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ユーロ危機 収束せず! [2008-9世界経済恐慌]

 ユーロ危機 収束せず!

   世界経済危機への導火線となるか!

 1)欧州危機は、深く 長い!

 2011年11月現在、欧州の経済危機が収束しない
 収束しないどころか、世界経済危機への導火線に転化しつつある情勢だ。

 8月以降この3か月間、欧州債務問題が時間とともに少しもよくならず、逆に悪化する情勢が続いている。何か「実体経済」に大きな変化があったわけではない。欧州債務の「大きさ」が少しずつ見えてきた途端、その「あまりの大きさ」に驚き、信用不安が広がりつつある。

 ギリシャを筆頭にPIIGSの重債務国で財政悪化、深刻化を見て、あるいは予想して、国債価格が下落し利回りの急上昇、高止まりとなっている。
 ギリシャ問題がすぐに解決すると思っている市場参加者はすでにほとんどいない。というより、ギリシャ国債10年物利回りは20数%を超えており、近い将来のデフォルトは確実となった。焦点はギリシャからイタリアに移った。イタリア国債価格の下落と国債利回りの急上昇、7%を超える高止まりがその深刻さを表現している。さらにスペイン、そしてフランスへと広がり、確実に欧州全体をとらえつつある。

 現在は、爆発=デフォルトをいかに抑えるか、にEU首脳は努力を集中しているように見える。一つ抑えても、今度は抑えたことが別の爆発の要因に転化するという「もぐらたたき」状態になっている。

 仮に爆発をおさえたとしても、すなわちソフトランディングしたとしても、そのあと欧州経済には10年単位の長い期間にわたる停滞の時期が待っている。なぜ長い停滞期が続くのか?

 「バブル崩壊以後の日本経済」のたどってきた道を思い起こしてみればいい。日本経済の場合は、傷んだ金融機関・銀行資本に公的資金を注入し、政府は財政赤字とはなった。そのことで国債利回りも2%から4%(1995年)にまで上昇したけれども、国債価格の大幅な下落、あるいはデフォルト懸念による更なる危機の展開・深化までには至らなかった。その程度で済んだ。その程度で済んだといえどもバブル崩壊以後20年間にわたって日本経済は停滞の時期を経ているのである。

 今回の欧州危機は、90年代日本経済を襲った危機よりも、「より深く、より長い」のである。そのうち、「大きさ」が徐々に姿を現してくるだろう。
 欧州危機はあまりに深刻である。その危機からの回復には長い期間がかかるだろう。いくら少なくみても10年はかかるだろうし、さらに時間を要する可能性が高い。

 2)第一のトリガー、ギリシャ国債、イタリア国債

 爆発=デフォルトをいかに抑えるか、にEU首脳は努力を集中している。やっているのは対症療法に過ぎない
 必死に抑えようとしている「爆発とそのトリガー」について描写してみよう。もちろん、「トリガー」は「トリガー」であって、経済危機の原因ではないし、爆発を抑えることが解決策なのではないことは、先に指摘しておこう。

 さて、今回の欧州債務危機は、ギリシャ政府の資金繰り悪化から国債の支払い不能(デフォルト)に陥るのではないか、との強い疑念が起点となっている。
 ギリシャを起点としてPIIGS諸国の国債価格下落が進み、保有銀行の有価証券評価損が大幅に増加している。そのため、欧州系銀行のドル資金調達が難しくなっている。
 それゆえ現在では、ギリシャ国債のデフォルト懸念と並行して、スペイン、イタリア、フランスの国債価格の下落から、国債を大量保有している欧米の金融機関の負債が大きくなることで、トリガーは幾筋にも広がっている。

 すでに、欧州を中心に銀行の資産劣化も表面化しつつある。時間の経過とともに、不良債権が次々に姿を現して来て、資産劣化は大きくなり、さらに他の各銀行をとらえており、危機はより深く、また範囲を広げつつある。信用不安が広がり資金調達がままならず、欧州金融システムの一部に機能不全が生じている。その影響は、大きさにおいて、範囲においてすでに欧州にとどまらない。

