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海南島 戦時性暴力被害訴訟の口頭弁論 [元「慰安婦」問題]

海南島 戦時性暴力被害訴訟の口頭弁論

6月15日に「海南島戦時性暴力被害者」訴訟の口頭弁論がありましたので東京地裁に出かけました。
口頭弁論は10時から11時半まで、弁護士が長くしゃべるものなのだと感じました。わたしが経験した労働争議 解雇撤回裁判では、弁護士の弁論はいつも簡単で5分くらいで終わっていたのでそんなもんかと思っていましたが、しっかりと主張を繰り返す口頭弁論でした。裁判官が定期異動でこの4月に変わってしまったので、被害者の陳述を実施して、何があったのかという事実を裁判官相手に丁寧に主張することが重要だとあらためて思いました。
性暴力被害者自身が名乗り出て証言しはじめたのは他の国でも1990年代になってからであり、海南島の被害者もその過程で出てきたものです。裁判に提訴したのがもっとも遅く2001年7月16日です。
弁論では政府の主張根拠をひとつひとつあげて反論していてよく内容がわかりました。
日本政府の主張への反論はよくわかりましたし、根拠のあるものですが、これまでのほかの「従軍慰安婦」裁判などの結果からすれば、これを突き崩すのは容易ではありません。
裁判傍聴や支援活動を若い学生の人たちが中心に熱心に行われていることに感心しました。
日本政府の主張とそれへの反論は、わたしの理解する限り下記のとおりでした。

1)日本政府の主張1「国家無答責」
・天皇は国家の犯した犯罪の責任を負うことはないという明治憲法条文を根拠にし、戦時性暴力被害も責任を負うことはないという主張であるが、国際的には通用しない。最近の裁判でもこれを根拠に政府の責任を回避する判決は少なくなっている。
2)日本政府の主張2「国家間の条約をもとに請求権は放棄されている」
・当初、日本政府は「国家無答責」を主張し、請求権そのものを認めていなかった。
・国家間の条約をもとに「請求権放棄」という主張は、「請求権は存在したが後に放棄された」というものであり、「請求権は存在していた」ことを認めたことになる。したがって「国家無答責」の論拠は成立しないことを日本政府自身が認めていることになる。
・2005.3.31「山西省性暴力被害者損害賠償請求事件」で東京高裁は請求を棄却したが、このときの論理は、「請求権は放棄されている」という主張だった。すなわち「請求権は存在したがその後放棄された」という論拠である。
・この論拠は、1952年のサンフランシスコ講和条約で請求権は放棄されていることを根拠にしている。しかしサンフランシスコ講和条約は単独講和であり、中華人民共和国と締結していないし、当時締結に反対していた。
・また、台湾と締結した日華条約を根拠にしているが交渉相手の台湾政府は、当時台湾地域のみを実効支配しているだけで、日華条約締結時、中華人民共和国が中国を代表する政府だった。
・日華条約そのものにも「台湾が支配する地域」に限定する「限定条項」が存在する。
日本政府の見解は、日華条約で締結した内容は中華人民共和国にも引き継がれ適用されるという解釈であるが、無理がある。
3)日本政府の主張3「時効除斥」
・民事訴訟における時効の概念の適用から、「時効除斥」を主張するもの。
 しかし、下記の根拠から認められないと原告団は判断している。
① このような被害は日本国内ではなく中国で行われた。
② 被害者にPTDSなどの現在もなお影響があり、時効は成立しないと判断される。
③ 人道上、国際法上、時効は成立しない。ナチスの戦争犯罪に時効は適用されていない。


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