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被害者ニコルさんの証言の続き [米兵によるレイプ事件、犯罪]

7月13日ニコルさんの証言の続き、インクワイアラー紙抜粋、翻訳は鈴木さん。

裁判証言でレイプ被害者本人が法廷で被害の様子の詳細を証言し、レイプ犯の弁護士が反対尋問する。これらが公開の法廷で行われ、証言の内容は新聞で伝えられる。このフィリピンの裁判慣習に驚く。
被害者の人権、人格が裁判の過程で乱暴に扱われている。記事にはニコルさんとその家族が受けている扱いも紹介している。
被害者はここまでしなければ容疑者を告発できないのか。こんな情況なら被害を訴え告発する人は、ほとんどいないだろう。よほどの覚悟がなければならない告発できない。
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被害者ニコルさんの証言の続き

7月5日米大使館への抗議行動

ウルスア弁護士による主尋問も三日目。最終段階にあたるこの日の目的は、民事訴訟の賠償責任を確立すること。弁護士によれば、それによって刑事訴訟で「有罪判決が出るかもしれない」(・・・to establish the civil liability of the accused -- an aspect that, according to the lawyer, was “contingent to conviction” in a criminal case)。彼女や家族がこうむった損害の大きさを示しておくことで、有罪判決が出た場合に裁判所が決める補償額の、参考になるとウルスア弁護士。

「今はもう、むかしの愉快な私はいません。かつての私はアナ(リサ。継姉)といれば、冗談ばかり言っていました。今では彼女といても、そういうことはしません」とニコルさん。証言はフィリピノ語。

「彼らは私の尊厳を奪いました…スミスが私をレイプしてるのに、彼の仲間はそれを煽ったんです。まるで非公開フィルムでも見るみたいに楽しんでいたんです。そのあと、まるで豚みたいに私をつかんで(車から)降ろしました」。証言するニコルさんの声は大きいが震えていた。

夜は悪夢と不眠にさいなまれ、昼は鬱状態のニコルは何もする気にならない。「自分にかまうこともなくなりました。食べてばかりで運動しない。いつも、のろのろして。働きたいけど怖くて…私がレイプの被害者だってわかったら、みんな何て言うのかなって、いつも考えるんです」と涙をぬぐう。

事件以来、自宅のあるサンボアンガ市には戻らずマニラ市内にいる。南方司令部の敷地にある一家の酒保で、ニコルさんはビデオ・ショップをしながら月々4万ペソほど稼いでいたのに、今はもうそれもできない。その酒保が一家の主な収入源なのだ。家族の人生は崩壊したとニコルは言う。いつも裁判を傍聴してくれる母は、フィリピン海軍の民間人職員という仕事を失い、ダバオDavaoにあったわずかばかりの土地を売り払うしかなかった。二人の兄は仕事を抜けて彼女に付き添っている。サンボアンガに残した兄弟たちが彼女のかわりに酒保をみているが、学校をやめたり授業を休んだりしている。

ニコルさんのほかに、母、二人の兄、妹、(継)姉フランコが、フィリピン総合病院の精神病医学者ロペスのカウンセリングを受けている。これらすべてのことと家族の現状が、ニコルさんに罪悪感をもたらすのだが、それに何もしてやれないと嘆く。

10分間の休憩中、犯罪撲滅運動家テレシタ・アンシーTeresita Ang-Seeが容疑者に近づいていった。「ちょっと、その男に笑うのを止めろって言ってくれない?」と彼らに声をかけた。「すごい侮辱じゃない。彼女(ニコル)があそこで泣いてるっていうのに、あんたたちは笑ってるわけ?」

容疑者シルクウッド、デュプランティス、スミスは一列目の左端に一緒に座っていた。その中の誰を指して言っているのかわからない。記者や米大使館職員らは激昂するアンシーに驚き、大使館職員は無言で容疑者を取り囲む。裁判所の職員がそっと近づき、彼女をなだめていた。

病理学専門家フォーチュンFortun医師の反対尋問では、証人と被告側弁護士ロドリゴが意見の一致をみた点もある。
・性交後に、さまざまな理由により、レイプされたと嘘をつく女性がいる。
(例:妊娠や性病への恐怖、「愛されたくて(the need for nurturance)」、純粋な怒り)
・嘘の届出をする場合、24時間以内にするのが典型的。ニコルの場合がそれ。
・合意のうえでも「激しい」「荒々しい」性行為で女性器に損傷をきたすことはある。
・性器の損傷のみにもとづき合意の存在を判定できるような、調査研究や科学的情報はまだ無い。

フォーチュン医師は二組の女性グループ ―― 一方が性暴力の被害者たち(cases)で、もう一方は合意のうえで性交した女性たち(controls)―― を比較する「case controlled studies」を行うのは難しいだろうと言った。ジャスティニアーノ弁護士の厳しい反対尋問にあったフォーチュン医師は、性交を望む女性が必ずしも膣潤滑液の分泌など身体的反応を示すとは限らないことを認めた。また、その場合に、狭い場所で無理な姿勢をとらざるをえない女性の性器に損傷が生じる可能性も認めた。(ジャスティニアーノ弁護士は質問の前に、ニコルさんが走行中の車内でレイプされたと主張していることを指摘)

しかしウルスア弁護士は再尋問で、被告側ロドリゴ弁護士がフォーチュン医師から引き出した一致点を相殺してしまう。ウルスア弁護士は被告側の指摘には統計的裏づけがあるのかと尋ねた。ロドリゴ弁護士が引用した文献には、そのような統計が載っていないことが明らかだとフォーチュン医師は答えている。


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