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日韓協定で解決済とする日本政府・外務省の見解は撤回せよ! [元「慰安婦」問題]

 12月5日(水)韓国水曜デモ連帯、首相官邸前要請行動の要請文を下記に添付します。

 今回は、日韓協定など二国案協定で解決済とする日本政府・外務省の主張、立場を批判し撤回を求める要請内容にしました。内閣府交渉を通じて、野田総理大臣、玄葉外務大臣に要請書を提出しました。

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<12月5日1051回目の水曜デモ、日本大使館前。この日ソウルは雪が舞いました>

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 野田 佳彦  総理大臣  様
 玄葉 光一郎 外務大臣  様

 日本軍「慰安婦」問題の即時解決を求める要請書

 1. 日本政府は、日本軍「慰安婦」被害者に対し、謝罪と賠償を行い、問題をただちに解決すること。

 2. 「河野談話」(1993年)の継承を政府として確認すること。

 3. 日本政府は韓国政府との協議に応じて、解決に向けた道筋を進めること。
 「慰安婦」被害者の賠償請求権が、日韓請求権協定(「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」)第2条第1項によって消滅したか否かについて日韓両政府間の解釈上の違いが明確となったため、韓国政府は協定第3条が定めた手続きにより協議を申し入れているが、日本政府は応じていない。国際条約に定められた協議に応じないことは、条約を尊重しない態度であり国際社会のなかで日本政府と日本国民の信頼を著しく損なうことを意味する。
 協議拒否の態度を即刻改め、韓国政府との協議に応じ、誠実に対応することを求める。国際仲裁に持ちこまれる以前に、日本政府自らが誠実にかつ迅速に問題解決を図る態度に転換すべきである。

 以下に、資料として「日韓請求権協定」を添付する。
 
 大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定(1965.6.22.締結、1965.12.18.発効)
 日本名:日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)

 第二条
 1 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
 第三条
 1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

 2 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。

 3 いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。

 4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

12月5日水曜デモ、ソウル日本大使館前03.jpg
<12月5日、水曜デモの参加者>

 4. 韓国憲法裁判所の決定を待つまでもなく、日本政府は「日韓交渉の過程で解決済み」と主張し続け韓国政府との協議を拒否してきたこれまでの態度を改めるべきであった。しかし日本政府はいまだに、サンフランシスコ講和条約、及びその他の二国間平和条約・国際協定で処理されており、個人被害者の賠償も含め、すべての賠償・請求権の問題は日本と上記諸協定の締約国との間で解決済みであるという立場に固執している。

 日韓請求権協定、サンフランシスコ講和条約、及び他の二国間条約も、人権侵害に関するものではなく、ましてや軍事的性奴隷制に関するものでもない。締結当時において、「慰安婦」による特定の請求を含んではいなかったし、「慰安婦」とその被害の存在さえ明確ではなく、条約の前提となっていなかった。また、国家間の賠償についての協定であり、被害者個人の請求権を放棄するものではない。

 「日韓請求権協定により解決済」というこれまでの日本政府の主張は、国際的にも受け入れられていない、国連人権委員会からも批判する勧告が出ている。
 日本政府がこの主張・態度をあらため、被害者に対して謝罪と賠償を行う立場に転換することを求める。

 以下に資料を示す。

 国連人権委員会決議1994/45による、女性に対する暴力とその原因及び結果に関する特別報告者〈ラディカ・クマラスワミ〉による報告書(以下:「クマラスワミ報告」)

108.特別報告者の見解によれば、サンフランシスコ講和条約も二国間条約も、人権侵害一般に関するものでないばかりか、特に軍事的性奴隷制に関するものでもない。当事国の「意図」は、「慰安婦」による特定の請求を含んではいなかったし、かつ同条約は日本による戦争行為の期間中の女性の人権侵害に関するものでもなかった。したがって、特別報告者の結論として、同条約は、元軍事的性奴隷だった者によって提起された請求を含まないし、かつ日本政府には未だに国際人道法の引き続く違反による法的責任がある。

 110.特別報告者の見解では、国際人権文書は、国際法によって承認された個人の権利の実例である。例えば、国連憲章第1条は、「人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励すること」における協力を国連の目的の一つに含んでいる。世界人権宣言は、市民的及び政治的権利に関する国際規約並びに経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約と共に国家に対する関係で個人の権利を定義しており、それ故、個人は、国際法の保護を受ける権利があるものとして、しばしば国際法の主体である。

 113.上述したように、人道に対する罪は、殺人、殲滅、奴隷化、追放、及び戦争前または戦争中に犯されたその他の非人道的行為と定義されてきている。「慰安婦」の場合における女性及び女児の誘拐及び組織的強姦は、明らかに、文民である住民に対する非人道的行為であり、人道に対する罪を構成する。慰安所を設置・運営したことに責任のある者の訴追を始めるために当然なすべきことを行うのは、日本政府の義務である。時間の経過のため、情報が不足しており、訴追は困難であろうが、にもかかわらずなお、可能な限り訴追を試みることが政府の義務である。

