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韓進造船所を再び墓場にするな! [フィリピン労働運動]

 0)はじめに

 フィリピンのハンジン労働者から、最近の状況についての報告が送られてきました。以下に紹介します。
 2011年3月以降、死亡事故を含む重大な労災事故が多発し、労働者の怒りが高まっています。労働者やサマハン(労働組合準備会)が改善を要求しても、会社は何も対応しません。それどころか労働者のリーダーを解雇し、強制休職に追い込んだり、弾圧してきており、卑劣な対応はこれまで以上です。
 労働者たちは、会社に対し要求し続けるとともに、教会グループや他の労働組合センター・団体とともに、国会やアキノ大統領に、解決を求め訴えています。現地では緊迫した情勢が続いています。
 なお、韓国・韓進造船所でも合理化に反対し、韓国・韓進労働組合委員長は、人員削減・解雇に反対し工場内クレーンに籠城中です。7月23日で191日目に入りました。韓国・韓進では古い造船所が閉鎖され、人員削減・解雇への反対を掲げ、闘っています。フィリピン・ハンジン社が日々生産を拡大していることと大いに関係があります。
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コピー ~ DSC_0114 ハンジン造船所前で警備員に止められる.JPG
<2011年3月、ピースサイクルは、ハンジン造船所に抗議に行った。警備員に止められた。この警備員たちもハンジン労働組合メンバーに暴力をふるう!>

 報告:
 スービック造船所の秘話――韓進建設重工業フィリピン
 
2011年6月22日


1)韓進(ハンジン)・フィリピン社はどのように稼いだのか?
 2008年6月以来、韓進建設重工業フィリピン社(Hanjin Heavy Industries and Construction Phils., Inc.)は、24隻の船を建造し納入しました。14隻分で8億5,000万ドルの売上がありました。ここ2年間、ハンジン社は、スービック自由貿易区のなかで3億7,274万ドルの売上高を稼ぎ、最高額の輸出業者となっています。
 
 この韓国資本コングロマリットは、2006年5月に7億2,100万ドルの初期投資から、操業しはじめました。敷き地は、元米海軍スービック基地の一部であり、アロヨ大統領との間で50年の賃貸借契約書に調印しました。フィリピンにおける最も大きい海外資本による直接投資(FDI)でした。ハンジン社は当時は15,000名の労働者でスタートしましたが、現在では21,000名のフィリピン人労働者を雇っています。会社は、2010年には7億ドルを売上げ、2011年9億3500万ドル、2012年には12億8000万ドル売上予定です。
 10年間の免税期間に莫大な利益を得ようとしているわけですが、4年以内で会社は18億ドルの投資を回収してしまいました。
 この理由として、ハンジン品質保証役員ヨハ・キムは、「フィリピン人労働者の造船技能習得が早い」と賞賛しました。そのような「賞賛」にもかかわらず、21,000名の勤勉なフィリピン人労働者への劣悪な処遇はどうなのでしょうか?

 2)恒常的な労災事故と労働者虐待

 SAMAHAN(ハンジン造船所労働者協会:労働組合結成のための準備組織)は、会社の発行している文書によって、2011年3月の週前半にスービック造船所で憂慮すべき頻度で死亡事故が発生していることを知りました。わずか6日間(3月8日~14日)に、6人の労働者に重傷を負わせた5件の事故がありました。
 また4月8日~15日に、4つの異なった重大事故があり、2人の労働者が死にました。これらの事故は病院への入院を必要とするものでした。

 他方、軽微な事故もあります。皮膚の小さな傷や擦り傷、かぶれ、溶接の煙にさらされたため目のはれや炎症、溶接時の金属の飛散による怪我、四肢の喪失、または両手の喪失などがきわめて憂慮すべき頻度で起こります。小さな診療所に勤務する看護師の医療を待つ労働者の毎日の長い列は、当造船所での労働がどれほど危険であるか、生きた証拠になっています。

 また、3月28日から6月11日まで、SAMAHANは韓国人上司によるフィリピン人労働者の虐待・酷使について6件を記録しました。虐待は、首絞め、蹴り、硬い金属の懐中電灯で頭を殴ったり、鉄板を切る工業用ハサミで叩いたりといった行為に及んでいます。

