住友商事系スミフル社で争議、人権侵害 [フィリピン労働運動]
フィリピン・バナナ生産の裏側で
住友商事系バナナブランド 「スミフル」労働者らが直面する人権侵害
~偽装請負、労働者弾圧、銃撃、放火、そして900名一斉解雇
1)住友商事系スミフルのバナナ
「グレイシオ」、「甘熟王」というブランド名バナナをスーパーで見かけたり、「高地栽培なので、より甘い」という宣伝をご存知の方も多いのではないだろうか。Sumifru(スミフル)社のバナナだ。スミフル社は住友商事の子会社であり、フィリピン・ダバオに専用港と専用冷蔵施設をもち、日本へのバナナ輸入では最大手である。日本に輸入されるバナナの80%以上がフィリピン産である。
バナナは安くて栄養価の高い食材で、日本の家庭にいまや欠かせない。
でもどうしてこんなに安いのだろうか? どのように生産されているのだろうか?
かつて鶴見良行が『バナナと日本人』(1982年、岩波新書)を書いて、バナナが生産されるフィリピン現地の生産現場と働く労働者の実態を暴き、多くの人が衝撃を受けた。バナナやエビを通じて、日本とフィリピン、あるいは東南アジア諸国との関係を知った。
その時と変わらない実態が、いまもフィリピンで繰り返されているのだ。
2)スミフルの争議、労働組合弾圧、人権侵害
ミンダナオのスミフル社バナナ園で労働争議が起きている。
私たちの食卓にのぼるバナナの安さは、労働者らが不安定雇用、無権利状態、低賃金で働かされているからだ。その仕組みは、低賃金無権利の非正規社員制度、日本の「偽装請負」と似たフィリピンでも違法な雇用体制が長年継続されてきたからだ。
スミフルの労働者らは労働組合を結成し、正社員化を司法に訴え、長い闘いを経て2017年6月には最高裁で勝利し、正規雇用を勝ち取り、解決したかのように見えた。
判決の内容は、労働組合NAMASUFA(Nagkahiusang Mamumuo sa Suyapa Farm)をスミフルの正式な労働組合と認定し、訴えていた従業員をスミフルの労働者と認めるというものだった。
ところが、スミフル社は最高裁の判決も無視し続け、労働者らはいまだに非正規社員のままであるだけでなく、解決を求めるスミフル労働組合NAMASUFAとの団体交渉にも応じていない。会社が認定された労働組合との団体交渉を拒否するのは、フィリピン労働法に反することだ。
スミフル社は判決を無視したまま、ミンダナオ南東部コンポステラ・バレー州にあるバナナプランテーションと梱包工場等の操業を変わらずに続けたのである。
これに抗議し、18年10月、主に梱包工場の労働者900余名による大規模なストライキが決行された。スミフルは交渉に応じずストライキに参加した900人は職場放棄と扱い、事実上の解雇された。さらにストライキに参加した組合員を狙って何者かによる銃撃事件や放火事件が複数起きたり、ストライキに参加した労働者ら900名が事実上解雇される事態になっている。
訴訟やストライキを決行した理由は、梱包工場での過酷な労働環境や不当な労働契約、有毒な薬の使用など多くの他の問題もあった。
数種類の使われている数種類の農薬は最近では無臭のものになり、過剰に吸いやすくなっており、多くの労働者が皮膚病をはじめ、腹痛、高熱、アレルギーなどの症状と健康不安を訴えている。
また2014年から施行された『圧縮労働週間制度(Compressed work week)』が悪用され、長時間労働を強いられ収入が減っている。
あるいは、自身の土地をバナナ栽培のために土地契約を交わした農民は、「23年間も納品単価の据置き」するとともに、10年間の契約後、スミフルにバナナ農園運営費を年間1ヘクタール当たり35,000ペソ(約73,500円)を支払う再契約を結ばされた者もいて、地域の問題にもなっている。
そのような問題の解決も併せて改善を要求しストライキに入った。しかし、スミフルは労働組合との交渉を拒否しつづけ、900名は収入がない状態が続いている。
<スミフル労働者、マニラで座り込み抗議行動 FoEより>
11月下旬、900余名のうち330人が首都マニラに乗り込み、大統領府前や労働雇用省前、日本大使館前などでのデモや宣伝活動を繰り返し、スミフルの人権侵害、労働者弾圧を訴えた。今もその活動を続けている。
11月30日には組合代表の家に2発の銃弾が撃ち込まれた。暴行・放火・銃撃事件が相次いでいる。18年12月には、組合事務所と組合リーダーの家が放火される事件も起きている。
しかし、いまだ解決していない。
振り返ってみれば、2017年6月に労働者側が最高裁判決で勝利判決を手にした後、事態が極端に「悪化」した。スミフル社が労働者と労働組合を弾圧方針を決めたからに他ならない。労働組合との交渉拒否、労働者の解雇、放火、銃撃事件はすべてつながっている。こんな不法なことが、人権侵害がまかり通っている。それを実行させているのが住友商事の子会社スミフル社なのだ。私たちにとてもぜひとも解決させなければならない問題だ。
アジア太平洋資料センター(PARC)や環境NGOであるFriend of the Earth Japan (FoE Japan)が、住友商事スミフル社の労働者弾圧、人権侵害の告発とスミフル労働者支援を訴えている。
住友商事系バナナブランド 「スミフル」労働者らが直面する人権侵害
~偽装請負、労働者弾圧、銃撃、放火、そして900名一斉解雇
1)住友商事系スミフルのバナナ
「グレイシオ」、「甘熟王」というブランド名バナナをスーパーで見かけたり、「高地栽培なので、より甘い」という宣伝をご存知の方も多いのではないだろうか。Sumifru(スミフル)社のバナナだ。スミフル社は住友商事の子会社であり、フィリピン・ダバオに専用港と専用冷蔵施設をもち、日本へのバナナ輸入では最大手である。日本に輸入されるバナナの80%以上がフィリピン産である。
バナナは安くて栄養価の高い食材で、日本の家庭にいまや欠かせない。
でもどうしてこんなに安いのだろうか? どのように生産されているのだろうか?
