調達策をとらざるを得なくなっている。そのために多額の開発資金を実際に投資している。今や半導体の設計開発ソフト・製造技術・素材材料などにおいて全面的な開発競争に入っている。ファーウェイは携帯電話や基地局の輸出が不可能となり、中国国内以外の売り上げは落ちている。当面は米国有利に展開しているようだが、最終的にどちらが覇者になるかは不明だ。中国の半導体開発、自国調達ができるようになれば、いずれ決着がつくだろうが、それまでは数年単位の長い時間を要するだろう。

中東の新たな枠組みをつくった
 在イスラエル米大使館をエルサレムに移した、イスラエルが第3次中東戦争で占領したままのシリア領ゴラン高原のイスラエル主権を、トランプ政権は初めて認めた。
 そのうえで、イスラエルとバーレーン、UAEとの国交回復実現を、トランプ政府は背後から推し進めさせた。今後、サウジを含めた湾岸諸国とイスラエルとの経済関係が拡大していくだろう。イスラエルは湾岸諸国、ば^レーンから石油を輸入することができるようになった。

 パレスチナ問題の正当な解決を強く主張してきたリビア、シリア、イランにを敵視し、リビア、シリアには戦争を仕かけ、様々な理由をつくり出してイスラエルとともに軍事的に攻撃してきた。その一方で米国は、親米的なサウジや湾岸諸国に対する「アラブの大義」を放棄させ、イスラエルとの友好関係の拡大へと転換させてきた。中東の支配者たろうとするサウジはこの米国の中東政策に乗った。
 米政府は、不法の上に不法を重ねている。中東における対立は新たな内容をはらみつつある。

③トランプの「悲願」公約であった米軍の紛争地からの撤退や、ロシアとの良好な関係の構築は進展しなかった
 この「公約」に対して、米支配層・軍産複合体があらゆる手段を動員し反対し押しとどめた。「ロシア疑惑」など、まったく証拠も示さないフェイクニュースで世論をつくり、プーチンのロシアとの接近をさせなかった。米民主党は米支配層・軍産複合体の意向にしたがって動き、公約を実現させないように振る舞った。オバマ、ヒラリー米民主党政権は、軍産複合体と「親和性」高かった。
 その結果、トランプ政権は米支配層、軍産複合体の意向に沿った軍事戦略をとることになった。軍事戦略はオバマの時とほとんど変わらず、軍産複合体の意向通りとなった。
 ただしその軍事戦略は、例えば中東ではうまくいっていない。シリアでは米軍は敗北し撤退した、アフガンでも米軍は現地での戦闘で敗北を重ね、撤退へと追い込まれている(=タリバンとの和平交渉し米軍は撤退しようとしている)。イラクでも米軍の存在は人々の非難の対象となっている。

「パリ協定」からの離脱、地球温暖化対策の国際的枠組みから離脱した。トランプの支持基盤である石炭・石油業界の利益確保を優先した。トランプは「取引」で目先の成果を上げ、石炭・石油業界に利益をもたらし、支持を得ようとした。

⑤18年に「イラン核合意」を破棄した。英仏独ロ中とともに努力の末、「核合意」したにもかかわらず、米国だけが勝手に破棄した。その「狙い」は、イランの原油輸出を「制裁」で抑え、米シェールオイル輸出を増やすという目先の利益獲得のためだ。中東の緊張を高めたい軍産複合体は、この「核合意破棄」を支持した。米国支配層内では特に強い反対はなかった。
 トランプ政権はベネズエラへのクーデターを支援し、介入したが、「失敗」に終わった。しかし、ベネズエラのマドゥロ政権は「民主的でない」とイチャモンをつけ「制裁」を発動し、ベネズエラ石油の輸出を減らすことに成功した。そのことにより、米シェールオイル輸出を拡大させた。米民主党もベネズエラ政府批判、制裁では同調している。

⑥トランプはコロナ危機のさなかに、WHOを脱退した。米国でのコロナ対策に失敗し、感染拡大を招いたので、中国とWHOを名指しして非難し、自身への批判から逃れようとしている。

