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日韓首脳会談と小泉首相 [現代日本の世相]

日韓首脳会談と小泉首相

1)6月20日の会談でノムヒョン大統領は、「小泉首相の靖国神社参拝問題が日韓の歴史問題の核心だ」と述べて、靖国神社参拝を問題にする姿勢を見せた。会談の大半を歴史問題での意見の交換に費やしたが合意には至らなかった。この小泉首相は「靖国神社参拝をやめる」とは明言しなかった。

「靖国神社に変わる追悼施設建設の検討」や「日韓共同の歴史研究」やで合意したというが、こんなものは合意といえるものではない。

2)「靖国神社に変わる追悼施設建設の検討」は今回が初めてではない。2001年8月13日、靖国参拝した小泉首相は「内外」の批判を無視できなかったので、「新たな追悼施設建設を検討する」とした談話を発表した。この意向を受けて福田官房長官の私的諮問機関として「追悼・平和記念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」が設置され、2002年12月24日には「国を挙げて追悼・平和記念のための国立の無宗教の恒久的施設が必要である」という答申が提出された。
しかし、小泉首相ははなから「新たな追悼施設」を建設するつもりなどなかったから、この答申は無視された。たなざらしにしてきたのは小泉首相である。このような経過を韓国政府とてよく知っている。
今回の会談でも、靖国問題で韓国政府からの批判が高まったので、「新たな追悼施設建設を検討する」と言っただけなのだ。検討するだけでつくるつもりなどない。

3)「日韓共同の歴史研究」も同じだ。2001年の歴史教科書問題をきっかけにすでに共同の歴史研究は実施された。合意に達せずそれぞれの主張を併記しただけであったし、日本側ははじめから「研究成果を教科書に直接反映できない」と明言している。だから韓国政府側に立てばもともと意味がない。今回「第二期の共同歴史研究を立ち上げる」としているが、それ以外にまとめる言葉がなかっただけである。

4)合意に達しなかったのは「歴史認識」であるが、「歴史認識」問題は現在と将来の日本とアジアの関係にそのまま直結している。
日本とアジア諸国との関係はこの先ますます密接にならざるを得ない。中国との貿易は米国を抜いて第一位になっている。韓国や台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの諸国との関係も、特に経済関係は年々密接になってきている。日本はこの先、好むと好まざるとにかかわらず、アジアのなかで生きていかなければならない。
このような状況下にあるにもかかわらず、日本政府としてどのようにすべきかの戦略を描くことができていない。

今回の日韓首脳会談の事前交渉で日本外務省は「靖国神社参拝問題は首相自身が判断する問題」と外務省は沈黙を決め込んだ。事前に調整できないのだ。政府内での不統一は、戦略なしに場当たり的対応に終始していることを示している。

小泉首相は靖国参拝を主張しながら、中国や韓国と交渉するパイプさえ持っていない。こじれた関係を修復するための人脈、ルートを持っていない。
他方で対アメリカの外交政策には言われるままに追随するしかないことは誰からも見透かされている。日本外交政策は破綻しているに等しい。

日本の支配層としては、不安でたまらないであろう。歴代の首相経験者の発言や、古賀誠日本遺族会会長の発言は、その焦りを表現している。


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