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今年中に解決へ踏み出してほしい [元「慰安婦」問題]

 11月2日の日韓首脳会談で、両首脳は、早期妥結に合意した。また首脳会談後も、日韓外務省局長級会談は続いている。そのため、今回は要請先に、石兼公博 外務省アジア大洋州局長を追加しさせてもらった。
 私たちは、本年中に解決に向けて大きな動きが生まれるのではないかと期待している。
 「アジア女性基金」はすでに失敗が明白になった。日本政府は、「アジア女性基金」の延長のような、解決案を出さないようにしていただきたい。
 安倍首相、外務省は、この機会に一歩踏み出し、「慰安婦」問題を解決していただきたい。そのことで歴史に名を記していただきたい、そのように切望している。

 急に冬らしくなり、官邸前は、冷たい風が吹いた。

 以下の要請書を提出した。
********************
安倍 晋三 総理大臣 様
岸田 文雄 外務大臣 様
石兼 公博 外務省アジア大洋州局長 様

日本軍「慰安婦」問題の即時解決を求める要請書
 
 第二次世界大戦中における日本軍による「慰安婦」制度の過ちを日本国政府として認め、日本軍による性暴力の犠牲となった女性たちの人権を回復し、その反省の上に立って諸政策を行うよう、日本政府に以下のことを要請する。

1.日韓首脳会談が開催されたこの機会に、「慰安婦」問題を解決するように求める
 
 11月2日、三年半ぶりに日韓首脳会談が開催され、引き続き日韓局長会議が行われ、慰安婦問題解決に向け、日本韓国政府間の協議が続いている。
 日韓首脳会談で、「両首脳は、今後も協議を継続し,本年が日韓国交正常化50周年という節目の年であることを念頭に、できるだけ早期に妥結するため,協議を加速化するように指示することになった」と合意した。

 加えて、安倍首相は「大切なことは、お互いに合意をすれば、その後はもうこの問題は再び提議しないということだ」と述べ、「最終決着」を言明した。

 すなわち、安倍首相は「早期妥結」と「最終決着」を公約したことになる。

 私たちは、「早期妥結」と「最終決着」の合意を歓迎する。「慰安婦」問題解決に向けて機が醸成しつつあり、安倍首相にはこの機をとらえ、解決にぜひ踏み出してもらいたいと切望している。

2.日本政府が法的責任のない「人道的措置」にこだわるかぎり解決はない

 しかし、日韓首脳会談以降、報道される日本政府の主張は、従来の主張と変わっておらず、これでは機をのがし解決できないのではないかと、不安にかられている。

 安倍首相を含め日本側は、1965年の日韓請求権協定で個人の請求権問題は解決済みと主張している。「日韓請求権協定で解決済みである、したがって法的責任はなく、それゆえ人道的措置で対応する」(11月11日、外務省・石兼公博アジア大洋州局長)というこれまでの姿勢を崩していない。法的責任を認めない謝罪、法的責任を認めない「人道的措置」である限り、「慰安婦」問題を解決することはできない。そのことは「アジア女性基金」で失敗し、すでに証明されている。

 他方、韓国政府は、「慰安婦問題は反人道的な不法行為であるため、韓日請求権協定で解決されたとみることはできず、日本政府の法的責任が残っているというのがわが政府の一貫した立場である」(11月11日、韓国外交部、李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長)とし、被害者や韓国の国民が受け入れることができる解決策の提示を求めている。
 
 私たちは日本政府が、「1965年の日韓請求権協定により個人の請求権問題は解決済み」という主張に縛られる必要はない、と考えている。なぜならば、日韓請求権協定を超えて、被害者個人に賠償することが可能であることは、日本の法廷によって明らかにされているからである。

