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安倍政権は「戦後70年談話」で、復古主義に踏み出すのを断念せよ! [元「慰安婦」問題]

 1月21日(水)、韓国水曜デモに連帯し、安倍首相・岸田外相宛の要請書を提出し、首相官邸前で、「慰安婦」問題の解決を訴えました。提出した要請書を下記に添付します。

 年頭記者会見で、安倍首相が8月15日、「戦後70年新談話」を公表する所存である旨を表明したところ、早速、米国政府から、河野談話、村山談話で示された歴史観を塗り替えることがないよう、厳しく求められました。 この批判の激しさにたじろいだ安倍政権は、さっそく河野談話、村山談話を継承すると言わざるを得ませんでした。本心は、新談話で歴史修正主義を謳い、復古主義により一歩踏み出すつもりでした。

 韓国、中国政府からも、新談話に対する懸念が表明されました。
 安倍政権、或いは安倍発言は、世界中から、不信をもって受け取らrています。

 1月21日はあいにくの小雨であり、また寒くもありました。人通りも多くなく、申し入れ後の15時から約1時間ほど、首相官邸前で訴えました。

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安倍 晋三 総理大臣 様
岸田 文雄 外務大臣 様

日本軍「慰安婦」問題の即時解決を求める要請書

 第二次世界大戦中における日本軍による「慰安婦」制度の過ちを日本国政府として認め、日本軍による性暴力の犠牲となった女性たちの人権を回復し、その反省の上に立って諸政策を行うよう、日本政府に以下のことを要請する。

1)「戦後70年談話」で、
歴史修正主義、復古主義にさらに踏み出すのは、断念せよ!

 1月5日、安倍首相は年頭の記者会見で、戦後70年の節目の年に当たり、「未来志向の新たな談話」を世界に向けて発信すると表明した。そのなかで、「村山談話」を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を引き継ぐとも語った。

 菅義偉官房長官は1月9日のBSフジ番組で、今年発表する戦後70年の首相談話について「(村山談話を)全体としては継承するが、同じものをやるのであれば新たに談話を出す必要がない。戦後70年の歩みや未来志向ということを含めた談話になると思っている」と述べた。

 「村山談話」、「河野談話」に代わる新談話を、内外の反応を見ながら安倍政権は、これまで下記の方向で準備してきた。

 2014年11月、米ニュージャージー州地元紙スターレジャーに、日本の民間団体「歴史事実委員会」が「慰安婦」の強制連行を否定する意見広告を載せた。ここには安倍首相をはじめ下村博文文部科学相ら現役閣僚4人が賛同人として名を連ねていた(1月12日東京新聞)。「慰安婦の強制連行を否定」は「河野談話」の否認である。

 2014年8月26日、自民党の高市早苗政調会長は、戦後70年の節目を迎える2015年に向け、「慰安婦」募集の強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話に代わる新たな談話を出すよう文書で申し入れた。標的は「河野談話」であり、「河野談話」の否認、撤回である。
 安倍首相は、自身に近い政治家に事前にアドバルーンを上げさせ様子をうかがい、その上で「村山談話」に代わる新しい談話を準備していることを正式に表明したのである。それが年頭記者会見であった。

 戦後70年新談話を作成する安倍政権の政治的意図は、「慰安婦」募集の強制性を認めた1993年の「河野談話」の撤回であり、「自虐史観」の「村山談話」の書き替えである。そのようなことは誰の目にも明らかだ。
 安倍政権は「戦後70年談話」で、歴史修正主義、復古主義に踏み出すのを断念せよ!
 
2)新談話に対する世界からの懸念と批判が相次いだ!

 新談話に対する激しい批判が、さっそく世界から相次いだ。

 米ニューヨークタイムズは今月3日付の社説で、談話見直しの動きを「深刻な過ち」と酷評し、「朝鮮半島などの女性らを性奴隷としたことを含む第二次世界大戦の加害に対する謝罪を書き直そうとしている」と激しく批判した。

 米国務省のサキ報道官は1月5日定例会見で、「これまでに村山富市元首相と河野洋平元官房長官が(談話で)示した謝罪が、近隣諸国との関係を改善するための重要な区切りだったというのが我々の見解だ」、「(日本には)過去に公表された談話がある。それ以上のコメントはない」と述べ、戦後70年の首相談話が「村山談話」や「河野談話」で示された歴史観を塗り替えることがないよう暗に求めた。
 サキ報道官は、「村山談話」だけではなく、安倍首相が年頭会見で言及しなかった「河野談話」をあげて、これを守れ、しかもそれは米政府の見解だと表明した。一報道官が、8か月も先に予定されている「安倍首相談話」に、ここまで突っ込んだ注文をつけるというのは異例である。
 米政府は、安倍政権による「戦後70年談話」が、特に「河野談話」を標的にしているその意図を、即座にかつ明確に理解し批判を表明した。米政府内に広く、安倍政権に対する不安と不信が定着している事実をも同時に明らかになった。
 サキ報道官の発言は、安倍首相と首相周辺が「河野談話」見直しを意図する言動を繰り返し、マスコミがそれを垂れ流し、東アジア地域を緊張させている状況に対する、アメリカ政府の強い懸念が背景にある。国務省の一報道官がここまで踏み込んではっきりと注文を付けるのは、議会調査局報告にあるようにアメリカ政府が安倍首相及びその取り巻きたちのこれまでの姿勢・言動に相当の不信感を抱いているからである。

 米政府の激しい批判を前にして、菅官房長官は1月6日の記者会見で、「日本の歴史認識は米国にも説明しており,十分理解していると思う」、「河野談話も継承すると国会で答弁してきた」と語り、さっそく戦後70年談話の内容のトーンダウン、修正を余儀なくされた

