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危機を煽るな!無条件で交渉に入れ! [世界の動き]


 かつて中央線に乗ると、チマチョゴリの女学生をよく見かけた。しかし、今どこに行っても、あの美しいチマチョゴリを見かけることはなくなった。日本会議など右翼団体のヘイトスピーチや暴力によって、在日の韓国朝鮮籍の人たちがおびえて暮らさなければならなくなっていることはまことに痛ましい。安倍政権が意図的に「拉致問題」を利用し、反北朝鮮の世論を煽り、反北朝鮮の気分が日本社会でかつてないほどに醸成されている。

 これまでの自民党政権、安倍政権は拉致問題の解決を叫びながら、この十数年、実際のところ何もして来なかった。北朝鮮に対する敵対的宣伝、排外主義をまき散らし、支持率を上げる道具として使ってきた。安倍晋三にとって拉致問題は政治的錬金術のようなもの。

 そればかりか、北朝鮮のミサイル開発、核実験に際して、トランプ米大統領とともに、北朝鮮を敵と見なし、ただ圧力をかけることを、主張し続けている。戦争の危険を煽るきわめてて危険な行為だ。

 確かに北朝鮮による相次ぐミサイル発射や核実験を私たちは支持できない、反対だ。しかし、日本政府やマスコミ各社のように、北朝鮮が一方的に武力の威嚇と緊張、戦争の危険をあおっているかのような決めつけや非難の繰り返しの宣伝、まるで戦争前夜であるかのような振る舞いは、尋常ではない。トランプ大統領や安倍首相は北朝鮮が「ならず者国家」であり、場合によっては戦争をふっかけて滅ぼしても仕方がないような宣伝をしているが、そんなことは国際法違反であるし、一国の大統領や首相が決して発言してはならないことだ。

 個人的には、ハリネズミのように武装を推し進める北朝鮮の金正恩体制の元で暮らしたいとは思わないし、その政治体制を肯定できない。しかし、だからと言って日本政府やアメリカ政府に北朝鮮政権を打倒する権利があるわけではない。

 今は圧力ではなく、無条件に交渉に入ることが何よりも必要だ。北朝鮮を一方的に悪者扱いにし、輸出入に重大な制約を課し追い詰める安保理決議は、実際には押しつけであり、交渉を遠ざける。双方の同意なしには交渉は不可能であり、力や圧力によって相手を屈服させ、交渉を押しつけることはできない。

 安倍首相が北朝鮮の脅威、「国難」などと称して、危機感をあおっているのは、これまでそうやって支持を拡大してきた国内政治での成功体験があるからだ。口先で煽るだけだから、何かするわけではない。まさに政治的な錬金術なのだ。そこには安倍晋三独自の現実の世界政治に役立たない「狭い政治」しかない。安倍政権にとって外交とは、米国にひたすら恭順の姿勢を示すこと、要するに米国丸投げだから、何にも考えることはない。安倍政権の狭い世界観は、米政府関係者も認識しており、したがって日本は重要視されていない。

 安倍政権は危機を煽る一方なのだが、本音では戦争が起きるとは少しも思っていないし、戦争の危険を除くが自身の仕事だとも思っていない。それが証拠に、北朝鮮と最も近い敦賀湾など、日本海側に23基もの原発を並べておきながら、停止させていないし防衛体制すらとっていない。仮に、ミサイルがこれらの原発に命中したら、ひとたまりもなく日本は滅びるのは確実であるにもかかわらず。
 やっていること言えば、Jアラートを鳴らし、ビルの陰に隠れるよう地方自治体職員や小中学生に避難訓練させている。まったく滑稽な光景。仮に核ミサイルだとして、ビルの陰に隠れれば被害がなくなるわけではない! 私たちは広島・長崎の悲惨な光景を知っている。あまりにも国民を馬鹿にした行為だ! そのうち、防空壕を掘れ!と言い出しかねない。
 日本の総理が今やるべきことは、戦争が起きることを回避だし、危険の除去だ。北朝鮮への圧力をトランプ以上に声高に主張することではない。やるべきは北朝鮮と無条件で交渉に入ることであって、PAC3追加配備やTHAAD配備ではない。

