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トランプのウクライナ疑惑とは何か? [世界の動き]

ウクライナ疑惑とは何か?

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<オバマから勲章をもらうジョー・バイデン副大統領>

1) ウクライナ疑惑とは何か?

 トランプ大統領が、ウクライナ疑惑だとして、米議会で米民主党から追及され、米下院は弾劾決議を過半数で可決した。

 そもそもこれは何だろうか? どのような対立なのか? 米民主党の追及は果たして支持できるのか?

 一言でいえば、「ウクライナ疑惑」騒動とは、米支配層内部での主導権争いなのである。トランプは米国の支配層「闇の帝国」から、脅しを受けている。「闇の帝国」、軍産複合体の意向を背景に、米民主党はトランプを攻撃している。軍産複合体と米民主党はオバマの頃から親和性が高かったし、いまも高い。

 バイデンはオバマ政権の副大統領であり、2020米大統領選の民主党候補である。しかも、サンダースやウォーレンのように「富裕者からもっと税金を取り、再分配せよ!」などとは主張していない。米支配層である軍産複合体やウォール街の代理人なのである。トランプが2020大統領選における、米支配層の有力候補であるバイデンを引きずり落そうとしたことで、軍産複合体の怒りに触れたのだ。

 トランプが大統領に就任して以来、執拗に繰り広げられてきた「ロシア疑惑」と、今回の「ウクライナ疑惑」は本質的には同じだ。軍産複合体がトランプに脅しをかけている点でも同じだ。「ロシア疑惑」では、トランプを引きずり降ろすことはできなかった。あれは軍産複合体やネオコンが、ロシアのプーチンと交渉しシリア戦争を終わらせアフガンから撤退すると公約としたトランプを、押しとどめるために繰り広げたキャンペーンである。トランプは大統領の地位を失わなかったが、軍産複合体やネオコンの意向を汲んで、軍事予算を増大させ、ネオコンのジョン・ボルトン安全保障補佐官やポンペイオCIA長官(のちに国務長官)らを重要な閣僚に就けた。シリアやアフガンでプーチンと話をつけ戦争を終わらせることはできなかった。しかしトランプは2020年大統領選にむけ、厭戦気分を振り払い一挙に支持者を獲得する目論見を今でも持っている。

 そもそも、「ロシア疑惑」など荒唐無稽である。マラー検察官の報告書を見よ。中身は何もない。

 世界中でネットを操作し選挙に介入できる力を持っているのは、GAFAへの影響力を持つ米政府しかいない。自分ができるからと言って、ほかの政府に「疑い」をかけてはいけない。「どうせ米国と世界中の人々などは、ネット上の操作やフェイクニュースについて何も知らないだろう、いくらでも騙せる」と考えているからこういう「フェイク・キャンペーン」ができるのだ。

2)バイデンは何者か? 何をやったのか?

 2014年2月、ロシアとの関係を破って、ワシントンはウクライナで露骨なクーデターを演出し、NATOによるロシア悪魔化のための舞台を用意したのが、オバマ政権のウクライナ・クーデター担当、当時の副大統領ジョー・バイデンだった。

 トランプ大統領を狙った弾劾によって、奇妙なことに2014年とそれ以降、ウクライナ問題でバイデンが演じた疑わしい役割に脚光が当たった。2014年、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権が、EU加盟候補国になるというあいまいな約束よりも、ユーラシア経済連合に加わる寛大なロシアの条件を受け入れると決めた時に、親NATOクーデターが開始された。バイデンが舵取りしたクーデターは、アメリカ傀儡政権下の文字通りのネオナチ諸党や腐敗したオリガルヒのために、選挙で選ばれたヤヌコーヴィチ大統領を2014年2月に追放したのである。

 バイデン副大統領はオバマに、ウクライナ・クーデターとその余波を監督するべく指名されたが、それには、どうやらウクライナのガス企業ブリスマと息子ハンター・バイデンとジョー・バイデン副大統領の不正な談合取り引きも含まれていた。

 トランプの告発者を探した米民主党は、ウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使を探し出し、「EU大使ゴードン・ソンドランドが、ウクライナへのアメリカ軍事援助は、ジョー・バイデン副大統領が終了させていたウクライナ企業ブリスマの調査を、ウクライナが再開するのを条件としていた」と言っっていたと告げ口させた。ソンドランドEU大使は否定している。
 ブリスマとは、バイデンと彼の息子に約175万ドル払った企業である。ウクライナのゼレンスキー大統領は見返りはなかったと公的に述べており、公表されたトランプ- ゼレンスキー会話の記録にも、何の見返りもないことを考えると、驚くほど弾劾の根拠が薄弱なのだ。

 これがトランプを弾劾する主張の程度だ。

 一方、バイデンが何をやったか、見返りは何だったか?

