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ベネズエラ大統領選、チャベス勝利 [世界の動き]

ベネズエラ大統領選、チャベス勝利

12月3日、チャベス大統領が三選を決めた。チャベスは強い反米姿勢を掲げる。どの途上国も債務に苦しみ、先進国の強要する「新自由主義、グローバリゼイション」を受け入れざるを得ず、半永久的に先進国の経済的後背地に固定されつつあるなかで、チャベスの反米はどうして可能になったのであるか。

チャベスの政策は南米中心に新たな共感を呼び、人びとを捉えつつある。
どうしてか。

1980年代から90年代にかけて債務が拡大した南米諸国とその人びとは、「新自由主義、グローバリゼイション」を北の巨人が強要するまま取り入れた。その結果、貧困層は拡大し社会は荒廃し、犯罪と麻薬と暴力がはびこり、債務は減らず、結局歴史は一世紀も後戻りさせられた。これまで築いた文明も人びとの暮らしも破壊された。そのことを身をもって知らされた。その現実への強烈な批判から、南米では「新自由主義、グローバリゼイション」の放棄する左翼政権の誕生が続いている。

「新自由主義、グローバリゼイション」の縛りから抜け出すには、どうしたらいいか。その方法は?。その処方箋は?

チャベスの示したプランは、国民国家単位で再分配すること。「新自由主義、グローバリゼイション」と対抗するには、多国籍企業と対抗するには、国民国家を組織しその権力を利用する。幸いにしてベネズエラには石油があった。もっともこの石油資源もかつては米国資本とつるんだベネズエラ支配層によってメジャー支配のもとにあり、ベネズエラの人びとのものにはなっていなかった。チャベスはこれを国有化し統制し、その得た資本を社会的に再分配しているのである。原油価格の高騰が更に追い風になった。
さらにその国民国家間の関係を密にし、あるいは分業し、地域間のより大きな独自の市場を生み出し、その基盤の上に連合した一つの南米を構想している。

90年代から世界を席巻した新しい資本主義は、なんら未来を約束しなかった。国有化と民主的統制は資本主義を掘り崩す社会主義への移行を準備する政策である。チャベスのプランはむしろ古典的でさえある。
もっともチャベスのベネズエラとて社会主義ではない。国有化し民主的統制しながらも、国際的な原油取引は資本の価値法則にしたがって行っている。

チャベスの成功をみて、南米の人びとは同じように、「新自由主義、グローバリゼイション、多国籍企業」と対抗するために、国民国家を組織しその権力を利用し、資源を統制し民主的に再配分する道を選ぼうとしている。このプランをベネズエラの人びとは支持したから、チャベスの勝利が生まれたのである。

さて、この新しい動きとその意味を、「新自由主義、グローバリゼイション」を推し進める政府を持つわたしたち日本の国民は果たして理解しているだろうか?いくつかの新聞報道を見たが、上記の意味を描いているものはない。

先日、ピースボートの企画する集まりがあり、現地事情に詳しいジャーナリスト・伊高浩明氏の話を聞く機会があった。その内容は先進国サイドに立つジャーナリストのものだった。伊高氏によれば、「チャベスの政策はモグラ叩きのように場当たり的であって、根本的な改革に欠けている」と言う。根本的政策とは何か、つい期待して身を乗り出した。伊高氏のいう三つの根本的改革とは、①土地改革、ただチャベスはやろうとしているが国内勢力の反発の大きさから実施時期を図っている。②教育改革、今行っている初等教育の充実ではなく産業育成に通じる教育が必要。③外交の改善、国連でブッシュを悪魔呼ばわりするのではなしに大人になれ、というのだ。
話を聞いて笑ってしまった。ベネズエラや南米の人びとの当面している問題をまったく理解せずに、チャベスに説教していることに笑ってしまった。

格差社会やワーキング・プアがという新しい日本語が生まれた。その言葉に相応する現実がすでに日本社会に定着し、更に拡大しているからだ。自由競争、規制緩和は独占を生む。必ず一握りに金持ちと大多数の貧乏人への分裂をもたらす。これを批判し対抗していくこの人びとの関係はどのようなものであるか。この構想はチャベスのプランとどのように通底するのであるか。


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