⑦NATOへの米国の関与・負担に疑問を呈し、各国に軍事費増大を求めた。日本への軍事負担要求、米兵器の購入要求を強め、安倍政権は従った。日本政府に対してはトランプの「取引」は成功した。

⑧北朝鮮との関係改善をはかった。実際には進展はなく、一つの「ショー」を演じて見せた。

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<バイデン元副大統領とトランプ大統領>

2)バイデンになったら、何が変わるか?
まず外交は

対中国政策については、変わらない
 共和党・民主党ともにトランプ政権以前から、中国の台頭・影響力強化を「敵対視」し、抑えつけようとしてきた。対中強硬策は、米国内では超党派の路線なので、バイデンになっても変わらない。発言の「トーン」は変わるだろうが、実質は変わらない。バイデンになっても、米中対立は激化し、経済的なブロックの形成から、政治的な対立にまでおよび、世界はいっそう分断されるだろう。

中東での新たな枠組み、すなわちイスラエルとバーレーン、UAE間の国交回復はそのまま引き継ぐはずだ。サウジとイスラエルの国交回復、経済関係の実現・拡大を支えるだろう。
 サウジや湾岸諸国にとっては、原油収入があるうちに早急に「時代の流れ」である「エネルギー転換」を実現し「産業転換」しなければならない。でなければ未来はない。そこにイスラエルの技術が必要なのだ。米国の傘下でこれを実現しようとしている。バイデンもこれを支えるだろう。
 リビアのカダフィ政権を潰し、シリアのアサド政権に戦争を仕掛け、イランを敵視する中東政策の基本は変わらないだろう。バイデンとて、中東政策において親イスラエル、親サウジの立場は変わることはない、したがって、パレスチナを見放し、イラン敵視する政策は、大きくは変わらないだろう。

③NATOや日本韓国そのほかの同盟国との関係は、トランプの乱暴なやり方は控え「波風」を立てないようにはするだろうが、基本は変わらない。日本を含む同盟国に対し軍事費の負担増、米兵器購入要求は引き続き強要する。とくに東アジアにおいて、日本や韓国に「相応の軍事費の負担」を強要するだろう。

「パリ協定」復帰、WHO復帰、「イラン核合意」復帰は可能だ。バイデンは復帰すると言っているし、おそらく復帰するだろう。
 トランプ政権で生じた同盟国との間の「波風」を収め、同盟国の協力と「相応の負担」を求める従来の米民主党の外交政策に転換するだろう。

 バイデンは国内政策においては、いくらか異なる主張をしている。しかし、実際に違った政策を実行するかどうか、実際にできるかは、はなはだ疑問だ。おそらく公約通り実現できる可能性は高くない。

新型コロナ対策は、しっかりと対策を立てなければ、経済活動が再開できない。中国はすでに20年7~9月期に前年同期比で経済成長するまでにコロナを抑え込んでいる。
 バイデンはコロナ対策を公約の一つに掲げている。中間層、貧困層の「コロナ不安」を票に取り込もうという戦略からだ。
 トランプでもバイデンでもコロナ対策はせざるをえないだろう。しかし、3,000万人以上もの無保険者が多いこと、資本家はコロナ対策よりも経済活動を再開したいことから、そう簡単に解決はできない。まず財源を確保しなければならない、予算を議会で通さなければならない。それらがまずやるべきことだが、どれほどできるかで対策をどれくらい実行できるかが、政権発足後、半年ほどたてばいずれ判明するだろう。
 バイデンになっても、それほど急にコロナ対策が効果を発揮するとは思えない。

