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コロナによる経済収縮から、世界的な大恐慌へ突入! [世界の動き]

 コロナによる経済収縮から、世界的な大恐慌へ突入!

1)雇用への影響、まず非正規と中小企業に

 コロナによる経済収縮から、すでに雇用への影響が出てきた。中小企業の受注環境は厳しさを増し、見通しが立たない。 

 総務省が4月28日発表した3月の労働力調査では、製造業の就業者は前年同月比24万人の減少(3年ぶりの減少)。とくに雇用悪化が目立つのは非正規雇用。製造業、宿泊業、飲食業、教育・学習支援事業などの落ち込みが大きい。非正規雇用全体では26万人減だという。雇用保障の弱い非正規に新型コロナの影響が、先ず現れている。労働問題に取り組むNPO法人、POSSE(東京・世田谷)には、2月以降、労働者の相談が1,000件ほど寄せられているという(4月30日、日経)。

 一方、自営業者、家族従業者も40万人減っており、経営体力の弱く資金繰りがつかない中小企業から倒産が出始めている。緊急事態宣言を出した4月はさらに悪化しているはずだ。これが仮に数ヵ月続けば、さらに大量の倒産と失業者が出てくるのは、もう目に見えている。ただ、経済が感染前の水準に戻るには、少なくとも2年以上かかるだろう。

2)アメリカはすでに失業率20%、失業者3,000万人近くか?

 米労働省が4月23日に発表した失業保険の新規申請者数は、4月18日までの1週間で442.7万件となり、非常事態宣言を発した3月中旬から5週間で申請者数は累計2,640万人を突破した。米労働人口は1億6300万人だから、約7人に1人以上が職を離れたことになる(4月24日、日経)。3月中旬の失業率が4.4%、それ以降の失業者が2,640万人=約16%、この間に新規就業者もいるから単純に計算できないが、米失業率は、20%を超えようとしている。しかも、いまだ過去類例を見ないすさまじいペースで増大中だ。
 アメリカで起きているのは、日本の少し先の姿だ。

3)日銀、国債無制限購入、社債・CPも購入

 4月27日、日銀は追加の金融緩和を決めた。国債を無制限に購入できるようにし、金利上昇を抑える。社債・CP買い入れ枠を3倍近い約20兆円に増やして、企業の資金繰りを支援する。もっとも夏以降の回復を前提としていると見られ、感染拡大が続けば、さらなる追加策を迫られる。

 国債購入は金融恐慌を回避するため(=金融資本を守るため)であり、社債購入の条件は投資適格の格付けが条件ゆえ、大企業が恩恵を受ける。

 一方、雇用調整助成金等あるが、すぐに支給されない、事務手続きが面倒など、なかなか役に立っていない。長引けば財政支出上の上限もある。

4)米国、無制限の金融緩和

 現在は、各国の中央銀行が大量の資金供給をして支え、信用不安から金融恐慌に陥らないように必死に踏ん張っているところだ。

 3月下旬、米連邦準備理事会(FRB)は、米国債などを買い支え、その見返りにドルを供給する「量的金融緩和」を「無制限」に実施しはじめた。その規模は、2008年の金融危機時をすでに上回る。3月20日以降、毎日1,000億ドル超の資産を購入している。

 加えて史上初めて、(民間企業の)社債の購入も決め、4月に入りCP(企業の発行するマーシャル・ペーパー)、さらに「低格付け社債」購入まで広げている。4月22日には、約11兆ドル(約1,200兆円)規模の米住宅金融会社の救済へ乗り出した。コロナウィルス蔓延で住宅ローン返済が滞り、資金繰り難に陥っている住宅ローン会社を救済する。

 金融恐慌に陥らないための(=金融資本と大企業を救うための)米政府とFRBの動きは、きわめて迅速で大規模だ。

 他方、トランプ政権は、雇用維持を条件に中小企業の給与支払いを8週間分を肩代わりする異例の資金供給も打ち出した。この融資は、3月27日3,500億ドルの資金枠を用意したが、申し込みが殺到し資金は枯渇したので、急遽6,600億ドルまで積み増した。

 この融資制度はあくまで6月上旬までの8週間分にすぎない。それまでにコロナが終息しなければ、6月以降も米政府は、追加を迫られる。必要な融資だが、長期間支給し続けるのは難しくなる。経済対策のため2020年は4月時点ですでに約3兆ドル(約320兆円)もの財政赤字予算を組んでおり、さらに赤字が増える見込みだからだ。

5)コロナ流行によって世界的な大恐慌へ突入!

 経済封鎖、外出自粛によって、経済は大きく落ち込んでいる。IMFによれば、20年4~6月期米経済は▲40%の落ち込みとなる。世界的な恐慌に突入するのはほぼ確実だ。

 恐慌となれば、世界中で働く多くの人々が仕事を失い、負債を抱える。約10年に一度の世界的な経済恐慌のたびに、金融資本、銀行は「大きすぎて潰せない」とされて国から「救済」という名で資金を盗み取り、生き延びる。他方、多くの人々は貧困化し、階層化し分断される。1%が富の大半を握る、一段と格差が拡大した社会となる。資本主義における景気後退、恐慌は、弱者を淘汰するプロセスだ。今回もおそらく同じことが起きる。
 経済収縮は、少なくとも1年以上続きそうだ。もっと長引くかもしれない。経済再開はコロナの第2波、第3波と付き合うようにして、その経済活動の程度を調整しなければならず、したがってV字回復はありえず、緩やかな回復としかなりそうにない。その長引く分だけ弱者は一段と困窮する。
 回復が遅れれば遅れるほど、国家財政からの支出も増え財政危機を招く。おのずと限界がある。

6) 早く抜け出るには?
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<新型コロナウイルス感染症対策専門家会議を終え、記者会見する尾身茂副座長=4月22日、厚労省>

 より望ましいのは、コロナ感染をコントロール下において、人々の健康と安全を確保しながら、なるべく早く経済を再開させることだ。韓国、中国、台湾などの「東アジアモデル」は、コロナをコントロール下におき、すでに試行的に経済活動の再開に踏み出している。それでも第2波、3波があるので、その都度、規制したり緩めたりを繰り返し、回復していくしかない。これが一番早く回復する方法だ。欧米をはじめ世界各国が「東アジアモデル」の成功を認め、その知見を導入し始めている。

 安倍政権は、中韓の風下には立ちたくないようで、学ぶつもりがない。いまだPCR検査を拡充せず、そのため感染者の所在を特定できず、ただヤミクモに8割の接触制限・外出自粛を唱え、毎日の感染者数に一喜一憂するだけで、終息のめどは立っていない。

 厚生労働省―専門家会議は、情報を開示しない、議事録を公表しない、どのように判断し対応しようとしているのかさえ、国民は知らされないままだ。無策、無作為に終始しており、経済再開がより遅れるのは明らかだ。遅れる分だけ、日本の労働者、中小企業はよりいっそうの犠牲と没落を強いられることになる。安倍政権に運命をゆだねなければならない日本人民は不幸だ。

 コロナが終息した後には、これまでと違った、世界のなかの日本となっているだろう。





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