SSブログ

ロードの正義を求める叫び声は、オロンガポに鳴り響いた [米兵によるレイプ事件、犯罪]

ロードの正義を求める叫び声は、オロンガポに鳴り響いた

 米海兵隊員によるロードさん殺人事件が2014年10月11日に起きて一年がたった。フィリピンでは多くの民主団体、人権団体が、フィリピン人の人権がないがしろにされる現状を批判し、米海兵隊員の犯罪をフィリピン法で裁くことを要求している。このような犯罪が起きる原因は米軍の存在、米比軍訪問協定が原因であるという批判も高まっている。一年経ったが、「ジェニファーに正義を!」と訴える運動は広がりを見せている。

****************
米兵による殺人事件に人々の怒りは納まらない

1)オロンガポの悲劇

ハリー・ロケ弁護士、ロードの家族 (320x213).jpg
<右からハリー・ロケ弁護士、ロードさんの家族>

 アメリカ国旗がオロンガポ市スービック湾海軍基地から降ろされた最後の時は、1992年11月24日だった。アメリカ海兵隊員と水夫の最後の一群がこのスービック海軍基地を出発した日でもあった。
 ある米国兵士の運命が今年の同じ日に、決定されることになるのは、まったくの偶然だろうか。

 オロンガポ地域事実審裁判所(RTC)74支所の判事ロリーン・ジネス・ヤバルデ(Roline Ginez-Jabalde)は、拘留された米国の海兵隊伍長の殺人公判で、評決を伝えている。被害者ロード遺族の弁護士ヴァージニア・スアレスによって、ジョセフ・スコット・ペンバートン伍長は、2014年10月にトランスジェンダー、ジェニファー・ロードを殺したとして訴えられた。

2)ジェニファーに正義を! 一周忌のデモ

ロードに正義を 02 (320x320).jpg

 オロンガポ市――中央ルソン、サンバレス(Zambales)州のこの街から、未だ悲嘆にくれている遺族は、殺人事件を国に忘れて欲しくないと訴えている。トランスジェンダー女性、ジェニファー・ロードさんの死体が、オロンガポのモーテルで発見された一年後を経て、11月8日日曜日に、300名の支持者、友人、性権利を求める団体のメンバーが、遺族とともに、「メモリアル・ウオーク」を行った。

 デモ参加者は、それぞれの旗、バナーを持って、ロードさんが最後に目撃された場所であるモーテル、セレゾン・ロッジ(Celzone Lodge)の前を行進した。

 ロードさんの死体は、ある外国人が借りたモーテルの部屋のトイレで、従業員によって発見された。その外国人は、後に目撃者によって米国の海兵隊の伍長ジョセフ・スコット・ペンバートンと特定された。
 ロードさんの遺族は、地域裁判所のロリーン・ギニス・ヤバルデ(Roline Ginez-Jabalde)判事が、12月14日までに判決を出すのを待っている。米比軍訪問協定によってあらゆる米兵の審議は1年間で完了するが、その最終日に刑事訴訟は終了する予定だ。

 遺族は、ロードの墓を訪れ、一周忌をしのんだ。
 「苦しみと犠牲の一年でした。今現在、私が求めるのは、ただジェニファーのために正義を得ることです」、「私の悲しみは、容疑者ペンバートンがフィリピンの法律できちんと裁かれ投獄されるまで終わりません」と、犠牲者の母であるジュリータ・ロード(Julita・Laude)は語った。

 「ジェニファー・ロードの一周忌は、私たちすべての苦しめる不正の一年間だった」、「ナナイ(Nanay)、ジュリータ(Julita)、ミシェル(Michelle)、マロウ(Malou)たちロードの姉妹の言語に絶する痛みと苦しみの一年を意味する」と、遺族の弁護人の一人、ヴァージニア・ラクサ・スアレスは語った。

 「遺族は、最近の出来事の展開が、正義を実現しにくくするのではないか、と心配している、というのは、ライラ・デ・リマ司法長官が来年上院に立候補するために辞任し、代理を務める司法省官僚が指名されると、ペンバートンの殺人事件に影響するかもしれない」と、遺族の主任弁護士ハリー・ロケ(Harry Roque)は指摘した。

 ロケ弁護士は、「ニコル」事件(2005年の米兵によるフィリピン女性強姦事件)に関係した法律弁護団の一員であった時から、この当局者が「はっきりした利害関係」があると指摘してきた。
 ロケ弁護士は、ペンバートン弁護団が「検察側証拠により無罪である」と主張しており、裁判所でなされる最後の主張に疑問を呈した。

3)事件はどのように起きたか?

