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忘れぬうちに――『人らしく生きよう』のなかの焼肉ソング [映画・演劇の感想]

忘れぬうちに
――『人らしく生きよう』(製作者:松原明さん、佐々木有美さん)のなかの焼肉ソング――

 先日、『日の丸不起立』試写会で松原明さん、佐々木有美さんの顔を見たときに、思い出したことがある。忘れぬうちに書きとめておく。最近すぐ忘れる、そしてまれに思い出す。
 二年ほど前の上映会後の懇親会で佐々木さんが、『人らしく生きよう』(だったと思う、違うかもしれない。)のなかの一つのシーンについて語ったことがある。
 北海道のある国労組合員(名前を忘れた)が楽しそうに焼肉屋のコマーシャルソングを歌うシーンのことだ。この焼肉屋は北海道では有名らしくそのコマーシャルソングもみんな知っているらしい。この国労組合員は実に楽しそうに、あるいは嬉しそうに歌うのだ。
 
 佐々木さんが語ったのは、「このシーンをカットすべきだという批評、感想が寄せられてそうかなと迷ったけど、実際の姿なんだからカットしないでそのままでいいと思う」ということだった。

 「ああそうか、カットしたほうがいいという意見が寄せられたのだな、製作者は律儀に気にするのだな」と、その時思った。
 カットすべきだと批評した人は、「国労組合員が自分の感情を表現するのに、焼肉チェーンのコマーシャルソングでそれにあてるというのは、あまりに俗っぽいじゃないか、あるいは自前の文化がないではないか」と思ったのだな。「そうだ、確かにそんなふうに思うのは自然だ。でもカットしてすむわけではないよなあ」

 そのときはそれだけで終わった。ただ、国労組合員のあの嬉しそうな表情はどうしてだろう、幸福そうな表情をしていたなあ、どうしてだろうなあ、とずうっと引っかかっていた。

 その理由はなんだろう。どうしてだろうか。
 いろいろ考えてみるけれどよくわからない。映画はきちんと表現していなかったのではなかったか、と思う。そして次のように想像するに至った。あの国労組合員にとっては、家族と一緒に焼肉屋に来ることが、生活の現状からして具体的に見える幸せの姿なのではないか、育ち盛りの子どもたちはたまにしか来ることができないからたぶん嬉しそうな表情をするのではないか、それを見て幸福になるのではないか。そのような気持ちがコマーシャルソングを歌うときに表情に現れたのではないか?
 これはわたしの想像、ちがうかもしれない。

 結論。
 あのシーンはカットするかどうかが問題ではない。むしろ国労組合員の嬉しそうな、幸福そうな表情の理由をきちんと描き出していないところ、描写が足らないところに問題がある。

 さて、ずいぶん前のことなので、わたしの記憶が変形し間違っているかもしれない。その場合は平にご容赦を。


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