 114.日本政府の意見によれば、個人は国際法上何らの権利もないから、個人には国際法上補償への権利はなく、補償のようないかなる形態の賠償も、国家間のみにしか存在しないということになる。

 115.世界人権宣言第8条は、「何人も、憲法及び法によって付与された基本的権利を侵害する行為につき権限ある国内法廷による効果的な救済への権利がある」と定める。市民的及び政治的権利に関する国際規約第2条第3項は、個人の効果的救済への権利を国際的規範とするために、(権利侵害に対する)効果的救済を求める者は何人でも、権限ある司法的、行政的、または立法的な当局によって、または締約国の法的制度によって定められたその他の権限ある当局によって、決定を受ける権利がなければならないと定めている。

 116.またすべての人権文書は、国際人権法違反からの効果的救済の問題に対応している。その権利が侵害された個人及び人の集団には、賠償への権利を含めて、効果的救済への権利があることが認められている。

 117.国際法上の適正な補償への権利は、広く認められているもうひとつの原則である。特別報告者がその予備報告書において留意したとおり、ホルジョウ工場事件は、具体的に明確な損害額が確定できない場合であっても、いかなる協定違反も責務を生ぜしめるとの法原則を確立した。/22

 118.人権委員会はまた、個人の賠償への権利の問題を解明することに関心を表明している。その決議1995/34で、同委員会は、差別防止少数者保護小委員会が、同小委員会の基本的自由と人権の重大な侵害被害者の原状回復、賠償及びリハビリテーションへの権利に関する特別報告者の最終報告書(E/CN.4/Sub.2/1993/8,chap.IX)が提示した基本的原則及び指針に考慮を払うよう奨励した。

 119.同特別報告者は、彼の報告書14パラグラフで、「重大な人権侵害の結果として、個人と集団の双方が被害者とされることがしばしばあることを否定できない」と述べている。彼は、現行国際法の枠組みの中で、効果的救済と賠償への個人の権利について詳細に論じている。世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、あらゆる形態の人種差別撤廃条約、アメリカ人権条約、人権と基本的自由の保護のための欧州条約、拷問及びその他の残虐な、非人道的な及び体面を汚す取扱い又は処罰を禁止する条約、強制的失踪からのあらゆる人々の保護に関する宣言、独立国内の原住民及び部族民に関するILO169号条約並びに子供の権利に関する条約が、すべて同報告書に引用されている。これらの国際文書は、国際法上、個人が効果的救済と賠償への権利をもつことを認め、かつ受容している。

 120.同特別報告者は、重大人権侵害の被害者の被害回復に関する基本的原則及び指針の提案において、「人権および基本的自由を尊重し、また尊重を確保する国際法上の義務に違反した場合には、すべての国家が被害回復を行う義務を負う。人権の尊重を確保するための義務には、違反行為を防止する義務、違反行為を調査する義務、違反行為者にたいし適切な手段をとる義務、被害者に救済を提供する義務を含む」/23としている。


 5. 韓国ソウルの日本大使館前では、今日も第1051回目の水曜デモが行われ、解決を求めている。
 日本政府・外務省は、表向きは1993年「河野談話」を政府の立場として継承するとこの20年間何度も繰り返しながら、その一方で、「河野談話」の趣旨に反する行動をとり続けてきた。教科書から「慰安婦」記述を削り、「慰安婦」問題をねじまげ、日本政府の責任を回避する歴史の書き換えに努めてきた。外務省は、「『慰安婦』募集に際し日本軍が強制連行したことを示す資料は見つからなかった」という宣伝を意図的にかつ計画的に組織し、日本軍・日本政府に責任はない」という世論を誘導している。右翼的勢力、政治家ばかりか、日本政府・外務省が意図的に「歴史の書き替え」を行ってきたし、行っている。

 国際的な勧告・批判を受けながら、一向に「慰安婦」問題を解決しようとしない日本政府の態度が、尖閣問題、竹島問題として現れ東アジアにおける日本政府の信頼の失墜と孤立をもたらした一因である。
 このような事態を解決し、国際社会において人権国家として信頼を回復するために、日本政府が今こそこれまでの態度を改めなくてはならない。日本軍「慰安婦」問題を即時解決を求める。

 2012年 12月5日 
           フィリピン・ピースサイクル
           フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット) 代表 大森 進
12月5日水曜デモ、ソウル日本大使館前02 (481x750).jpg
<ソウル日本大使館前の「平和の碑」、12月5日>
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