かつて鶴見良行が『バナナと日本人』(1982年、岩波新書)を書いて、バナナが生産されるフィリピン現地の生産現場と働く労働者の実態を暴き、多くの人が衝撃を受けた。バナナやエビを通じて、日本とフィリピン、あるいは東南アジア諸国との関係を知った。
その時と変わらない実態が、いまもフィリピンで繰り返されているのだ。
2)スミフルの争議、労働組合弾圧、人権侵害
ミンダナオのスミフル社バナナ園で労働争議が起きている。
私たちの食卓にのぼるバナナの安さは、労働者らが不安定雇用、無権利状態、低賃金で働かされているからだ。その仕組みは、低賃金無権利の非正規社員制度、日本の「偽装請負」と似たフィリピンでも違法な雇用体制が長年継続されてきたからだ。
スミフルの労働者らは労働組合を結成し、正社員化を司法に訴え、長い闘いを経て2017年6月には最高裁で勝利し、正規雇用を勝ち取り、解決したかのように見えた。
判決の内容は、労働組合NAMASUFA(Nagkahiusang Mamumuo sa Suyapa Farm)をスミフルの正式な労働組合と認定し、訴えていた従業員をスミフルの労働者と認めるというものだった。
ところが、スミフル社は最高裁の判決も無視し続け、労働者らはいまだに非正規社員のままであるだけでなく、解決を求めるスミフル労働組合NAMASUFAとの団体交渉にも応じていない。会社が認定された労働組合との団体交渉を拒否するのは、フィリピン労働法に反することだ。
スミフル社は判決を無視したまま、ミンダナオ南東部コンポステラ・バレー州にあるバナナプランテーションと梱包工場等の操業を変わらずに続けたのである。
これに抗議し、18年10月、主に梱包工場の労働者900余名による大規模なストライキが決行された。スミフルは交渉に応じずストライキに参加した900人は職場放棄と扱い、事実上の解雇された。さらにストライキに参加した組合員を狙って何者かによる銃撃事件や放火事件が複数起きたり、ストライキに参加した労働者ら900名が事実上解雇される事態になっている。
訴訟やストライキを決行した理由は、梱包工場での過酷な労働環境や不当な労働契約、有毒な薬の使用など多くの他の問題もあった。
数種類の使われている数種類の農薬は最近では無臭のものになり、過剰に吸いやすくなっており、多くの労働者が皮膚病をはじめ、腹痛、高熱、アレルギーなどの症状と健康不安を訴えている。
また2014年から施行された『圧縮労働週間制度(Compressed work week)』が悪用され、長時間労働を強いられ収入が減っている。
あるいは、自身の土地をバナナ栽培のために土地契約を交わした農民は、「23年間も納品単価の据置き」するとともに、10年間の契約後、スミフルにバナナ農園運営費を年間1ヘクタール当たり35,000ペソ(約73,500円)を支払う再契約を結ばされた者もいて、地域の問題にもなっている。
そのような問題の解決も併せて改善を要求しストライキに入った。しかし、スミフルは労働組合との交渉を拒否しつづけ、900名は収入がない状態が続いている。
<スミフル労働者、マニラで座り込み抗議行動 FoEより>
11月下旬、900余名のうち330人が首都マニラに乗り込み、大統領府前や労働雇用省前、日本大使館前などでのデモや宣伝活動を繰り返し、スミフルの人権侵害、労働者弾圧を訴えた。今もその活動を続けている。
11月30日には組合代表の家に2発の銃弾が撃ち込まれた。暴行・放火・銃撃事件が相次いでいる。18年12月には、組合事務所と組合リーダーの家が放火される事件も起きている。
しかし、いまだ解決していない。
振り返ってみれば、2017年6月に労働者側が最高裁判決で勝利判決を手にした後、事態が極端に「悪化」した。スミフル社が労働者と労働組合を弾圧方針を決めたからに他ならない。労働組合との交渉拒否、労働者の解雇、放火、銃撃事件はすべてつながっている。こんな不法なことが、人権侵害がまかり通っている。それを実行させているのが住友商事の子会社スミフル社なのだ。私たちにとてもぜひとも解決させなければならない問題だ。
アジア太平洋資料センター(PARC)や環境NGOであるFriend of the Earth Japan (FoE Japan)が、住友商事スミフル社の労働者弾圧、人権侵害の告発とスミフル労働者支援を訴えている。
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