 3)職場における安全衛生は疑わしい

 軽工業区と自由貿易区の貧弱な安全記録にさえも、事故と死亡の記録が連なっていることが2008年に明るみに出ました。
 フィリピン議会と上院労働委員会は、その件を審査するための措置を講じました。2009年第一四半期までは、労災死の死者数は24名とされていましたが、労働雇用省労働安全衛生セクションは、死亡者40名、事故は5,000件と報告しました。
 労働者たちは、韓国人上司が「フィリピン人労働者を屈服させる」ために、彼らの頭をけったり殴ったり硬いもので殴ったりすることを暴露するようになりました。食事はさらにまた多年にわたって労働者を苦しめている問題であって、しばしば古くて腐っていたり、ウジがいっぱいわいていたりするのです。また、事故多発の理由の一つが下請契約会社の広範な使用であると指摘されました。同じ造船所内の各部門は多数の異なる下請け会社の労働者で占められているのです。事故が起きても、労働者の責任、あるいは下請け会社の責任として、ごまかし隠し押さえつけてきたのです。
 上院議員ジグノイ・エストラダによって行われた造船所調査では、以下の問題点とその改善が勧告されました。
 ・医療施設の欠如、常勤の医師と看護師のいる300床の病院施設が必要である。
 ・不十分な安全警告装置
 ・壊れた安全靴
 ・安全工具の不適切な使用
 ・低賃金の改善

 4)ハンジン労働者の闘い

 より安全な仕事場とするような上院労働委員会の勧告を得て、労働者は組合を結成し闘いました。労働組合は労働組合結成の前提条件を遵守したにもかかわらず、フィリピン労働雇用省により組合登録は保留にされました。そのためハンジン労働者は、2009年第1四半期にSAMAHANを組織して、労働雇用省に組合登録すると決めました。当初、SAMAHANの組合登録は、労働雇用省によって拒絶されましたが、2010年3月に登録が認められました。しかしハンジン経営者が上告し、労働雇用省第III地域は組合登録を取り消してしまったのです。都市宣教師(UM-AMRSP)グループや社会的行動全国事務局、正義と平和(CBCP-NASSA JP)ような教会グループの支持が功を奏し、2010年9月労働雇用省-BLRの全国ディレクター(National Director)などの支援があり、また労働雇用省への働きかけがあって、元の通り組合登録が認められました。

 2011年3月以降、死者と大事故がまたもや増大してしまいました。また韓国人上司による虐待・酷使が続くこと(以前の指摘を意図的に無視)、そればかりでなく社員食堂の食事がまたもや腐ったものだったことから、2011年3月16日労働者たちは経営者に抗議の手紙を書くことにしました。この手紙に含まれているのは、安全衛生の遵守、事故防止、虐待禁止、食事改善などとともに、不法に解雇された40名の労働組合員とSAMAHANメンバーを復職させるという内容です。

 対話を提案するSAMAHANの手紙を、経営者側は無視し何も回答しないまま、一旦食事を改善し、ユニフォームや安全靴、溶接用ゴーグル、ガスマスク、ヘルメットなどの安全工具を何人かの労働者に支給しはじめました。その時、労働者たちは喜びました。しかし、2日間で元に戻りました。古い腐った食事、低品質の機器・設備、およびおんぼろなユニフォームに戻りました。そんななか去る4月8日から15日、4件の連続した事故が続き、2人の労働者が死亡しました。

 「造船所が再び墓場になる」という危機感が職場で高まりました。労働者たちは警告と抗議を示すため、5月1日前日昼休みに抗議の騒音連打を行い、そして5月26日には、経営者を追及する手紙を再度書きました。
 グループの要求は単純です。ハンジン経営者とSAMAHANからなる労働者代表の間で委員会を新設し、共同で以下のことを決定することです。

 ・労働安全衛生の実施、造船所内の300床の病院施設の提供
 ・フィリピン人労働者の虐待禁止
 ・清潔で健康的な食物の提供
 ・不法に解雇された40名の復職(SAMAHANメンバーと疑われた者と組合員)。5人のSAMAHANリーダーの復職。

 悲しいことに、問題に決着をつけることの代わりに、経営者はリーダーである労働者に対し出勤停止、職場からの追い出し、不法逮捕と拘留、ハンジン警備員によるSAMAHANリーダーへの慢性化した暴力・殴打で応じました。特別行動部隊とスービック警察もまた、SAMAHANリーダーを鎮圧するためにハンジン経営者側によって利用されているのです。

 連絡窓口:
 ・アルフィー・アリピオ(Alfie Alipio)委員長(シャマハン) 0930 1870 800
 ・ジョエイ・ゴンザレス(Joey Gonzales)書記  0907 8320 094
 ・プレシィ・デレメス(Precy Dellomes)(マカバヤンMAKABAYAN)0922 2749 049 / 0927 8815 519
   Email: makabayan2003@yahoo.com
 ・エルネスト・アレラノ(Ernesto Arellano)0922 8355 685
 ・テス・ボルゴニオ(Tess Borgonio)NUBCW・BWI 0917 8256 954
   Email: nubcw.org08@yahoo.com


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