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アフガン政府崩壊、タリバン政権成立か?  [世界の動き]

アフガン政府崩壊、タリバン政権成立か? 

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<8月15日、カブールの大統領府を掌握したタリバン戦闘員>

1)タリバンが全土平定、首都カブールへ無血入城

 タリバンによるアフガン全土制圧は、予想以上の早さですすんだ。8月6日にタリバンが攻勢に出てからわずか10日で、カブールに15日に無血入城、全土を平定した。アフガン政府軍との戦闘はほとんどなく、地方の知事たちはタリバンに抵抗しなかった。アフガン国民の多くは、むしろ平和的に、タリバンを受け入れた。

 現時点でタリバンは、外国人の脱出を認め、輸送機が離着陸することは許し、対米協力者だったアフガン人が空港に殺到するのもほとんど見逃している。タリバンは元政府軍人や対米協力者に対する「恩赦」を宣言している。現状では国内の統治にある程度の自信を持っているのではないか。(https://diamond.jp/articles/-/280338 2021年8月26日 タリバン「最速の無血入城」は米軍植民地統治の当然の帰結 田岡俊次)

 米国が20年かけて育て上げたアフガン政府軍は、戦闘をすることなしに武器を捨て、我先に逃亡した。ガニ大統領は、政権を放り出して外国へ逃亡した。

 アフガニスタン政府は、多くのアフガン国民の支持を得ていなかったことが、あらためて判明した。欧米諸諸国が「民主主義政権」として成立させたカルザイ、ガニ政権は、けっして「民主主義義政権」ではなかったし、国民の信頼を得ていなかった。それと同時に米政府、米軍が、アフガン国民からまったく支持されていないことも、あらためて判明した。米国と一緒になって軍を派遣した欧州各国政府、日本政府なども、同じく支持されてはいない。

 アフガン国民の多くは、タリバンによる戦争の終結、平和を強く望んだということだろう。欧米政府、軍が、20年かけても「民主主義政権」をつくりあげることはできなかったし、平和をもたらすこともできなかった。その意志も能力もなかったことが示された。アフガン国民の多くは、自身の政府の樹立することで、外国の支配を拒否し、独立を求めたともいえる。(www.youtube.com/watch?v=bcT5Bwz5oWo (4) アフガン全土陥落、米軍撤退~911から20年、日本もかかわった報復戦争【半田滋の眼 NO.39】20210818 - YouTube/)

2)タリバン政権が成立した理由 

 かつて、96年から5年間、タリバン政権があった。ソ連が撤退した後、ナジブラ政権が続いていたが、北部同盟やマスード集団などの軍閥がナジブラ政権を倒し、乱暴狼藉をはたらく暴力支配の政府に代わった。無秩序の部族兵は各地で物資懲発や略奪を続け、国民は悲惨な状態に置かれた。軍閥の各集団は、共産党政権を倒すために米国やサウジから兵器や戦闘指導員等様々な支援を受けてきた。ソ連軍と戦ったアフガンゲリラは8派に分かれて勢力争いの内戦を始めた。生まれたのは軍閥による賄賂、汚職の無法者、乱暴者集団の政府であった。

 腐敗した軍閥政府を倒すために、1994年、パキスタンにあった神学校でタリバンは設立された。(神学生をターリブと呼ぶことからタリバン)。タリバンはイスラム神学校の学生を中心に組織され、賄賂をとらず公平だったので、支持を広げていった。タリバンはイスラム法に基づいた公正な社会の建設をかかげ、戦争・戦闘の終結を実現した。アフガン国民の多くは、戦争を終結させたタリバンを支持し、96年にタリバン政権が生まれた。

 しかし、欧米諸国は自身の思う通り操ることのできないタリバン政権を敵視し、自由に操れる政府に置き換えようとした。2001年の同時多発テロを契機に、米国はビン・ラディンをかくまっているという理由でアフガンに侵攻しタリバン政権を潰し、米国に従う政権=傀儡政権に変えた。この過程で、欧米諸国は、タリバン政権は「無法者集団」というイメージを広めた。実際には、どうもそうばかりはないようだ。タリバンの「悪いイメージ」は、欧米日の報道機関のアフガン戦争を正当化する作為的な宣伝の部分を、差し引いて受け取らなければならない。

3)タリバンが非難されたいくつかの点について

 「無法者集団である」という批判について、中村哲医師は、「タリバンの連中が地元から信頼されている。アフガンの旧来の農村共同体を基盤にしている。・・・・タリバン支配地域では食糧支援は末端まで行き渡った。軍閥支配地域ではそうではなかった。・・・・」と語っている。「無法者集団」という批判は、欧米がつくりだした宣伝の面がある。欧米諸国の思う通りに操れないことをもって「無法集団」と呼んでいる。

