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安倍政権がもたらしたもの--それは「日本の凋落」 [現代日本の世相]

安倍政権のもたらしたもの---それは「日本の凋落」 

1)安倍政権の「負の遺産」とは何か?

①一言でいえば、「日本の凋落」をもたらした。
②成長が見込めないまま巨額の債務を次世代に持ち越した。
③中間層を没落させ貧困層を増大させた。不安定雇用労働者を増大させ、格差を拡大した。
④戦後75年経っても近隣諸国と融和できず
エネルギー転換に失敗し、
米中新冷戦に手をこまぬいている。
⑦コロナ危機で「政府が機能しない」危機が露呈したが、いまだに解決できない。戦中の日本支配層と同じだ、間違いが露呈しても、修正や転換がもはやできない。
 コロナ危機に対し、同じ東アジアの中国、韓国はすでに経済成長局面に入っているのに、無策の日本は経済再開で大きく出遅れている。

s-欧米に比べ日本緒賃金下落.jpg
<「欧米に比べ、一向に上がらない日本の賃金」 10月15日 日本経済新聞>


2)アベノミクスは何をもたらしたか? 

大規模な金融緩和は脱デフレのカンフル剤にはなったが、弊害が大きすぎた。金融を超緩和したが、2%物価目標は最後まで達成できなかった。そのあと、低金利に誘導し、地銀などの経営難を招いた。

② 日銀による大量の国債購入による財政ファイナンスに走り、政治に財政ポピュリズムが蔓延した。
 その結果、先進国最悪の財政危機(GDP比266%)に陥っている。2度の消費税率引き上げでも克服できない。コロナ危機の財政対策でさらに財政危機が拡大した。もはや抜け出せない

③ 肝心の成長戦略は空回り。労働生産性はOECD諸国で下位に沈んだ。コロナ危機で「IT後進国」であることが露呈した。したがって、コロナ後の経済成長が欧米に比べてさえ、鈍い、遅れている。

格差拡大、日本の賃金は一向に上がらない。
 富の「トリクルダウン効果」(滴り落ちる効果)と称し、当初大企業・富裕層を豊かにしたが、大企業・富裕層はその後、利益を滴り落さなかった。中間層・貧困層にまで行き渡らせるどころか、中間層を没落・貧困化させた。日本の賃金は一向に上がらない。大資本は内部留保・民間企業預金を増大させ、金融資本・富裕層は資産を増やした。格差拡大がいっそうすすんだ。

不安定雇用低賃金労働者層を増大させた。「女性の活用」と称してパートや派遣などの、年金支給を抑えるため高齢者層の、「技能実習生」制度によって外国人労働者などの、低賃金単純労働者を増やした。結局のところ、旧態依然とした「不安定雇用低賃金労働者層」を増大させた。そのことは「労働生産性」が上がらないこと、賃金が上がらないことと表裏一体である。

⑥「新エネルギーへの転換」に失敗した。安倍政権は発足当初から、原発推進・高効率石炭火力発電を推進したが、現在では原発・石炭火力共に未来はないことが明確になった。世界は再生エネルギーへの転換に向かっている。
 エネルギーの未来を見誤り、エネルギー転換に失敗した。原発は危険であるばかりか、コスト高で(1kW 発電するのに16円かかる)経済性がない、世界は脱CO2からESG投資志向を強めており、石炭火力事業者はもはや資金調達できない。風力発電、太陽光発電に世界は移行しているが、日本は大幅に遅れている。

3)安倍政権の「政治手法」と長期安定政権であった理由

大資本が安倍政権を支持したことが「長期安定政権」になった第一の理由だ。政権発足と同時に大規模金融緩和を実施し、大資本・金融資本の利益を保障した。これにより、大資本が安倍政権を支持した。大資本に責任がある。

②格差拡大、貧困化がすすみ、不安や不満は広がったが、安倍政権の「政治手法」で日本政府・自民党に対する批判から目をそらしてきた。

 すなわち国内外に「敵」をつくりだし、中国、韓国・朝鮮を非難する排外主義を煽り、国民を分断支配し、市民運動・市民団体に嫌がらせし、人事で官僚を統制し、マスコミを支配し政権に都合のいい報道に統制した、とともに、政権周辺とつながったネトウヨによる宣伝・攻撃を行い世論をリードした。これらの「政治手法」が、安倍政治を支えた。