 米政府とウクライナ大統領との間の見返り取り引きについて、ジョー・バイデン副大統領は、「(バイデンの)息子ハンターを役員会に入れてアメリカによる保護を買った企業ブリスマの汚職を調査していたウクライナ人検察官を解雇させた」と自慢しているのだ。「検察官を解雇するか、それともアメリカ援助10億ドルを失うかを決めるのに、ウクライナ大統領に6時間の猶予を与えた」と、バイデンは外交問題評議会CFRで自慢げに発言しているのだ。https://www.youtube.com/watch?v=KCF9My1vBP4
https://www.dailywire.com/news/ukraine-prosecutor-that-biden-got-fired-says-he-was-told-to-back-off-investigation-report-says?utm_medium=email&utm_campaign=Actengage
https://thehill.com/opinion/campaign/463307-solomon-these-once-secret-memos-cast-doubt-on-joe-bidens-ukraine-story

 当時バイデンはアメリカ副大統領で、現在は民主党アメリカ大統領候補者指名の主要候補である。バイデンこそ明らかに有罪ではないか? なぜバイデンではなく、トランプだけ調査対象になるのだろう? トランプに同情さえしたくなる。単に疑われたり主張されたりしているだけの犯罪が、大統領弾劾に値するのなら、なぜ、「既知」の自認し自慢した犯罪が、バイデンが大統領になるのを不適格とする理由にならないのだろう?

 これが米議会で行われている奇怪な弾劾である。軍産複合体が背後にいるか、いないかが大きく影響しているだけなのだ。

 米政治がいかに腐敗しているか、その証左である。
 しかし、当の米議会は、何が腐敗なのか? まったく理解していない。

 これほど明白な問題はないだろうが、米議会では問題にならず、米マスコミや民主党や共和党からも一言の批判もない。

 そもそも現在、行われている米国の外交政策自体が、そもそも誤ったものであり、腐敗の極みである。これを米政治、米議会は、決して追及しないし、弾劾しない。
 
 例えば、米政府は、ロンドンのエクアドル大使館にいたジュリアン・アサンジの亡命を無効にするのと引き換えに、レニン・モレノ・エクアドル大統領42億ドルのIMF融資を申し出た。モレノは取り引きに応じた。

 ワシントンはベネズエラ軍マドゥロ大統領を打倒する資金を提供した。ベネズエラ軍は申し出を拒絶した。ワシントンは経済制裁を科し、野党議員クアイドを大統領に仕立てあげ勝手に承認した。

 ボリビアでは、選挙で選ばれたエボ・モラレス大統領に対するクーデターを企て、新独裁者を米政府は支持している。

 上記のような多くの例がすぐ頭に浮かぶ。なぜこれを弾劾しないのか!
 米共和党のみならず、米民主党自身が、トランプ政権の上記の犯罪を支持しているからだ。

 米政権、トランプ政権を弾劾する理由は、そこらじゅうに転がっているのに、米議会はこれを弾劾しない。米民主党も米共和党も、批判しなければ追及もしないし、弾劾もしない。
 
 ジョー・バイデン副大統領がウクライナでやったことは、米政府が威嚇しウクライナ政府の主権を侵害した凶悪な犯罪である、米議会では「犯罪」とは認識しないので、バイデンの犯罪を弾劾しないのだ。これが米議会、米民主党がやっていることだ。

 こういう横暴極まる政治を行ったうえで、アメリカ大統領が各国に制裁を課する、こえは一体何だろう? ワシントンの取り決めを受け入れないことに対して、ワシントンが課す処罰だ。ワシントンの決定の正否は問わない、従わない者を罰する。

 こういう米政権の立派な犯罪も決して弾劾されない。

 「ウクライナ疑惑」によるトランプ弾劾とは、本当のところ「闇の帝国」がトランプに圧力をかけ、もっと完全な「しもべ」に仕立てようとしている行為なのだ。矛先が、米政府に従わない諸外国政府ではなく、トランプになっているだけ、やり口が同じ。
 
 大統領に、「闇の帝国」がクーデターまがいの圧力をかけ、目的が成功裏に成し遂げられたなら、今後あらゆる大統領は、支配層エリートの利害に反する変革の実現をあきらめるだろう。「闇の国家」とそれと手を結んだエリートによる支配が米国政治のなかでさらに確固たるものとなるだろう。

 トランプ弾劾を主張する多くの人々は何が繰り広げられているのか、まるで分かっていないのだ。





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