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コストコは、時給1,250円以上、「同一賃金同一労働」 [現代日本の世相]

コストコは、時給1,250円以上、「同一賃金同一労働」

 10月16日の読売新聞で面白い記事を見つけた。
現場から」シリーズ3:「人材不足と時短 板挟み」

 以下に一部を抜粋する。
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 東海地方を地盤とする岐阜県羽島市のホームセンターでは、人材不足が常態化している。レジ打ちや品出しを担当するパート社員は10人以上足りず、残業や休日出勤をお願いしている。  採用担当者(56)は「地元の人材はどんどん『コストコ』に流れている」と嘆く。  2年前米国系スーパー「コストコ」が開業した。コストコは正社員と非正規社員の待遇に差がない「同一労働同一賃金」に近い賃金制度を採用する。全国一律で1,250円以上の時給を保証しており、岐阜県の最低賃金800円を大きく上回る。  ホームセンターは時給を100円上げたがそれでも300円以上の開きがある。
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 日本の労働者は非正規化が拡大し、賃金格差は開くばかり。非正規社員の賃金は30年間ほとんど上がってこなかった。ところが、記事にある通り、コストコが進出したことで一挙に時給が上がったという、「同一労働同一賃金」も実現しているという。

 政府は一応、「同一労働同一賃金」、「長時間労働の是正」を改革の柱に掲げてきたが、掲げるだけで一向に改善されてこなかった。

 「格差是正を!」、「最低賃金の引き上げを!」といくら要求しても、経営者や日本政府が何やら理由をつけて実行しなかったのに、コストコが進出してきて実現するとは「笑い話」のようだ。やればできるということじゃあないのか!

 この30年間、日本経済はほとんど成長していない。GDPは500兆円前後で変わらない。資本家は獲得した利益を国内に投資しない、内部留保を拡大し海外に投資する。日本経済の生産性は向上していない。労働生産性を先進国で比べてみれば、日本は下位に沈んでいる。低成長時代を見据えて、生産性向上に投資してこなかったからだ。低い賃金の非正規社員、パートを増やし、さらに正社員を含む全社員の労働時間を延長するという、目先の対処に終始し、前近代的で原始的な手法(=実質に賃金を削る)で利益を上げようとしてきたのだ。「非正規化」と「長時間労働」は日本経済の特徴になってしまった。労働分配率は下がりっぱなしだ。

 特に、サービス業での生産性はこの数十年低いままで、ほとんど改善していない。ただ、企業への忠誠と奉仕、サービス労働を求め、契約社員、派遣社員、パート社員、外国人研修生になどの低賃金不安定雇用の労働者を発明し置き換え、賃金全体を削って利益を上げることしかしてこなかった。おかげさまで日本の労働者全体の賃金水準は上がらず、だから消費は増えず、日本経済全体が縮んでしまった。

 そんなところへ、サービス業で高生産性を実現したコストコが進出してきたのだ。生産性が高いので、より高い賃金でも利益が出る。人手不足なので1,250円以上の時給で募集するから、人材はコストコに流れ、日本の経営者は嘆いてみせるだけだ。

 日本は少子高齢化が進み、すでに2002年から労働人口は減少に転じている。人手不足になるのは予測できるのに、ただより低い賃金の労働者層を生み出すことで対処してきたのだ。今更嘆いてどうするんだい。低賃金の労働者層を利用しなければ経営が立ち行かない企業は、廃業しなければならないということだろう。これまでのやり方は破綻するのは当たり前だし、廃業しないならやり方を改めるしかない。その際に、労働者の犠牲が大きくならないように救済は必要だ。
 
 一部のサービス業分野では生産性を上げた大企業しか生き残れなくなるかもしれない。しかし、「同一労働同一賃金」で最低賃金を大幅に上回る時給(1,250円以上)の企業の出現は、歓迎する。
「同一労働同一賃金」は確実に格差を縮小するからだ。

 ただ、労働者や労働組合が要求も運動もしないで、労働者にとっていい、時給が上がったり、「同一労働同一賃金」が実現するはずはない。コストコとて資本の論理で人手不足に対応してきただけなのだ。連合を含む労働組合は、今の人手不足の状況を有効に利用し、労働者の大幅賃上げ、特に「同一労働同一賃金」を実現するところに、その活動を集中すべきなのではないか。(文責:林 信治)




 
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