SSブログ

3/2 「慰安婦」問題の解決を求める集会 [元「慰安婦」問題]

 3.2院内集会&市民集会の報告

 日本軍「慰安婦」問題、
 日本政府は解決せよ!! 
 韓国政府との交渉に応じよ!

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

DSCN0565 (240x320).jpg

 昨年8月の韓国憲法裁判所の決定を受け、韓国政府は9月15日と11月15日の2度にわたり、日本政府に日本軍「慰安婦」問題にかかわる二国間協議を申し入れましたが、日本政府は拒否し続けています。12月14日には、ソウルの日本大使館前で20年間続けられてきた水曜デモが1000回目を迎え、韓国や日本、世界各地で様々な取り組みがおこなわれました。直後の12月18日の日韓首脳会談では李明博大統領が「慰安婦」問題の優先解決を求め、野田首相に強く迫りました。「慰安婦」問題解決のチャンスがおとずれているのです。しかし、日本政府は解決の意思を示さずごまかし続けています。

 韓国から韓国挺身隊問題対策協議会(以下:挺対協)の尹美香(ユン・ミヒャン)代表が来日し、3月2日、参議院議員会館での院内集会で、また夕方韓国YMCAでの市民集会で、水曜デモ1000回以降も活発に続けられている韓国での活動、韓国政府の積極的な対応や世論などについて報告しました。

 
主催:日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010
 
協力:戦時性暴力問題連絡協議会


 集会に参加しましたので、報告のまとめを下記に記します。(院内集会での発言と夕方の集会での発言との両方からまとめましたので、正確に発言の通りではありません。また小見出しを付けましたし、聞き漏らしたこともあるでしょうから、当文書の責任は文責者にあります。 文責:林 信治)

◆報告と行動提起
  尹美香(ユン・ミヒャン)韓国挺身隊問題対策協議会常任代表

 韓国政府の動き

 韓国政府は2005年に日韓条約交渉関連文書を全面的に公開して、「慰安婦」、原爆被害者、サハリン残留者の問題は解決していないという立場に転換しました。国連でもそのように演説しました。ところがこれまで韓国政府は、日本政府と交渉ではその立場を強く主張しませんでした。

 そこで私たち挺対協は、2006年に憲法裁判所に訴えました。判決が出るまで長い時間がかかってしまいましたが、昨年8月30日に韓国憲法裁判所は「韓国政府が日韓両政府の解釈の違いを放置していることは違憲である」という判決を出しました。

 他方、日本軍「慰安婦」被害者ハルモニたちと支援者は、この20年間、日本大使館前で「水曜デモ」を行い続けました。また世界中をまわって訴え、アジアと世界に人権のきづなを築いてきました。しかし、日本政府は、何の反応もしませんでした。話し合いをしても、「自分たちの聞きたい話のみを聞く」という姿勢でした。

 しかし、昨年一年間は、憲法裁判所の判決を機にこの運動が世界的に盛りあがり、政治的問題になりましたし、李明博大統領自身がこの問題に言及して、「経済問題よりもまず先にこの問題を解決するべきだ」と発言するまでになりました。

 昨日は、大韓独立万歳を叫んだ3・1独立運動 93周年の日でした。この日には必ず大統領が記念の演説を行います。歴代大統領は歴史問題については言及しましたが、昨日の李明博大統領のように、「慰安婦」問題の解決を演説で求めたのは、初めてでした。
 政治家・李明博大統領がこれまで言及しなかったのは、この問題について知らなかったから言わなかったのではありません、今回はどうしても言わなければならない、そういう政治的な状況にあることを認識したからだと思います。

 それを促したのが、まさしく昨年8月30日の韓国憲法裁判所の判決でした。
 「韓国政府が、「慰安婦」問題解決のために積極的に外交措置をとらないことは違憲である」という韓国憲法裁判所の判決は、「慰安婦」問題が今後どのような波紋を起こし、日韓のあいだで焦点になっていくか、ということを予見していました。

 12月14日「水曜デモ」1000回では、日本でもたくさんの連帯行動をとっていただきました。全世界9か国44都市で、「日本政府にたいして「慰安婦」問題を解決せよ!」という声があがりました。
 韓国の「水曜デモ」1000回集会には、韓国の政治家たち、与野党を問わず非常に大勢参加しました。また韓国では芸能人たちが、「ハルモニたちが1000回もデモを行っているのに、なぜ日本政府はこの問題を解決していないのか!」と声をあげました。

