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原発、事故対応はいまだ十分ではない [反原発]

原発、事故対応はいまだ十分ではない

やはり、避難すべきだ

 1)英エコノミスト社説(3月17日)は、
 「……福島第一原発事故による排出放射能は日本政府の発表よりも強いものに見える。日本の原子力産業には隠ぺいと無能力の長い歴史があり残念ながら東京電力の対応はその過去の行動をなぞっている。この事故が早急に制御可能になり、放射能漏れも人々の健康に影響するほど大きくなかったとしても今回の事故は日本内外の原子力産業に大きな影響を与えるだろう。原子力政策はジレンマを抱えている。説明責任と透明性を可能にする社会が必要だが、原子力産業を持つどの国もこれができていない。・・・・・・」と報じ、東電の体質、日本政府の原子力推進のこれまでの対応を厳しく批判している。

 英エコノミストの指摘はもっともである。
 日本のマスメディアは、このような真っ当な、正面方の批判を決してしてこなかったし、今回の事故が起きてなお電力会社や政府に対する批判は、徹底して弱い、遠慮している。多くの大手メディアは自身の見識、批判的視点など持っておらず、政府・東電からの情報で記事を書いている。

 2)東電の隠ぺい体質は変わっていないし、変わらない
 東電など電力会社、原子力産業、経済産業省は一体をなって原発を推進してきた。それは都合の悪い情報、事故は隠ぺいすることで強引に推し進めてきた。
 日本の原子力産業は、これまで情報を自分たちで握り可能な限り隠ぺいしてきた。それで済ませてきたし、それで済んだ。

 そのことによって、東電にみられるように、事故に際しての「無能な対応」、「官僚的な対応」を営々としてつくり上げてきたことになった。事故が起きたら、「想定外であった」とさえ言っておけば、責任は回避できると考えている。
 
 3)情報開示を
 文部科学省が、21日から各地域の測定ポイントでの放射線量を、ホームページで発表しはじめた。それは事故が起きて10日以上たってあまりにも遅い対応であった。それでも進展である。この情報をもとに、多くの国民が、自分で判断でき、行動できる

 しかし、東電福島原発周りの放射線量は、東電・政府が選んだポイントだけ、しかもそのデータは「選択して」「考慮して」しか発表されていない。
 1号機から4号機の破損状況の写真にしても、たまに撮影された写真が何時間後か2,3日経って発表されるだけである。固定カメラを設置しておいて定点観測し、LIVEで伝えることは可能のはずである。事故が起きて10日以上たってもこのような情報開示のレベルである。
 情報は、「東電が管理する、必要以上出さない」、「原子力安全・保安院、政府が管理する」、この体質は事故が起きてなお、住民に被害が及ぶ可能性があってもなお、IAEAなど国際的な機関や国々から東電・日本政府は十分な情報を出さないと非難された後であってもなお、変えないし、変わっていないのである。

 3月21日などは、2号機から白煙が、3号機から灰色の煙が出たことを、TV報道で何時間かたって報道される始末だ。
 このことは何を意味するか? 事故が起きて放射能を放出しその被害を住民が受けてから、事故があったことが報道される。住民は、被害を受けてから、その被害を知る以外にない

 4)やはり避難すべき
 事故が終息しておらず、続いており、いまだ「最悪の事態」となる可能性が存在しているにもかかわらず、したがって事態は刻々と変化しており、変化した事態にすぐに対応しなければならないにもかかわらず、このような状態である。

 原子力安全・保安院は、3月21日これまで取ってきた避難体制、すなわち「20km以内からは避難、20km以上30km以内は屋内退避を」変更しないと発表した。
 炉心溶融などによる格納容器の破損、そのことによるより深刻なレベルでの放射性物質放出の可能性がいまだあるにもかかわらず、これまで取ってきた避難体制を変えようとしていない。

 確かに「避難地域を拡大」は容易でない、時間もかかる、さらには避難先の確保や避難先での生活とその準備など、別の大きな問題や困難が生じるのは明らかである。であるにしても、格納容器の破損や使用済燃料の露出によって、これまで以上の深刻なレベルでの放射性物質放出の可能性があるのだから、避難地域を拡大すること、そして拡大は一斉でなくとも、妊婦や子供を優先して段階的であっったとしても、実施すべきであろう。

 5)日本人の冷静さか?
 今回の地震被害が起きた後、危機的状況の生活を強いられても、日本人は暴動も起こさず冷静に規律だって行動していると、海外の国々から称賛されている。そのことは確かにいいことには違いない。
 しかし、他方で日本政府や東電は、必要な情報を瞬時に適切に開示していない。住民は何も知らせられないで、だまって被害を受けるだけの存在として扱われている。そのことに対して怒らないことは、冷静で規律だって行動しているとは、決して言わないし、言えない。まったく別のことだ。(文責:林 信治)
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