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米サ市議会決議、要請書提出 [元「慰安婦」問題]


 10月7日、慰安婦問題の解決を求め、安倍首相、岸田外相宛の要請書を提出しました。遅くなりましたが、その要請書を下記に転載します。
 要請書提出の後、首相官邸前で道行く人に訴えチラシを配布しました。

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安倍 晋三 総理大臣 様
岸田 文雄 外務大臣 様

 日本軍「慰安婦」問題の即時解決を求める要請書

 第二次世界大戦中における日本軍による「慰安婦」制度の過ちを日本国政府として認め、日本軍による性暴力の犠牲となった女性たちの人権を回復し、その反省の上に立って諸政策を行うよう、日本政府に以下のことを要請する。

1)米サンフランシスコ市議会、慰安婦碑設置を決議

 米サンフランシスコ市議会は9月22日、市内に従軍慰安婦の記念碑や像の設置を求める決議案を全会一致で採択した。

 記念碑の建設は「人身売買や女性への暴力に反対し、過去の過ちを記憶するため」との趣旨であり、建設運動は中華系米国人を中心に韓国系や日系米国人の団体、人権団体も巻き込み、大衆的で組織的な活動が展開された。注目すべきは日系米国人の多くの団体が決議案を支持したことである。第2次世界大戦中に強制収容所に収容され、権利回復を闘ってきた歴史を持つ日系米国人社会は、人権侵害である慰安婦制度の意味をよく理解している。議案作成の中心となったエリック・マー市議らが、日系人にも配慮し、第2次世界大戦中に米国で日系人が強制収容された歴史についても触れ、議案に追加した。

 日本街に住む韓国系住民で、建設運動に参加したデービッド・ムン氏は「日系米国人の住民は最初から建設運動に非常に協力的だった」と話す。山田淳・在サンフランシスコ総領事も「日系人社会も一枚岩ではない」とその事実を認めた (9月23日、日本経済新聞)。

 建設運動に対しては姉妹都市である大阪市・橋下徹市長が反対する書簡を送ったほか、直前には現地の日本人を中心に建設反対の署名運動が起こり、約5千5百人がネットで署名していた。

 しかし、日本人による建設反対運動は米国では「歴史修正主義」とみなされ、逆に批判を招いている。サンフランシスコ市議会では「真実をゆがめる動き」と議員から強い反発を受けた。橋下市長の書簡については、2013年6月18日に、サンフランシスコ市議会が当時の橋下市長の「従軍慰安婦に対する発言」や「米軍は風俗産業を利用すべきとする発言」に対し、非難決議を上げてきた経過があり、今回の書簡もまた、同様の趣旨であるとしてほとんど誰からも関心を持たれておらず、決議採択に影響を及ぼさなかった。むしろ、橋下市長の書簡は日本国内向けの宣伝のために使われている。

 米国で初めて慰安婦像が建ったカリフォルニア州グレンデール市で在米日本人らが撤去訴訟を起こしたが、すでにSLAPP訴訟とされ棄却された。その経過を、サンフランシスコ市議会はよく承知している。

 公聴会では、目良浩一氏をはじめグレンデールの「慰安婦」碑に反対し市を起訴した数々のおなじみの人物も皆来て発言した。彼らがロサンゼルス日本領事館とも連絡しあっていたことも明らかになっている。
 彼らの発言にもかかわらず、サンフランシスコ市議会は全会一致で、決議を採択したのである。

 慰安婦の碑や像は米国ではこれまでカリフォルニア、ニューヨーク、ニュージャージー、ミシガンなどの州の郊外の小都市で建設されてきたが、今回大都市サンフランシスコ市で記念碑建設が決議された。慰安婦問題は「女性の人権問題」として捉えられ、リベラルな地域を中心に米国社会全体へ広がる気配を見せている。日本政府・外務省の主張は受け入れられず、策動は失敗に帰した。事態は一段階すすんだ。

 今回の騒動で、「歴史修正主義」、「真実をゆがめる動き」を行っているのは、日本の右派勢力ではあるが、その背後に日本政府・外務省がいることを、米国社会は当初は驚きをもって、最終的にははっきりと認識した。日本政府が、慰安婦問題の解決をしてこなかったばかりか、慰安婦記念碑建設反対を策動してきたその事実は、米国社会により広く明確に認識されることになった。そして、米国社会における日本政府の信頼を損ね、「人権を尊重しない日本政府」という評価を固定した。事態は、より一層深刻化し、一段階「悪化」したように見える。
 
2)日本政府・外務省はサンフランシスコ市決議への妨害行為を反省し、態度を改めよ!