 憲法裁判所判決が出た後、もっともはやい動きをみせたのは韓国政府自身でした。挺対協では韓国政府の動きを、ずっとモニタリングしてきたのでよくわかります。
 韓国政府が最初に行ったのは、タスクフォースチームをつくり、さらに民間人を集めタクスフォースチームに対する諮問委員団をつくりました。この諮問委員団は、すでに日韓条約の仲裁委員会にまですすむ可能性を予見して、構成されています。

 韓国政府は9月15日と11月15日の2回にわたって日本政府に対して二国間協議を申し入れました。
 また韓国外交通商部長官が、みずから被害者に直接会いたいと申し出て、被害者との面談を実現しました。その面談では、言うまでもなく、ハルモニたちから長官が怒られるという状況になりました。そして、12月18日の日韓首脳会談では李明博大統領が、たいへん強い調子で「慰安婦」問題の解決を迫りました。そして昨日の3月1日、3・1節の大統領声明に至るわけです。

DSCN0571 (233x320).jpg
<韓国・挺対協ユン・ミヒャン代表>

 韓国国会、政党の動き

 今、申し上げたのは韓国政府の動きです。韓国国会のほうも早い動きを見せています。まずまっさきにセヌリ党(現在はセヌリ党という名に改称した与党のハンナラ党)が、党内にタスクフォースチームをつくりました。チョン・モンジュン議員がこのタスクフォースチーム結成に積極的に尽力されました。1月30日には第一回タスクフォース会議が開かれ、私もそこへ参加しました。その時にチョン・モンジュン議員はこのように言いました。

 「憲法裁判所判決は、行政府に対してのみ責任を追及したものではない、それは立法府に対する責任追及でもあった。なぜ今まで国会が、政党が「慰安婦」問題解決のために積極的に動かなかったのか、という責任を問うたものでもあるのだ。今になってやっとセヌリ党(当時はまだハンナラ党)がやっとタスクフォースをつくったことに対して、被害者や国民に対して大変申し訳ない。そして4月の総選挙が終われば、韓国国会のなかに、日本軍「慰安婦」問題特別委員会を設置したい。」

 セヌリ党(ハンナラ党)のチョン・モンジュン議員が「慰安婦」問題に対してこのように強い関心を持つのか、みなさん少し疑問なのではないでしょうか。
 チョン・モンジュン議員は90年代はじめに、日本人被害者としてはじめて名のりでた白田すずこさんの証言に触れて、そのなかの朝鮮人「慰安婦」についての証言について、韓国国会で質問をしたそうです。
 その後、チョン・モンジュン議員はアサン財団に関係が深い人ですが、この財団が被害者たちを南北雪解け時に金剛山観光に無料で招待してくれたり、95年以降は被害者たちは生涯、アサン財団の病院で、無料治療を受けられるような措置をとってくれたりしました。チョン・モンジュン議員は保守の与党保守系のハンナラ党所属であり、あまり広くそのことが注目されなかった事情があります。

 韓国の最も進歩的、革新的な政党である統合進歩党は、今年1月3日に日本の各党代表に対して、「この問題の立法解決をはかってほしい、また法的な賠償をするように日本政府に働きかけてほしい」という要請書を送りました。
 また2月27日、つい最近ですが、セヌリ党も党非常対策委員会の名前で日本の各政党に対して、「この問題の解決をはかってほしい」という要請書を提出しています。


DSCN0574 (120x160).jpg
<少女像、ミニチュア>

 日本政府、日本大使館の対応

 韓国政府ではこのように外交通商部が動きをみせ、また韓国国会でも非常に積極的な動きをみせており、また国際的にも関心が高まっています。しかしながら、残念ながらもっともこの問題を深刻に受けとめ、もっとも活発に議論すべき日本国会ではほとんど議論がなされていません。また、対応がなされていません。韓国政府の二国間協議を求める要請にも、日本政府は全く応答せず、拒否をしている状況です。

 2月13日には、日本大使館の参事官が私たちの挺対協事務所を訪れました。野田首相が、「人道主義的な見地で知恵をしぼりたいと言ったことに関しては、日本政府として重く受け止めている」と言いながら、「現政府の状態においては、「アジア女性基金」以上の措置を出すことは難しい」とも言いました。

 「もしもこの問題が、日韓条約第3条に基づく仲裁委員会に持ち込まれたら、被害者たちはまず自らに賠償請求権があるということから証明をしなくてはならなくなるだろう。日本政府はこれまでに何度も文書調査を行ってきたが、政府・軍が強制連行したという証拠文書は見つからなかった。民間業者を周旋人として利用したという文書は見つかった。政府がそれを利用したという文書もあった。」つまり、「国の違法行為はなかった、したがって被害者たちに賠償を請求する権利はない、そのことが仲裁委員会で明らかになるだろう」ということを言いたいのだろうと思いました。みなさんそう思いませんか。私は言いました。「あなたの言っていることは安倍元首相が言ったこととまったくいっしょだ」と。

