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原発事故は長期化する [反原発]

原発事故は長期化・深刻化する

 1)原発事故はすぐに終息できない

 福島第一原発1~3号機の原子炉もしくは格納容器が破損し、高レベル放射線量の放射性物質が水とともに漏れ出ており、1~3号炉タービン建屋床にたまっている。特に2号炉タービン建屋の水は、1000ミリシーベルト/h以上という高レベル放射線量。それに加えてタービン建屋外のトレンチと呼ばれる「地下通路」にも水がたまっており、かつ1000ミリシーベルト/h以上の放射線量を観測した。さらに、福島原発敷地内で0.12マイクロシーベルト/hのプルトニウムを検出した(3月27日報道)。

 事故はなかなか終息しないばかりでなく、より深刻な新たな次の段階へ入った。
 1~3号機の原子炉もしくは格納容器が確実に破損しており、燃料棒から放射性物資が放出されている。これまでも指摘されてきたけれど、「格納容器」が放射線物質を「格納」する役目を果たしていないことが、明らかになった。
 しかも、いまだ破損部分を特定できていない。したがって、今後漏れ続けることも予想される。
 タービン建屋を含めた原子炉周辺が、高レベルの汚染地域なので、冷却作業や修復作業をすることが著しく困難になっている。通電できていないので通常の冷却システムはいまだ稼働していない、当分通電させることも難しい。そのあいだ消防ポンプなど外から原子炉への注水作業を継続し続けなければならない。
 この事態への対応、対策は、非常に困難で、すぐには終わらない。相当な時間がかかることが明らかになった。

 これまで、「原子炉圧力容器、格納容器は無事だ」と報告してきたのは、「単なる希望的観測」にすぎないことが判明した。一言でいえば「嘘」であった。

 原発事故になったあとの決定的な対応策は、現在の技術水準でも不可能なこと、きわめて困難なこと、放射能汚染レベルの高い地域では「お手上げ状態」であることがあらためて、判明した。こんなにも貧弱な技術基盤しかないのか、と唖然とさせられるばかりである。
 
政府・東電は、「事故は起きない、何重もの安全策が施してある」と宣伝してきた。そのことは、今回のような事故が起きた時の対応策を、まったく準備も検討もしていなかったことまでも明らかにしてしまった。逆に、事故後の対策は省略する口実として使われてきた。

 いずれにせよ、事故は長期化する!


 2)事故は長期化する。放射線汚染も長期化する。

 今後、事故は長期化する。
 したがって、対応すべき非常事態も、長期化する。明らかに、事故への対応は別の段階に入った

 当然のこと、避難体制も、避難者に対する支援体制も、長期化を前提としたものに変更しなければならない。
 事故の長期化は、被ばくする放射線線量が、時間とともに累積していくこと、被ばく線量が確実に多くなることを意味している。したがって、現在の避難地域も、より広範囲に変更しなければならないし、乳幼児・子供・妊婦は、別途拡大した避難範囲を設定しなければならない。

 現状の避難体制の「なし崩し的延長」ではいけない。事態が変わったことをはっきりと告げ、別段階の避難体制をとることを宣言しなければならない。
 避難範囲・対象の問題ばかりではない。避難者の生活も長期化するのであり、長期化を前提にした支援体制も、新たに必要になってくる。住居や食糧だけでないさまざまな生活支援が必要になってくる。

 しかし、政府・東電は、長期化すること、その影響を、明確に通知していないし、対策の方針・概要を、きちんと立てていない。「なし崩し的」に事態の推移に追随しているだけである。

 当初の政府、原子力安全・保安院、東電による発表は、事故に対する即時の対応だけを報道してきた。短期的事故であり、短期間に回復することを前提にした報道がなされてきた。

 しかし、事故はすでに長期化した。放射線汚染も長期化する。臨時の段階はすでに過ぎた。別の段階に入った。しかるに政府は、それに見合った態勢をとっていない。
 1ヶ月、半年、1年のレベルでの、対応と態勢が必要になってくる。その準備に即刻に入らなければならない。

 3)事故を想定していない!原子炉設計

 事故が起きてあらためて唖然としたことがある。
 地震対策と津波対策は、関連性をなしに行われていた。素人ながら唖然とする。地震が起きたら津波は来る。このことが対策されていない。そして、臨時電源も含め全面的な電源喪失の事態を引き起こすことも想定されていない。

