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米兵によるトランスジェンダー女性殺害事件 裁判はじまる [米兵によるレイプ事件、犯罪]

米海兵隊員、トランスジェンダー女性の首を締めたことを認めた
しかし、殺意を否定

3月、法廷に入る米海兵隊員ペンバートン (213x320).jpg 
<法廷に入る米海兵隊員ペンバートン被告>

 2014年10月、米海兵隊員ペンバートンがフィリピンのトランスジェンダー女性ロードさん殺害容疑で、フィリピン検察に告訴され、現在フィリピンの裁判所で裁判が行われている。通常、米兵は犯罪を犯しても逃げおおせるのであり、フィリピンの裁判所で起訴されることはほとんどない。よほど条件がそろわなければ、フィリピンでの裁判は成立しないので、当裁判の行方は注目されている。ペンバートン容疑者が出廷し、事件についての彼の発言も報道されている。

 しかし、ペンバートン容疑者の身柄は米軍の保護下にあり、その点ではフィリピンの国家主権が蹂躙されている。これは日本と同じで、米比軍事同盟と地位協定がその根拠になっており、被害者の人権侵害とともに、米比軍事同盟が批判されている。

 ちょうど10年前に同様の事件が起きた。2005年米海兵隊員ダニエル・スミスがフィリピン女性ニコルさんをレイプした。ニコルさんと家族は米兵犯罪を告発し、フィリピンでの裁判に持ち込み、有罪判決を勝ち取った。それは画期的なことだった。しかし、有罪判決が出たにも関わらず、米政府と米軍は、米比軍事相互訪問協定(VFA)の条文、地位協定によって、フィリピン司法の決定を無視し、すなわち国家主権を無視し、強引に犯人を釈放してしまった。さらに米政府はニコルさんと家族に対する強引な説得と脅し、非公式の示談金、ニコルさん家族の米国への移住などの条件を提示し、告訴を取り下げさせてしまったのである。米政府は「なりふり構わない対応」を取って見せた。

 フィリピンの人たちはその経過を、記憶している。
 いずれの事件も、米軍の存在が事件の原因であり、フィリピンの国家主権が蹂躙された経過でもある。

 また、被害者がトランスジェンダーの女性であったことで「偏見」もあって、トランスジェンダー女性の人権、セックスワークの女性の人権もまた、社会的な議論になっている。
 私たちは日米安保条約・地位協定、米基地のある沖縄の置かれている現状と重ね合わせながら、事件への対応、裁判の経過を見守っていく必要がある。(編集部)
  

1)首を絞めたが、殺意はなかった???
2015年8月24日、ガーディアン紙から


 米海兵隊員ジョセフ・スコット・ペンバートンは、ジェニファー・ロードさんは意識不明だったが呼吸していたのでそのまま放置しその場を去ったと法廷で述べた。また、被告ペンバートンが米軍の保護下にあることはフィリピン国家主権の侵害である件について討議を続けるように、ロケ弁護士は主張する。

 8月24日月曜日の法廷で、殺人の嫌疑をうけた米海兵隊員ペンバートンは、「フィリピンのモーテルで彼女がトランスジェンダー女性であると気づき、被害者の首を絞め意識を失わせたことは認めたが、殺意はなかった」と証言したという。

2)米海兵隊員、フィリピンのトランスジェンダー女性を殺害で告訴される

 被告ペンバートンの弁護士ローウィーナ・フローレスは、ペンバートンがオロンガポ市の法廷で、「2014年10月、ジェニファー・ロードさんとバーで会った後、モーテルにチェックインしセックスし、そのあとモーテルのシャワー室に彼女を残して先に出た、その時彼女は意識不明だったが呼吸していた」と供述したと述べた。ペンバートンは、彼女が気を失ったのを見てうろたえ、その場を離れたのだという。
 フローレス弁護士によれば被告側弁護団は、他の誰かがロードさんを殺したという可能性を指摘する証拠を提示するという。

 フローレス弁護士・被告側弁護団は、ロードさんがペンバートンを「騙した売春婦」(トランスジェンダー女性であることを隠して接近した)であったことを証明すると述べたとともに、ペンバートンは定期的に教会に通う誠実な人物であり、ロードさんと乱闘するまでもめ事に関係したことはなかった、と語った。

 フィリピンの検察官は、「ペンバートンがトランスジェンダー女性とわかって『裏切り、強烈な怒り』によって倍加した暴力でロードさんを殺したと考えられる原因があった」と主張し、2014年12月殺人罪で告訴した。ロードさんは、明らかに絞め殺されており、便器に頭を押し込まれた状態で発見されたことも併せて、言及した。

3)ペンバートン容疑者が殺害時の様子を説明

 ペンバートンは法廷で、フィリピン軍との共同軍事演習に参加した後、仲間の海兵隊員とともに10月11日にオロンガポ市(ルソン島マニラの北西部)に来たこと、 彼はバーで二人の女性と会い、二人と一緒にモーテルに行ったこと、 1人の女性は先に帰り、ペンバートンはロードさんと残った、と述べた。
 ベッドに入った時、ペンバートンはロードさんがトランスジェンダー女性であることに気づき、彼女を押しのけベッドから落とした。ペンバートン容疑者によれば、ロードさんが彼を激しく叩いたので、ペンバートンは彼女を殴ったのだと、フローレス弁護士は語った。

 ペンバートンによれば、抑えつけるためだけにロードさんの首を絞めたが、彼女が気を失ったのでシャワー室に引きずって移動し、回復させようとしたのだという。 その時ペンバートンはロードさんが呼吸を回復したのを見て、彼女の仲間が来て脅されるのではないかと恐れ、彼女をそのままにしてその場を去ったという。

 検察官によれば、その夜ペンバートンと連れだっていた海兵隊上等兵ジャイルン・マイケル・ローズが、「ロードさんが服を脱いだ時、彼女がトランスジェンダー女性であることがわかり、ペンバートン容疑者がロードさんを窒息させたと、軍艦に戻った後、俺に打ち明けた」と証言したという。「俺はロードを殺害したと思う」と、ペンバートンがローズ上等兵に語ったと伝えられた。

4)フィリピンの国家主権が侵害されている、 米軍の存在が事件の原因

 事件は、フィリピンで犯罪を犯し訴えられるアメリカ軍人の「特別な保護」についての議論を再び点火させた。 米政府は世論の批判をかわすため昨年、ペンバートンを米軍艦内にとどめ直接の保護下に置いていたが、マニラ首都圏にあるフィリピン軍キャンプに移動することに同意した。形式上フィリピン軍は身柄を拘束したことにしたが、しかしそこで彼は相変わらず米軍の保護下にあり、ただ外側をフィリピンの警備員(=フィリピン国軍)が取り囲んでいるだけである。

 フィリピンの国家主権が蹂躙されていると主張する市民たちは、ペンバートンがフィリピン政府の監視下に引き渡されるよう、8月24日にあらためて要求した。そして、米比間の取り決めの根拠である米比軍事同盟が「フィリピン国家主権への継続的な侮辱をもたらしている」と指摘した。
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