 表むき「女子教育」を否定するタリバンだが、建て前と現実では違うところがあるようだ。実際にはタリバン政権下でも、女子教育は従来通り行われていた。男女別の学校だったが、産婦人科の医師、看護婦、助産婦、教師、保育士などの女性への学校教育は行われていた。中村哲氏は、「タリバン政権下で看護教育を受けた看護婦を、自身の病院で雇った」と語っている。女子教育の分野が限られていることや、男女別の学校であって異性と接触できないことなどの問題はあるものの、全面的に女子教育を廃止したわけではない。その点は、軍閥支配のころ、あるいはタリバン政権後のカルザイ、ガニ政府の頃と、ほとんど変わりはない。(中村哲が14年にわたり雑誌『Sight』に語った6万字 2002年
https://www.rockinon.co.jp/sight/nakamura-tetsu/article_01.html?fbclid=IwAR1byGKpsfbAwHAVQ3-jwFYzvVBv8efEi21KLLkBZGBTyxkgil7_FqxFT1c

 偶像崇拝禁止からタリバン政権下でバーミアン遺跡を爆破したのは非難されるべきことだ。タリバンの犯罪行為の一つだ。

 タリバンがよって立つのは、むしろ古い伝統的な、すなわち地主と小作が残存する農村共同体であり、そこでは「個人の権利」や「人権」は尊重されない社会である。それゆえ、さまざまな問題点を抱えているだろうことは、想像される。

 ただ、問題点を抱えてるだろうが、少なくとも欧米やサウジが共産党政権を倒すために支援した軍閥よりも、あるいは欧米が支援して来たカルザイ、ガニ政権よりも、「腐敗・汚職」の点ではずっとマシな政権だった。軍閥は腐敗していたし、無法集団の暴力支配だった。カルザイ、ガニ政権は、欧米の言うなりの政権で腐敗、賄賂が横行しており、ほとんどの国民は支持してこなかった。

4)米国がタリバン政権を打倒した

 2001年9月11日の米同時多発テロの後、ブッシュ大統領はテロに対する戦いを宣言した。アフガンへの侵攻は、米国が黒幕とみなすアルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの引き渡し要求に、当時のタリバン政権が「ビンラディンが首謀者だった証拠は示されていない」ことなどを理由に拒否したことを名目にして始められた。米国が主導する形で国連安全保障理事会では国連安保理決議(1368号)が採択され、NATO(北大西洋条約機構)は集団的自衛権を発動し、米英をはじめとする連合軍が10月7日から攻撃を開始し侵攻した。

 約2カ月でタリバン政権は崩壊し、2001年11月には有志国連合とアフガニスタンの諸勢力の代表らが暫定政府の樹立や国民大会議の招集に合意した。12月には暫定行政機構が発足、2004年12月にはカルザイ大統領が就任した。

 一国が他国へ犯罪人の引き渡しを要求する場合、証拠を示し、どういう罪状であるか、という事実関係の書類、裁判の判決を示して、引き渡しを要求する。当時、米国とアフガン政府(タリバン政権)との間には、「犯罪人引き渡し条約」は締結をしていないが、これに準じた運用をするのが常識だ。

 (※日産のゴーン会長の極秘裏の出国を助けた米国人の引き渡しを、日本政府は「犯罪人引き渡し条約」に基づき米国政府に求めたが、その時、どのどのような手続きを踏んだか、思い起こさなければならない。証拠などの書類、罪状、判決を示したはずだ。「犯人引き渡し」要求には、これに準じた手続きが必要だ。)

 しかし、そういう手続きもなしに米政府は「引き渡し」を要求した。タリバン政権は、裁判が公正に行われるか、など「引き渡し」の条件を確認し、場合によっては引き渡しを検討する立場をとった。

 米国政府はこれらを一切無視して、アフガン政府が「オサマ・ビン・ラディンをかくまっている」という理由で、アフガンへ侵攻し戦争を始め、2ヵ月でタリバン政権を崩壊させた。国家間で対立が生じた場合、武力や戦争で解決してはならないという国連憲章に対する明確な違反である。(www.youtube.com/watch?v=3A4ndNxeX90 2021年7月28日、田岡俊次、デモクラシータイムズ)

 ついでに言えば、2011年5月、パキスタンに隠れていたオサマ・ビン・ラディンを、米軍が秘密裏に(パキスタン政府の了解なしに)、特殊部隊を送り暗殺した。これも明確な国際法違反だ。ビン・ラディンが犯罪人というなら、証拠を示して裁判にかけるべきである。暗殺すること自体が犯罪である。そればかりか、パキスタンの主権を侵害している。パキスタン政府の了解もなしに勝手に米軍を送り、暗殺させている。

