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世界経済危機とG20 [2008-9世界経済恐慌]

世界経済危機とG20


 1)G20閉幕
 昨年9月にはじまった世界経済危機をきっかけにはじまったG20は、昨年11月、今年4月に引き続き、9月米ピッツバーグで開催された。G20の定例化が決まり、世界的な経済問題を議論し調整する場は、G8からG20へ移行することになった。
 このことは、米国をはじめとする「主要国8カ国(G8)」の世界経済における影響力が相対的に弱まり、中国・インド・ブラジル・メキシコ・南アフリカなどの新興国の影響力・発言力が高まっている現時点での関係を表現している。超大国アメリカとて世界経済における地位は決して、万能・盤石ではないこと、むしろ「落日」にあることをあらためて如実に示したのである。
 
 住宅バブル、証券化などで背伸びした米国の「過剰」消費を前提にした世界経済は、もはや回らなくなったことをG20においても確認した。そのため、財政・貿易赤字の米国は消費を減らし、日本や中国などの新興国などの黒字国は内需を喚起し、そのことによってより均衡した世界経済の成長をめざすという「理念」において、合意した。
 しかし、合意したのは「理念」においてだけであって、各国政府はその実現のために何をしたらいいのか、何も決まらなかった。はたしてそもそも可能なのか、さえ明確ではない。

 2)処方箋は示されなかった
 別の言い方をすれば、何度もG20を開催したけれども、世界経済危機に対する有効な処方箋を示すことはできなかったということである。G20の重要性が強調されればされるほど、誇張されているという印象が増大するばかりで、ピッツバーグでのG20は「内容」は薄かった。G20は発足したが、すでにセレモニー化している。

 3)報酬規制――世界の賢人が集まって出てきた知恵
 唯一、G20で具体的に提起されたのは、「金融機関の暴走を防ぐための報酬規制」である。金融会社・証券会社のトレーダーの報酬は出来高払いのため、バブルをあおることで目先の報酬増大をめざした。この出来高払いの巨額な報酬制度が、今回の経済危機の「原因」だと、診断するのだ。したがって、報酬規制を導入すれば経済危機、経済恐慌は防げると主張しているのである。こんなことでホントに防げると考えているのだろうか? G20でマジメに論及されている。だいじょうぶか。
 ほとんど「笑い話」に近い。「目先の報酬増大をめざしてきた同類者」にとって現代資本主義社会の欠点は見えないということだろうか。

 オバマ大統領は「バブルと破綻を繰り返してきた、この繰り返しはもう受け入れられない」といったそうである(9月27日日本経済新聞)。そのためにトレーダーの報酬規制を主張している。たとえ、善意であろうとも巨額報酬への「道徳的非難」で事をおさめようとする以外に何ものでもない、すなわち「誠実な」無力さを、告白していることに他ならない。
 こうして、また忘れたころに「バブルと破綻を繰り返す」のである。


 

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