⑥バイデンは、「トランプ減税」(17年)の撤廃と大企業と1%の富裕層の税負担を増やす公約を掲げ、大多数の人々、没落した米中間層へアピールしている。また、「オバマ・ケア」の復活(「国民皆保険制度」ではなく、「オバマケア」)も訴えている。病気になり多額の医療費負担で没落する中間層が増えている。失業して健康保険を失った人も多い。
 掲げている公約は確かに大きく異なる。米社会の貧困化の進行は悲惨な事態を招いているので、格差是正を取り組まざるを得ないのだが、大企業・富裕層は抵抗、もしくはすり抜けに努めるに違いないし、財源の問題もある。民主党内には、国民皆保険制度に反対する勢力がいて、バイデンを「社会主義者」と非難している。容易ではない。実際に、バイデンがどの程度実現できるかは疑問が残る。実現には市民運動、民主運動などの継続した運動が、一層必要となるだろう。

エネルギー転換、温暖化対策を、バイデンは取り組むと表明している。実際のところ、石油・石炭から再生エネルギーへの転換は米経済にとっても中長期的に避けることはできない。バイデンになれば、エネルギー転換、新しい産業革命により一歩、踏み込むことになるだろう。そこに、資本にとっての市場と利益があり、雇用も拡大する。エネルギー転換は欧州や中国との競争になる。2兆ドル投資すると表明しているが、実行できるかどうかは、まだわからない。(日本政府のように、総花的に予算を編成し、結果的には「エネルギー転換が遅れる」事態となることは十分に予想できる。)

 石炭産業、シェールオイル産業などはトランプの支持基盤なので、トランプ政権のままなら、これら産業により配慮するだろうが、彼とて「エネルギー転換」を避けることはできない。実際に、オイルメジャー資本でさえ、石炭・石油など炭素系エネルギーから再生可能エネルギーへ投資を転換しつつある。

3)結論として
 バイデン大統領になったとしても外交政策はほとんど変わらないし、国内政策を転換するにはいくつもの解決しなければならない難題がある、結局のところ、いつもの大統領選挙と同じように、盛り上がった大きな「興奮」の割には、大きくは変わらないのではないかと推測している。

 したがって、11月3日に「革新的な新しい世界が訪れる」ことはない

 米国社会の深刻な貧困化、分断が進行した背景にあるのは、米国の衰退であり中国の台頭であり、世界の無極化である、そのなかで現れた米国の横暴な振る舞い、「悪あがき」である。米国が世界一の軍事力を持っていること、米ドルが国際通貨であることから、今のところ、この「悪あがき」ができるのだ。

 米国内では富者に富を集中しこれまでの既得権益層を満足させてきた。その結果、米国社会で起きているのは、中間層の没落であり貧困層の増大、格差拡大、米社会の荒廃である。
 トランプは社会の分断のなかで広がる人々の不満と不安を、敵をつくり、人種差別を煽り、フェイクニュースでごまかしてきたのだ。
 
 米支配層にとって、このような政府、やり方を「少し」修正せざるをえないところにまで追い込まれている。ただし、米支配層の利益を優先するなら、大きく転換することはなく、「落日の帝国」の様相を一層深めることになるだろう。

 トランプだから「暴君」として振る舞ったのではない。衰退する米国の「悪あがき」なのだ。バイデンになって「衣装」は変わるかもしれないが、「悪あがき」そのものは変わらない。  したがって、われわれの悪夢も当分、続く。(10月26日記)







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安倍政権がもたらしたもの--それは「日本の凋落」 [現代日本の世相]

安倍政権のもたらしたもの---それは「日本の凋落」 

1)安倍政権の「負の遺産」とは何か?

①一言でいえば、「日本の凋落」をもたらした。
②成長が見込めないまま巨額の債務を次世代に持ち越した。
③中間層を没落させ貧困層を増大させた。不安定雇用労働者を増大させ、格差を拡大した。
④戦後75年経っても近隣諸国と融和できず
エネルギー転換に失敗し、
米中新冷戦に手をこまぬいている。
⑦コロナ危機で「政府が機能しない」危機が露呈したが、いまだに解決できない。戦中の日本支配層と同じだ、間違いが露呈しても、修正や転換がもはやできない。
 コロナ危機に対し、同じ東アジアの中国、韓国はすでに経済成長局面に入っているのに、無策の日本は経済再開で大きく出遅れている。

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<「欧米に比べ、一向に上がらない日本の賃金」 10月15日 日本経済新聞>


2)アベノミクスは何をもたらしたか? 