 ベルギー・仏系銀行デクシアが破綻に追い込まれた。今年7月に結果が発表されたばかりのストレステストにデクシアは合格していた。このストレステストは、金融当局者によれば「より厳密に、厳しく」行われた。にもかかわらず、いとも簡単に破綻した。ストレステストそのものが信認を失っており、市場は欧州系銀行の正確な不良債権額と現在の真正な自己資本比率を知りたがっている。国債価格の下落、住宅価格の下落によって不良債権は今もなお拡大し続けており、だれもその正確な額を知ることはできない。疑心は広がりつつある。疑心とともに、不良債権額も増大しつつある。

 このような光景をわれわれはかつて見たことがある。バブル崩壊後の日本経済の姿である。日本の金融機関・銀行の抱える不良債権は、発表のたびに拡大していった。「いったいいくら不良債権を抱えているのだ!」と非難を浴びせながら、公的資金を何度も増額・追加して注入していった。誰もがイライラし、非難を浴びせた。最終的に今日では、GNPの200%に及ぶ国債などの政府債務として積みあがっている。

 10月末EUは、当面の解決策に合意した。
 A)銀行自身による資本増強
 B)監督している政府による公的資金注入、
 C)欧州金融安定ファシリティー(EFSF)による公的資金注入
という3段階の資本増強策を示した。

 日本の不良債権処理の混迷を見てきた経験から見ても、予想される対応策ではあろう。というか、欧州バブルをもたらしたそもそもの「過度の借り入れや貸し出し、過度の支出以上のさらに上回る資金の大量投入、大量貸出し」(10月24日、ローレンス・H・サマーズ前米財務長官)してしまう以外に、危機の爆発を抑える方策は考えられないのである。恐慌から脱出するのに、さらなる大きな恐慌を準備することによって、恐慌から脱出する手段をよりなくしていくことによって、脱出しようとするのである。しかし、問題はそれでうまくいく保証はどこにもない。

 A) 金融機関が自己資本の拡充を求められるということは、欧州金融機関の間では「投資資金の回収」や「貸しはがし」、「貸し渋り」が起きるということを意味するし、すでに起きている。「投資資金の回収」や「貸しはがし」は、景気を確実に冷やす要因として働く。バブル崩壊後の日本で経験済みのことでもある。金融機関の「投資資金の回収」や「貸しはがし」によって各企業は、業績は問題ないのに資金を調達できないため、投資機会を失うことが一般的に起きる。あるいは、投資資金の強引な回収によって業績は黒字なのに倒産も起きうる。全体として、信用不安が広がり投資は急速に冷え経済を一層減速させる。そのことは金融機関の財務を悪くし、さらなる自己資本の拡充が必要となる。「負のスパイラル」である。

 B) 10月23日のEU首脳会議で、欧州系銀行の資本増強については大筋合意した。しかし、ドイツや北欧諸国など一部を除いてユーロ圏各国の財政悪化が顕著になっており、公的財政資金による銀行への資本注入は、欧州各国の一段の財政悪化を招くことになる。
 仮に公的資金による欧州系銀行の増資が可能になっても、公的資金を出すことで各国政府では一層の財政悪化が進みその国の格付けが下がることになれば国債価格は暴落し、信用不安は鎮静化するどころか、収拾のメドが立たない事態に直面するリスクが高まる。そうすると銀行の保有している国債が、ほかの国債も含めてさらに値下がりし、金融機関の含み損が拡大し、更なる自己資本の拡充が必要となってくる事態を招きかねない。ここででも「負のスパイラル」である。すなわち、欧州系銀行の資本増強自体が、別のトリガーに転化する可能性が生まれてくるのである。何をやっているのかわからない。でもやらないと当面の爆発は防げない。

