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コロナ後の世界と日本はどうなるのだろうか? [世界の動き]

 コロナ後の世界と日本はどうなるのだろうか?

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<トランプと習近平>


 数年前から、今後は「米中二極の新冷戦時代」を迎えるのではなかと言われてきたが、その様相は予想以上に混乱したものになりつつある。落日の帝国アメリカの勝手な振る舞いで、国際協調は過去のものとなり、混沌がひろがっている。米国はコロナ被害が最も大きく、当面は感染拡大防止に注力せざるを得ない。国際的なリーダーシップを発揮する意志もなければ、その力もない。トランプ政権は11月の大統領戦に勝利する目的のためだけに、国内および対外政策を繰り出している現状なのだ。

 コロナ対策で成功したのは、台湾、シンガポール、韓国、中国だ。政府と政権の対応能力の高さを示した。コロナ危機は、各国政府と政治家の「優劣」を暴きだしたようだ。日本の政権と政府の能力もどれほどのものか、すでに暴き出されている。

 トランプ政権は国内支持獲得が最大の関心事となり、その要因から「自国第一主義(アメリカンファースト)」と保護主義に傾斜した。米国はこれまで築いてきた「国際協調」(=米主導の世界支配であったが、)を破壊し、超大国の地位を利用し専横に振る舞っている。WTOはすでに機能不全状態だ。トランプ政権は中国寄りだとしてWHOも非難している。コロナ対策の国際協調さえ放棄した。

 一方的に制裁を振り回すトランプ政権の政策は、ほぼ失敗に終わりつつある。米政府が米中貿易戦争を始めて以来、米の対中輸出は大きく増えていない。大豆など農産物等はブラジルからの輸入に切り替えられた。ハイテク分野の世界市場では中国のシェアが高まり、米国のシェアは下がった。圧倒的に大多数の米業界、米企業が現政権の通商政策を支持していない。
 国際協調の破壊、保護主義、中国との対立深化の政策は、米議会、民主党でも同じであって、米国内事情からすれば大統領がバイデンとなっても大きく変わることはないだろう。

 しかし、米国がいくら中国を嫌っても、中国と経済で別れることはできない。米国は「5G」で先行する中国の華為を世界市場から締め出したいが、もはや不可能である。中南米、アフリカ、アジアなどの新興国や途上国は、価格が安く性能が優れている華為の5G 用の通信機器設備を導入しており、急速に普及している。米国や欧州、日本市場で華為製品の締めだしを画策して果たして成功するか、いまだに結果は不明だ。この争いの決着には、おそらく時間がかかる。

 日本企業の一部は、中国工場を移転し中国への依存を減らそうとしているが、あくまで「小さな調整の範囲」にすぎない。グローバル化した経済を元に戻そうなどということは、もはや不可能だ。コロナ危機で陶器製便器が中国から入荷せず、日本の住宅建設が止まったことを想起すれば明らかだ。

 日本はすでに中国経済圏内にいる。日本政府は「中国+1」戦略を探るが、中国に代わるその「」がなかなか見つからない。一部のサプライチェーンの国内回帰などの再編模索は続くかもしれないが、グローバル化と自由貿易の流れからの逆戻りを意味する生産部品や生産工程を全面的に中国から移転するのはもはや不可能である。

 中国経済は、おそらくコロナ危機から最も早く回復する国の一つであり、世界経済における中国の地位はより高くなっていくだろう。ただ、すぐに米国にとって代わるまでには至っていない。「一帯一路」構想は新しい中国経済圏をつくりつつあるが、いまだ途上である。

 半導体分野での多くの技術は、米国や欧日企業がいまだ握っている。半導体を巡る覇権争いは激しい競争を繰り広げている。中国は半導体の自国開発・生産を目ざしており、莫大な投資をしている。いずれ、半導体国産化が進行するだろうが、いまだ多くの課題が残っており、この覇権争いも決着がつくまで時間がかかる。

 したがって、米中の双方にとっても、しばらくは対立しながらも、どこかで均衡点を見出すしか選択肢はないはずなのだ。その「新たな現実」を、落日の帝国・アメリカ政府支配層が冷静に認識し対応できず、「米国第一主義」を振り回し、国際協調を破壊し、世界の分断を深めている。そのことは自身の退場する道を掃き清めているに他ならないにもかかわらず、だ。