大規模な金融緩和は脱デフレのカンフル剤にはなったが、弊害が大きすぎた。金融を超緩和したが、2%物価目標は最後まで達成できなかった。そのあと、低金利に誘導し、地銀などの経営難を招いた。

② 日銀による大量の国債購入による財政ファイナンスに走り、政治に財政ポピュリズムが蔓延した。
 その結果、先進国最悪の財政危機(GDP比266%)に陥っている。2度の消費税率引き上げでも克服できない。コロナ危機の財政対策でさらに財政危機が拡大した。もはや抜け出せない

③ 肝心の成長戦略は空回り。労働生産性はOECD諸国で下位に沈んだ。コロナ危機で「IT後進国」であることが露呈した。したがって、コロナ後の経済成長が欧米に比べてさえ、鈍い、遅れている。

格差拡大、日本の賃金は一向に上がらない。
 富の「トリクルダウン効果」(滴り落ちる効果)と称し、当初大企業・富裕層を豊かにしたが、大企業・富裕層はその後、利益を滴り落さなかった。中間層・貧困層にまで行き渡らせるどころか、中間層を没落・貧困化させた。日本の賃金は一向に上がらない。大資本は内部留保・民間企業預金を増大させ、金融資本・富裕層は資産を増やした。格差拡大がいっそうすすんだ。

不安定雇用低賃金労働者層を増大させた。「女性の活用」と称してパートや派遣などの、年金支給を抑えるため高齢者層の、「技能実習生」制度によって外国人労働者などの、低賃金単純労働者を増やした。結局のところ、旧態依然とした「不安定雇用低賃金労働者層」を増大させた。そのことは「労働生産性」が上がらないこと、賃金が上がらないことと表裏一体である。

⑥「新エネルギーへの転換」に失敗した。安倍政権は発足当初から、原発推進・高効率石炭火力発電を推進したが、現在では原発・石炭火力共に未来はないことが明確になった。世界は再生エネルギーへの転換に向かっている。
 エネルギーの未来を見誤り、エネルギー転換に失敗した。原発は危険であるばかりか、コスト高で(1kW 発電するのに16円かかる)経済性がない、世界は脱CO2からESG投資志向を強めており、石炭火力事業者はもはや資金調達できない。風力発電、太陽光発電に世界は移行しているが、日本は大幅に遅れている。

3)安倍政権の「政治手法」と長期安定政権であった理由

大資本が安倍政権を支持したことが「長期安定政権」になった第一の理由だ。政権発足と同時に大規模金融緩和を実施し、大資本・金融資本の利益を保障した。これにより、大資本が安倍政権を支持した。大資本に責任がある。

②格差拡大、貧困化がすすみ、不安や不満は広がったが、安倍政権の「政治手法」で日本政府・自民党に対する批判から目をそらしてきた。

 すなわち国内外に「敵」をつくりだし、中国、韓国・朝鮮を非難する排外主義を煽り、国民を分断支配し、市民運動・市民団体に嫌がらせし、人事で官僚を統制し、マスコミを支配し政権に都合のいい報道に統制した、とともに、政権周辺とつながったネトウヨによる宣伝・攻撃を行い世論をリードした。これらの「政治手法」が、安倍政治を支えた。

 特徴的なのは、「」でTV・新聞などの主要メディアを支配し政権の影響下において巧妙に利用したことだ。これと並行し「」で、ネトウヨを政権影響下におき、政権擁護の情報の発信、政権を批判する人の人身攻撃を行った。ネットと孤立した個人との直接結びつきをつくり、世論を形成する手段を手にした。
 これは安倍政権が獲得したかつてない「政治手法」だ。非常に危険だ。

山口敬之レイプ事件、森友学園事件、加計学園事件、桜を見る会、河井夫妻の事件などで、安倍政権は己の腐りきった本質をさらけ出した。不正をはたらき、それを隠すために嘘をつき、その嘘を誤魔化すためにさらなる嘘をつく・公文書を改竄するという悪循環。