 C) 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)による公的資金注入においても同様である。欧州系銀行の自己資本増強の原資をどこに求めるのか、という点で独仏両国の対立は相当に深い。
 フランスがEFSFを銀行化し、欧州中銀(ECB)から資金を借り入れて、欧州系銀行の自己資本注入を容易にしようとしたのも、フランスの置かれたより厳しい現実を何とか乗り越えようという意図があるからだ。フランスの国債利回りはすでにじわじわと上昇している。しかし、ドイツは強硬に反対した。EFSFの融資や資本注入がうまく機能せず、損失が膨らめば、融資したECBの損失も拡大し、ECBの信認失墜から欧州のインフレが猛威を振るう事態を懸念するとメルケル首相は表明している。
 ECBの毀損した自己資本を増強する際に、まとまった規模の資金を出せる国はドイツ以外にない。最終的に欧州系銀行の損失の大部分をドイツの財政資金で賄うという未来が来ることをメルケル首相は拒否した。仏・サルコジ大統領は、「そんな悠長に事を構えている事態ではない、危機はすぐそこにまで来ている」と叫ぶ。フランスの銀行はギリシャ、イタリア、スペインの国債を大量に保有しており、自身の財務がすでに相当傷んでいる。

 10月23日のEU首脳会議で、欧州系銀行の資本増強については大筋合意し、必要な資金額は1,000億─1,100億ユーロになるとの見通しがEU関係者から出ている。国際通貨基金(IMF)はすでに2,000億ユーロ規模の増資が必要との見解を示している。

 それであっても、「とりあえずの爆発は抑えられるかもしれないが、最終的にそれでは収束しはしない」というのが市場の認識である。確かにその通りだろう。

 ユーロ圏17カ国は、EFSFの融資可能額を2,520億ユーロから4,400億ユーロに拡大することに合意し、各国議会の同意もスロバキアを最後として何とか取り付けた。ギリシャ国債の50─60%のヘアカット(債務元本の削減)が実行され、欧州系銀行の自己資本の目減りがあっても、EFSF資金を活用すれば、何とか対応可能という計算だったはずだ。

 ところが、市場は「ギリシャのヘアカットは近い」とみて、イタリアやスペインなどでも同じことが起きると連想し、イタリアやスペインの国債が売られた。価格は下がり利回りは上がった。
 ギリシャ2年債利回りは100%を超え、イタリア国債の年利率は7%を超えた。イタリアとスペインの国債発行残高が合計2.1兆ユーロを超している現実では、4,400億ユーロのEFSFの処理能力を突破しているのは明らかだ。

 事態はすでにより深刻な次の局面に移行してしまった。「ギリシャ危機を押さえつければ危機は収まる」事態はすでに過ぎ去った。イタリアやスペイン国債の下落による瓦落を恐れなくてはならなくなったのである。

 国債を保有する銀行の資産劣化が進み、自己資本不足に陥り、市場での資本調達が困難であるため、さらなる公的資金によるさらなる資本増強の必要性が生じている。

 EU首脳会議で、その路線が承認されるところまできた。しかし、問題は公的資金注入の規模である。底なしに公的資金を注入することはできない。更なる国家財政の悪化をもたらし、国債価格の暴落をもたらすからだ。したがって、中国や新興国、中東諸国、日本、米国からの、あるいはIMFからの資本調達を求めている。しかし、だれが他人のために資金を提供するか。資本主義はそんなシステムではない。「国際協力、協調」と言っているから少しくらいは出すにしても、必要な額には遠く及ばないのも明らかだ。
 IMFはEFSFを強化するのを決定し、4,000億ユーロ準備するという。しかし、 EUはさらに資金を拡充する必要があるし、世界からの支援を必要としている。1兆ユーロまで拡充を決めたが、誰が出すのか決まっていない。

 金融危機への対策として国家財政への損の付け替えによって対処した。しかし今度は国家財政悪化によって国債価格の暴落の恐れが生じ、そのことで国債を大量に抱える金融機関、銀行経営が行き詰まろうとしている。銀行の自己資本を公的資金で補填しても、問題の解決になっていない。対策にならないことが、明らかになりつつある。
 EUの当面の解決策、A),B),C)は、事態の進展によっては、危機ぼっ発の要因に転化しかねない事態になっている。

