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靖国神社に代わる新追悼施設建設に賛成すべきか? [靖国、愛国心、教育、天皇制]

靖国神社に代わる新追悼施設建設に賛成すべきか?
靖国神社拝殿

1)靖国神社に代わる新追悼施設建設をすべきだという政治的発言が目立ってきている。それは政府自民党内からも出てきている。千鳥ケ淵を拡張し新施設建設が検討されている。
目的は、靖国神社がA級戦犯合祀を批判する中国や韓国、その他のアジア諸国からの批判を「かわす」ためであり、そのことで中国、韓国、アジア諸国とのこの先の関係、外交を改善するためと語られている。日本の支配層のなかの「開明派」(とりあえずこう呼ぶ、特にそのようなグループは明確に存在しない)は、「靖国神社にとらわれて国の将来を誤ってはならない」と考えているであろう。
政府自民党内だけではない。靖国神社やA級戦犯合祀に反対している人たちの間にも、新追悼施設建設をすべきだという声はあるようだ。

2)靖国神社に代わる新追悼施設建設に対して、私たちはどのような態度をとるべきなのだろうか?

私は、新追悼施設の建設に反対するし、また反対すべきであると考えている。その理由は下記の通りである。
現時点での追悼施設は、例え「平和志向」と形容詞をつけても、現在の国家、すなわち日本支配層の所有する国家による追悼施設にしかなり得ない。国家によって運営される戦死した兵士の追悼施設は、必ず顕彰施設になる。国家による追悼は必ず、国家の戦争目的の是非を問うことなく、ただ国家のためにその身をささげたことが称えられ、そして次の世代に国家への献身を説く顕彰施設に転化する。

戦後に殉職した自衛隊員を顕彰しなければならない。でなければ「誰が国家のために命を落とすか。」と語られている。自衛隊員や海上保安庁職員のなかには、近い将来必ず死者が出るであろう。そのような方向に日本政府は政策をすでに変更している。だから、「国家のために進んで命を落とす国民をつくる」ためには国家による新追悼施設が必要なのだ。

それは「死んだ兵士のため」といいながら、決して死んだ兵士ためではなく、今後の国家政策のために必要なのである。中国や韓国の批判をかわしながら、すなわち第二次世界大戦の誤りはとりあえず認めながら、しかし現代と近い将来の「反テロ戦争」、米国と同盟した世界分捕り戦争で、戦い、死ぬ新しい日本兵士のための国家追悼施設が必要となってきているのだ。

むしろ、自衛隊員や海上保安庁の現場の職員に問いたい。
戦死を称えられることで、自身の死を戦争美化の作意と欺瞞のため利用されることを望むか。戦争勃発の防止とそのための責任を政府が十分に取らない言い訳に、「崇高な死」という美辞麗句で飾られてよいか。
それ以前に、政府の戦争志向の政策が問われなければならない。国家の戦争目的の是非が問われなければならない。

3)過去の問題として論じてはならない
この点に関連して言えば、靖国神社へのA級戦犯合祀は、決して過去の問題なのではない。現在と近い将来が問題なのだ。過去の問題の処理の解決案という視点だけでこの問題を論じてはならない。小泉首相は首相になってから、靖国参拝しているが、首相になる前は参拝していないことからもわかるように、決して過去の戦死者の冥福のために参拝しているのではない。その行為は、現在と近い将来の日本政府の戦略、政策の切り替えを想定しているからである。すでにその政策は実行に入っているのである。小泉でさえそのような視点から参拝しているのに、私たちが過去の問題の処理として捕らえるのでは、はなはだおかしかろう。

4)では「平和志向の新追悼施設建設に賛成する」と言えばいいのか。
「平和志向の新追悼施設建設に賛成する」と仮に言ったとしても、平和志向の新追悼施設になる現実的可能性があれば、そのように言っていいが、ない場合は、そのように言ってはいけない。
「自分は、平和志向の新追悼施設建設に賛成したのだが、政府自民党が、あるいは○○勢力が賛成して、国家追悼施設にしてしまった。そのようなものには自分は当初から反対していた。」と、できた後で言ったとしても、言い訳にはなるが、それ以上ではない。後の祭りである。

したがって、現在の日本の政治状況下で、「平和志向の新追悼施設建設に賛成する」と言ってはいけない。現在の日本政治に対して、現実を見ずに幻想を見ているからだろうと判断する。

5)それからついでに、「新追悼施設の建設の動きに、ただ反対を叫ぶだけでよいのか。何でもかんでも反対してばかりではだめだ」と心配する声もある。「ただ反対するだけの野党でいいのか!」これは自民党の常套文句である。社民党はそう言われ続け、気に病んで原則を変えた。共産党も「反対するだけの野党でいいのか!」と非難され、いつも気にしている。何でそう気にするのか私には不明だ。だめなものはやはりだめと言うしかない。それが正しい態度であると思う。


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