SSブログ

ノモンハン桜はどこへ行った(1) ホロンバイル草原 [ノモンハン旅行]


ホロンバイル草原

ノモンハン桜はどこへ行った(1)
ホロンバイル草原

2005年6月末から7月にかけてノモンハンを訪れた。
このあたりをホロンバイル平原と呼ぶ。満州里(まんしゅうり)南方のホロン湖とノモンハン西方のバイル湖からこの名はきている。
この地方の第一の印象はなんと言っても、木々さえない見渡す限りの平坦な草原である。草原は平らであるので、ジンギスハンたちは馬に乗りまっすぐに走り抜けたろう。360度視界に地平線が見える。空気は乾き緩やかな風が常に吹き抜ける。見渡す限りの草原は雪解けの後、5月から成長したものであり、短い夏に花を咲かせて10月の初雪でそのサイクルを終える。

遠くから見ると緑の絨毯であるが、近づくと地面は砂礫地にまばらに草が生えているだけだ。地面には石と砂と黒いぶどう粒のような羊の糞、牛糞がそこらじゅうにある。寝転がることはできない。糞は土に還りかけている。
木々は一本もない。年間300mmほどと雨量は少なく半年以上雪に覆われるため、樹木は育たない。草原は春から秋にかけての半年間だけであり、残りの7ヶ月間は雪に覆われる。ただし雪はそれほど積もることはない。
牧草の種類はよく知らないが、十数種類の草が混在している。日本でも見かける草々、タンポポ、野生にら、アザミ、野生の葱、オオバコなども見かけた。自然に生えるままである。野生のにらから海拉尓(はいらる)という地名になった。ちぎればにらの匂いがする。
ノモンハン桜と日本兵が呼んでいたのは、もちろん桜ではない。樹木でさえない一年草であり、多くの白い小さな花をつける。草原を何度か歩いたがこのノモンハン桜を見つけることはなかった。わたし自身見たことはない。兵士の記憶で言い伝えられていることを知っているだけだ。日本兵たちは「桜」と呼ぶことで、異国の平原のなかに日本的なものを無理に見つけようとしたのであろう。それは兵たちに応じてさまざまな種類の日本的なものであったに違いない。そしてその思い多くは草原に消えた。


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行・地域(旧テーマ)

nice! 0

コメント 1

國光秀昭

20年ほど前に亡くなった父のアルバムに「ノモンハンのサクラ」を押し花にして挟んである。満州、ノモンハン、シベリア編があり翼竜はシベリアであった。
by 國光秀昭 (2014-07-22 16:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。