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1月6日、慰安婦問題 外務省行動 [元「慰安婦」問題]

 1月6日、外務省前で、12月28日の慰安婦問題、日韓合意に抗議するデモが行われ、ロラネット、ピースサイクルも参加した。
 その前に、内閣府に下記の要請書を提出した。

 今回の日韓両政府の合意は、被害者を抜きにした日韓両政府の「都合」による談合合意であり、このような内容では慰安婦問題は解決しない、禍根を残す。
  
 合意内容を見れば、日本政府の従来の主張のままであり、韓国政府の一方的な譲歩である。被害者の人権、国連人権委員会の勧告などは、全く無視されている。
 この時期に、このような譲歩を韓国政府、支配層がどうして行ったのか、その理由は何だろうか、不明なところがある。米政府の圧力が大きく関係していると思われるが、その圧力に一方的に支配、影響される韓国政府、支配層であったことに、あらためて驚きを覚える。

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安倍 晋三 総理大臣 様
岸田 文雄 外務大臣 様

日本軍「慰安婦」問題の即時解決を求める要請書

 
 第二次世界大戦中における日本軍による「慰安婦」制度の過ちを日本国政府として認め、日本軍による性暴力の犠牲となった女性たちの人権を回復し、その反省の上に立って諸政策を行うよう、日本政府に以下のことを要請する。

 「慰安婦」問題を含む歴史問題に対して日本政府が取るべき態度は、各国の政府・人々と歴史事実を明らかにする努力を共同して行い、「慰安婦」問題を引き起こした当時の政治や軍のあり方について反省し総括し、歴史に対する共通の認識を作り上げ、それを人権尊重の現代政治や外交として再構築していくところにあると私たちは認識している。

 それができなければ何度、外交的合意を行っても解決しないし、信頼も生まれない。私たちにとっても人権尊重する日本社会を実現できない。
 日本軍「慰安婦」問題に関する12月28日、日韓両国外相間の合意は、解決するには程遠い内容であったし、合意は被害者の了解なしになされた。「内容」においても「やり方」においても、被害者を納得させるものではないし、すでに多くの人権団体から批判が沸き上がっている。
 合意を経ても、実際のところ先送りされており、今回の合意によって「慰安婦」問題は最終的に解決しはしない。

1. 日本政府は責任を認めよ!
 
 12月28日外相会談後の共同記者会見で岸田外相は、「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。 安倍(晋三)内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と合意内容を述べた。

 「軍の関与」は、河野談話の一節とほぼ同じ表現であり、安倍内閣も含めて歴代内閣が踏襲するとしてきた談話の表現を確認したことになる。
 そのうえで、「日本政府は責任を痛感している」と「国家の責任」を明確に認めた。ただし、両義的な表現であり、あいまいさを残している。
 これまでも日本政府は河野談話で「当時の軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」を認めながらも、日韓賠償権協定で決着済であるとし「法的責任」を認めず、「人道的見地からの支援」事業を主張してきた。また、会見後の日本報道陣に対する記者会見で岸田外相は「これまでの立場と変わらない」と述べた。
 私たちは日本政府に、慰安婦問題に対する「法的責任」を明確に認めるよう、求める。

2. 歴史事実の認知、研究、教育
 
 今回の合意では、「…当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた…」と「河野談話」と同じ表現をとりながらも、河野談話が「……われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」と述べた「歴史事実の認知、研究、教育」については、一言も触れなかった。この点では「河野談話」からも大きく後退している。
 日本政府は、「河野談話」で約束した「歴史事実の認知、研究、教育」を、「談話」以降20年間以上、行ってこなかった。それどころか、ネット右翼や右派学者、マスメディアを動員し歴史を歪曲し隠蔽してきた。この20年間、国内的国際的な約束である「河野談話」を日本政府は果たして来なかったのである。その「歴史経過」がすでに私たちの前に横たわっている。そのような「累積」した日本政府に対する不信も解決しなければならない。
 にもかかわらず、「歴史事実の認知、研究、教育」については河野談話より後退している。このような日本政府の対応では、到底被害者の納得する合意、解決とはなりえない。

 どのような行為に責任を痛感し、「心からのお詫びと反省」をするのかを明らかにするためには、女性たちを意に反して連行した事実を認めた「河野談話」を踏襲する意志を明確に示すとともに、慰安所設置の主体が日本軍であった事実、およびこれらの行為が人権侵害であったことを認めなければならない。

 日本政府に対し、政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を奨励していくことを求める。
 また、歴史の事実や日本の責任を否定する公人の発言には、日本政府として、断固として反駁することを求める。

3. 「癒しの事業」ではなく、賠償とすること!