 こういう野蛮なこと、不法なこと、犯罪を、米国政府が公然と行い、日本も含む西側諸国政府は、批判・告発せずに支持してきた。これまでも米国はこういうやり方を続けてきた。イラクのフセインもそうだし、リビアのカダフィも同じ。米国は中南米の気に入らない政権は倒し、言うなりの独裁政権に置き換え、力ずくで抑えてきた。戦争後のアフガンの国づくりなどまったくやる積りなどない、米国の利益第一、「アメリカン・ファースト」であって、アフガンの市民のことなど何も考えていない。そのようなことを、アフガン国民は、30年間にも及ぶ戦争状態と支払わされた犠牲を通じて、身に染みて理解している。それゆえアフガン国民は上から下まで反米感情を抱くに至っている。

5)米国がつくったカルザイ政権、ガニ政権はどんな政府だったか?

 ガニ政権は、あっという間に崩壊した。アフガニスタン政府に対する国民の信頼は全くなかったことが判明した。米や欧州諸国は、「アフガンに民主主義国家をつくる」と言ってきたが、つくったのは腐敗と賄賂の傀儡政権だった。

 アフガン政府の財政は、ほぼ全額が外国からの援助で賄われていた。有志国連合側はアフガン政府軍約30万人、警官約10万人を育成しようとしたが脱走者が多く、その給料を幹部が着服することが横行した。30万人の政府正規軍とされてきたが、実際には6分の1しかいなかった。兵士の人数分の援助を外国から得ながら、浮いた人数分は賄賂として政府中枢の要人に分配された。日本も68億ドル(約7,400億円)を支出してきた。額としては米国に次ぐ。主にアフガン政府の警察官9万人の給与の大部分を日本政府が担ってきた。ここでも実際には9万人もおらず、幹部が着服した。

 アフガン政府とは、外国から資金を得る機能をもった「道具」であって、米軍が撤退し資金が入ってなくなり、資金の「吸い口」機能が消えれば役割を終えるのである。群がってきた政権に近い人々はすぐさま離れ、政府が崩壊したのは、アフガン政府のこの性質から来る面が大きい。

 米国は、どうしてしっかりした政治制度をつくらなかったのか? そもそも米国政府にはそのような意図はないからだ。米国がつくる傀儡政権とはそういうものだ。米国は、従わなければ戦争で叩き潰し、自分に従わせる政府をつくる。米国の利害のためにやっているのであって、アフガン国民のためにやっているわけではない。誤爆して多くの民間人が多数死んでも意に介さない。アフガン国民のあいだには、この20年かけて隅々まで、反米感情が広がった。

 米国の対テロ戦争は20年も続いた。米軍の直接戦費は7,700億ドル(約88兆円)と公表された。対テロ戦争の総額は4~6兆㌦(約450兆円~700兆円)に及ぶと、スティグリッツらが試算している。一方で、20年も続けた対テロ戦争によって、米軍産複合体に安定した収入を保障した。

 米軍はこの戦争にピーク時に9万人を派遣、他の国も最大時に約4,000人を出した。米軍の死者は約2,430人、負傷者は2万2,000人余りとされる。他の派遣国軍の死者は約1,150人だった。

 一方タリバン兵は人員約6万人と推定されたが、多くの民衆の協力を得ていた。アフガニスタンの民間人の死者は14万人以上とみられる。(田岡俊次の戦略目からウロコ 2021.7.15)
 
6)米国の威信は失墜した

 度重なる介入失敗の歴史は、米国の国際的威信や信用を傷つけてきた。今回もそうだ。そればかりでなく、経済や社会を破壊し疲弊させてしまった。米軍のアフガンからの敗走は、更なる威信低下を上塗りする。

 イラク戦争でも、米国は「イラクが大量破壊兵器を保有している」と主張し、2003年3月国連調査団の「なかった」との報告を無視してイラクを攻撃し、占領した。大量破壊兵器を探したが、結局は出なかった。そして7年半、イラクを大混乱させて2010年9月に撤退した。米軍人4,419人、イラク民間人約11万人が死んだ。米国にとって、直接戦費は7,700億ドル(約85兆円)に達したが、重傷を負った米兵の生涯の補償や国債の利息など将来の経費を含むと3兆ドル(330兆円)との推定されている。イラクの人々が負った被害は金額にすればそれ以上だ。

 アフガンでもほとんど同じ結果を繰り返したのだ。米国による戦争、武力による支配は、アフガニスタンの破壊と荒廃をもたらした。経済や社会を疲弊させて、撤退に至っている。同じ失敗を繰り返している。

 アフガンから米軍が撤退した背景には、米国の都合がある。米国にとってアフガン、中東の重要性はすでに低下している。エネルギー転換から、世界は太陽光、風力への投資競争に入っており、石油・ガスの重要性は急速に薄れつつある。これまで米国にとって、中東を支配することは石油を通じて世界を支配することだった。しかし、いまや米国のシェール石油生産が急増し世界一の石油輸出国になった。これらの情勢の変化により、中東は米国にとって以前ほど重要な地域ではなくなった。

