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安倍首相は、「少女像」を直視できない! [元「慰安婦」問題]

安倍首相は、「少女像」を直視できない!


 戦後72年を迎えたこの夏、韓国では植民地時代の日本政府批判の動きが続きました。戦時中、日本に強制徴用された徴用工の像がソウルなどに建てられたのをはじめ、「慰安婦」問題を象徴する「平和の碑 少女像」(以下:「少女像」)が全国約10カ所で新たに除幕され、日本政府に謝罪と賠償を求める市民団体が次々と記者会見を開きました。

 ソウル中心部の清渓川(チョンゲチョン)広場では、市民団体が南北朝鮮などに在住していたとする元「慰安婦」500人分の「少女像」のミニチュア像を展示しました。

 文在寅(ムンジェイン)大統領は8月14日、大統領府で独立運動などにゆかりのある214人とともに、元「慰安婦」と元徴用工4人も特別に招きました。

 8月14日から、ソウル市内を循環するバスには「少女像」が乗車しました。151番路線バス34台のうち5台の座席に、9月末までの期間限定ながら、「少女像」が設置されたのです。

 さっそく、菅義偉官房長官が「未来志向の(日韓)関係を発展させる努力に水を差すことになりかねない、適切な対応」を韓国側に求めました。「日韓合意」後、日本政府のとった対応は、ソウル日本大使館前の「少女像」を撤去するよう執拗に求める一方、釜山領事館前に「少女像」が市民の手によって設置されると、対抗措置として駐韓大使と釜山総領事を三か月にわたって帰国させました。

 日本政府は、「少女像」を目の敵にしています。「少女」であることにも不満なようで外務省は「慰安婦の少女像」と呼んだりしています。

 安倍首相、日本政府は、「少女像」がなぜ少女なのか、理解できないのです。

 「少女像」のモデルがなぜ14歳なのか、理解できないのです。
 安倍首相や河野外相、菅官房長官、外務省は、理解したくないかもしれませんが、歴史事実をきちんと理解し認めなければなりません。

 日本政府が1925年に批准した「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」は、21歳未満の女性の場合は、本人の承諾あるなしにかかわらず売春に従事させることを全面的に禁止し、成年であっても詐欺や強制的手段が介在しておれば刑事罰に問われることを定めています。ただ、この国際条約には植民地などに適用しなくてもよいとの規定がありました。日本政府と旧日本軍はこの規定を利用し、植民地である朝鮮と台湾にはこの条約を適用しないことにしました。すなわち、朝鮮と台湾の女性の徴集には国際法の制限はないとして、「慰安婦」の供給源としたのです。こうして未成年の女性や売春経験のない女性が多数徴集されました。(その後、このような適用はフィリピンやインドネシアなどの占領地でも同じように行われました。)

 このような歴史的経過が、14歳の少女を「少女像」のモデルとしている理由です。もちろん被害は「少女」だけに限られるものではありません。当時の植民地支配下の少女や女性たちの受けた被害に対する想像力を持とうとしない安倍晋三首相や日本政府、外務省には、この「少女像」が直視できません。直視せず、「癒し金」で黙らせようとする態度をとるから、かの地で「少女像」がどんどん増えていくのです。
 
 「少女像」の意味をまったく理解しないばかりか、「少女像」ではなく「慰安婦像」と呼称変更を求める声が、2017年1月29日、自民党・外交部会で相次ぎました。そこには、二重、三重の意味での無理解、無反省、人権意識の欠如が表現されています。

 「慰安婦」、「慰安所」という言葉は、戦前の日本政府・日本軍が、いかに女性の性を扱ったか、人権を蹂躙したかを示す「証拠」でもあります。「女性の性をもって兵士を慰安する」のが常識であったかつての日本軍、日本社会の姿を表現しています。海外のメディアのあいだに、”Comfort Woman”(=「慰安婦」)という呼称が定着したのも、「女性の性をもって兵士を慰安する」当時の日本軍の異様さが、呼称に表現されているからです。「少女像」ではなく「慰安婦像」と呼称変更を求めるのは、「慰安婦」制度、慰安所が「人道に対する犯罪」である歴史事実をまったく認めていない上に、反省もしていないからです。

 日本政府の無理解を咎めるように、国連の各人権委員会は、「慰安婦」制度=性奴隷制度と規定しています。
 
 安倍首相、日本政府、外務省、さらには自民党外交部会の議員が、「少女像」へ反発の気持ちを持つのはなぜでしょうか? 「少女像」が、日本軍の「慰安婦」「慰安所」制度の犯罪、人権侵害を暴露してしまうからです。少女や女性たちを「慰安所」に送り「慰安婦」とした歴史的事実を、隠してしまおうとしているからです。「少女像」を「慰安婦像」と呼称変更すれば、責任を逃れられるという考えすら持っています。
 
 安倍首相、「少女像」を直視してください。
 背後のある多数の「慰安婦」被害者の被害事実を直視してください。
 「慰安婦」制度が、日本政府・日本軍が犯した「人道に対する犯罪」であった歴史事実を直視してください。
 そうすれば、「少女像」を目の敵にするようなことはなくなります。(文責:林 信治)

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