SSブログ

比最高裁、米軍「駐留」再開を容認 [米兵によるレイプ事件、犯罪]

比最高裁、米軍「駐留」再開を容認 

 米軍の再駐留を認める「拡大防衛協力協定」(the Enhanced Defense Cooperation Agreement、以下:EDCA)が「違憲ではないか」という訴えに対し、フィリピン最高裁は1月12日、「最高裁は、違憲かどうかを判断しない」とし、実質的にEDCAを認める判断を示した。これにより、米軍はフィリピン国内に展開したり、基地を利用したりすることが可能になる。

 米比は2014年、中国の海洋進出を念頭にEDCAを結んだ。当協定が「憲法違反」として元上院議員らが提訴し、発効の手続きが止まっていた。最高裁は10対4対1の評決で「大統領が決めた協定であり、裁判所は立ち入ることができない」として訴えを退けた。4人の判事は違憲とした。

 この結果、EDCAは、両政府が詳細を詰め合意した後、発効する予定。EDCAは、艦船の停泊や合同軍事演習を可能にした98年のVFA訪問軍協定や相互防衛条約の拡大版であり、これらも含めて憲法には抵触しないという判断だ。

 フィリピン憲法は外国軍の駐留を禁じており、1992年米軍は全面撤退していた。駐留するなら上院が批准した条約で規定する必要がある。「新協定」EDCAが認めているのはあくまでも「一時的な軍事力の展開」との位置づけである。しかし、「一時的」は米比両政府が判断するのであり、実際には駐留できることになる。

 背後にあるのが、米比両政府の、南シナ海での中国への対抗だ。陸軍ばかりで海軍空軍をほとんど持たないフィリピンが、自国だけで対処するのは不可能であり、アキノ政権内、フィリピン支配層内では、米国の意向に従い再び米軍を受け入れるべきだとする声が高まっていた。

 今回の最高裁の判断は、「アキノ政権側からの圧力に最高裁が屈した」と、評価されている。
 米国は中東からアジアへの軍事力の「リバランス戦略」を掲げており、南シナ海に面するフィリピンは重要性が高い。協定締結と今回の「合憲」判断により、米軍にとって比国内での軍事施設使用に道が開けたことになる。

 フィリピン国内では、EDCA 廃棄、VFA廃棄、米軍駐留に反対する人々の運動が続いてきた。ロードさん殺人事件も、もとはといえば米軍が存在し、EDCA,VFAがあるからだと批判されてきた。
 今回の最高裁の判断に対して、女性団体カイサカ(Kaisaka)が、早速、声明を出している。以下に紹介する。

************************

最高裁決定は、フィリピンの安全を脅かす
       KAISA KA ・ 2016年1月13日

 1月12日の「米比拡大防衛協力協定」(以下:EDCA)についてのフィリピン最高裁決定は、フィリピンと東南アジア、東アジアの安全を脅かすものです。

 カイサカ(Kaisa ka: 女性の解放のための社会変革協会)は、最高裁が圧力に屈して、憲法の条文とその精神から離れ方向転換し、人々の安全を無視したと評価しています。

 EDCAについて、最高裁が大統領府に味方したことは、予想されていたことであり、多くの人を驚かせはしませんでした。司法省が「EDCAは合法である」と宣言するらしいという情報は、早くから漏れていました。国防省と外務省が、南シナ海に中国の行動に関するニュースとともにほとんど毎日、最高裁へやって来ていたので、アメリカ合衆国に有利にするようにという最高裁判断への圧力は、大きかったに違いありません。EDCAを認めることは、AFP軍装備をアップグレードし、米国の軍事援助を増加させることであり、フィリピンと米政府当局が深く結びつくという「運命」を選択することなのです。

 わが国の最高裁が、フィリピン政府の間違った「行政協定」合意=EDCAを、容認し何にもしなかったのは、嘆かわしいことです。 憲法 第VII条21節は、以下の通り、はっきり述べています: 「上院議員の少なくとも3分の2以上によって、意見が一致しない限り、条約または国際合意は有効ではない」、
 そして、第XVIII条の第25節には、次のように書かれています。「フィリピン共和国とアメリカ合衆国間の軍事基地に関する協定は1991年に満了した後、外国の軍事基地、部隊、または軍施設は、フィリピンに存在することは許されない。上院によって正式に同意された条約に基づく場合、あるいは他の国との条約について議会が要求し開催される国民投票で過半数承認される場合は、その限りではない」。EDCAを容認すると決定した最高裁は、憲法の条項、規定を露骨に違反した行為を、「正しい」「ふさわしい」と強弁しているのです。

 また最高裁は、EDCAがフィリピンにもたらす恐ろしい結果を無視しました。最高裁とアキノ政権は、米国がインドーアジアー太平洋の要所で、米国の覇権に挑戦するあらゆる勢力の出現をチェックする戦略に沿って、EDCAを推進してきたことを知っています。ライバル中国に対して、訓練しすぐに武器を取ることができるように、フィリピン軍を展開し軍装備を配備するために、EDCAを推進してきました。最高裁とアキノ政権が、南シナ海で中国への対抗を強く考慮しているのは間違いありません。しかし、中国との争いを解決する際に私たちがもしEDCAに頼る場合、米国軍事力が引き起こす荒廃に触れることは憚れています。

 米国との古い関係、基地群は、フィリピンを「米国の裏切り」に導きました。旧日本軍による最も残忍な攻撃を招きました。日本軍が進出してきた時、米国はヨーロッパ防衛を優先するため、私たちのもとを去りました。第2次大戦の後、数千のフィリピン人、特に女性と子供たちは、米軍基地の内外でアメリカの兵士の手で、虐待を受けました。

 EDCAは、フィリピン社会の米軍の基地化をもたらすでしょう、そして、もし米国が中国との戦争を推し進めるなら、フィリピンの安全保障は保障されないでしょう。 その代わりに、私たちには性的いやがらせ、暴行の犠牲者になるのであり、そして、通常兵器、化学兵器、生物武器の兵器庫を持つ影響を受けるのです。

 カイサカは、EDCAを廃棄するために、米国による戦争の枢軸へフィリピンが関与しないように、女性たちが強く団結するよう呼びかけます。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。