 さらには、米国が20年間、アフガン戦争を続けてきたあいだに世界的な情勢は大きく変化した。米国の力は低下し、中国が台頭してきた。覇権交代が迫っている。アフガンからの米軍の敗走は、米国の威信を失墜させたばかりではない、米国の力が後退したことを表している。米国にとって、いまや年間4兆円の軍事費を投じてアフガンで戦争を継続しているような場合ではない。台頭する中国に対抗するために軍事的にも、その資源を対中国に、インド・太平洋戦略に、集中しなければならない。そのような米国戦略の変更の必要性も背景にある。

7)難民を恐れる欧米 

 2001年9月11日に米同時多発テロが起きると、実行犯が詳細には明かにならないなかで、米国が主導し、国連安全保障理事会で国連安保理決議(1368号)を採択し、NATO(北大西洋条約機構)は集団的自衛権を発動し、アフガンへ侵攻した。1949年に創設されたNATOの歴史で、集団的自衛権を唯一発動し、軍隊を送ったのがアフガン戦争だった。

 そのNATO諸国が、アフガン難民の流入を恐れ、受入拒否の姿勢を見せている。自分たちの行為の結果であること、したがって難民発生の責任があることを、NATO諸国はまず認めなければならない。2001年11月にタリバン政権を武力で潰し、NATO諸国を含む「有志国連合」がつくったアフガン政権は、腐敗と汚職の政権で、アフガン国民の支持を得ることができず、20年後に崩壊した。政権関係者、家族らが難民となって国外に流出するというのだから、自らの行為の結果であるその責任を負わなくてはならない。

 シリアのアサド政権打倒を企て、反政府テロ勢力を支援した米国を、欧州諸国は支持した。シリア戦争の結果、シリア難民の欧州諸国への流入という事態にあらためて驚き、難民をトルコなどに押しとどめ欧州は受け入れない態度をとっている。やっていることが滑稽にしか見えない。これが「先進国」と自称する政府のやることなのだ。自分たちが振りかざす「民主主義」とか「人権」の意味が分かっていないのではないか?と思われるが、これをアフガンでも再び繰り返していることになる。

 世界の難民は、2015年あたりから急増し、現在は8,240万人に達している。米国の軍事介入が難民を増やしたのは明らかだ。その米国の世界戦略は失敗し続けている。戦争で占領しても、米方式の支配は維持継続できない。

 難民8,240万人の内訳は、下記の通りだ。アフガン難民は260万人だが、これにアフガン旧政府関係者と家族が、今後新たに、難民に加わることになる。
 1)シリア:600万人
 2)ベネズエラ:400万人
 3)アフガン:260万人
 4)南スーダン:220万人
 5)ミャンマー:110万人

8)アフガン新政権はどうなるか?
 
 リビアやシリア戦争で生まれてきたISやヌスラ戦線などのイスラムテロ組織は、イスラムではない。米国やサウジが資金を出し雇った傭兵集団である。その証拠は、パレスチナ解放を掲げていないところにある。シリア戦争ではイスラエルと共同してシリア政府と戦ったところにある。ゴラン高原に追いつめられたヌスラ戦線の負傷者はイスラエル軍病院で治療を受けた。タリバンは、米国やサウジに雇われた傭兵集団ではない。ISやヌスラ戦線と混同してはいけない。

 タリバンは、旧支配機構にいたカルザイ前大統領、アブドラ首相などとも新生アフガン政府の構想について話し合いをしているようだ。各地域の州知事はタリバンを受け入れている。各地域の伝統的な自治組織である長老会(ジルカ)なども、受け入れているようである。タリバンはまず戦争の停止を実現するだろう、同時に、新政権が国際的に承認されることを求めるだろう。そのために、タリバンが主導しながらも、国民の各勢力をまとめ上げた新政権、旧アフガン政府の州知事や閣僚も入れた新生アフガン政府を構想しているようだ。今後の動向を見極めなければならない。

 アフガン国民が期待しているのは戦争の停止、平和であるから、タリバンがこれを実現すれば、タリバン政権を受け入れるだろう。

 また、国民の願いは、米国などの外国による支配ではなく、民族独立であるから、この面でも支持を得た。タリバンは、ある種「独立戦争」を戦い、アフガン人は支持した。各地域の伝統的な自治組織である長老会(ジルカ)などを基盤に、州知事や旧アフガン政府の州知事や閣僚も入れた新生アフガン政府を構想する姿勢を見せているのは、タリバンが多くの国民の要求に沿った対応を探っているからであろう。この先の動向を見極めなければならない。