 3)第二のトリガー、CDS 

 それ以外にも別のルートを通じた爆発の可能性も迫りつつある
 EUでは公的資金の投入を決め、必死になって金融機関の破綻、デフォルトを防ごうとしている。しかし、個々の金融機関は自身が助かろうとしているだけで、欧州経済危機の爆発を防ごうと行動しているわけではない。例えばヘッジファンドなどは、国債価格の乱高下の機会をとらえて儲けようと行動している。アジア通貨危機の時には意図的に売りを仕掛けてバーツなどの通貨暴落を誘い、その機会をとらえて儲けた。現時点は、国債CDSトリガー発動の可能性が現実のものになりかねない情勢なのである。

 クレジット・デフォルト・スワップ(以下:CDS)は企業や国などの信用リスクを対象とした取引で、CDSの買い手は売り手に対してプレミアム(保険料)を支払い、対象となる企業や国が債務不履行を起こした場合に、買い手は売り手から保証金を受け取る。したがって、CDSを持っておれば、保有する国債価格が下落しても損にはならない。だから、CDSを持っておれば、安心して国債のカラ売りを仕掛け暴落した後で買戻し儲けるのである。すなわち一方では必死に金融機関の破綻、デフォルトを防ごうとし、他方では意図的に破綻させようとしているのである。
 これとて資本主義のもとでは正常な資本活動であって、資本主義は本性からしてこの無政府性を克服できないし、むしろ前提にしているのである。

 そのことは、CDSを売った金融機関が大損をするのであり、それが危機のトリガーになるのだ。
 現在、ギリシャ国債のデフォルトはほぼ避けようがなくなりつつある。

 ギリシャ向け第2次支援策で民間負担を増加した場合、CDSの請求権が発動されるかどうかという金融システムにかかわる問題がまだ不透明で、それに対する方策も依然としてはっきりしない。
 
 仮に、ギリシャ向け民間債務を50─60%カットした場合、CDSを売った金融機関は買った金融機関からの請求に対して、支払い義務が生じる可能性が高まる。その規模は、市場ではギリシャ国債だけで1兆ユーロを超すCDSが発行されており、CDSトリガーが引かれた後の金融市場の動向は予断を許さない緊迫した事態になる。CDSを売った金融機関の中には、米系金融機関も含まれており、欧州債務危機の影響が、大西洋の西側に向かって広がる。
 また、欧州当局の根回しによってギリシャ国債のCDSトリガーを引かないことで全取引関係者の合意が形成された場合、今度は他の重債務国やその他の国の国債CDSの機能が発揮されないという思惑を生むことになりかねない。その場合は、逆にイタリアやスペインの国債価格下落という展開もありうる。まさにモグラたたきである。

 どのような方策をとっても、事態はなかなかよくならないのである。

 欧州ソブリン危機が招いたCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)問題が米銀のバランスシートに破壊的な影響力を与える可能性が現実のものとなりつつある。一部の米銀はギリシャ国債のCDSの売り手になっていると見られ、いずれギリシャが破綻した場合には、米銀に莫大な資金負担が発生し、3年前の危機を再現しかねない。

 米MFグローバル・ホールディングスは10月31日、ニューヨーク州マンハッタンの裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。ユーロ圏債券への投資に社運を賭けたことが裏目に出た。欧州ソブリン債への積極投資で痛手を受けた。米MFグローバル・ホールディングスの破産は、米金融機関・銀行資本の明日の姿となりかねない。

 これらの要因はすでに予想されており、米国では金融機関の不良債権問題の深刻化が進んでいる。米銀行、米金融機関の株価が下落しつつある。
 これらのことは、米国がこの先量的緩和を通じた金融緩和を推し進めざるを得ない要因として働くことになる。

4)EU首脳、米政府首脳、IMF は何をやっているのか?

 やっていることは、上記の通り、当面の爆発の防止である。それも対症療法的に、モグラたたきを繰り返している。別の言い方をすれば、将来への「繰り延べ」である。それ以上のことはしていない。
 今回の2008恐慌、世界的経済危機をもたらした金融資本のグローバル化そのものを、変革しようとは決してしていない。目の前の爆発をとりあえず防止し、ただ繰り延べしようとしているだけである。
 グローバル化した金融資本は、貪欲に利益を求めて徘徊する。これをとどめよう、あるいは変革しようとは決してしていないのである。