 特徴的なのは、「」でTV・新聞などの主要メディアを支配し政権の影響下において巧妙に利用したことだ。これと並行し「」で、ネトウヨを政権影響下におき、政権擁護の情報の発信、政権を批判する人の人身攻撃を行った。ネットと孤立した個人との直接結びつきをつくり、世論を形成する手段を手にした。
 これは安倍政権が獲得したかつてない「政治手法」だ。非常に危険だ。

山口敬之レイプ事件、森友学園事件、加計学園事件、桜を見る会、河井夫妻の事件などで、安倍政権は己の腐りきった本質をさらけ出した。不正をはたらき、それを隠すために嘘をつき、その嘘を誤魔化すためにさらなる嘘をつく・公文書を改竄するという悪循環。

 それは一人の真面目な公務員(財務省近畿財務局の赤木俊夫氏)を死に追い込んだ。高い倫理観を持つ者が罰せられ、阿諛追従(あゆついしょう)して嘘に加担する者が立身出世を果たすところに、その特徴がある。アベノマスク配布の事業委託による利益供与もそうだが、事件の内容・レベルが、政権周辺の人物に利権を配るという極めて低劣なところに特徴がある。「政権周辺にいれば利権を得ることができる」と誘導し、議員・官僚・業者らは群がり従い、意識的に政権取り巻きをめざすという「絵に描いたような」腐敗政治を行った。

4)外交、米国・トランプとの蜜月 

①トランプの「米国第一主義」を容認追随した。米国利害をもとに外交を展開し、国際関係を混乱させ、WTOやWHOを機能不全に陥れたトランプ政権を押しとどめるどころか、追従した。

②2015年の安保法制制定により、「集団的自衛権」を理由に戦争のできる国にした。米国に従った戦争である。「集団的自衛権」とは米国の自衛権であり、米国の戦争にほかならない。
 米国のパリ協定やイラン核合意からの離脱、INF(中距離核戦力)廃棄条約の破棄など、世界の安全と平和を危険に晒したが、これを真正面から批判しなかった。広島・長崎の戦争における被爆国であるにもかかわらず、「核保有国の橋渡し役を務める(=米国の顔色をうかがう)」という理由で、「核兵器禁止条約」を批准しなかった。イラン包囲の「有志連合」に実質的に加わり、集団的自衛権を楯に自衛隊を中東に派遣した。

米国の中国包囲網に加わり、米中新冷戦を止められなかった。それどころか米に追随した。ASEAN諸国でさえ、米中等距離外交を推し進め独立的に振る舞っているにもかかわらず、日本政府はトランプ外交に追随し、米国従属を深めた。

徴用工問題での対立で、韓国への半導体材料・部材の輸出を絞って「いやがらせ」をしたが、結果、シェアを失った。貿易などを見ても2000年頃の中国、韓国の日本経済への依存度は、高かったが、日本政府の嫌中・嫌韓政策により、中国・韓国とも独立志向を高め、2020年には日本経済への依存度ははるかに低下した。同様に東アジアでの日本経済の地位は大きく低下した。(日本経済のGDP世界シェア:2000年14%、2019年6%)
※下記参照:「中国の貿易に占める各国・地域の割合」

国際社会で日本政府の地位と権威が低下した。日本政府の国際社会への発信・外交は、トランプ追随へと一層傾斜して「独立性」を喪失し、国際社会は日本外交への信頼と期待を失った。
 曰く「日本政府の立場・見解は聞かなくてもわかる!どうせ米政府に追随するのだろう!
日本は国連の安全保障理事国になりたいと表明しているが、支持しかねる。なぜならば、横暴な米国の票が一票増えるだけだからだ。

4)「政治手法」を継承する菅新政権

 安倍政権の「政治手法」を引き継ぎ、既得権益層の利益を守る政権であり続けるために、首班として菅が選ばれた。
 菅政権は、「日本の凋落」をもたらした安倍の二番煎じ、三番煎じだ。期待などできない。

 菅政権の性格は、上記の安倍政権の評価、特徴づけをベースに捉えて大きくは間違っていないだろう。したがって、批判の方向、内容も当面、同じで、当面は問題なかろう。


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 ※中国の貿易に占める各国・地域の割合 (2020年7月15日、日本経済新聞)
    2020年1~6月期        2000年
 1)ASEEAN: 15%(約32兆円)   1)日本  :18%
 2)EU   :14%        2)米国  :17%
 3)米国  : 11%        3)EU   :16%  
 4)日本  : 7%          4)ASEAN : 7%
 5)韓国  : 7%        5)韓国   : 7%


s-ASEAN貿易の中国への依存度.jpg

(文責:児玉繁信)









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