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コロナ対策 日本は、遅れが目立つ [現代日本の世相]

コロナ対策
韓国・台湾は、矢継ぎ早に対策
日本は、遅れが目立つ


コロナウイルスの電子顕微鏡写真.jpg
<新型コロナウィルスの電子顕微鏡写真>

1)韓国・台湾は、矢継ぎ早に対策、日本は、遅れが目立つ
 韓国・台湾は感染抑制のメドをつけ、欧州各国からも模範例として見られるようになった。
共通しているのは強大な権限を持つ司令塔を柱とした危機管理体制の周到さと、感染リスクへの感度の高さだ。
 一方、日本の国立感染研究所はこういった権限を持たず、感染症の科学的知見を十分に生かせていない。あるいは日本政府・厚生労働省は、対策実施の戦略を立て実行するうえでリーダーシップを発揮していない。

4月20日現在(日経、4月21日);
韓国の累計感染者数:1万600人、4月20日の新規感染者:13人
台湾の累計感染者数:395人、4月20日の新規感染者数:6人

 韓国政府、台湾政府とも「状況は制御できている」と表明している。コントロール下にあるので、韓国では、総選挙も実施できた。

2)韓国・台湾は、なぜ成果をあげられたのか?
 第一に、感染症対策法に基づいて矢継ぎ早の対策を実施する強力な司令塔の存在、
 第二に、コロナ感染対策の明確な戦略があり、人員と予算の集中的な投入がある。

 韓国では、省庁級で常設されている疾病管理本部が、感染症予防法に基づき、緊急事態に政府の各部門に対応を要請できる法的権限を持つ。
疾病管理本部: 予算720億円、人員907人
・感染者の濃厚接触者を割り出すために警察に協力を求めた
・食品医薬品安全庁には民間機魚が開発した検査キットの迅速な承認を働きかけた。
 ⇒ 通常1年かかる検査キットの承認手続きをわずか1週間で終え、2月4日には最初の緊急使用許可を出し、民間医療機関による大量検査につながった。

 台湾でも、衛生福利部(厚生省)疾病管制署を中心に省庁横断で設置された中央感染症指揮センターが臨時政府のような強大な権限を掌握した。
衛生福利部疾病管制署: 予算210億円、人員890人
 防疫のための必要な措置を実施できると定めた感染症防止法の基づき、・学校の休校、・集会/イベントの制限、・交通、・マスクの生産と流通の指示 など、市民生活の細部まで管理している。
 感染対策に従わない市民に罰を科す権限も持つ。海外から帰国した人が隔離措置に従わない場合、100万台湾ドル(約360万円)の罰金が科せられる。4月中旬までに約460人を検挙した。

 ちなみに米厚生省傘下の疾病対策センター(CDC)も強い権限を持つ。厚生長官は感染症拡大防止のため適切な手段をとれると連邦法で規定している。

 米厚生省傘下の疾病対策センター(CDC): 予算7,300億円、人員13,000人
 ただし、CDCは今回は初動に失敗した。WHOの検査キットを使わず、高い精度をめざして独自キットにこだわった結果、開発や製造に手間取った。国立アレルギー感染症研究所ファウチ所長も「我々の検査システムは当初、失敗した」と率直に認めた。(以上、4月21日、日経より)

 一方、日本はどうか?
 日本には感染症対策の司令塔は実質的に存在しない。感染の状況把握も封じ込めの戦略もない。
 誰が責任をもって戦略を立て、何を実施するのか、いまだに明確ではない。日本政府の劣化が目立つ。

 日本の感染症対策はこれまで厚生労働省の下の国立感染症研究所が主に担ってきた。
 国立感染症研究所: 予算62億円、人員362人

 国立感染症研究所は、業務の知見は示すものの対策の策定・実行の権限はない。
 政府は今回、臨時の組織を次々と設けて対応してきた。1月末に政府の対策本部を設けた時は根拠法もなかった。2月には同本部に「専門家会議」を設置し、感染研の所長を座長に任命した。

 一方で、2月末の安倍首相による小中高休校要請は専門家会議が要請したものではない。
 法的根拠ができたのは3月26日だ。改正特別措置法の成立を受け同法に基づく対策本部にした。緊急事態宣言の是非を評価する諮問委員会もつくった。諮問委員会会長は、専門家会議の副座長だ。臨時の専門家会議のメンバーを中心に対策をとってきた。チグハグさが目立つ。

 今後の感染症対策には権限や責任を明確にした体制が不可欠になるのだが、いまだ心もとない。
 どの様な戦略で、どの部門が、主導するのか? 何を目的にした対策をとるのか? いまだ明確ではない。

3)PCR検査・抗体検査を大規模にやれ!
 