 2月29日、私が日本に来た日ですが、ソウルの日本大使館側が、ウスキケイコさんと一緒に被害者3人と日本大使館で会っています。私の知るところでは、ウスキケイコさんは「アジア女性基金」の後続措置を行う財団で活動していると聞いています。年に何度か韓国を訪問し、二、三人のハルモニを招いて一緒に食事したりして、そしてそれが日本政府によるILOへの報告書に書かれています。ILOへの報告書に書いて、日本政府としては「アジア女性基金」で措置を行ったし、その後も後続措置を行う財団をつくって、このようにハルモニたちの治癒のための活動、訪問活動、またハルモニたちと一緒に出かけるというそういった活動を行ったということなんです。

 2月29日、日本大使館での会合でどのようなことが話し合われたか、まだわかりません。日本大使館からの公式な話の内容を確認したいと試みていますが、まだ話はできていません。参加した被害者ハルモニから聞いたところによると、「日本政府がお金を準備したら、受け取るか?」と質問されたそうです。これが日本政府のやり方です、一つの顔です。

 ところで、みなさんは雑誌『WILL』を御存知でしょうか? 買う必要はありません、どんなことが書いてあるかは、わたしがこれから紹介します。表紙に、「売春婦を国民の代表に押し立てた韓国政府」と書かれています。書いたのはサンケイ・黒田韓国支局長です。
 その中身をみますと、「日本軍「慰安婦」被害者に対して韓国政府が保護するということ、また韓国社会が被害者たちを非常に尊重して、すごい存在であるかのように扱うこと自体が、たいへんおかしい、韓国社会が変な社会である」という内容が書かれていました。

 わたしはそれを見ながら、これは韓国社会をすごくほめている気がして、笑ってしまいました。性暴力被害者に対して、女性の人権を著しく侵害された被害者に対して、侵害した側の日本の雑誌が「売春婦」と呼び、また「国民として扱わず、表に出ないで後ろに下がっていてこそ、彼女たちをクローズアップさせないことこそが正常な国家のあり方だ」と、平気で雑誌に書いています。日本社会のもう一つの断面を目の当たりにして、わたしは韓国人女性としてだけではなく、一人の女性として、本当に憤りを感じました。これに対しては「強い対処」を行うことを決めています。
 こんな宣伝に対して、アジアの全被害者たち全員が連帯して対応すべきです。日本の右翼の宣伝を放置していたら、あるいは単に感覚的にだけ受け取っていたら、よけいにはびこっていくでしょう。
 韓国の場合は、権力に対して、権力寄りのメディアに対して、市民団体が非常に強力に反対の意思を表示します。挺対協も同様です。

 最近、インターネット上で「慰安婦」被害女性に対して「売春婦」呼ばわりしたネットユーザーを告訴しました。そのように大衆媒体のなかで私たちの声を反映させていくことも私たちの役割だと思っています。

 ところが日本では良心的な声が大衆的な媒体で扱われることがあまりないようなので、私たちの声が広がっていかない状況があるのではないでしょうか。みなさんはソーシャルネット活動をどれだけやっておられるでしょうか。韓国ではSNSをとおして権力に対する批判、また大衆メディアの間違いをただす活動を本当に活発に行っています。


DSCN0573 (160x120).jpg
<集会の様子>

 今後の課題

 そろそろ時間もないので、残る課題について考えてみたいと思います。
 先ほど韓国・外交通商部がタスクフォースチームをつくり、その諮問委員団をつくるときに仲裁委員会に最終的に行くことまで念頭において諮問委員団を選んだことについて申し上げました。
 2月15日、わたしたちは外交通商部の前で、被害者ハルモニたち、挺対協の関係団体とともに、記者会見を行いました。

 外交通商部に対して、「日韓請求権協定の第三条に従って早く仲裁手続きに入ること、二国間協議を日本政府が引き続き拒否している段階で、これ以上法的責任の究明が遅れてはいない、時間がないのだ」ということを非常に強く要望しました。
 もっとも、仲裁に回すことに対して日本政府が拒否することは可能です。また、仲裁委員会に進んだ場合には、日韓の問題にとどまらず、すでに国際的な問題ですので、国際的な裁判の様相を呈することになるのではないかと思います。

