SSブログ

パンデミック下のフィリピン [フィリピンの政治経済状況]

 アンバ・バーラ(バタアン労働組合連合)のエミリから、パンデミック下の生活や活動の様子について報告が送られてきました。
 移動制限があり、地域によって異なりますが、バタアンでは10人以上の集まりは禁止されています。これを取り締まっているのがフィリピン政府の警察と軍で、強圧的な対応が問題になっています。

************************

パンデミックと「ニューノーマル」の時代
エミリー・ファヤルド ANBA-BALA事務局長

 100年前のスペイン・インフルエンザの時に世界の人々の上に起きたことを、今の時代に生きる私たちの間で再び経験したいという者は誰もいません。単純なインフルエンザが肺炎となり、世界中の何百万人もの人々を突然殺すことに、私たちは驚きました。パンデミックという新しい言葉を通じて、子どもたちばかりではなく大人たちにも、恐怖を教えられたのです。私の4歳の娘でさえ、私をパンデミックママ(母)と呼びますが、こんな風にさえ広まっています。

グラフィックス5.png
<今に至るまでジプニーやトライシクル、バスなどの公共交通機関が許可されていないため、私たちは自転車を使って労働者のコミュニティに行き労働者やリーダーに会います>

 フィリピン政府は、コミュニティ検疫(ECQ)を最初にルソン島、次にセブ-ヴィサヤに、そしてのちにミンダナオにいくつかの支部を設置し実施しました。ショッピング・モール、学校、大小の施設、店、食料品店は閉鎖され、誰もが家に滞在しています。フィリピンでは、子供と大人が約60日間、家のなかに留まりました。週に1回、すべての家族のうちの1人だけが、市場に行き食料を購入することができます。COVID 19ウイルスに感染したい人はいません。誰もが感染を避けるために、政府と保健省の指示や規則に従っているのです。

 しかし、私たちにとって本当に苛立たしいことであるとともに、おそらくこうなるだろうと予想した通り、フィリピンのドゥテルテ政府は、困難な危機のこの時期にあってもなお、能力不足を露呈しているのです。ドゥテルテ政府のコロナ対策計画は、適切でもなければ決定的でもありません。政府がフィリピン大衆に同情と共感を持っていないことを、再び暴露したのです。差別なしにすべてのフィリピン人に補助金を与える代わりに、危機に際して政治的野心と腐敗の実行こそが、彼ら政府関係者の心に浮かぶ最初の事柄なのです。

 コロナウィルスによるパンデミックと戦う政府の「インターエージェンシー・タスクフォース(省庁間からなる対策センター)」の構成メンバーは、ほとんどが軍人であって、感染や健康の専門家ではありません。したがって、科学的および医学的側面の危機を解決するのではなく、軍事的観点から人々を抑え込むことで危機を解決しようとするのです。実際に行うのは、ウイルスの蔓延を回避すると称して、軍事戦術を適用して人々を強圧的に隔離するのです。

 コロナ危機のなかで、政府は飢えたフィリピン人へ助成金を出す予算を組みました。しかし、最悪なのは、政治制度と政治実行のプロセスに問題があるため、助成金は封鎖後、1か月と1週間経ってやっと、各家庭に支給されるような状態なのです。支給される前に人々はすでに飢えています。多くの労働者は補助金を受け取っていると思われていますが、残念ながら支給は公平ではなく、差別的です。ですから、政府の予算に補助金支出が組み入れられたにもかかわらず、今もなお多くの労働者が、労働雇用省からの補助金を受け取っていないのです。

グラフィックス2.png
<椅子は事務所の外に置き、距離をとって話をする>

 このパンデミックのなかで「良かった点」は、自治体と一部の市長が、管轄区域の有能な指導者として名前をあげたことです。そのうちの1人は、有権者とのやり取りが非常に得意なパシグ市のヴィコ・ソット市長です。計画は正確で、機動性と彼の行動は人々を共感させています。彼は優れた指導者であり、今回の事態のなかで最も優れた市長の一人です。

 フィリピンの人々は政府や権力者の無能ぶりにうんざりしていますが、ヴィコ市長ような人物がいることは、私たちのなかからも優れた指導者が生まれるのではないか、という希望を与えてくれます。ヴィコ市長はまだ若く、理想主義者です。私たちが抱くリーダー像ではないリーダーシップを探っているのかもしれません。

パンデミック時のドゥテルテの優先順位付け:

 このパンデミックにおけるドゥテルテ政権の優先事項は何だと思いますか? COVID 19の感染対策で優先するのは、人々への補助金でしょうか? 残念ながらそうではありません。政権にとって緊急の法案は、反テロ法案(ATB)です。この法案とパンデミックとの関係は何でしょうか? 飢えた人々の口を弾圧でふさぎ、抗議しないこと、文句を言わないようにさせることなのです。

グラフィックス8.png
<デスクトップ社の労働者協会(DEA:労働組合準備会)のミーティング>

「新常態」の下での私たちの主張

 私たちは今、「ニューノーマル(新常態)」のなかで活動しています。中央ルソンの各地方は、コミュニティに対する「全般的検疫(ECQ)」下にあり、人々にとって家の外の視界は限られています。ここバタアン州マリヴェレスの自由貿易地域の労働者は、まだ完全に働くことができておらず、労働者4万人のうち、約半分だけが働いています。労働者たちはCOVID 19の検査なしで働き始めましたが、社会的距離を保っただけです。通勤のための公共交通機関は動いておらず、保健省の手続きや規則を確認した、サービス車両の運用開始されました。しかし、確認は初めのうちだけでした。現在まで公共交通機関がまだないため、家から会社までどのように移動できるかは、労働者次第です。(6月30日記)

グラフィックス10.png
<アンバ・バーラ(バタアン労働組合連合)の事務所内の様子>




nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。