 アフガニスタンは伝統的な農業国であり、地方の各地域は農村共同体である。新政権には、水利灌漑などして安定した農業生産の復興がまず求められるだろう。これが次の段階での政権の安定にとって必要となる。食糧増産と供給ができなければ、タリバン新政権は国民から安定的な支持を得続けることができない。
 ケシ栽培がアフガン政府、タリバンの一つの資金源と言われてきた。その実態、規模をキチンと把握してはいないが、これをやめるには各地域で安定した農業生産の実現が必要となる。農民がケシ栽培に手を出さなくても済むようにしなければならない。

 農業以外の産業の振興には、外国の経済協力が必要になるだろう。アフガニスタンはもともと鉱物資源は豊富であり、その開発も期待される。新政権の経済的な復興、発展に貢献できるのは、米国ではなくて中国である。 タリバン新政権と合意すれば、中国は「一帯一路」構想の一環として、アフガンとの経済協力、投資などに協力するだろう。アフガニスタンには天然ガスや原油、銅鉱山など未開発の鉱物資源があり、中国はすでにアフガニスタン北部の油田開発で協力を始めている。

 戦争がなくなり、安定した農業生産ができるようになれば、アフガン難民の帰国が徐々に始まるだろう。

中国とロシアは?

 中国は、21年7月、上海にタリバンを呼び王毅外相と会談した。ロシア・ラブロフ外相はすでに18年頃からタリバンと連絡を取っていたという。ロシアとタリバンの間で話し合い、タリバン新政権は「強権を振るわない」、「他国を襲撃する勢力の巣窟にはしない」と約束したという。

 8月上旬にロシアと中国で、中国の内陸部で対テロ対策を前提にした共同作戦・演習を行った。(https://jp.sputniknews.com/asia/202107298582069/ SPUTNIK2021年07月29日 21:51)
このことは、タリバン新政府に「テロ勢力の送り出しは許さない」という警告でもある。ロシアと中国、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタンなどの周辺諸国が何を警戒しているか、よくわかる。「テロ勢力の巣窟」にならないようにせよ、というのが当面の共通した国際的な要望であろう。
 
 中国もロシアも、米国がやってきたようなアフガンに対する軍事的支配に乗り出そうとはしていない。

 タリバンによるアフガン新政権はどうなるか、今後の動向を見きわめなければならない。
 
 
(2021年8月26日記)











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この先、米バイデン政権はどうなるのか? [世界の動き]

発足後半年、この先米バイデン政権はどうなるのか?

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 バイデン政権発足から半年、コロナ禍からの米経済の回復には、目を見張るものがある。1980年代以来の、最も早いペースで回復を遂げている。バイデン政権は最高の幕開けを飾ったと言える。急ペースの景気拡大は、バイデン政権が巨額の財政政策を発動したからにほかならない。

 しかし、この「成功」が続くかどうかが、急に怪しくなっている。バイデン政権がこの先直面する課題は、ほとんどバイデンの手におえないものばかりだからだ。米経済は急速に回復したが、バイデン政権への支持は、目に見える形で確立していない。米議会での民主党、共和党の勢力図は、バイデンに有利に変化しているわけではなく、ほとんど均衡したままだ。米共和党内ではトランプ前大統領の影響がいまだに強い。

 米議会、米政治の勢力図は変わっておらず、バイデンが打ち出した改革法案の大半は成立しないままだ。したがって、バイデンの「3大プラン」は実行できない状態がつづくのだ。

 現在は、米議会で膠着状態に陥っているといっていい。このままの状態が今後も続くならば、バイデン政権は「死に体」(レームダック)になりかねない。政権は今、厳しい局面に突入しつつある。

バイデン政権の3大プラン
1)「米国救済計画」 1.9兆㌦: 21年3月中旬、民主党単独で成立し、施行
 ○内容: 1人1400㌦給付、ワクチン接種強化
 ○財源: 緊急対策なので、全額を債務で
 ⇒ すでに実行中。

2)「米国雇用計画」 8年で2兆㌦: 21年3月末に公表。共和党は大幅縮小の対案
 ○内容:インフラや環境、研究開発に巨額投資
 ○財源: 法人税率上げなどの企業増税、15年で財源とする

3)「米国家族計画」10年で1.8兆㌦: 4月末に公表、共和党は反発姿勢
 ○内容:格差是正や子育て支援、教育の負担軽減に投資
 ○財源: 富裕層への所得増税キャピタルゲインに課税


 バイデンが「3大プラン」実行のための法案を成立させるには、議員数で拮抗する上院(定数100、民主党50、共和党50)で、60票以上の賛成が必要である。共和党議員の10人以上が賛成に回らなければ、改革法案は成立しない。

