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デスクトップ社の争議 [フィリピン労働運動]

 フィリピン・バタアン経済区にあるデスクトップ・バッグ社の労働争議について、アンバ・バーラ(バタアン労働組合連合)のエミリーから、報告が来ました。

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 三多摩カサナグ会に
 親愛なる皆さん、お元気でしょうか?

現在の私たちの闘い――
デスクトップ・バッグ社から追い出された71名

 この2015年7月に、デスクトップ・バッグ社の49人の労働者は、国家労働関係調整委員会(以下:NLRC、労働争議第一審裁判)事務所に、訴訟を起こしました。

151026 デスクトップ労働組合準備会委員長(左)と書記 - コピー (415x525).jpg
<デスクトップ労働者協議会DEAの代表と書記、DEA総会で > 

 経営者が、労働法第100条が述べる「収入の削減は認めない」に違反したからです。日給手当として9ペソ、24ペソ、36ペソ(1ペソ=約2.5円)とランクのある「仕事手当」を受けることを、上述の労働者たちは、2~3年の間、楽しみにしてきました。 一部の労働者は通常の機械でないハイヘッドマシンを担当していたので、当然「仕事手当」が出ると考えていました。労働者たちによると、これが「仕事手当」を受ける理由となる金型です。 労働法第100条には、次のように書かれています。

 100条:給付金の削除、または削減の禁止。 本法においては、この条項の公布時に、どのような方法であれあらゆる手当を削除、または削減すると解釈したり、従業員を楽しませる利益を削減、または削除すると解釈すべきものは、存在しない。

 デスクトップ社は、昨年から「仕事手当」を与えるのを止め、そして今年になって、残りの労働者の手当を削減しました。 49名の労働者により起こされた訴訟は、経営陣が労働者の手当を削り続けたため、8月には71名になりました

 初の審理は、9月16日に開催されました。  それは、NLRCによって指令される出席義務のある審理でした。 決定権のあるNLRC委員会によると、この訴訟は、その時労働組合が存在しないという特別な場合でしたので、労働者全員が上述の必須の審理に出席しなければならなかったのです。

 9月10日 、 原告労働者らは、会社に彼らの休暇申請を提出し始めました。いくつかの休暇申請は彼らの生産リーダーによって許可されました、しかし、スーパーバイザー・レベルにおいて、労働者の休暇書式は許可されませんでした。

 労働者たちは決定権のあるNLRC委員会の前で宣誓することができるように公聴会に出席する必要がありますし、提出した訴訟をおろしていないと主張しなければなりません。出席しないならば、起こされた訴訟は却下されます。
 他方、経営者は多くの労働者が生産現場から去り持ち場を離れると生産が立ち行かないとして、上述の休暇申請を拒絶しました。 彼ら71名すべてが必須の審理に行くのを許可すれば、生産は立ち行かなくなるというのです。
 もし、NLRC(労働争議第一審裁判所)へ出席するための休暇が会社によって受理されず、審議出席のため休めば生産サボタージュとして解雇されるのなら、労働者には裁判を起こす権利が、実質、与えられていないことになります。

 初の必須の審理に、71名は審理出席を義務付けられます。 経営陣代表も、なぜ71人の労働者の手当を削減し、あるいは廃止したかについて説明するために、出席していました。 審理の後、労働者は、労働者協会設立するため必要な申請をするために、労働雇用省(以下:DOLE)のオフィスを訪れ、デスクトップ従業員協会(DEA)を申請し、その日のうちに、認定書またはDOLE登録書式を受け取りました。

デスクトップ従業員協会(DEA)は、労働組合準備組織に当たる。フィリピンでは、労働雇用省に申請し、経営者、労働雇用省、労働者代表の三者で協議の上、労働組合代表選挙を行い、労働者の過半数の支持を得て、初めて労働組合として労働雇用省(DOLE)、経営者に認定される。それまでは労働組合準備会であり、交渉の対象ではない。

DOLEの認定書またはDOLE登録書式:労働組合代表選挙に至る手続き、書式の一部


 一方、9月17日に経営陣は、それぞれの通知とメモで、「労働者たちが9月16日に無許可で離席したことを説明する必要がある」と通告しました。もし説明がないなら、労働者は全員、生産サボタージュに等しい生産停止につながる計画的な集団休暇で告発され、経営陣によって解雇されるというのです。

 労働者たちは、個々に説明する書面を送りました。会社公聴会と会議が二回あり、会社側調査によれば、9月16日の労働者たちの計画的な集団休暇は深刻な生産低下をもたらしたとして、10月3日経営者は、解雇通告の文書を提出したのです。その後にも労働者たちは説明の書面を送りました。

 71名の労働者たちは、単純労働者ではありません。71名のなかには、労働者協会(DEA)の代表、副代表、一部の執行委員を含んでいます。このことは、公正でなく、不法な解雇なのは明らかであり、なおかつ組合弾圧に他なりません。実際のところ、集団休暇と経済サボタージュとは、まったく違います。経営者は、71名の労働者全員がその日のNLRCに参加するために公聴会に出席しただけであることを知っていました。追い出された労働者の多くはDEAの役員であることからすれば、経営者の隠された計画は労働組合潰しが、本当のところです。解雇は、「罰」としてはあまりにも厳しいものです。労働者が、無許可離脱であるか、無断欠勤かにかかわるだけで、その場合は実際のところ、3~5日間の労働停止の懲戒処分程度です。

 経営者は、労働者を追い出す前に、労働者たちが合法的に労働組合準備会を結成していることを知っていましたし、そもそも経営者は労働組合を破壊しようとしていました。そのことを私たちは、知っています。

 私たちは今日現在、不当労働行為の件で労働雇用省の事務所に申請する前の、仲介と調停のプロセスのうちにあります。経営者の利益減少なのか、労働者の手当削除なのか、公聴会で審議中です。ULPでの私たちの最後の公聴会は、10月29日に設定され、デスクトップ社が71名の労働者の復職を拒否した場合、私たちは、会社が関与した不当労働行為であるとして、すなわち労働法248条違反として、NLRCに提訴します。

 この時のために、私たちアンバ・バーラ(バタアン労働組合連合)は、デスクトップ社の労働者を支援しています。仕事がなく収入がないこの時点での家族や労働者の抱えている問題をどのように解決していくか、彼らが訴訟を提起するのを助けていくか、が大切なのです。一部の人は、妊娠した妻、学校に通う子供たち、病気の両親、など多くの問題を抱えています。 私たちは、労働者を様々な点で助けたいと望んでいると同時に、私たちにはこの瞬間にも、多くの限界もあります。
  
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追伸:
 台風は、私たちにそんなに被害を与えていません。しかし、事務所の屋根が強風のため一部動いてしまいました。屋根を8年間修理してこなかったから、そもそも弱かったです。屋根はすでに固定しました。しかし、大きな台風が再び襲ったら、屋根が飛んでしまうのではないかと恐れています。そうならないことを祈っていますが。

 ここまでにします。皆さんによろしくお伝えください。そして、前号のニュースレターを送ってくださいましたが、ペンが同封されていました。ありがとうございました。お礼まで。
 団結して
 エミリー  21015年10月22日
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