 ちょうど2014年10月11日真夜中、ロードの死に関するニュースは、激しい情熱がほとばしるように流布し、夜明けの静寂を破った。

 地方警察は電話に応じて、セルゾン・ロッジの部屋に急行し、きちんとベッドと枕が積み重なっているのを発見した。しかし、警官は、部屋のトイレ内でロードが死んでいるのを見て、飛び上がった。彼女の頭は便座のなかに押し込まれていた。 挫傷は、犠牲者の首の回りに見えた。 彼女の舌はわずかに突き出ており、彼女の髪はもつれていた。
 数時間後に、アメリカの科学捜査調査官は犯行現場に到着した。そして、近所の人たちは事件が普通の犯罪でないとようやく理解した。

ロードに正義を! ガブリエラ (320x210).jpg
<女性団体ガブリエラのデモ>

 ロードさんの死は、アメリカ兵士がフィリピン人女性を強姦した2005年の「ニコルさん事件」を彷彿させた。このような事件は、フィリピンの都市では何度も起きて来たのである。

 ただ今度はだけは少し違った、ジェニファーは強姦被害ではなく殺されていた。

 問題を複雑にしているのは、ロードさんがトランスジェンダーであったことだ。殺人の詳細が少しずつ明らかになると、彼女の死は地域だけでなく国際的にもメディアを通じ人々の注目を集めた。
 地方警察は、ロードさんを見た最後の目撃者から一外国人の捜索を明らかにした。目撃者、セルゾンの部屋係員エリアス・ガラマスと、ロードさんの友人でバービーと称するトランスジェンダー女性は、後に裁判所で容疑者ペンバートンを特定する証言をした。
 30人もの目撃者は、3月23日に始まった裁判の間に、政府検察官によって示された。

 ロードさんの死体が見つかった二日後には、警察と米海軍は海兵隊員が殺人に関して米艦で拘留されていることを確認した。

 目撃者バービーは、米海軍犯罪調査サービスによって示された写真からペンバートンを特定したため、ペンバートンと殺害の関連が明確になった。

 19歳のペンバートンは3,500名の米海兵隊の一員であり、オロンガポ市の近くの軍トレーニング・サイトを含むフィリピンのいくつかの地域で行われた10日間の軍事演習に、海軍兵士とともに参加していた。
 ペンバートンは、第9海兵隊、第2大隊に属する対戦車ミサイル部隊のオペレーターだった。犯罪へ関与した後、彼は米艦ペリリュー(Peleliu)に乗船し演習に参加している。

 犠牲者の死に関するニュースが伝えられた後、ロードさん遺族に対する支持と同情の声が、すぐに沸き起こり、すぐさま米軍兵士による殺人事件として、街頭での抗議行動が行われた。事件の根本原因は米軍の存在であるという批判が広がった。

 一連の抗議運動は、アキノ政権に、容疑者ペンバートンを米国軍艦からアギナルド基地(フィリピン軍本部)拘置施設に移すように求めた。フィリピン政府が拘束し裁判するのが、フィリピンの主権だからだ。

 ロードさんを思い起こす日はいつも、激しい感情で満たされた。3日目にロードさんの母(Julita)が斎場に到着したとき、家族の悲しみは頂点に達した。 彼女がジェニファーの死を知ったのはその時が初めてだった。
 苦しみの中で、ロードの姉妹(Marilou)は、10月15日にオロンガポ市検察官のオフィスで、ペンバートンに対する殺人告訴を提出した。ロードさんの姉妹は、主要な助言者、弁護士ハリー・ロケ・ジュニアと3人の警官を連れて行った。

 数日後に、ロードさんのドイツ人フィアンセ、マルク・スエセルベック(Marc Sueselbeck)は、最後の敬意を払うために到着した。
 ロードさんが埋葬されたあと、スエセルベックはペンバートンが拘留されていたアギナルド基地のフェンスをとび越えたため、出入国管理局によって強制退去とされ、すぐに出国させられた。

 殺人罪で刑事告訴される理由が発見され、政府の検察当局が市検察官エミリーフェ・デ・ロス・サントスによって率いられることになった後、12月15日、ペンバートンは正式に殺人事件として起訴された。殺人は保釈できない罪であり、最高40年の禁固によって罰せられるべき罪である。

追悼 ジェニファー・ロード (240x320).jpg
<追悼 ジェニファー・ロード >

4)正義のための彼らの闘争において、遺族は孤立していない

 11月8日日曜日にメトロマニラ・マカティ市で、レスビアン、ゲイ、バイセクシャルとトランスジェンダー(LGBT)コミュニティのメンバーは、ヴァクラッシュ(Vaklash)と呼ばれているイベントで、ロードさんの死を悼むために集まった。
 LGBT組織(Bahaghari)によって出された声明によると、「ロード殺人は他の人たちに対する一人の男の犯罪を超えている」、「これは、米国の利益に反対し立ち上がるフィリピン人に対する犯罪であり、私たちの主権の問題だ」とバハグハリ(Bahaghari)スポークスパースンであるアーロン・ボネッテ(Aaron Bonette)は語った。

5)裁判闘争

 証人席のペンバートンは、自衛のためロードさんの首を締め抑えつけたが、殺害するつもりはなかったし、殺害していないと発言した。ペンバートン弁護人フローレスは、ペンバートンが、ロードさんが身体的に男性であるとわかったあと、争いになったと語った。ペンバートン側は、検察側証拠の不備を指摘したりして、有罪判決から逃れようとしている。

 他方、遺族側のスアレス弁護士とロケ弁護士は、法廷がペンバートンに対して有罪の評決を下すと確信していると語った。「ペンバートンが有罪判決を下されたら、私たちは、彼をフィリピンで服役させることを求め続ける」、「もし、無罪になるならば、彼が直ちに国外外退去にされ、上級裁判所に上訴できなくなる、それはすべてのフィリピン人にとって損失であり、フィリピン主権の侵害である」と、スアレス弁護士は語った。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。