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人喰いバナナ農園―-スミフル社 [フィリピン労働運動]

人喰いバナナ農園―-スミフル社
スミフル社争議、いまだ解決せず!

190807 スミフル・バナナ園07.jpg
<フィリピン、ミンダナオ、スミフル社バナナ園>

 フィリピン・ミンダナオのコンポステラ渓谷にあるスミフル社が経営するバナナ農園・梱包工場で、18年10月、正規雇用化や団体交渉を求めてストライキに参加した労働組合員749名が解雇されました。

 解雇された労働者のうち300名がマニラに行き、大統領府、労働雇用省、国家労働関係委員会に訴えました。日本でも、スミフル労働者を支援する団体が、今年1月22日にはスミフル社の親会社である住友商事へ抗議行動を行いました。また6月には、スミフル労働者が来日し、749名の
不当解雇と、フィリピン最高裁が復職を命令したのに従わないスミフル社、親会社の住友商事を告発しました。

 抗議行動もあってか、6月18日に、住友商事は、スミフル社の株式を合弁相手にすべて売却する、スミフル社は子会社ではなくなると発表しました。

 フィリピン労働雇用省は、「749名の解雇は不当解雇である、スミフル社による控訴は認めない」とする最終判断を19年5月25日にくだし、スミフル社と解雇された労働者に通達しました。

 しかし、スミフル社は通達後も、解雇した労働者を復職させませんでした。労働雇用省はさらに7月22日付で執行令状に基づく行政指導を行い、組合員の復職(10日以内の復職)を命じました。

 ところが、スミフル社はその行政指導さえも拒み、労働雇用省に「行政指導」の破棄を求める要請書を7月31日付で提出していることが判明(8月6日判明)しました。

 スミフル社はそもそも認められない控訴を根拠に、行政指導の執行拒否と行政指導そのものの破棄を求めています。

 8月6日、500名の解雇された組合員は、国家労働関係委員会の担当者とともにスミフル社復職の意志を伝え出勤しましたが、スミフル社は復職も出勤も認めませんでした。それどころか、警察や警備員を配置し出勤者への監視行動を続ける始末です。

 現在は、スミフル社が7月31日に提出した「労働雇用省による行政指導破棄の要請書」に対する労働雇用省の返答を待っている状況です。

 しかし、スミフル社の要請書の主張は、すでに労働雇用省が再三の検討を行い、不当解雇であると結論を下したものであり、ゆるぎないものです。スミフル社の対応は、不必要に争議を引き延ばし、経済的に優位の立場にある会社側に事態が有利に働くことを期待しているものに他なりません。

 そもそもスミフル社と組合員らが長期にわたる争議に至った背景には、スミフル社がフィリピンの最高裁判決を無視し、組合員の待遇改善と労働組合との団体交渉に応じなかったことに起因しています。

 私たちは、スミフル労働郷労働組合の闘いを支持します。スミフル社がすみやかに行政指導に従い、組合員の復職を実現することを強く求めます。

190806 スミフル事務所前に詰めかけた労働組合員.png
<8月6日、最高裁の復職命令を受け、スミフル社に出勤した500名の解雇された労働者>
 ※
スミフル社争議の経過
2008年:スミフル社の前身Fresh Banana Agricultural Corpration(以下:FBAC)における労働慣習が「偽装請負」に当たるとし、労働者らがFBAC社の「請負業者」ではなく、直接雇用と団体交渉権を求めて、組合設立手続きを行うが、会社側は組合設立を拒否した。労働雇用省は組合員らの主張を認めて、組合を正規の組合と認めるが、FBAC社を吸収合併した新法人スミフル・フィリピン社はこれに異議申し立てを行う。
2010年:労働雇用省の仲裁・調停人は組合員らの主張を認め、会社による異議申し立てを棄却した。
2012年:控訴審は組合員の主張を及び労働雇用省の判断を支持し、会社側による控訴を棄却。
2017年6月7日:フィリピン最高裁は控訴審を支持し、会社側による控訴棄却、組合員の再雇用化を義務付ける。
2018年10月:最高裁判決後も一向に組合員らの正規雇用化を認めず、団体交渉にも応じないため、労働組合はストライキを決行。
 会社側が雇った暴力団・チンピラによるスト破り、暴行。会社側はストライキへの参加を理由に組合員ら749名を一斉解雇。
18年11月:スミフル労働組合事務所が何者かに放火される。
2019年1月22日:スミフル親会社である新宿・住友フード会社(Sumitomo Food Corporation)の前で抗議行動。
19年1月30日:労働雇用省の仲裁・調停人が、一斉解雇を不当解雇であるとする報告書を作成
19年3月25日:労働雇用省 国家労働関係委員会は、委員会決議として、1月30日の仲裁・調停人による調査を追認した。
19年5月25日:国家労働関係委員会は、3月25日日付の委員会決議に対する申立てを検討した結果、「組合員らの解雇が不当であったこと、これを控訴不能な最終決定」とする。
19年6月:スミフル労働者2名が来日し、日本でスミフル労働者支援キャンペーン行動を実施。
19年6月18日:住友商事は子会社「スミフル・シンガポール」の保有する株式49%全てを合弁相手に売却すると発表。9月末までの売却完了予定。
19年7月22日:労働雇用省は5月25日判断を受けてもなお当該組合員の復職していないことを受けて再雇用を命じる行政命令を発令。
19年7月31日:スミフル社は本来認められないはずだが、控訴中であると主張し、行政命令に従うことを拒否。
19年8月6日:不当解雇された約600名のが復職を求めて出勤するも、スミフル社は出勤を認めず、警察を含む人員を配置し監視行動を実施。
 組合代表者との会合で、スミフル社が7月31日日付で労働雇用省に要請書を送付していることを組合に開示し、「要請書に対する労働雇用省判断が出るまでの最大15日間のあいだは組合員の復職を認めない、ただし賃金相当の支払いは保障する」と発言。

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