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この先、米バイデン政権はどうなるのか? [世界の動き]

発足後半年、この先米バイデン政権はどうなるのか?

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 バイデン政権発足から半年、コロナ禍からの米経済の回復には、目を見張るものがある。1980年代以来の、最も早いペースで回復を遂げている。バイデン政権は最高の幕開けを飾ったと言える。急ペースの景気拡大は、バイデン政権が巨額の財政政策を発動したからにほかならない。

 しかし、この「成功」が続くかどうかが、急に怪しくなっている。バイデン政権がこの先直面する課題は、ほとんどバイデンの手におえないものばかりだからだ。米経済は急速に回復したが、バイデン政権への支持は、目に見える形で確立していない。米議会での民主党、共和党の勢力図は、バイデンに有利に変化しているわけではなく、ほとんど均衡したままだ。米共和党内ではトランプ前大統領の影響がいまだに強い。

 米議会、米政治の勢力図は変わっておらず、バイデンが打ち出した改革法案の大半は成立しないままだ。したがって、バイデンの「3大プラン」は実行できない状態がつづくのだ。

 現在は、米議会で膠着状態に陥っているといっていい。このままの状態が今後も続くならば、バイデン政権は「死に体」(レームダック)になりかねない。政権は今、厳しい局面に突入しつつある。

バイデン政権の3大プラン
1)「米国救済計画」 1.9兆㌦: 21年3月中旬、民主党単独で成立し、施行
 ○内容: 1人1400㌦給付、ワクチン接種強化
 ○財源: 緊急対策なので、全額を債務で
 ⇒ すでに実行中。

2)「米国雇用計画」 8年で2兆㌦: 21年3月末に公表。共和党は大幅縮小の対案
 ○内容:インフラや環境、研究開発に巨額投資
 ○財源: 法人税率上げなどの企業増税、15年で財源とする

3)「米国家族計画」10年で1.8兆㌦: 4月末に公表、共和党は反発姿勢
 ○内容:格差是正や子育て支援、教育の負担軽減に投資
 ○財源: 富裕層への所得増税キャピタルゲインに課税


 バイデンが「3大プラン」実行のための法案を成立させるには、議員数で拮抗する上院(定数100、民主党50、共和党50)で、60票以上の賛成が必要である。共和党議員の10人以上が賛成に回らなければ、改革法案は成立しない。

 「米国雇用計画」でインフラ整備するための「インフラ投資法案」が上院で審議に入ったが、成立する見通しが立たないままだ。成立には上院で60議席上の賛成を得る必要がある、すなわち少なくとも10人以上の共和党議員が賛成に回らなければならないが、共和党議員は一致して、法案の財源である一切の増税への反対を表明している。

 インフラ計画の財源を法人税率上げから確保するとしているが、共和党議員がまとまって反対している。このままだとプランは頓挫する。

 それどころか、米国では長年にわたって税務署の人員と予算を削ってきており、現行税法に規定された徴税さえきちんとできない、きわめて「異常な状態」が続いている、それが現実なのだ。金持ちによる徴税拒否が、やり放題、野放しになっている。共和党は、弱体化した内国債務庁(IRS)の徴税能力を回復させるための予算の増額にさえも反対している。現行の税法で定められた徴税を確実に実行することさえ、できていない。

 バイデンの「米国家族計画」もまだプランのままで実行に入っていない。

 「3大プラン」以外に、投票権の強化をめざす選挙改革や、不法移民の米市民権獲得への道を開く移民制度改革労働組合結成要件の緩和など、バイデン政権が打ち出した法案の大半が、議会を通過する見込みが立たない。

 「3大プラン」やそのほかの一連の法案成立のために、バイデンはプランの中身を変更し妥協を重ねるだろう。

 バイデン政権は、「3大プラン」実行ができなくてレームダックになるか、それとも国債など政府債務の増大によって実行するか、という選択しかない。1年ほどは景気回復は続くだろうが、その先が問題だ。このままの状態が続けば、「機能不全」に陥るしかないように見える。

 早晩、バイデンは身動きが取れなくなるだろう。














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