検査で患者を見つけ隔離することは、感染症対策の基本だ。しかし、日本政府、厚生労働省、専門家会議は、PCR検査を絞ってきた。

 「ドライブスルー式」の検査は、
1)(病院外で検査することで)病院を守る、医療崩壊を防ぐ
2)大量の検査を可能にし、陽性患者を見つけ隔離する――ことを目的としている。

 ドライブスルー方式の検査体制の拡充は、韓国や米国でその実施が広がっている。韓国は検査を徹底し、感染者を隔離治療している。診断キットの迅速な開発と承認、投入を行った。そのことで感染をコントロール下においた。韓国と台湾のコロナ対策は国際社会で認められている

 厚労省はこれまでPCR検査・抗体検査の大規模導入・実施に導入に消極的であった。感染者を追跡しクラスターを見つけ経路を断つことに重点を置いてきた。PCR検査の実施数が極めて少なく、感染の全体をとらえることができなくなった。これまでのやり方が失敗したことが明らかになった。しかし、日本政府の「司令塔」は、失敗を認めることができず、なかなか転換ができないし、いまだにできていない。

 すでに新規感染者の8~9割が感染経路不明だ。クラスターを見つけ潰す戦略は失敗に終わった。
 「感染者を見つけ隔離する」ことは感染対策の基本なのに、これを実施しないで無駄に2か月浪費した。すでに感染は広がっている。

 日本のPCR検査数は海外に比べ極端に少ない。国内外から「流行を過少に見せようとしている」と批判が相次いでいる。

 米国でも大規模な抗体検査が始まった。人口のどれくらいの割合で感染しているか状況を把握するためだ。無作為に多数の人々の血液を採取し検査する。カリフォルニア州からはじめ、全米に広げる。(4月16日、日経)

 4月中旬になって、東京都医師会などは新宿区など都内20か所にPCR検査所を設置する方針を決めた(4月16日、日経)。

 これまでの日本政府のやり方、すなわち感染者が保健所の「帰国者・接触者相談センター」に電話し、指示に従い検査を割り振り、患者を収容する仕組みがすでに崩壊し、機能不全と一部の医療崩壊を起こしている。

 そのようななか、医師会によるPCR検査が始まった。検査所は「ドライブスルー方式」とし自治体と連携して設置し、保健所を介さないでPCR検査を実施する。
 
 この動きをみて、厚生労働省はやっと4月15日付で、「ドライブスルー方式」での検査実施を認める「事務連絡」を出した(4月15日まで認めていなかったのだ)。厚生労働省はこれまでPCR検査の大規模な実施には、「不作為」、無策を続けてきた。
 今年の2月にはすでにPCR検査の大規模実施が求められていたが、これを無視し続けてきた。感染症対策は時間との勝負なのに、2カ月間も時間を無駄に浪費したことになる。そのあいだにどれだけ感染が広がったか。日本政府の新型コロナ感染対策の「司令塔」は、不作為、無策を続けてきたのである。

4)厚生労働省はあくまで追認、遅すぎる対応

 ドライブスルー方式の検査は、すでに多くの国々で実施が始まっている。米国でも大規模に実施することになって初めて日本政府も追随する方針に変わった。やっと変わった。遅すぎる追認だ。

 しかも、あくまで追認である。日本政府、厚生労働省はPCR検査のドライブスルー方式を追認しただけで、自身が大規模検査を実行する主体ではないし、そのつもりもまだない。今回の方針転換も完全に後追いだ。独自で始めた医師会、自治体の動きの後追いしているに過ぎない。

 しかも、予算と人員を一気に投入しなければならないが、誰が責任をもって、どの程度の規模で行うのかもいまだ明確ではない。「医師会と各自治体の皆さん、頑張ってください」という立場だ。

 その証拠に厚生労働省の「事務連絡」は、自治体に対応を「お願い」するだけで、検査拡充に向けたリーダーシップをとる気配はない。

 日本政府、厚生労働省、専門家会議は現時点でも、いまだに感染経路の追跡を重視する方針を堅持している。追跡方式の限界を認め、検査の網を広げる方向にかじを切ることが急務だ。そのために人員と予算を投入することが急務だが、どのように動くのか、いまだに明確ではない。ただ、やみくもに「外出を控え、人の接触を8割減」と言い続けているだけだ。

 軽症患者を、病院とは別の施設、例えばホテルなどに収容することも、当初は厚生労働省は「感染症法」の規定から認めなかった。各国で別施設への収容が広がり、かつ国内で院内感染・医療崩壊が起き出してから、やっと追認し切り替えた。日本政府はきわめて遅い対応だった。

 科学的な知見を持って感染拡大を見通せる人が政策を立案・実施する司令塔にいない、あるいは見通せても政策実施の地位にいない。これは、日本国民にとって悲劇だとしか言いようがない。あるいは諸外国からは「滑稽な姿」にしか見えないのではないか!
 
 無策、無作為にあきれ果てる。なかなか望みが見えない。このような政府、厚生労働省、専門家会議に私たちの運命をゆだねてもいいのか!
















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