 日系人コミュニティとは別に、日本政府をバックにして「日本人新一世」が、サンフランシスコ市議会で決議されないように活動してきた。「この決議案に対抗するために日本政府が5億ドルの予算を設けている」とジャパンタイムス紙は報じている。

 外務省は、サンフランシスコ市議会で決議されないように「水面下でできる限りのことはやってきた」(山田淳・在サンフランシスコ総領事)と公言している。

 政府・外務省は、決議案に対抗するために予算をつかってはならない!
 「河野談話」で代表される政府の立場に反しており、許される行為ではない。
 今回、幾ら予算を使ったのか、明らかにせよ!

 菅官房長官は9月24日の記者会見で、「サンフランシスコ市議会決議案は日本政府の考えやこれまでの努力と相反する内容を含んでいる」とし、「日本政府は慰安婦問題を政治・外交問題化させず、外国で各民族が平和と調和の中で共生することを望んでいる」と述べた。
 
 菅官房長官のような認識、外務省の対応こそが、米国では「歴史修正主義」とみなされ批判されている。サンフランシスコ市議会でも「真実をゆがめる動き」と議員から強い反発を招いているのである。

 安倍政権の慰安婦問題に対するこのような対応・態度は、日本国民への信頼を損ねるだけである。安倍政権は、サンフランシスコ市決議への妨害行為を反省し、その態度を改めよ!

3)慰安婦問題が韓国教科書に!
 日本政府は、慰安婦問題の解決に踏み出し、事態を解決せよ!
 
 韓国政府は9月22日、慰安婦問題に関する小学5~6年生、中学生、高校生用の教材を作ったと発表した。韓国政府によると、日本政府と日本の右派保守団体による「歴史歪曲」に対抗し、事実に基づいた歴史と「歴史認識」を教えるのが目的であるとしている。

 すでにモデル授業が公開で始められており、2016年度から小学5~6年生、中学生、高校生対象に慰安婦問題授業が行われる。

 韓国政府は、慰安婦問題とは何か、何が起きたのかを、きちんと事実に基づいて、この先もずっと次の世代に伝えていく立場を具体化し、教育政策として実行に移した。人権を尊重する立場に立つことでもあるから、韓国政府の主張に正当性がある。

 「(都合の悪い)過去はなるべく触れないで、未来志向」を呼びかける安倍政権とは大きく異なる。安倍政権の主張と態度には、韓国政府に比べてもどのような正当性もない。「この論争をいくらやっても、日本政府の主張に勝ち目はない」(アーミテージ)。

 このような事態、段階にまで進んでしまった事は、慰安婦少女像の設置とあわせて、慰安婦問題が、容易に解決できない日韓関係の「負の遺産」としてもはや固定してしまったことでもある。そのすべての責任は、慰安婦問題を解決しようとして来なかった日本政府にあるし、信頼を失わせた安倍政権の対韓外交の失敗でもある。

 日本政府が、慰安婦問題の解決に踏み出さない限り、このような事態を解決する道はない。慰安婦問題の解決に踏み出し、事態を解決せよ!

4)歴史認識、慰安婦、安保法制で孤立する日本外交
歴史修正主義を撤回し、侵略、植民地支配、慰安婦制度の反省の上に立って、未来志向の国際関係を確立すること

 9月28日、ニューヨーク国連総会で一般演説外交が繰り広げられた。シリアのアサド政権支持の是非を巡って、オバマ大統領とプーチン大統領の非難の応酬が続いた。
 その一方で、習近平主席が日本の侵略に対する非難を世界の前で行い、同時に米国に追随するだけの日本政府を重視しない姿勢を示した(中国外務省は日本課を廃止し、北東アジアを担当する課と統合した)。

 その習近平主席と示し合わせたように、朴槿恵韓国大統領が慰安婦問題を取り上げ、「解決策が速やかにまとめられなければならない」とした。また、集団的自衛権を行使できるようにする日本の安全保障関連法にも触れ、「最近は東北アジア安保秩序に重大な影響を及ぼしかねない新たな動きがあり、域内諸国に憂慮をもたらしている」と述べた。

 安保法制に対しては、朴大統領ばかりでなくロシア・ラブロフ外相も「開かれていない軍事同盟は地域の緊張緩和には役立たない」と批判している(9月21日、日ロ外相会談)。

 これに対し、安倍首相は、堂々と日本政府の立場の正当性を主張できなかったし、そもそも国連で演説する内容をもっていなかった。安倍首相の演説は、どこからも注目されなかった。安倍首相は安保法制成立を手土産に訪米したのだが、オバマ大統領は会ってもくれなかった。

 国連総会は、日本の影が薄いこと、歴史認識、慰安婦、安保法制で孤立していることをあらためて映し出して見せたのである。
 
 安倍政権がこれまでの態度を全面的にあらため、慰安婦問題解決に一歩踏み出すことを求める。
 侵略、植民地支配を行ってきたかつての日本政府、日本軍の歴史を、事実に基づいて明らかにすること、その反省の上に立って諸外国と共通の歴史認識のもとに、未来志向の国際関係を確立すること、を求める。


2015年10月7日
フィリピン・ピースサイクル

フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)

代 表: 大森 進

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