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現在のフィリピン政治経済状況 [フィリピンの政治経済状況]

 現在のフィリピン政治経済状況

バタアン州マリベレス漁港

フィリピンの「経済発展」の一つの道筋は、民営化だ。この一ヶ月だけでも国営テレビ局RPN-9とIBC-13、フィリピン郵便公社(Philpost)、クラークのミモサなどの民営化が公表された。
 二つ目は外国からの投資。日本からの直接投資がもっとも大きい。ドコモがPLDTに3億ドル投資した。三菱自動車フィリピン社(MMPC)は、100億ペソをかけて完成車(CBU)の生産・輸出拠点とする計画だが、第1段階として10億ペソの設備投資を行った。

フィリピン経済は、民営化、外国直接投資の急増など、経済の自由化、グローバリゼイション化によって、統計数字上はプラス成長となっている。しかしこの方向での発展は、外国資本や、政権と結びついた一部の資本家の利益を増大させていることと同じだ。

輸入自由化で米作が成立しなくなり、農地を失ったり都市に逃げてくる人たちの流れは依然としてとまらない。それがまた失業率を高め、賃金を引き下げている。マニラはどんどん大きくなり、地方の伝統的な社会関係は急速に破壊されている。海外への出稼ぎはまた一段と増えている。
それは一方での貧困の増大であり、国民の75%が「貧しいと感じている」事態をもたらしている。とともに、他方ではコファンコヤルシオ・タンなど少数の金持ちへの極端な富が蓄積し、マニラ近辺に中間層が増大している。このようないびつな形をとりながらも、フィリピン経済の産業化は確実に進行している。

フィリピン資本家は外国資本の投資に便乗したり、国家と民営化などの国家政策に寄生して利益を得ている。いわば「買弁資本家」。フィリピン資本家層は支配階級として十分には成長しておらず、互いに争っている。現在の政権不安の主な要因はこれだ。誰が有利な地位につくかをめぐって、支配層内部で争っている。いったん政権をとったなら、国家権力を利用して自らの富を蓄積することにヤッキになる。またどのように米国や日本の言うことを聞いて自分に利益を誘導するかヤッキになる。
アロヨ大統領退陣要求やこれをめぐっての野党や元大統領ラモス、エストラダ、アキノらを巻き込んだ争いは、このような要因によるものであり、どちらかを支持する、しないとにわかに決めることができない。

軍は軍で指導権を確保しようと動いている。左翼活動家の殺害などテロ政策をとることによって、支配層内部でのより有利な自らの地位を主張している。テロが起きる情勢を作り出せば、軍の出番は増え、政治的発言力が増す。2005年だけですでに40人以上の人たちが殺された。

アロヨ政権の危機は、今年も続くだろうが即政治革命にはならない。野党も与党も主張や政策はなんら変わらず、自身の利害のための権力獲得を要求しているだけである。この点では、アメリカ的、あるいは日本的スタイルでの民主主義はすでに定着している。


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