 「米国雇用計画」でインフラ整備するための「インフラ投資法案」が上院で審議に入ったが、成立する見通しが立たないままだ。成立には上院で60議席上の賛成を得る必要がある、すなわち少なくとも10人以上の共和党議員が賛成に回らなければならないが、共和党議員は一致して、法案の財源である一切の増税への反対を表明している。

 インフラ計画の財源を法人税率上げから確保するとしているが、共和党議員がまとまって反対している。このままだとプランは頓挫する。

 それどころか、米国では長年にわたって税務署の人員と予算を削ってきており、現行税法に規定された徴税さえきちんとできない、きわめて「異常な状態」が続いている、それが現実なのだ。金持ちによる徴税拒否が、やり放題、野放しになっている。共和党は、弱体化した内国債務庁(IRS)の徴税能力を回復させるための予算の増額にさえも反対している。現行の税法で定められた徴税を確実に実行することさえ、できていない。

 バイデンの「米国家族計画」もまだプランのままで実行に入っていない。

 「3大プラン」以外に、投票権の強化をめざす選挙改革や、不法移民の米市民権獲得への道を開く移民制度改革労働組合結成要件の緩和など、バイデン政権が打ち出した法案の大半が、議会を通過する見込みが立たない。

 「3大プラン」やそのほかの一連の法案成立のために、バイデンはプランの中身を変更し妥協を重ねるだろう。

 バイデン政権は、「3大プラン」実行ができなくてレームダックになるか、それとも国債など政府債務の増大によって実行するか、という選択しかない。1年ほどは景気回復は続くだろうが、その先が問題だ。このままの状態が続けば、「機能不全」に陥るしかないように見える。

 早晩、バイデンは身動きが取れなくなるだろう。














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ドゥテルテ政権末期の政治情勢 [フィリピンの政治経済状況]

ドゥテルテ政権末期の政治情勢

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<オースティン米国防長官(左)とドゥテルテ大統領(7月29日)、ドゥテルテの左手を見よ! ポケットにい入れたままだ。オースティンは無礼と怒らなかったのだろうか!>


1)米中対立のなかで独自に振る舞うフィリピン 
①米軍の戦略の変更--中国を包囲する :

 米政府の対中国強硬策、「中国封じ込め」の米軍事戦略にとって、フィリピンは地政学上重要な位置にある。かつて米軍はクラーク空軍基地、スービック海軍基地から撤退し、嘉手納やグアムに集中したが、再びフィリピンで活動したがっている。その背景には、中国軍のミサイル軍の整備、その精度・飛距離の向上がある。東アジアで米軍と中国軍が戦闘すれば米軍が敗れると想定されるまでになっている。

 海南島の海軍基地を母港とする中国海軍潜水艦はバシー海峡(フィリピン―台湾間)を通り太平洋に出る。すでに米軍は南シナ海で対潜哨戒の軍事演習を実施し、海上自衛隊もすでに何度も参加している。米軍は11隻の空母を持ち世界に展開しているが、21年の太平洋への出撃日数が全世界の5割を超えた。中国を第一の脅威と見ているからだ。

 バイデン米政権はASEANを無視した前トランプ政権の政策から転換し、同盟国と協調して中国に対抗するためにフィリピンを含むASEANとの関係を修復しようとしている。

② VFA(米比軍相互訪問協定)破棄から存続へ 

 オースティン米国防長官は、7月末、東南アジア3カ国、シンガポール、ベトナム、フィリピンを訪問し、7月29日にはフィリピン政府とVFA存続で合意した。訪問の最大の成果だ。VFAはフィリピンにおける米軍の法的地位を定めており、破棄されれば米軍がフィリピンで活動する根拠を失う。

 そもそもVFA破棄をドゥテルテが言い出したのは、20年1月、側近であるデラ・ロサ上院議員(2016-18年国家警察長官)の米入国ビザ発給を、米政府が拒否したことに怒り、半年後の破棄を通告した。その後現在に至るまで「破棄」を延期してきたのだが、上記の通りVFA存続で合意した。

 ただドゥテルテ政権によるVFAの扱いがきわめて「軽い」のだ。VFAを存続させたが、フィリピンがこれまでのような米国の同盟国に復帰するわけではない。ドゥテルテはオースティン米国防長官の訪問を受ける直前まで、中国から資金援助をうけたマニラ首都圏の橋開通式典に出席していた。

 フィリピンは21年1月からは中国製ワクチンの供給を受けてきた。最近までドゥテルテは「米政府がコロナ・ワクチンをよこせば、VFAを存続してもいい」と公言していた。VFA存続により米国はワクチンを供給するようだ。ワクチン入手の外交上の取引材料としてVFAが扱われている。
(日本政府が米政府と交渉するため、日米安保条約の破棄をちらつかせるようなものだからだ!)

