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フィリピン・クラーク経済区労働者を訪問 [フィリピン労働運動]

クラーク経済区を訪問

8月の訪問団で、バタアン経済区のクラーク経済区労働者を訪問した。
クラーク経済区では27,000人の労働者がはたらいており、衣料製造業、電子部品など労働集約的産業の企業が多い。日本からは横浜タイヤ、SMKなどが進出している。
下記は、クラーク経済区の労働組合組織化の現状である。

1)フィリピン労働運動の現状

フィリピンの労働運動は1980年代高揚した。マルコスによる弾圧がなくなったあと比較的容易に労働組合が組織でき、労働運動の高揚期をむかえた。しかし、90年代に入り、資本側や政府の対応は巧妙化し、また労働組合ナショナルセンターも分裂し労働運動は落ち込んだ。現在もなお低迷したままである。労働運動は変化した政府や資本のやり方に対応した戦術を取らなくてはならない。相手のやり方が変わっているのにいつまでも同じやり方をしていたら失敗を重ねるばかりだ。

2)クラークでの組織化

特にクラーク経済区ではNo Union No Strike”政策を採っているため、組織化の初めの段階で公然化したら、うまく行くはずはない。われわれは多くの失敗の経験から学んだ。とにもかくにも労働者の組織化が必要で、それができるオルグ活動、教育を行って行かなくてはならない。自分たちの置かれている状態を見つめながら、労働者として生きる権利を考えるようにオルグし教育していくと、必ず労働者意識をみんなが獲得するようになる。政治的意識も持ってくるようになる。いったん労働者意識を持った労働者は、置かれている条件が変わっても自分で考え柔軟に対応し行動するようになる。
組合の組織化は長い期間かかるし非公然の活動にもなるが、労働者意識を持った労働者が目標を持って活動すれば、対応した組織活動は必ずできるようになる。

3)組合代表選挙(CE)に勝ち、組合認証を勝ち取ること

フィリピン労働法によれば労働者数の20%組織したら組合が登録できるし、組合代表選挙請求(PCE)を申請できる。他方、組合代表選挙CEは50%以上の支持を得なければならない。ここに一つの罠がある。20%組織したからといって、安易にPCEを申請してはならない。CEは絶対に勝てる条件下でしかやってはならない。これがわれわれの学んだ教訓だ。CEに負ければ打撃は大きく次の組織化は格段と難しくなる。これまで多くの労働組合がつぶされていった一因はここにある。CEに絶対勝てる見込みができて初めて労働組合を登録するし、PCEを申請するのだ。具体的には労働者数のすくなくとも60%以上の組織を完了してからCEに臨むのが正しいやり方だ。
また、CEに至るまでの過程では、可能なだけ合法的な手続きを踏まなくてはならない。会社側に弾圧の口実を与えてはならない。労働雇用省(DOLE)や政府は会社側の味方だとことを踏まえておかなくてはならない。したがって、フィリピン労働法やそれが要求する手続き、これまでの実績についてよく把握しておかなくてはならない。こういう手順を経ることを軽く見たり、面倒がったりしてはならない。これも闘争なのだ。忍耐強い意志だけがこれを解決する。

4)核になる労働者グループをつくること

一人からグループにしていく、いくつかのグループを増やしていく、さらにこれを一つにまとめていく。同じ考えを持った人間が集まり工夫するならば、秘密裏にことを運ぶのは十分に可能だ。クラーク経済区のなかでも、会社によって活動する条件は異なる場合もある。しかし同じ考えを持った人間が集まれば、変化した条件に対応し、活動することは十分にできる。
労働組合を組織化していくうえで、特に特別な方法があるわけではない。労働者が資本家のもとに数多く雇われ、人らしく扱われておらず、他方で人間らしく生きたいと考える労働者がいるのだから、労働者を組織していくことは当然ながら可能なのだ。
その方法は情況に応じて工夫して行かなければならない。今後、政府や資本家の対応だって変わるだろう。クラーク経済区で次々に労働組合ができ、すでに全労働者数の10%以上を組織するに至っているから、経済区や資本家は何らかの対策を打ってくることは十分に予想される。そのときはまた彼らのやり方を上回る組織化をみんなで話し合いながらとすすめることになるだろう。

5)クラーク経済区での成果をさらに広げたい。

 現在6労働組合を組織した。2つの労働組合はすでに団体交渉を行い、労働協約(CBA)を締結している。労働協約には、賃金にしても、福利厚生を含むあらゆる労働条件にしても、この地域では先進的な内容が含まれている。労働組合を持たない労働者は奴隷的な境遇にいるのだ。労働協約を見せると、成果を一瞬にして理解する。
このような成果も、組合代表選挙に勝利し、労働組合を認めさせたから、労働協約締結のような次のステップに進むことができたのだ。われわれは短期間で大きな成果を挙げた自分たちのこのやり方に自信を持っている。成果をもっと広げて仲間を増やし、今後さらに多くの労働組合を組織していきたい。


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