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ILO使節団、調査を終える [フィリピントヨタ労組]

組合リーダーの殺傷事件や不当解雇、団結権の侵害、国軍の労使関係への介入について、ILO使節団、調査を終える
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9月20日名古屋駅前でトヨタを糾弾するエド委員長

1)調査団の目的
 
 フィリピンでは組合リーダーの殺傷事件や不当解雇、団結権の侵害、国軍の労使関係への介入などの問題が多発し、一向に収まる気配がない。今年の6月、ILO総会でフィリピントヨタ労組エド委員長が初めて発言を認められ、フィリピントヨタでの233名の解雇、労働組合を認めず団交に応じないトヨタ社の不当労働行為、組合リーダーへの軍や警察の脅し、フィリピントヨタ社に軍が常駐していたことなどの不当性を訴えた。その結果、ILOはフィリピンへハイレベル使節団派遣し調査することを決定した。
 調査団として派遣されたILO本部職員3人は9月22~29日、ルソン地方ラグナ、タルラック両州の工業団地を訪れ、日系企業を含む経営者側、軍・警察、労働雇用省など政府機関と協議、労組員への聞き取り調査を行った。

2)マニラで労働者から聞き取り調査
 
 9月23日、調査はILOマニラ事務所(首都圏マカティ市)で行われ、組合関係者の殺傷事件や不当解雇、団結権の侵害、国軍の労使関係への介入などについてILOに提訴している労働者が対象となった。

 まにら新聞によれば、調査に招かれたKMU関係者19人のうちの1人、ドール・フィリピン労働組合「マドカディナナプロKMU」理事ニコラス・ガリヤ氏(51)は、米食品大手、ドール・フィリピンのパイナップル農園(ミンダナオ地方ジェネラルサントス市)で働いて18年、国軍による労使関係への介入などで組合が分裂の危機にさらされていると調査団に訴えた。
 ガリヤ氏による国軍の労使関係への介入の実態は下記の通り。2006年の経営者交替後、組合幹部約30人が解雇された上、2007年から国軍兵士(陸軍第27歩兵大隊)らが対テロキャンペーンと称し、組合脱退を促すセミナーを週3回行っている、セミナー参加は有給扱いとされ、講演者の兵士らが労働組合をフィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)の関係組織だとして、組合からの脱退や不参加を促す、さらにセミナー対象外の組合幹部に対しても兵士らが家庭訪問し、組合脱退の説得を続けている。
 
3)フィリピントヨタへ調査に入る

 ILO調査団は9月25日、「フィリピン・トヨタ(TMP)」のあるルソン地方ラグナ州サンタロサ市を訪れ、労働組合員を対象とした労働問題調査のほか、工業団地や日系企業などで経営者や軍・警察など政府機関への聴取を行った。調査団は、政府側の見解を聴くため、ラグナ・テクノパーク(LTI)で軍・警察をはじめ、アルシリア・サンタロサ市長、労働雇用省カラバルソン地域事務所、比経済区庁の代表者らと会合を開いた。出席者によると、会合では、治安状況や軍・警察と産業部門の関係、警官の配置規模などについて質問があったという。
 ILOはその後、解雇された労組幹部・組合員が職場復帰を求めるなど労働争議が続くトヨタ自動車の現地法人「フィリピン・トヨタ(TMP)」を訪問した。さらに、ラグナ州の労組員らの会合に参加し、労働問題に関する聞き取り調査も行った。
 
 フィリピンでの経済力、影響力がきわめて大きいことをいいことに、トヨタはフィリピン労働法を無視して勝手なことをやってきた。233名の不当解雇、労働組合を承認せず団交にも応じない、国軍を社内に常駐させて労使関係に介入など。ただし、さすがに「まずい」と判断したのであろう、フィリピン・トヨタ社は、ILO調査団が来る前に軍隊の社内常駐をやめている。
 現代的な大企業、世界一の自動車メーカーであるトヨタのフィリピンにおける卑劣な不当労働行為の実態をILO職員は直接認識したことだろう。
 
4)記者会見で労組員殺害などの早期事件解決を呼びかける

 まにら新聞によれば、9月22日から29日までの8日間の労働問題調査を終えたILO調査団は10月1日、首都圏パサイ市内のホテルで開かれた記者会見で、フィリピントヨタなどにおける労働関連法の履行状況や労組員が関係する不当解雇、殺害・失そうなど未解決事件に懸念を示し、早期対応を呼びかけた、という。
 調査団のドゥンビア国際労働基準課長は、労資紛争の事件解決に向けて独立調査機関を設置し、事件の真相解明、関与者の訴追を迅速に行うとともに、国会で審議中の労働関連法を早期に可決させる必要性を強調した。
 また、労組員殺害・失そう事件への軍・警察の関与問題について、「深刻な事態」と遺憾を示す一方、同問題を指摘する組合側の主張が、政府の意見と食い違がっていると指摘した。
 その上で、「結社の自由」など国際労働基準について、軍・警察、司法機関や法曹界、労働雇用省、公務員委員会、公共機関労働調整委員会(PSLMC)、経済特区関係者を対象に研修を行い、三者協議を超えた対話の場をつくるよう政府に提言した。

5)今後

 今後におけるフィリピントヨタなどにおける労資対立の解決、不当解雇撤回、労働組合員殺害・失そう問題を早期に解決するために、ILO調査団の報告や提言を詳細に検討し紹介し、この問題の解決をひろく訴えていかなければならない。
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トヨタ本社前で

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