 日本の官僚のなかには、仲裁委員会に持ち込むなら日本政府が絶対に勝つと言っている人もいます。しかし、国際的には、例えば国連でも、「「慰安婦」問題は日韓請求権協定のなかには含まれていない、解決していない」という勧告が出ていますし、このような重大な人権被害者の請求権を国家が消滅させることはできないことは、もはや明らかな事実だと思います。

 また、韓国政府が、日韓関連文書を全面的に公開し、自信を持って発表したのは、「日本軍「慰安婦」被害者たちの法的な権利は残っている、「慰安婦」問題に関しては、請求権協定の過程で言及されていない」という立場、主張に立ってのことでした。
 ところが、日本政府はいまだに日韓会談関連文書も秘密にして、公開していないではありませんか。(その主張に、政府自身が自信を持っていないからでしょうか。)

 ところが問題は、こんなことを繰り返していたら歳月が、いくらかかるかわからないということです。
 2010年に日本でも、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010がつくられて、日本全国で、また韓国でも、国際的にも、「日本政府は立法解決をする努力をせよ!」という声が高まりました。
 国家の責任を日本政府がきちんと認めて、公式に謝罪して、そのことを国民に対してきちんと公布して知らせて、アジアに対しても公布して、国際社会に対してもキチンと知らせる、そしてそのうえで法的な賠償を行うことが被害者たちの名誉を回復させることになります。
 そしてそれは日本国民の名誉を回復することになりますし、日本の右翼に対してきちんとした教訓を与えることになります。

 他のアジアの被害者の方たちも同じでしょうが、8月30日の憲法裁判所判決の後、韓国ではすでに6人の被害者ハルモニがなくなりました。

 ハルモニたちは、憲法裁判所の判決があった後、韓国政府が変わりつつあることを目の前で見ました。世界の人々の支持が広がっていると実感しました。また1000回の水曜デモで国際的にも熱い応援、連帯が寄せられていることを肌で感じて、非常に慰めを受けていると思います。キン・ボットンハルモニの言葉を引用して言うならば、「胸の中の大きな重いつかえが、スーッと抜けていくような感じがする」ということでした。
 今まできちんとした国民として扱われたことが一度もなかったのに、このように国民として外交的な保護を受けているということから、ハルモニたちが少しずつ自分たちの名誉が回復されているという実感を得ているのだと思います。

 私たちは運動の過程で変わりました。とともにハルモニたちも変わりました。ハルモニたちが社会に触れたからでしょう。世界が広がったのです。女性団体、労働組合、高校生、いろんな市民と知り合いになりました。それとともに今戦時下で被害を受けている女性たちの姿まで見えてきたのです。
 挺対協がすすめているのは、基地まわりの女性たちとの連帯です。ピョンテクに私たちと一緒に行ったのです。
 ハルモニは「あんたたち、口を閉ざしていても何も解決するわけではない。」ピョンテクの女性たちに言ったのです。そのピョンテクの女性たちが水曜デモに参加しました。20人の女性たちが参加しました。最初、ハルモニがそうであったように、みんな深々と帽子を冠って参加しましたが、次に参加した時には帽子をとっていました。
 水曜デモでは、「ピョンテクから来ているハルモニだ」とだけ言われました。演説初心者だったのでそれだけしか言えませんでしたが、参加者は理解しました。この女性たちも「慰安婦」ハルモニとつながることで、広い世界とつながったのです。

 そのようなハルモニたちがきたる3月8日、特別な記者会見を行う予定です。日本政府から賠償を勝ち取ることができたら、そのお金全額をコンゴで性的な暴力に会っている女性たちに寄付するという内容です。コンゴには性的暴力を受けたマシカさんという被害者がいて、自身が被害者でありながら、被害者たちを集めてその支援活動を行っています。マシカさんとその活動に賠償金の全額を寄付したい、彼女の活動を応援したいと言っています。
 このように被害者ハルモニたちの視野は広がり変わってきているのです。

 日本政府の対応を見ているとなかなか暗い気持ちになると思います。でも運動は最後まで、そして一生続けるものです。ですから疲れることなくこの社会を変えていくために、また日本の国会や政府を変えるためにいっしょに声を上げ続けていただくようにお願いします。そういった過程の一つ一つの瞬間が、ハルモニたちに元気を、勇気を、笑顔を与えることができると気づけば、みなさんもおそらく笑いながら、困難な環境のなかでも一つ一つ変化を起こしていくことができるのではないかと思います。
 頑張りましょう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。