 1月15日、徐清源(ソ・チョンウォン)韓日議員連盟会長と与野党の国会議員8人が、首相官邸で安倍晋三首相に会った。この席で徐会長は「日本がまず元慰安婦の女性の名誉を回復するのに最善の努力をつくすことを望む」朴槿恵大統領のメッセージを口頭で伝えた。これに対し安倍首相は「日韓条約で解決済であるが、慰安婦問題には筆舌に尽くしがたい思いを持っている」とし、「私は河野談話を継承し、見直したりはしない」と述べ、例の二枚舌的態度で対応した。

 「戦後70年談話」は、「未来志向」と称しながらも、これまでと同じように内外の様子を見ながら、隙をみて「河野談話」、「村山談話」の修正を繰り返し狙っていく、政治行動の一つとして、この先2015年8月15日まで継続するだろう。そのような「戦後70年談話」発信は、日本政府と日本国民に対するこれまでと将来の国際的な信頼を損なうだけである。

 「河野談話」、「村山談話」を堅持し、過去の侵略と加害の歴史的事実を認め、「慰安婦」問題の解決に一歩踏み出して初めて、「戦後70年談話」は、「未来志向」となることができる。私たちはそのような「戦後70年談話」を求める。

3)安倍首相の二枚舌発言をやめよ!

 安倍首相は、これまで批判されるたびに何度も「村山談話、河野談話は変えない、継承する」と表明してきたが、日米同盟の相手国・アメリカ政府すら安倍発言を信用していない「現実」が、確認された。世界中が、安倍首相の二枚舌発言を知っており、したがって不信を抱いている。

 「安倍首相は何をするかわからない」と見ているのは日本人に限らないのである。「河野談話」に関してのみならず、安倍首相はそれまでの発言を平然と否定する発言を繰り返してきた。首相発言がくるくる変わっても、日本のマスコミも、官僚組織も、野党政治家すらも批判せず、逆に安倍首相の見解を競って先取りし主張してきた。安倍政権は、批判されればその都度、「村山談話」、「河野談話」を継承すると対外的に表明しながら、他方国内では、「河野談話」の強制性を否認し、「村山談話」は自虐史観として退ける世論を、マスメディア、官僚組織を通じて公然と煽り続け、その復古主義で政治的権力を固めてきた。日本の政治において、このような異常状態が続いていることも世界は知っている。

 「河野談話」堅持を表明することは、言葉だけに終わることなく、態度と行動でもって国際社会に真摯に対応しなければならない。今こそ「慰安婦」問題の解決に踏み込み、人権を尊重する日本政府として、国際的な信頼を回復しなければならない。
 安倍政権の二枚舌は、日本政府と日本国民の国際的信頼を損なっており、即刻やめること求める。

4)安倍政権は復古主義政策をやめよ!
  21世紀において「孤立し衰退する日本」へと導くだけだ

 安倍政権の復古主義に基づく政治路線、外交政策は、東アジアを含む世界で友好的な善隣関係を構築していくうえで、リアリティを欠いている。戦前の軍部・財閥が、侵略拡大の国内世論を煽り反対者を抑えつけ、そのことで天皇制政府権力を主導し、世界的な情勢をまったく無視して侵略戦争に突入していったのと、実によく似ている。敗戦と戦後出発の歴史と現実を否認し、今日の世界的な情勢をまったく無視した復古主義の政治路線を主導することが、現代日本の与野党政治家・官僚にとって、出世し権力に近づき政権に加わる条件となっており、戦前と同じく東アジア、国際政治において孤立を深めつつある。そのことは日本を確実に衰退へと導く。

 他方、安倍政権の復古主義は、奇妙なことに対米従属と一体となっており、米国政府の要求にこたえ集団的自衛権の行使を決定し、秘密保護法を制定し、沖縄・辺野古新基地建設を推し進めている。国際政治においてはまったくの米国依存状態である。
 ただ以前と異なり、米国にとり日本の重みは大きく低下した。米政府は、次の時代の世界共同支配に協力しかつ対抗する中国との関係構築に苦慮しており、この関係を破壊してまで安倍政権の復古主義を支持するわけにはいかない。
 米国にとって、国際政治において日本は米政府に必ず従う存在であり、日本政府側は日米同盟を第一義的にとらえているが、米国はすでに日本を重視していない。経済的にはTPPによるブロックで利用し、政治的軍事的には中国に前線で対応する一つのコマとして、現在の日本はある。
 安倍政権の復古主義は、国際社会のみならず、「従属」する米国の現実的な国際政治、国際戦略にも受け入れられていないのは、明らかである。

 安倍政権の復古主義は、現在と近い将来の世界の経済的発展の中心地域である東アジアから、日本を孤立させ衰退させるだけであり、安倍政権の政治路線の先に、日本の未来はない。米国への一国依存ではなく、東アジアを中心にバランスのとれた善隣友好関係を構築し、復古主義をやめ国際社会に認められる人権を尊重する日本に転換することを求める。


「戦後70年談話」で、歴史修正主義、復古主義に踏み出すのを断念すること!
安倍首相は二枚舌外交を即刻やめること!
「慰安婦」問題の解決を表明し、「戦後70年談話」を真に未来志向の内容とすること!
安倍政権の復古主義は、21世紀において「孤立し衰退する日本」へと導くだけだ!
国際社会に認められる、人権を尊重する日本に転換すること!

2015年1月21日

フィリピン・ピースサイクル

フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)

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