 フィリピンの貿易の3割は中国が相手であり、米国とは約15%だ。他のASEAN諸国と同様、フィリピンは中国―東アジア経済圏のなかにあり、グローバル経済とつながり高度経済成長を遂げている。フィリピン支配層はそのことに自信をもっているし、ドゥテルテもその立場に立っている。

 1980年~2000年代までは、仮にフィリピン政府が「VFA破棄」などといえば、米政府・米軍の意図を受け比軍内でクーデターが起きて政権が交替していたはずだ。いまや、東南アジアにおいて、米国政治と米軍の力は大きく後退しておりクーデターを起こす力はない。新植民地主義による米国支配の時代はすでに終わっている。

 ASEAN諸国は、ASEANという連合体としてさらなる成長を構想する経済―政治関係の構築をめざしている。ASEAN諸国はこの地域での紛争、軍事的な対立を嫌い、「米中対立をASEANに持ち込むな!」と明確に主張している。シンガポールのリー・シェンロン首相は「我々に米国か中国かの選択を迫るな!」と強い口調で述べた。米国の対中国強硬政策を拒否するASEANの立場をよく表現している。

③7月26日、ドゥテルテ最後の施政方針演説

 政権の任期が残り9ヵ月余となった7月26日、ドゥテルテは最後の施政方針演説に臨み、6年間の成果を強調した。「インフラ促進プログラム」、「麻薬撲滅戦争の成果」、「国民皆保険法など重要法整備の進展」、「反共政策の強化」、「新型コロナウイルス対策」など過去5年間の政権の実績を3時間弱にわたり誇らしげに語った。

 「麻薬撲滅作戦」とは軍・警察の権力強化であった。労働運動、市民運動弾圧のための「反共政策の強化」であった。ドゥテルテの施政演説中マニラでは、反ドゥテルテの大規模な抗議行動、デモが繰り広げられた。

 施政演説中、注目すべき点は対中政策であった。南シナ海の領有権問題など外交政策についてドゥテルテは「独立外交政策を積極的に進めてきた」ことを誇った。アキノ前政権時に、南シナ海スプラトリーの領有権問題で、比政府が仲裁を申し立て、一方中国政府は申し立てていないのに、ハーグ国際司法裁判所は勝手に受け付け「スプラトリーは中比、いずれの領有も認めない」とする「南シナ海判決」を出した。この判決は、米国戦略に都合のいい判断であり、米軍の「航行の自由作戦」に根拠を与える内容となった。そもそも2カ国のうち一方である中国政府が仲裁を申し立てていないのに、国際司法裁判所が勝手に仲裁判決を出すのはきわめて異例なことだ。

 ドゥテルテはその手続きの不備を認め、「(判決は)仲裁裁判手続きに加わっていない中国を拘束するものではない」として、判決を重視しない立場であることを施政方針演説でも確認した。判決は「ただの書類である」とした上で、「中国との戦争をけしかけてはならない、対中戦争を煽るな!」と述べたのである。

2) 経済成長を遂げつつあるフィリピン 

 フィリピンの一人当たりのGDPはすでに3,000㌦を超え、「中進国」となった(2020年3,323米㌦)。消費動向が変化していくはずだ。ただ、国内の経済格差はむしろ拡大している。グローバル経済と結びついた大マニラ経済圏は急速に経済成長を遂げながらも、地方には旧来の伝統的な社会が残存し、その格差は極端に広がっている。

 フィリピンの人口は1億人を突破した。労働人口は4,500万人(2020年)であり、そのうち1,000万人が海外出稼ぎ労働者である。(2018年の在外フィリピン人からの送金額が過去最高の289億ドル。2019年GDPは3,768 億㌦、GDPの約8%は海外からの送金)。ただここ数年、出稼ぎ労働者数の増大が止まったままだ。

 出生率は高く幼児と子供の数が多い、フィリピンの平均年齢は24歳と極めて若い。ただこの10年、出生者数の増大も止まっている。農村から都市へ大量に人々が流入し続けている。流入人口が膨大なので失業率は高いままだ。農民層が急速に分解し、都市労働者に階級を変えており、国内消費市場は拡大を続けている。

 フィリピン経済は大きく転換しようとしている。経済は「高度化」し拡大し雇用は増えるだろう。海外出稼ぎ労働者数はいずれ減少に転化すると思われる。

 フィリピンは、他のASEAN諸国に比べて製造業が十分に発展してこなかった。タイ、インドネシア、マレーシアなどに比べ、機械加工・部品生産・プラスチック成型などを行う下請け・外注が広範に形成されていないため「厚みのある」垂直統合型の製造業が形成されていない。一方、サービス業はもともと盛んであり、金融、不動産、国際的な通信と結びついたサービス業(コールセンターなど)が急速に拡大している。ITとむすびついて根本的な変革が起きており、最近はさらにDXが急速に展開し、サービス業の急拡大と効率化が目立っている。中国資本を中心に直接投資も増大し、今後も継続した経済成長を遂げるとみられる。