「コロナ後」、日本経済はどんな姿になるだろう

 日本経済の成長率が、一段と低下するのは避けられない。
 今回の突然の「3密回避」で、サービス業(観光業、飲食業)を中心に収入の道を遮断された労働者や中小企業が生存の危機にさらされた。社員が出社できないので製造業、特に自動車産業は大幅に減産となった。
 収入が減ったことで消費需要は減退し、投資需要も長期間にわたって停滞する。今後は経済全体として貯蓄性志向が高まるはずだ。
 コロナ危機からの速い脱却が必要なのだが、日本の経済活動の再開は、遅い部類に入るようだ。
 
 一方で、日本のデジタル化が大きく打遅れていることが明らかになった。
 先進諸国では小中学校、高校でコロナ危機のあいだ、Web授業が実施された。できなかったのは日本だけだ。萩生田文部科学大臣が愕然としたそうだが、長期間にわたって教育費を削ってきた結果だということまで、認識したかどうかは不明だ。
 AI技術者、IT技術者の養成・教育が遅れ、その人数が圧倒的に少ないことも明らかになった。
 雇用調整助成金、定額給付金などの申請もネット上では結局できず、政府・自治体内でのデジタル化の大きな遅れも露呈してしまった。

 ただ、遅れていたとしても、この先デジタル化、AI導入、5G普及による産業再編は避けられないだろう。
 長期的には、AIロボットの導入・普及によって供給はむしろ増加する展開になると思われるが、宋だとしても収入格差が解消に向かわなければ、おそらく需要が追いつかないので、これまでと似たような成長率が低下したままデフレ経済化が進むのではないか。

 財政事情は一段と悪化する。コロナ対策で第一次、二次の補正予算も含め、20年度支出は160兆円を超え、新規赤字国債発行は90兆円、基礎財政収支の赤字幅はマイナス60兆円に膨らんだ。

 税収は減少し、税収だけで政策的経費を賄うのはこれまでもできていなかったが、今回、国の借金は一挙に積みあがった。財政収支の黒字化は遅々として進まず、それどころか危機のたびに国債を増発し賄うパターンを繰り返し、政府債務は今後も増え続ける。

 コロナ後を見据えた財政健全化の抜本的見直しが急務だが、政権のこれまでの振る舞いを見れば、そのメドは立たない。むしろ遠ざかっているというしかない。もはや実現不可能の領域に入り込んでいる。

 おそらく、この様な繰り返し(=「日本経済の停滞感、埋没感」)こそが常態となるのだろう。日本の「新常態(ニューノーマル)」とは、上記のような姿なのだ。

 そんななか日本はどう進むべきか?

 1988年(昭和最後の年)日本のGDP世界シェアは16%だった。日本を除くアジアは6%で、かつて日本はアジアで断トツの経済大国だった。

 21世紀に入る前年の2000年、日本のGDPの世界シェアは14%と、まだ持ちこたえていた。
 それが2018年には、日本のGDP世界シェアは6%にまで落ち、アジアは23%(そのうち中国は16%)を占めるようになった。19年にアジアのGDPは日本の4倍を超えた。(中国のGDPは日本の3倍)。

 急速に日本経済の地位が落ちている。そのことに多くの経済人、日本国民は、いまだピンと来ていない。なかには過去の「栄光」に酔っていたい人も多く、「中韓の風下には立ちたくない」と駄々をこねている人も目立つ。

 コロナ危機からの脱出の過程で、いかに早く脱出するかで、近い将来の経済成長の差は一層拡大するだろう。中国、韓国、台湾は、より早く経済活動を再開させそうだ。日本は遅れている部類に入る。
 これから5~10年先、アジアのGDPはどんなに控えめに予測しても日本の10倍を超える規模になるだろう。

 「日本の停滞感と埋没感」はさらに深まることだろう。

 日本経済が停滞したこの30年、日本政府、歴代政権は、没落する日本人の「プライド」を対米依存を深めることで保ってきたようなのだ。まさに「虎の威を借る狐」として振る舞ってきた。その「虎」が、落日を前に「混乱」している。すでにあてにならなくなっている。

 どう進むべきか、日本人にとっても「主体性」が問われている。日本政府は即刻、「対米依存」から脱却しなければならない。日本の支配層にとっても、その方向に未来がある。

 日本のこの先の行動計画には、相当の大変革が必要である。どのようにしたら格差社会を解消し、貧困層を少なくするか、教育と福祉を充実させた社会に変革するか、日本社会をデザインするうえで第一の課題となる。

 日本は成長していない。アジアは急速に成長している。コロナ対策で台湾や韓国のとった優れた対応を見よ! コロナ対策においてもすでに出遅れている日本社会である。

 ポスト・コロナ時代の日本再生の道は、アジアのダイナミズムと相関しながら、そのなかでいかに日本の未来を形づくるかを考えることが求められている。






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