 今回の合意では、「日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒す措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心を傷の癒しのための事業を行う…」としている。
今回の合意にあるによる約10億円の支出は、日本政府による「癒し」の事業としている。人道的見地からの支援である。日本政府が「責任を痛感」したうえで、日本の国庫から拠出されるのであれば、明確に「賠償」とするように求める。

4. 「平和の碑」撤去要求をやめよ!
 合意は、「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」としている。
 在韓日本大使館前の「平和の碑」や、米国等で設置される記念碑は、慰安婦問題を解決しようとしない日本政府に対するグローバルな市民の批判と行動の表現に他ならない。性暴力根絶や、被害者の名誉と尊厳の回復こそ、人権の世紀、21世紀の課題であるとするグローバルな市民の心情が表現されている。
 したがって、「平和の像」の撤去が、慰安婦問題の解決ではない。日韓両政府は問題を転倒してとらえているし、「平和の像」撤去要求は責任転嫁でもある。「平和の像」撤去要求の撤回を求める。

5. 被害者の合意なしに解決しない! 最終決着しない!

 「慰安婦」問題の解決は、日本政府の「解決策」が被害者に受け入れられるかどうか、が極めて需要だ。なぜならば、国家間の謝罪と賠償なのではなく、日本軍「慰安婦」被害者の日本国に対する個人賠償請求権の問題だからである。そうであるにもかかわらず、日韓両政府は被害者の意思の確認もせず、一方的に合意を発表した。今回の「合意」は被害者の同意が欠けている。
 「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、韓国政府の合意ではなく、被害者に受け入れられるかどうかにかかっている。
 
 安倍首相が「最終決着」と述べ、「合意した後、蒸し返さないように韓国政府がちゃんと責任を持て」とあたかも韓国政府や被害者に条件をつけるかのように言っているが、そうではなくて「最終決着」に責任を持たなくてはならないのは、日本政府、安倍政権である。ここでも問題は転倒しており、責任は転嫁されている。安倍首相も外務省も、「被害者に受け入れられる解決案を提示する」その意味を、理解しなくてはならない。
 このことからしても私たちは「今回の合意は解決とならない」ととらえている。実際のところ問題は先送りされるし、解決には至らない。

 日韓両国外相の合意だけで「最終的かつ不可逆的な解決」などできないし、最終的な解決を「慰安婦」被害者の頭越しに両政府が取り決めることはできない。しかも被害者は韓国だけにとどまらない。私たちはフィリピンの元慰安婦被害者、戦時性暴力被害者と交流してきた。アジアの「慰安婦」被害者と向き合うことを求めてきたし、この時期にあらためて求める。

6. 国連等の国際社会に対する働きかけを控える?

 「国連など国際社会でたがいに非難、批判することを控える」と日韓両政府が表明したことは、「慰安婦」問題を、歴史的なかつ現代的な女性の人権問題だと認識していないことを示している。国連人権員会はこれまで何度となく、日本政府に慰安婦問題の解決を求めてきた。その意味が少しも理解していないし、国連人権員会の勧告の趣旨をないがしろにするものである。

 岸田外相は早速、国連ユネスコ記憶遺産への日本軍「慰安婦」に関する記録の登録する市民団体の活動は、「国連など国際社会でたがいに非難、批判することを控える」合意に反すると発言した。
 本来であれば日本政府こそが、重要な世界遺産として自ら推進すべき事業である。日本政府が保有する資料の全面公開し、国内外でのさらなる資料調査し、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングなど真相を究明する事業を進んで実施し、二度と繰り返してはならない記憶遺産として登録する活動に、積極的に取り組まなければならない。そのような対応をして初めて日本政府は世界の人々の信頼を回復することができる。
 国連人権機関の勧告を真摯に受け止め、女性の人権の確立、日本軍「慰安婦」制度の歴史の記憶化に向けた国際社会の取り組みを妨害しないことを日本政府に求める。

2016年1月06日
フィリピン・ピースサイクル

フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)

代 表  大森 進


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