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フィリピントヨタ労組支援 愛知行動に参加して [フィリピントヨタ労組]

1)フィリピントヨタ労組支援 愛知行動

 9月16日、17日と愛知でのフィリピントヨタ労組支援行動に参加した。2001年の233名の解雇(のちに4名が解雇され、被解雇者は237名)からすでに17年が経過し、闘いは18年目に入っている。エド委員長、ジェイソン執行委員が来日し、支援者とともに16日には名古屋駅前での情宣、17日朝はトヨタ本社での出勤労働者へのチラシ配布、その後トヨタに申し入れ行動を行った。

 トヨタ本社での光景はいつもながら異様だった。チラシ配布に対し、門周辺に大勢の警備員が動員され、総務だろうか何人もの社員はフェンス外の通勤路に見張り番に立ち、チラシを受け取る労働者を監視している。車通勤する労働者は多く、トヨタには3万人分の駐車場がある。駐車場に車を停め、いったん公道を通り、社や工場に入る。そこで私たちがチラシ配布し、総務らしき社員が監視する。受け取るのはせいぜい50人に1人くらい。それでも受け取った人は、門を入ったところに今日だけ設置されたチラシ回収用の箱に、従順にも指示に従いチラシを入れている。門外の監視に動員されている社員、警備員の数だけでも数十人にのぼるのではないか。全トヨタ労働組合の若月委員長によれば、「こんなのは今日だけで、いつも誰もいない」という。チラシを受け取らないで、視線を合わせないで通り過ぎる労働者の姿もまた異様だ。なんと会社に従順であり、静かでおとなしい姿であることか。毎回のことながら、驚く。トヨタの門を入ると、労働者の権利や民主主義は眠り込むのである。「自主的、自発的に」眠り込む。 

 トヨタのような企業が主導する日本社会の未来、あるいは「未来社会」はこのような姿になるのか? というようなことも頭に浮かび、ゾッとした気持ちに襲われるのである。

2)争議に有利な状況が生まれている

 エドたちが結成した労働組合が、2001年にフィリピン労働組合法による組合代表選挙で勝利したにもかかわらず、フィリピントヨタ社は労働組合を認めず、逆に233名を解雇し、さらに会社が肩入れした別組合を立ち上げた。
 この不条理に対し17年間も闘い続けている。フィリピン法を破ったトヨタの解雇に対しILOに訴え、ILOもこれを認め、解決を求める勧告を出した。
 フィリピン政府にとってILO勧告は不名誉なことであり、ドゥテルテ政権になってフィリピン労働雇用省(DOLE)が解決に乗り出してきた。
 ドゥテルテ政権は強権政治を進めていて様々な問題を抱えているが、ここ20年のフィリピンの経済成長に見合った近代化も志向している。契約労働者の正社員化をほとんどの海外資本企業に求め実現させた。日系の住友電装、村田製作所、東芝や古河電気の子会社などは従った。会社国内大企業であるPLDT(フィリピン長距離電話会社)やハンバーガーショップのジョリビーにも正社員化を求め、反発はされたが、政府は5月、PLDTに対し7,000名の契約労働者を正社員化させる命令を出した。実際に適用されるかが怪しいところもあるが、8月には労働安全衛生法、9月に産休延長法案など労働者保護の法を制定している。
 また、これまで日系を含む輸出企業の法人税は30年間以上も5%の低税率であったが、政府はこの優遇措置を廃止し他の企業並みの25%に徐々に引き上げる方針であり18年末に決定する。
 ドゥテルテ政権はトヨタなど海外企業に厳しい姿勢をとっており、フィリピントヨタ争議のとって有利な状況が生まれている。

3)労働雇用省がトヨタを交渉のテーブルにつかせようとしている

 ドゥテルテ政権になって、新しい労働雇用省(Bello長官)は、フィリピントヨタ労組(TMPCWA)代表とも何度も会談するようになった。
 労働雇用省(DOLE)がトヨタを交渉のテーブルにつかせ解決しようとしている。トヨタはいまだに交渉を拒否し続けている。
 Hiroyuki Fukui名で(17年10月15日日付)で、「フィリピントヨタはフィリピンの会社なので、フィリピンの会社と交渉すべきである」と言ってきた。DOLEから日本のトヨタ本社にもレターを出したが、返答はなかった。DOLEの3名の高官は、トヨタ(日本、フィリピン)の態度に腹を立てている。
 Bello長官は、18年8月5日フィリピントヨタの大株主、メトロバンクのジョージTyに対して、交渉をするように勧告した。同時に、日本の豊田章男社長あてにもBello長官の手紙(8月16日日付)を出すことになった。
 また、DOLEのBello長官はTMPCWAの要求により既存の制度を使い「解雇された労働者のための奨学金、生計支援金」支給に合意した(9月14日に署名し調印)。アキノ、アロヨ政権の時もTMPCWAは要求したが 何もなかった。TMPCWAの組合員は大きな前進だととらえている。


4)このようななかで今年の抗議行動は闘われた

 来日する前、エドたちTMPCWAはメトロバンク前で、フィリピントヨタ社大株主であるのジョージ・Tyへの抗議行動を続けてきた。
 あきらかに状況は変わっているにもかかわらず、トヨタは交渉の席についていないし、DOLEからの手紙も無視したままだ。エド委員長、ジェイソン執行委員とフィリピントヨタ労組を支援する会による豊田市の本社交渉では、申入書を受け取っただけで、担当者からは具体的な返答は何もなかった。
 世界に冠たる自動車会社のトヨタが、ILO勧告を無視し、フィリピン政府からの要請も無視し続けているのは、極めて異常だ。
 あらためて、トヨタに対し、早く解決すること、交渉のテーブルに着くことを求める!

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