3)これまでのフィリピン政治 

 これまで長い間、米国の支配下にあり傀儡的な政権が続いたフィリピンであったが、最近はASEANの一国として経済成長を遂げ、米支配からは離れ独自の地位を築いた。ドゥテルテ政権はより独立的となったフィリピン民族資本の政権だ。フィリピンの支配階級は大資本であるが、フィリピンでは政権を獲った者が国家権力を通じて利益を配分したり自身が資本家になるクローニー政治が長らく続いてきた。ドゥテルテ政権もその性質を多く引き継いでいる。クローニー政治では、権力者が利益を配分する。軍や警察は権力者・支配者の意向に従って動くことで政権内での地位を確保してきた。ドゥテルテ政権下でも軍や警察は、麻薬取締、コロナ対策を口実に労働運動・市民運動を弾圧することで、支配層内での役割をアピールし、政権内の確かな権力を構成するまでになった。

 逆に言えば、軍や警察による強権的な弾圧が続いてきたことで、共産党系の労働運動、市民運動が一つの核として残り、政府や権力と対峙する政治的な関係が続いているのである。いまではむしろ「希少」になった政治的な構図である。

 フィリピンには死刑制度はないし、英米型の法制度も存在するが、支配層が法律を守らないところに大きな問題がある。権力者である軍や警察、有力者が、法を無視して勝手なことをする政治が続いている。フィリピン社会の大きな問題は権力者による無法な支配だ。人権弾圧が続いている。国内でも厳しく批判し抗議行動も組織されているし、国際的にも改善を要求されているが、ドゥテルテ政権は改善するつもりがない。軍と警察による労働運動や民主的な活動、人権活動に対する露骨な弾圧や「超法規的殺人」が止まらない。こういうことは資本が自由な経済活動をする上で、効率的合理的ではないので支障となると思われる。

 ドゥテルテ政権の人権弾圧、労働運動、民主運動への弾圧に、人々の側は抗議活動を継続しているし、人々の怒りと政権に対する反発は大きなままだ。ずっと続いている。ドゥテルテ政権は利害で誘導し支配層をまとめ上げ、抗議に対しては強権で弾圧し抑え込んでいるが、批判と不満は蓄積しており、ドゥテルテ政権の基盤は決して盤石ではない。

4)22年5月の大統領選

 来年22年5月に大統領選があり、ドゥテルテは退陣する。候補者予定者の顔ぶれから見て、フィリピン支配層内での候補選びになりそうだ。軍や警察は、自身の政府内での権力を確保してくれる候補を推すだろう。フィリピンの支配階級である資本家、特に中国人系資本はこれまでは権力獲得争いから一歩引く立場をとってきた面がある。ただフィリピン資本家層の力は経済成長によって十分大きくなっており、大統領選に影響力を行使する力をすでに持っている。どのように介入していくのか、未だよく見えない。形成されつつある都市中間層が大統領選でどういう要求を持ち行動するのかも、不明だ。都市中間層は自身の政治的代表を持っていない。

 ドゥテルテの娘であるサラ・ドゥテルテ(42歳)ダバオ市長は有力な候補であり、軍や警察、中央と地方の有力者など権力者内での調整がうまくいけば、当選する可能性は高い。「安定した」支配体制を継続するために、ドゥテルテが副大統領となることも大いにありうる。7月13日に発表された世論調査では、サラ候補が28%でトップに立ち、2位に14ポイントの差をつけた。

 マルコスの息子ボンボン・マルコスなどの候補者は、クローニー政治による当選後の権益配分の調整を中央と地方の有力者に働きかけることで支持を得ようとする旧来型の候補である。有名なボクシング・チャンピオン、マニー・パッキャオも出馬するようだ。人々の側は、軍や警察の弾圧によって、労働組合・市民団体は抑えられ傷つけられている。独自の候補を出す事は今回も難しそうだ。(前回の大統領選では、BAYANのメンバーを閣僚に据えると確約したドゥテルテを支持した。)

 候補者を見る限り、大統領選が「人気投票」になっている。その理由は、大多数の庶民、貧民が組織されていなくて自分たち要求を実現する代表をもっていないからだ。孤立した大衆は、利益誘導やネットなどを通じた支配的な宣伝に直接つながり、全体的に見て取り込まれている。

 22年の大統領選は、その支配はより不安定になるだろうが、おそらくドゥテルテ政治を根本的に変える可能性は小さい、あるいはドゥテルテ政治のコピーが現れるのではないか。したがって、しばらくは混沌とした情勢、人々にとっては厳しい状況が続くと思われる。(2021年8月6日記)





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