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フィリピン経済の現況 [フィリピンの政治経済状況]

マニラに「高級旋風」

 2016年には、フィリピンの一人当たりの国内総生産GDPは3,000ドルを超える見込みだ。3,000ドルは、中間層の消費が急拡大する節目とされている。しかしマニラ圏ではすでに8,000ドルを超えている。GDPは3,000億ドル(約36兆円)を超える。人口1億人なので、一人当たり3,000ドル。
 確かにマニラに、高級サービス、商品が増えた。中間層の増加を映すこのブームは今後も続くのだろうか?

 よく言うと「宵越しの金を持たない」、悪く言うと「貯金はしない、お金のある人に頼る」フィリピン人気質は、消費拡大に拍車をかけているように見える。

 様変わりなのは、一泊数万円の高級ホテルに外国人旅行者ばかりではなく、フィリピン人宿泊客が目立つことだ。マニラ湾岸に、高級ホテル「コンラッド・ホテル」開業し、SMインベストメンツ社が経営する高級ショッピング・エリアも併設するという。そればかりか、マニラ湾岸には、カジノリゾートが相次いで建設されているのだが、外国人旅行者を狙ったというのに、所得水準の上がったフィリピン人中間層が意外に多く訪れている。(日経1月12日)

フィリピン経済

 フィリピンの経済規模はこの10年で3倍に成長した。2020年にはタイと同規模になる。一人当たりGDPも、8年間で2倍強になった。マニラ首都圏では8,000ドルを超えている。
 2013年の経済成長率は、7%だった。2015年は6.5%程度。高成長である。原油安は、フィリピン経済にプラスに働く。

 フィリピン経済の強みは、増大し続ける労働人口。全人口は1億人、労働人口は4,100万人。平均年齢は23歳と実に若い。子供が多いわけで、近い将来、確実に労働人口が増える。そのため賃金が中国に比べても上昇していない。当面のあいだ、政府にとって年金や福祉予算の負担は極めて小さい。もともとそういう制度はないけれども。

 日系企業の多くは、フィリピン経済区庁(PEZA) 、経済特区に進出している。PEZAの日本案件認可件数実績も2010年代に急増した。中国の賃金上昇を受けて、フィリピンに進出企業も目立つ。
日本との貿易では、電気・電子、コンピュータ機器を含む機械類の割合が高い。
 フィリピンに進出した電子部品産業の層が厚くなってきたため、現地で部品を調達し組み立てることが可能になっている(電気・電子部品の日本からの輸入が減少している)。電気・電子産業が高度化し、部品産業、下請け企業などの「裾野」が広がっていると言える。

 自動車販売も急増している。日系自動車会社の独擅場。2015年には新車販売が30万台を超える。現在はタイとインドネシアに集中する自動車生産態勢から、将来的にはASEANの経済統合(関税低下)によるASEAN地域での生産分業と輸出をにらんでいる。

 サービス業では、ITサービス業が急増している。フィリピンは英語圏だから、コールセンターなどの音声サービス事業では、インド以上に売り上げを伸ばしている。この分野は、米国やオーストラリア企業が積極的に進出している。

 流通では、コンビニエンスストアが、マニラ首都圏で急増し、首都圏以外にも増えている。

 フィリピン経済の弱点は、インフラが整備されていないところ。経済が拡大していることもあるが、発電能力は慢性的に不足。石炭火力への依存度が高い。1990年代に民営化したが、電力不足がなかなか解消せず、電気料金が高い状態が続いている。
マニラは交通渋滞がひどく、なかなか改善されない。公共交通、高速道路、水道事業も民営化されており、企業が利益を上げる範囲でしか改善されない。そのためインフラ整備が経済成長に追いつかない。港湾施設なども不足している。

 フィリピン経済は、輸出向け電気・電子産業、サービス産業だけでなく、経済成長により都市中間層の形成と、1,000万人にものぼる海外労働者からの送金は約3.6兆円(GDPの1割を超える)もあり、国内消費市場も確実に伸びてきている。
 
 2016年5月に、大統領選挙がある。

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