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ミルバ追悼 [世界の動き]

ミルバ追悼
 4月23日、イタリアの歌手ミルバ(1939年7月17日 - 2021年4月23日)が亡くなったと友人のUさんが知らせてくれた。81歳だったという。

s-ミルバ Milva,_Gente_1972.jpg
<ミルバ Milva,_Gente_1972>

 1975年頃、ミルバのアルバム(LPレコード)を買い求め聴いていたことがある「リリー・マルレーン」https://www.youtube.com/watch?v=Q5wZ6AX622I や『レッジョ・エミリアの死者」(”I morti di Reggio Emili””  https://www.youtube.com/watch?v=oHc18XMhFpY)があったと記憶する。LPはまだ家の中のどこかにあるはずだ。そのころすでに国際的に有名だったから、若い頃から活躍していたことになる。初めて彼女の歌を聴きその太い声に驚き、「肉食人種だナ!」と思ったことを覚えている。

 ミルバの歌でまず思い浮かぶのは「ベラ・チャオ」だ。もとはロンバルディア地方ポー川流域稲作地帯の「田植え歌」(「やっと起きたところ」:Alla mattina appena alzata)として歌われていたという。「ネオ・リアリスモ」のイタリア映画『苦い米』(1949年)での出稼ぎ女たちの田植えシーンが思い浮かぶ。
https://www.youtube.com/watch?v=8GxEjrW8yiE

 その民謡に第2次世界大戦中のパルチザンの詞が置き換えられて「ベラ・チャオBella Cao」として戦中から歌われ始め、戦後はイタリアのみならず欧州各地で歌われた。

 「Bella Cao」をWebで検索していたら、2020年コロナ禍で閉じこもり生活を余儀なくされたイタリアの街中に住む人々が、自宅アパートのベランダに出て通り越しにこの歌を合唱しているyou tubeを見つけた。https://www.youtube.com/watch?v=3ES224nHHtA

さらに温暖化気候変動を告発する別の詞が重ねられ子供たちが歌う姿も見つけた。これはイタリアではなく北欧のようだ。「古い革袋に新しい酒を注ぎ入れる」(マタイ福音書)かのように歌い継がれていることに小さく感動した。


もう一つの9・11
 また、ミルバとInti-illimaniが一緒に「シモン・ボリバル」(Inti Illimani & Milva - Simon Bolivar:youtube参照)を歌ってるyou tubeを、最近よく聴く.
https://www.youtube.com/watch?v=VY-8thtsITw

 1973年9月11日、選挙で社会主義にすすんだチリ・アジェンデ政権が、米国を後ろ盾とするピノチェット将軍のクーデターによって倒された。アジェンデ政権を生み出す過程で社会変革をめざす文化運動「ヌエバ・カンシオン」(新しい歌運動)がチリで興り、人々の間に広がった。クーデターの時、欧州公演を行っていた「ヌエバ・カンシオン」グループの一つ、Inti-illimaniは、そのまま帰国できなくなり、ピノチェト政権末期の1988年までイタリアでの亡命生活を余儀なくされる。

 イタリアでの亡命生活のおりに、ミルバとInti-illimaniが一緒に「シモン・ボリバル」を歌っているのだ。シモン・ボリバル (Simón Bolívar:1783年 - 1830年)は、ベネズエラのカラカスに生まれ、南米大陸のアンデス5ヵ国をスペインから独立に導き、統一したコロンビア共和国を打ちたてようとした。生涯をラテンアメリカの人々の解放と統一に捧げた人物として尊敬され、彼の名からボリビアの国名は採られている。

 南米の人々の間で歌い継がれた歌を、亡命生活を送っていたInti-illimani と歌う。これもまたミルバの姿なのだろうと思いながら、追悼するのである。






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