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フィリピントヨタ労組との交流 [フィリピントヨタ労組]

フィリピントヨタ労組との交流

1)フィリピントヨタ争議
フィリピントヨタはマニラの南、サンタローサ市の広大な敷地のなかにある。正門は幹線道路から入ったところにあってわたしたちは近づけず、正門に続く塀に沿って、あるいは工場内にも高い樹木が植えられていて、なかをうかがい知ることはできない。正門横には警察の詰所があり、この日は5名の警察官が配置されていた。サンタローサ市の警察官が私企業の正門前に常駐しているのだ。フィリピントヨタ労組員によれば、わたしたちが訪れたこともその日のうちに社内に報告されたそうだ。トヨタの寄付による小学校がサンタローサ市にあり、市長は全面的にトヨタを支援する関係にある。金を出して何でもやり放題である。
ここフィリピントヨタには1500名が働いており、上級職労働者が100人程度、830人が正規労働者(Regular)、400人の契約労働者(Contract worker)、見習工や研修生100名の構成である。
上級職労働組合(TMPCLO)と正規労働者を対象にしたフィリピントヨタ労組(TMPCWA)の二つがある。契約労働者は労働組合に参加できない。上級職労働組合(TMPCLO)は会社側の立場で行動している。
フィリピントヨタ労組(TMPCWA)は、2000年3月に組合代表選挙(CE:Certification Election)に勝利し団体交渉権を獲得したが、現在にいたるまでトヨタは一度も団体交渉に応じていない。それどころか、2001年3月にフィリピントヨタ労組員233名を解雇した。フィリピントヨタ労組は被解雇者の生活難やトヨタ社の弾圧に耐え、組織を維持し、トヨタ社の不当労働行為をフィリピン政府や世界中に訴え闘争を継続している。貴重な戦いである。
2001年7月、フィリピン高裁はトヨタの訴えに基づき、不当にもフィリピントヨタ労組の団体交渉権を仮差止めする判決を出した。あまりにもひどい判決なので、フィリピン最高裁は、2003年9月になって高裁判決を破棄した。それでもトヨタは団体交渉に応じていない。ILO(国際労働機構)はアロヨ政権に、「最高裁が高裁判決を破棄したが、トヨタ社はいまだに団体交渉を拒否し続けている」と非難する勧告をだしたけれども、アロヨ政権はトヨタに肩入れをやめず、ILOへの回答を回避し続け、トヨタも団交を拒否し続けている。
ラチがあかないのでフィリピントヨタ労組は2004年、変則的ながら全造船関東地協に加盟し、神奈川県労働委員会に日本のトヨタ本社を不当労働行為で訴え、日本国内でもトヨタの不当性をアピールしてきた。
2005年になり、トヨタ社は新たな攻撃を仕掛けてきた。事態を打開するためフィリピン政府に働きかけ、CEを強引に実施させ、フィリピントヨタ労組そのものをつぶそうとしてきたのである。CEは通常、5年ごとに実施される。フィリピントヨタ労組がCEに勝利してから確かに5年は経過した。そしてフィリピン労働雇用省は2005年2月に御用組合から請求された正規労働者を対象としたCEの実施命令を出してしまった。「団体交渉中か、交渉が暗礁に乗り上げ調停・仲裁中の場合、ストライキ通知の対象の場合は、CE申立却下理由の一つ」とされており、労働雇用省のCE請求受理自体が不当なのであるが、すでにCE申請を認めてしまったのである。アロヨ政権がトヨタと共謀している現実があるのだ。
不当性を訴えてCEを拒否することも考えられるが、CEを強行されかつ選挙に敗れた場合、フィリピントヨタ労組の存続にかかわるので、CE実施を受ける方向で方針を固め社内の組織活動を進めている。

他方、会社側労働組合の支持基盤も磐石ではなく、会社側御用組合とフィリピントヨタ労組双方の組織活動で現在は緊迫した情勢にある。
トヨタは金も人も大量に投入して何でもやってくるに違いない。すでにCEに当たっての予備会議で労働雇用省、会社、労働組合で選挙人名簿を確認するのだが、トヨタの提出した名簿には入るべきでない30名前後の上級職(係長クラス)の名前が記されていた。また、解雇不当で争っている場合、被解雇者にも投票権があるのが通常であるが、会社側はフィリピントヨタ労組組合員の被解雇者150名はすでに排除されている。また、トヨタは社内で「フィリピントヨタ労組が選挙でたとえ勝ってもトヨタは決して労働協約を締結しない」と公然と宣伝し、御用組合へ投票するように呼びかけている。
あまりにも不当だし、こんなことが認められれば正義はどこにも存在しない。フィリピントヨタ社員のなかにもトヨタのやり方に疑問を持ち批判する人も増えている。
フィリピントヨタ労組は工場内で働いている組合員を中心に非組合員への宣伝や説得活動を継続しており、その結果現在もなお、新たに組合に加入してくるメンバーもいる。
現在は、このような緊迫した情勢にある。エド委員長は「トヨタとアロヨ政権の不当な仕打ちに心底から怒っていること、決して戦いをやめないこと、世界の労働者の規範になるように戦いを進める」と語った。アロヨ政権ばかりではなく、日本政府もトヨタを擁護し進出企業を支えている。トヨタの不当労働行為は明らかなのにこれを知りながら、放置している。トヨタと日本政府に対するわたしたちの戦いでもある。


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