 2007年、中国人「慰安婦」訴訟において最高裁判所は、サンフランシスコ平和条約第14条(b)及び日中共同声明第5項における「請求権を放棄する」の意味について、被害者の個人賠償請求権を「実体的に消滅させる」ものではなく、「裁判上訴求する権能」を失わせるにとどまると解するのが相当であると判示しています。この最高裁判所の論理は、日韓請求権協定第2条1項の解釈にもそのまま当てはまる。それゆえ日本政府が自発的に被害者に対し謝罪し、証としての賠償することは可能である。(11月18日「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク提出の「緊急要請書」より)

 したがって、安倍首相、外務省が従来の主張に固執することなく、解決に向け一歩踏み出すよう、要望する。
韓国の李局長(右)と石兼局長=(聯合ニュース) (320x299).jpg
<右から、石兼局長、韓国の李局長=(聯合ニュース)から>
 
3.個人賠償請求権の問題:被害者に受け入れられる解決を!

 「慰安婦」問題が「最終決着」できるかどうかは、日本政府の「解決策」が被害者に受け入れられるかどうか、にかかっている。なぜならば、国家間の謝罪と賠償なのではなく、日本軍「慰安婦」被害者の日本国に対する個人賠償請求権の問題だからである。

 安倍首相は「お互いに合意をすれば」と言ったが、「お互い」とは両国政府間だけでの合意では無理で、被害当事者の同意でなければ「合意」、すなわち安倍首相の言う「最終決着」とはなりえない。日本政府は「慰安婦」被害者と向き合わなければならない。安倍首相、外務省は、ここのところがまったく分かっていない。

 安倍首相が「最終決着」と述べ、「合意した後、蒸し返さないように韓国政府がちゃんと責任を持て」とあたかも韓国政府に条件をつけるかの如く言っているが、そうではなくて「最終決着」に責任を持たなくてはならないのは、日本政府、安倍政権である。安倍首相も外務省も、「被害者に受け入れられる解決案を提示する」その意味を、理解しなくてはならない。

 もっと言うならば、安倍首相、外務省は、「慰安婦」問題を、日韓政府間の交渉問題ととらえている。そうではない。「『慰安婦』問題は単純な両国間の問題ではなく、普遍的な女性人権の問題である」(11月13日、朴槿恵大統領)。この点でも、安倍政権の見識は、国際的な人権尊重の水準に達していない。

 私たちは、日本政府に、韓国を含めたアジアの「慰安婦」被害者と向き合うことを求めてきたし、この時期にあらためて求める。そして、被害者に受け入れられる解決を!求める。

4.被害者に受け入れられる解決とは何か?

 では、被害者が受け入れられる解決とは何か?
 2014年、第12回アジア連帯会議が提唱した「日本政府への提言」は、次のように指摘し、「事実認定と具体的措置」を求めた。

 「被害者が望む解決で重要な要素となる謝罪は、誰がどのような加害行為をおこなったのかを加害国が正しく認識し、その責任を認め、それを曖昧さのない明確な表現で国内的にも、国際的にも表明し、その謝罪が真摯なものであると信じられる後続措置が伴って初めて、真の謝罪として被害者たちに受け入れられることができる

 日本軍「慰安婦」問題解決のために日本政府は、

1.次のような事実とその責任を認めること
 ① 日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと
 ② 女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと
 ③ 日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ
 ④ 当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと

2.次のような被害回復措置をとること
 ①翻すことのできない明確で公式な方法で謝罪すること
 ②謝罪の証として被害者に賠償すること
 ③真相究明:日本政府保有資料の全面公開
       国内外でのさらなる資料調査
       国内外の被害者および関係者へのヒヤリング
 ④再発防止措置:義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施
      追悼事業の実施。誤った歴史認識に基づく公人の発言の禁止、および同様の発言への明確で公式な反駁等

 私たちは、上記の提言で求めた「事実認定と具体的措置」が、被害者に受け入れられる解決だと考えている。安倍首相、外務省が、「被害者に受け入れられる解決案」に、踏み出すことを要望する。安倍首相の主張する「最終決着」への道である。

2015年12月02日
フィリピン・ピースサイクル

フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)

代表:大森 進

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