 まさしくロシアのプーチン大統領が、国連でのトランプと北朝鮮代表とのやりとりを「まるで幼稚園児のけんかだ」と言ったのはそのとおりだ。危ないのはトランプばかりじゃあない。安倍はトランプの尻馬に乗って、逆に戦争を煽るような言動に終始している。戦争となれば、真っ先に攻撃対象となるのは、米軍の兵站基地である沖縄であり、54基の原発であり、横田や厚木基地、米海軍の横須賀基地である。

 翻って、北朝鮮の側から見れば、毎年2回ずつの北朝鮮の目と鼻の先で行われる米韓合同演習は、極めて恐ろしい脅威なのである。これまで米軍の軍事演習に合わせて国内の軍を動員し配置してきた。費用も人員もかかる。最近では米軍は、最高指導者・金正恩軍事委員長の暗殺作戦が、軍事演習の一部として公然と行われている(北朝鮮国家を滅ぼすことを目的とする米韓共同作戦計画OPLAN5015)。
 軍事力を比較すれば、北朝鮮軍は米韓日に比べ、二世代も三世代も遅れた装備しかない。開戦と同時に、北朝鮮は制空権、制海権を失う。それに対抗できるのは、核ミサイルだけ。かつて米英軍はイラク・フセイン政権が大量破壊兵器を保持しているとの理由で戦争をしかけ、フセイン政権を打倒してしまった。その後に大量破壊兵器はなかったことが明らかになったが、フセイン政権は倒され、イラクは破壊されたままだ。リビアも米軍とNATO軍に破壊された。なのに米政府も国連も、誰も何の責任を取っていない。

 金正恩政権がハリネズミのように核武装に走るのも、米英政府、NATO軍のかつての侵略行為がその一因でもある。貧者の兵器が核ミサイルなのだ。金正恩は、ミサイルを撃つ時が自身が滅びる時であり、国そのものが消滅することは、十分に承知している。一発撃ったらお終いなのだが、ただでは死なない、少なくとも韓国や日本を破壊する、あるいはICBMで米国も道連れにすると叫んでいる。
 金正恩がひたすらに対米交渉を望んでいるのは、北朝鮮・金正恩政権の存続を保障させたいからだし、その約束ができるのは米政府しかいないと判断しているからだ。金正恩にとってそれがリアリズムであり、世界政治への現実的な対処の仕方なのである。

 したがって、米政府や国際社会は、北朝鮮に対して軍事的なオプションをとる(=軍事作戦で金正恩政権を打倒する)ことをまず放棄しなければならない。当たり前だが国際法違反である。米国と国際社会は、北朝鮮・金正恩政権の存続を保障することを前提に、核兵器、ミサイル廃棄の交渉に入る以外にない。そして、北朝鮮の現政権を認める米朝平和条約締結と朝鮮半島からの米軍の撤退を含む軍事的安定化と非核化に向けた取り組みが不可欠だろう。
 その方向に日本政府も立ち、協力することを国連や国際社会ではっきりと表明しなくてはならない。圧力を強化すべきだと言っている場合ではない。メルケル独首相でさえ、「制裁ではなく交渉を!」と言っているのに、戦争となるや真っ先に被害を被る日本の安倍首相が「圧力、制裁」と叫んでいるのは、きわめて奇異なことだし、危険だ。

 朝鮮半島に現実にある脅威は米による先制攻撃の可能性であり、それに加担して緊張をあおり、戦争に進んで参加する安倍政権の危険性である。
 たとえ、トランプが戦争を仕掛けようとしても、日本の首相であれば、憲法を盾に断固拒否すべきなのだが、安倍晋三という男は危機だけを煽る。もたらす結果については何一つ語ろうとしない、責任を取ろうとしない。これがこの国の現状である。安倍首相は日本の国難であると言ってはばからないが、安倍が首相である現状こそ我々にとって大いなる国難なのだ。(文責:林 信治)



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