 しかも、事故後の対応が大幅に遅れた。電源復旧にえらいこと時間がかかっている。実際のところ、事故が起き電源喪失してから、電源復旧を開始した。配電盤前までは電力は3月20日頃までは復旧したものの、3月28日現在、いまだ通電するに至っていない。事故前は、何の準備態勢も整備していなかったことを意味する。

 日本で稼働しているすべての原発に対して、何メートルの津波に耐えられる設計になっているか即刻公開させなくてはならない。対応策が今回の津波以下なら、即刻停止し、廃炉にすべきである。
 特に、東海大地震が予想される中部電力「浜岡原発」に対して強く要求したい

 そればかりではない。下記の通り、素人から見ても、原発の設計・設置において、明らかに事故を想定していない、といえることがある。明らかに建築設置ミス・設計ミスであろう。  一つは、福島第一原発は6基もの原発がほぼ隣接して設置されていることだ。1基だけでも危険なのに、なぜ隣接して建設されているのか? 危険要因を隣接して建設・設置すれば、1基の事故が隣接原子炉の次の事故を引き起こすことは明白である。一基仮に事故になっても、その事故は他の原発の事故を誘発させないことを考慮するのは、当たり前のことである。まったく「事故を想定していない!」原子炉配置である。

 今回の事故でも、例えば1基だけでも炉心溶融から原子炉圧力容器・格納容器破壊の事故が起これば、他の5基に対する冷却作業などは中断せざるをえず、6基まとめて炉心溶融、メルトダウン、原子炉破壊の大事故の可能性が実際にあった。
 3月28日現在、例えば2号炉周辺の放射線量が大きくて、他の原子炉の修理、給水作業が中断、もしくは困難にしている。

 素人でも気がつく「隣接の危険性」は、原発建設設置において何ら考慮されていない。「事故を想定していない!」原発建設・設計である。
 この事情は、他の原発でも変わらない。単基で稼働している以外の日本における他の原発では、同様に近接した配置であろう。

 いま一つは、「使用済核燃料プール」が、原子炉建屋内に、しかも原子炉の上に設置されていることである。
 危険要因を、なぜ隣接して配置する設計なのか? しかも原子炉の上に配置する!?  ほとんど理解不能である。
 それだけではない。、「使用済核燃料プール」冷却システムを、原子炉冷却システムと共用にしている。少なくとも、別の独立した冷却システムとしなくてはならない。設置者・設計者は何を考えているのだろうか。

 今回事故で原子炉の冷却システムが停止した。それとともに「使用済核燃料棒プール」の共用の冷却システムも停止した。その結果、「使用済核燃料」の冷却不能、熱破壊、水蒸気爆発、放射能漏れを引き起こした。事故発生から18日以上たってもいまだに、修復できないでいる。何という、危険な設計をしていることか!  非常識であるとしか思えない。

 この点もおそらく、日本で稼働する他の原発も同じ構造・システムであろう。

 このようなことは、中学生でもわかることだ。少しでも想像力があれば誰でも想定できることだ。どうしてこんな設計になっているのか! 理解できない。
 「原発安全神話」を提唱してきた者は、こんな初歩的なことにも「気がつかない」ということなのだろうか? あるいは、気がついても強引に「無視してきた」ということなのだろうか? あるいは、コストダウンのため女設計にしたのだろうか? 

 4)安易な報道をするな!

 3月19日頃、原発の外部電源が、福島第一原発1号基~6号機の配電盤ちかくまで復旧した。この時の報道を覚えているだろうか? 何と報道したか?
 「外部電源が復旧し、通常の制御システムが作動すれば、消防ポンプによる放水などではなく、通常の冷却システムが作動するので、事故終息は近い」と、専門家が登場し、皆そのように述べたし、NHKも含めたTV、大手マスメディアも、このように報道した。
 しかし、いい加減な「希望的観測」だった。結果からみれば、大ウソだった。この期に及んでも、事故を「小さく見せよう、問題は小さい」と装おうとしたのである。
 
 これは一例だけれど、多くの国民の判断を誤らせたことになる。

 しかし、この一例にとどまらない。事故が起きて以降の報道全体の特徴になっている。「直ちに問題ない、・・・格納容器は壊れていないから放射能は漏れない・・・・・・」などと報道した後で、一つ一つ覆ってきた。事故を「軽微に評価」していたこと、あるいは「意図的に軽微に評価しようしていた」ことが明らかになった。そのことに対して、誰も責任を取ろうとしていない。

 「デマに惑わされないようにしよう」と呼びかけながら、当の政府や東電、それから大手マスメディアがデマを流していることになっている。そのことこそ問題である。

 こういう無責任な、安易な報道をしてはならない!(文責:林 信治)

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