 それは一人の真面目な公務員(財務省近畿財務局の赤木俊夫氏)を死に追い込んだ。高い倫理観を持つ者が罰せられ、阿諛追従(あゆついしょう)して嘘に加担する者が立身出世を果たすところに、その特徴がある。アベノマスク配布の事業委託による利益供与もそうだが、事件の内容・レベルが、政権周辺の人物に利権を配るという極めて低劣なところに特徴がある。「政権周辺にいれば利権を得ることができる」と誘導し、議員・官僚・業者らは群がり従い、意識的に政権取り巻きをめざすという「絵に描いたような」腐敗政治を行った。

4)外交、米国・トランプとの蜜月 

①トランプの「米国第一主義」を容認追随した。米国利害をもとに外交を展開し、国際関係を混乱させ、WTOやWHOを機能不全に陥れたトランプ政権を押しとどめるどころか、追従した。

②2015年の安保法制制定により、「集団的自衛権」を理由に戦争のできる国にした。米国に従った戦争である。「集団的自衛権」とは米国の自衛権であり、米国の戦争にほかならない。
 米国のパリ協定やイラン核合意からの離脱、INF(中距離核戦力)廃棄条約の破棄など、世界の安全と平和を危険に晒したが、これを真正面から批判しなかった。広島・長崎の戦争における被爆国であるにもかかわらず、「核保有国の橋渡し役を務める(=米国の顔色をうかがう)」という理由で、「核兵器禁止条約」を批准しなかった。イラン包囲の「有志連合」に実質的に加わり、集団的自衛権を楯に自衛隊を中東に派遣した。

米国の中国包囲網に加わり、米中新冷戦を止められなかった。それどころか米に追随した。ASEAN諸国でさえ、米中等距離外交を推し進め独立的に振る舞っているにもかかわらず、日本政府はトランプ外交に追随し、米国従属を深めた。

徴用工問題での対立で、韓国への半導体材料・部材の輸出を絞って「いやがらせ」をしたが、結果、シェアを失った。貿易などを見ても2000年頃の中国、韓国の日本経済への依存度は、高かったが、日本政府の嫌中・嫌韓政策により、中国・韓国とも独立志向を高め、2020年には日本経済への依存度ははるかに低下した。同様に東アジアでの日本経済の地位は大きく低下した。(日本経済のGDP世界シェア:2000年14%、2019年6%)
※下記参照:「中国の貿易に占める各国・地域の割合」

国際社会で日本政府の地位と権威が低下した。日本政府の国際社会への発信・外交は、トランプ追随へと一層傾斜して「独立性」を喪失し、国際社会は日本外交への信頼と期待を失った。
 曰く「日本政府の立場・見解は聞かなくてもわかる!どうせ米政府に追随するのだろう!
日本は国連の安全保障理事国になりたいと表明しているが、支持しかねる。なぜならば、横暴な米国の票が一票増えるだけだからだ。

4)「政治手法」を継承する菅新政権

 安倍政権の「政治手法」を引き継ぎ、既得権益層の利益を守る政権であり続けるために、首班として菅が選ばれた。
 菅政権は、「日本の凋落」をもたらした安倍の二番煎じ、三番煎じだ。期待などできない。

 菅政権の性格は、上記の安倍政権の評価、特徴づけをベースに捉えて大きくは間違っていないだろう。したがって、批判の方向、内容も当面、同じで、当面は問題なかろう。


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 ※中国の貿易に占める各国・地域の割合 (2020年7月15日、日本経済新聞)
    2020年1~6月期        2000年
 1)ASEEAN: 15%(約32兆円)   1)日本  :18%
 2)EU   :14%        2)米国  :17%
 3)米国  : 11%        3)EU   :16%  
 4)日本  : 7%          4)ASEAN : 7%
 5)韓国  : 7%        5)韓国   : 7%


s-ASEAN貿易の中国への依存度.jpg

(文責:児玉繁信)









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