 それは資本主義そのものの欠陥である。
 資本主義の順直な発展が、瞬時にして世界を移動するグローバル化した金融資本の支配に至ることを描き出すのが経済学の課題であり使命であろう。

 (※:「脱経済成長論」など事態の推移を真面目に見つめようとしていない、チャチな観念だけでできあがっている。反資本主義と自称しているものの、実のところPro-Capitalismである。)

5)公的資金の注入は金融資本の救済であり、国民は救済しない

 欧州各国は、2008年9月のリーマンショック以降、傷んだ金融機関へ公的資金を注入し救ってきた。金融資本・銀行がバブル経済に乗って「過度の借り入れ」や「貸し出し」、「過度の支出」によって利益を上げようと行動したが、バブル崩壊、経済危機に遭遇し莫大な損を被った。その「損」があまりにも大きいため、「大きすぎてつぶせない」と言って、国家財政の損に付け替えた。「民間の需要不足」を国債発行による公的需要に置き換え、当面の経済的痛みを「緩和」してきたと言う。いわば「損」を各国政府の財政に移し替えてきた。それ以外にとる「手」はないと言うのだが、果たしてそんな方策をとってよかったのか、何のために誰を救ったのか。無駄ではなかったのかという疑念がわき起こってくる。

 民間や巨大金融機関・銀行の「損」を国家財政に付け替え、当面の爆発を抑えてきた。そのことによって、「損」の支払いはこの先おもに国民が負担することを意味する。民間の「損」を、公的な「損」に姿を変え、そのことで、損を支払う者がすり替えられた。

 損を抱えた国家財政は、この先ずうっと緊縮財政でやらざるを得なくなる。年金を切り下げ福祉・教育予算を削減し、消費税を引き上げる。その限りでは国家財政は、1%の損を、99%の損にすり替えて、人民から徴収する機構として機能している。

 EUはギリシャ支援に際して、ギリシャ政府に緊縮財政を強要したし、ギリシャ国民に窮乏生活の受け入れを強要した。年金を切り下げ、教育福祉予算の削減を無理やり飲ませようとしている。確かにギリシャ政府は国債を償還するためには資金を得なければならない。でなければ当面の資金がなく、公務員の給与さえ支払うことができない。まるでギリシャ国民に罪があるかのように大手マスメディアは非難キャンペーンを流した。

 しかしこれは物事の一面である。別の一面も見なくてはならない。誰がギリシャ国債を保有しているかを考慮しなければならない。フランス銀行もドイツ銀行も大量のギリシャ国債を保有している。EUのギリシャ支援策は、自分たちを救うのが目的である、自国の金融資本、金融システムを守るのがその目的である。

 なぜこのような不当なことが、堂々と行われるのか!
 1%を守ることを前提にするなら、こんな処方箋しか出てこないのである。
 金融資本主義は人々に輝く未来を約束しない。統合したEUは一挙に市場を拡大し2000年以降急速に経済発展をした。恩恵は主に1%が得た、金融資本・銀行資本が得た。しかし、2008世界恐慌が到来するや、統合したEUを守るために各国は財政赤字削減を強行的に実施しなければならないという。負担は99%が負う。年金制度の破壊、医療制度、教育制度の破壊を予定している。これまでの文明を100年は後戻りさせる。
  
 これでは、格差はますます拡大する。高揚期に1%は資産を増大させる。恐慌を経て99%に犠牲を負わせる。経済循環の各局面でますます格差が拡大することを意味している。その結果、どのような社会になるのかは明白である。

 統合したEUは何を守ろうとしているのか。
 ギリシャでは生活破壊に耐えかねて反政府デモが続いている。ギリシャ国民の姿は近い未来の欧州人の姿でもある。1%を守るために、欧州経済が回復するまで、国家財政に付け替えられた損を返すまで、欧州人の多くは窮乏の生活に耐えなければならないのである。

 グローバル化した金融資本の支配維持のうえにEUは未来を描き出すことができない。もちろんそれはEUだけではない。 
 ユーロ危機は、ユーロにとどまらない。最終的に米国を襲うだろう。その過程は、今のところ、「ゆっくりと」(というのはリーマンショックに比べて)進んでいるように見える。(文責:小林 治郎吉)

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